スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~

空松蓮司

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第110話 RTA走者・ソニック

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 RTA (リアルタイムアタック)。


 基本的にはゲームを開始してからクリアするまでの時間を争う『競技』のことをそう呼ぶ。
 純粋なプレイヤースキルはもちろん、ゲームのシステムを限界まで解析する頭脳・洞察眼も必要。

 最短を衝くというのは弱点を衝くも同義。そのゲームのシステム的欠陥を衝くことはザラであり、ゆえにRTA走者は相手の弱点を見つけ・叩く能力に長けるとも言える。特に彼女はゲーム・人間問わず、対象の弱点を見つけそれを徹底的に叩く能力に優れた。

 グリーンアイスは彼女のその能力を買い、艦隊の総司令を任せた。

「ん~、わかるわかる。前衛は装甲艦で固めたいよね。わかるわかる。でもさ、そうすると前衛の速度が死ぬから幅広い展開に対応できないよね。わかるわかる」

 少女は艦隊の中心にある戦艦の、船底のフロアにいた。物置同然のその部屋で1人床に座り、目の前の無数のモニターを同時に眺めて各部隊に指示を出している。

「ん~、わかるわかる。空中機動ワイバーン兵がうざいよね。撃ち落としたいから対空砲いっぱい出すよね。わかるわかる。でもさ、1手遅いよね。もうすでに対空砲を潰すための狙撃兵を配備済み。顔を出した所からズドーン!」

 オケアノス軍は数で勝っているものの、戦術面で後手後手ごてごてに回っていた。
 次々と作戦を、戦術を看破され、潰されていく。

「オケアノス崩し・タイムアタックスタートってね。グリーンアイスキングには今日は様子見って言われたけど、別に落としちゃってもいいよね~?」

 メーティス軍を指揮している少女の名はソニック。音速の名を持つRTA走者だ。
 女子にしても華奢な体と八重歯が特徴的な少女。常に他人を小馬鹿にするような挑発的な表情をしている。

「ざーこっい。ざっこい、ざっこいねぇ。可哀想に。こんなゲーム初めて1か月ぐらいのメスガキにやられるとか才能なさ過ぎて悲惨~。ぷっぷー」

 ソニックはいま、9体のヒューマノイドの操作権を持っている
 格ゲーマー、カムイのコピー3機。
 FPSゲーマー、99のコピー3機。
 そして自身のコピー3機。

 カムイコピーを前衛にし、囮にしつつ99の射撃で敵を削り、バランス感覚に優れた自身のコピーで陣形の穴を埋めていく。その連携に誰も太刀打ちできない。

「結局このゲームもざっこいのばっかじゃん。つまんなー」

 勝利を確信したソニックはパフェを食べ始める。

「ぬるげー、乙」

――ゴォン!!!

「はぁ?」

 一筋の黒い光が、ソニック・コピーを撃墜した。
 続いてメーティス軍の前線で動き回っていた機動艦が狙撃で急所を撃ち抜かれ、撃墜された。

(狙撃!? どこから……!!)

 黒い光がスペースガールを、戦艦を、ヒューマノイドを撃ち落としていく。
 前線が押し返される。

「前線の陣形が崩された!? むっか~! 的確に陣のかなめを……!! 誰の仕業だこんにゃろ!」

 ソニックがキッチリ指揮を続けていれば、ここまで綺麗に崩されることは無かった。
 ソニックが油断し、パフェに手を伸ばした瞬間をたまたま……あるいは狙って撃ち抜かれた。指揮系統が麻痺した一瞬を、狙撃手は狙ったのだとソニックは確信する。

「見つけた……!」

 ヒューマノイドに搭載されたカメラから、ソニックは狙撃手の姿を捉えた。
 オケアノス軍最後方――戦艦の監視塔の上、そこに狙撃銃を構えたスペースガールは居た。

「白黒の髪……赤い衣! アレがキングの言っていた想定外バグ! ――シキか!!」
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