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第104話 宣戦布告
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カムイさんを倒した後、僕はネスさんにフレンド通話をかけた。
『ネスです』
「し、シキです。すみません。すでに宝物庫は空でした。後で僕の視覚データを送るので、詳細はそれで確認してください」
『わかりました。お疲れ様ですシキ様』
「クライムガンはまだ預かっていて良いんですかね?」
『はい。まだ事件は何も終わってませんからね。それに、あなたを狙う賞金稼ぎはまだ出てくるでしょう。その対策にクライムガンは使えるはずです』
確かに。
ただのデスぺナじゃ1時間程度で再起されちゃうからね。クライムガンで倒せば牢獄送りになるので再度襲われる心配がない。僕がクライムガンを持っているとわかれば、賞金稼ぎの数も減るだろうし。
「ありがとうございます。使わせていただきます」
『どうぞ。ではまたいずれ』
「はい」
通話が切れる。
「仮主殿~」
宝物庫の入り口から、ソルニャーがひょこっと顔を出す。
「終わったかにゃ?」
「……ソルニャー、戦いが終わるまで待ってたでしょ」
「あの人怖かったにゃ、すまんにゃ」
可愛いから許す。
「ここにはもう用無いから帰るよ」
「ふにゃあ!!」
「うわ! なに!?」
ソルニャーは何かを爪サーベルで切り裂いた。
ソルニャーが切り裂いたのは機械の小さなサソリ。その頭部はカメラになっている。
「隠しカメラにゃ」
隠しカメラ!?
誰かが今の戦いを見ていたのか……相手は想像つくけど。
「よくわかったね」
「猫は動く物体に敏感にゃ」
ピ。ピ。と、僕を呼び止めるように通知音が鳴る。
「なんだろう」
メニューを開くと、フレンド通話が入っていた。僕は通話に出る。
『やっほ~。シキちゃん』
「ラビちゃん!」
実は牢屋に行った際にラビちゃんとはフレンドになっていた。外部との連絡はできないはずだけど……許されたか、あるいは抜け道を見つけたか。多分後者だな。
『宝物庫どうだった~?』
「もう空だったよ。先を越された」
『残念だねぇ。でもさ、本当に空かな? シキちゃん、通話をスピーカーにして、音量を最大にして』
言われた通りにする。
『ラー・ラー・ラー・ラー・ラー♪』
腕時計型端末から声が響く。
ラビちゃんは超高音で発声を繰り返す。音程は1音毎に微妙に変えてある。
ラビちゃんの声が響き渡ると、宝物庫の壁が音を立てて崩れ、そこに地球儀のような巨大な青い球体が現れた。
球体のある一点には多数の赤いアイコンが点滅している。
「こ、これは……!?」
『宝物庫から盗まれたお宝の場所を示す受信機さ。盗んだお宝には念のため超小型の発信機を仕掛けてるんだよ。トライアドみたいに発信機を仕掛ける隙間が無いやつは除いてね』
トライアドは結晶だからね、発信機を隠すのは無理だ。
『欲をかいてトライアド以外も奪うからこうなる』
「じゃあ、このアイコンが集まっている場所が……」
『敵のアジトの位置さ』
やっぱり、ラビちゃんは良い。
戦闘センスだけじゃない。戦術眼もあるし、それにただじゃ倒れないずる賢さがある。
やっぱり――欲しい。
「ラビちゃん。釈放になったらさ、君と1つ交渉がしたいんだけど……いいかな」
『聞くだけならいくらでも♪』
地球儀はソルニャーに持ってもらい、僕らはピラミッドから出る。
ピラミッドの前にはキャンピングカーがポツンとある。
「シキ! なんか凄いことになってるぞ!!」
イヴさんは僕らを見つけるとキャンピングカーから降り、僕にPCの画面を見せてきた。
画面に映っていたのは白衣の女性だ。
『諸君! オケアノスの諸君! はじめまして。吾輩はグリーンアイス。このゲームの終焉を望む者だ』
見覚えがある。
この人は……確か、海底列車で会ったチェンソー使い! あの時はロゼッタと名乗っていた。
『この放送はオケアノス全域で行われているはずだ。すまないが、ラジオもテレビもコロニー内の全ての電波はジャックさせてもらった』
「おいおい、なにやらかすつもりだコイツ……」
『吾輩グリーンアイスが総べる組織の名は――『メーティス』。叡智の神だ。名の通り我々には現オケアノス軍を遥かに上回る知恵がある。我々がオケアノスを総べれば、このゲームのクリアが見えるだろう』
ゲームのクリア?
考えたことも無かったな……このゲームってクリアとかあるの?
『ゆえに我々はゲームクリアのため、オケアノス軍への革命を宣言する!!』
ざわ。と鳥肌が立つ。
きっと僕だけじゃない。このコロニー全体が揺れた感覚がした。
『決行は日本時間で8月31日の4時だ。ゲーム内時間では12時になる。我々は首都アシアは当然のこと、主要都市全てに総攻撃し、コロニーの心臓――『世界樹』を手にするつもりだ。戦う意思の無い者は今の内に退け。戦う意思のある者は存分に立ち塞がると良い。もしも我々に協力したいのなら、我が軍に加勢し、オケアノス軍を襲撃せよ。共にコロニー崩しを成そうじゃないか』
わざわざ攻める日時を教えるなんて。それだけ自分の軍に自信があるってことか。
『さぁ諸君、楽しい戦争をしよう』
画面が消える。
「と――とんでもないな」
「は、はい……これって宣戦布告ってやつですよね」
「ああ。全面戦争だ。きっとえげつない規模の戦いになるぞ……今年一の衝撃だ」
「うにゃ~。ぼくもにゃん生で1の衝撃だにゃ~」
イヴさんは後ろを振り返り、今しがた発言したソルニャーを嬉しそうな顔で見る。
「ソルニャー……お前……!」
「しまったにゃ。最初の一声は主殿の名前と決めてたのににゃ」
ソルニャー! とソルニャーに抱き着くイヴさん。今年一の衝撃、きっと更新されたね。
(グリーンアイスの基地の位置情報、早く六仙さんに伝えた方が良さそうだな)
それにしてもコロニー崩しとは……、
「……面白いことをしてくれますね。ロゼッタさん」
『ネスです』
「し、シキです。すみません。すでに宝物庫は空でした。後で僕の視覚データを送るので、詳細はそれで確認してください」
『わかりました。お疲れ様ですシキ様』
「クライムガンはまだ預かっていて良いんですかね?」
『はい。まだ事件は何も終わってませんからね。それに、あなたを狙う賞金稼ぎはまだ出てくるでしょう。その対策にクライムガンは使えるはずです』
確かに。
ただのデスぺナじゃ1時間程度で再起されちゃうからね。クライムガンで倒せば牢獄送りになるので再度襲われる心配がない。僕がクライムガンを持っているとわかれば、賞金稼ぎの数も減るだろうし。
「ありがとうございます。使わせていただきます」
『どうぞ。ではまたいずれ』
「はい」
通話が切れる。
「仮主殿~」
宝物庫の入り口から、ソルニャーがひょこっと顔を出す。
「終わったかにゃ?」
「……ソルニャー、戦いが終わるまで待ってたでしょ」
「あの人怖かったにゃ、すまんにゃ」
可愛いから許す。
「ここにはもう用無いから帰るよ」
「ふにゃあ!!」
「うわ! なに!?」
ソルニャーは何かを爪サーベルで切り裂いた。
ソルニャーが切り裂いたのは機械の小さなサソリ。その頭部はカメラになっている。
「隠しカメラにゃ」
隠しカメラ!?
誰かが今の戦いを見ていたのか……相手は想像つくけど。
「よくわかったね」
「猫は動く物体に敏感にゃ」
ピ。ピ。と、僕を呼び止めるように通知音が鳴る。
「なんだろう」
メニューを開くと、フレンド通話が入っていた。僕は通話に出る。
『やっほ~。シキちゃん』
「ラビちゃん!」
実は牢屋に行った際にラビちゃんとはフレンドになっていた。外部との連絡はできないはずだけど……許されたか、あるいは抜け道を見つけたか。多分後者だな。
『宝物庫どうだった~?』
「もう空だったよ。先を越された」
『残念だねぇ。でもさ、本当に空かな? シキちゃん、通話をスピーカーにして、音量を最大にして』
言われた通りにする。
『ラー・ラー・ラー・ラー・ラー♪』
腕時計型端末から声が響く。
ラビちゃんは超高音で発声を繰り返す。音程は1音毎に微妙に変えてある。
ラビちゃんの声が響き渡ると、宝物庫の壁が音を立てて崩れ、そこに地球儀のような巨大な青い球体が現れた。
球体のある一点には多数の赤いアイコンが点滅している。
「こ、これは……!?」
『宝物庫から盗まれたお宝の場所を示す受信機さ。盗んだお宝には念のため超小型の発信機を仕掛けてるんだよ。トライアドみたいに発信機を仕掛ける隙間が無いやつは除いてね』
トライアドは結晶だからね、発信機を隠すのは無理だ。
『欲をかいてトライアド以外も奪うからこうなる』
「じゃあ、このアイコンが集まっている場所が……」
『敵のアジトの位置さ』
やっぱり、ラビちゃんは良い。
戦闘センスだけじゃない。戦術眼もあるし、それにただじゃ倒れないずる賢さがある。
やっぱり――欲しい。
「ラビちゃん。釈放になったらさ、君と1つ交渉がしたいんだけど……いいかな」
『聞くだけならいくらでも♪』
地球儀はソルニャーに持ってもらい、僕らはピラミッドから出る。
ピラミッドの前にはキャンピングカーがポツンとある。
「シキ! なんか凄いことになってるぞ!!」
イヴさんは僕らを見つけるとキャンピングカーから降り、僕にPCの画面を見せてきた。
画面に映っていたのは白衣の女性だ。
『諸君! オケアノスの諸君! はじめまして。吾輩はグリーンアイス。このゲームの終焉を望む者だ』
見覚えがある。
この人は……確か、海底列車で会ったチェンソー使い! あの時はロゼッタと名乗っていた。
『この放送はオケアノス全域で行われているはずだ。すまないが、ラジオもテレビもコロニー内の全ての電波はジャックさせてもらった』
「おいおい、なにやらかすつもりだコイツ……」
『吾輩グリーンアイスが総べる組織の名は――『メーティス』。叡智の神だ。名の通り我々には現オケアノス軍を遥かに上回る知恵がある。我々がオケアノスを総べれば、このゲームのクリアが見えるだろう』
ゲームのクリア?
考えたことも無かったな……このゲームってクリアとかあるの?
『ゆえに我々はゲームクリアのため、オケアノス軍への革命を宣言する!!』
ざわ。と鳥肌が立つ。
きっと僕だけじゃない。このコロニー全体が揺れた感覚がした。
『決行は日本時間で8月31日の4時だ。ゲーム内時間では12時になる。我々は首都アシアは当然のこと、主要都市全てに総攻撃し、コロニーの心臓――『世界樹』を手にするつもりだ。戦う意思の無い者は今の内に退け。戦う意思のある者は存分に立ち塞がると良い。もしも我々に協力したいのなら、我が軍に加勢し、オケアノス軍を襲撃せよ。共にコロニー崩しを成そうじゃないか』
わざわざ攻める日時を教えるなんて。それだけ自分の軍に自信があるってことか。
『さぁ諸君、楽しい戦争をしよう』
画面が消える。
「と――とんでもないな」
「は、はい……これって宣戦布告ってやつですよね」
「ああ。全面戦争だ。きっとえげつない規模の戦いになるぞ……今年一の衝撃だ」
「うにゃ~。ぼくもにゃん生で1の衝撃だにゃ~」
イヴさんは後ろを振り返り、今しがた発言したソルニャーを嬉しそうな顔で見る。
「ソルニャー……お前……!」
「しまったにゃ。最初の一声は主殿の名前と決めてたのににゃ」
ソルニャー! とソルニャーに抱き着くイヴさん。今年一の衝撃、きっと更新されたね。
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