大人気ダンジョン配信者のサポーターをやっていたけど、あまりにパワハラが酷いから辞めることにする。ん? なんか再生数激オチしているけど大丈夫?

空松蓮司

文字の大きさ
25 / 77

第25話 力酔い

しおりを挟む
「ほら、意地張ってないで早く頭を下げたら?」

 腕を組み、女王様面で美亜は言う。
 俺は湯呑に入ったお茶をグッと飲み込む。

「ぷはぁ! あー、もう限界だ」
「限界? なにがよ」
「全部言わせてもらうぞ。美亜、お前は最低のシーカーだ」

 美亜の表情が無に変わる。
 俺の言葉の意味を理解できていないんだろう。ならば理解できるまで言うまでだ。

「お前のオーパーツは強力だ。A級レベルはある。だが、お前の技量はC級以下だ。魔法も使えず、体術も並。オーパーツの性能も十分に引き出せていない。お前以外のシーカーの動きを見て確信した。お前は弱い」
「は? は??」
「入院中、A級シーカーの動画配信を見たが、どいつもこいつもお前の倍は優秀だったよ。魔法を使えないA級なんていなかった」

 魔法を使えないのにA級になれているのはそれはそれで凄いことだが、コイツの場合はオーパーツが優秀なだけだ。オーパーツ以外の要素は全てが並以下。

「実力が足りていない癖にサポーターに当たり散らかす。グラビアとか他の仕事にかまけて特訓もしない。怠惰で傲慢、お前ほど程度の低いシーカーも珍しい。俺がお前と組みたいわけがないだろう。お前と組むぐらいなら新人のド素人と組んだ方がマシだ」

 俺は一度瞼を下ろす。美亜がどんな顔をしているか怖くて見れなかったからだ。深呼吸して、意を決して瞼を開き、美亜の顔を見る。

「……そっちか」

 美亜は、号泣していた。
 激怒するか、泣くかの二択だと思っていたから想定内だ。

「……なにそれ……本気で言ってるの……?」
「怒ってもダメなら泣き落としか? 生憎だが、お前のことは理解している。涙は流しても心の内はまったく泣いてないことはわかっている」
「っ!!」

 美亜は腕を振りかぶり、そして振るう。
 俺は美亜のビンタを左手で弾いた。

「……っ!?」
「お前のビンタを受ける気はない。何も間違ったことは言ってないからな」
「アンタ……本気で、本当に本気で……私から離れるつもり?」
「ああ」
「……許さないわよ」
「お互い様だ。飯塚から聞いているかもしれないが、俺が所属しているオッドキャットとフェンリルがギルドデュエルをする。俺も出場するつもりだ。そこで――すべてのケリをつけよう」
「…………許さない。絶対っ! 許さないから!!!」

 隣の部屋に響くぐらいの大声でそう言った後、美亜はカバンを持ってズカズカと足音を鳴らし、外に出て行った。
 美亜の背中を見送り、俺は昔の美亜を思い出す。

 泣き虫で、弱虫で、いじめられっ子だった。そんな美亜を、俺はいじめっ子達から庇っていた。
 あの頃の美亜は……そうだな、如月に似ていたか。弱気だけど、しっかり芯の強さを持っていた。

 アイツが変わったのはオーパーツを手に入れてからだ。

 力に溺れる、という言葉はアイツにピッタリの言葉だ。強力なオーパーツを手に入れ、地位を手に入れたアイツは増長し続け、A級になってその暴走を誰も止められなくなった。オーパーツは所有者の魂に寄生すると言われているが、アイツがああなったのもオーパーツの影響だったりすんのかな……いや、そんなこと言ったらシーカーのほとんどが性格変わってないとおかしいか。

 願わくば昔の美亜に戻って欲しいモノだが、あそこまで歪んでしまってはもう無理かもしれない。

 アイツから見て弱者である俺が、アイツを倒すことで何か変わるだろうか。
 サポーターでありながら、アイツの暴走を止められなかった俺にも責任はある。何とかできるならしてやりたい。ま、あくまで美亜に関してはな。飯塚は問答無用で叩き潰す。

 ギルドデュエル、是が非でも勝たなくちゃならない。

 PCを立ち上げ、メールを開くとアビスからファイル付きのメールが届いていた。ファイルのタイトルは《オッドキャット・サポーター能力表》となっている。
 もちろんファイルにはパスワードが付いている。パスワードはすでに聞いているから、問題なく開ける。

 ファイルの中にはサポーターの情報がズラーっと載っている。厳密には顔写真・名前・性別・年齢・魔力量・体術評価・魔法・特殊技能・性格・知力。ざっと項目はこんな感じ。十分だな。

 その中でもやはりと言うか、目についたのはS級シーカー唯我阿弥数のサポーターだ。名前は――

一色いっしきさえ





―――――――

面白かったらお気に入り登録&ハートの付与お願いします!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」  王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。  パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。  アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。 「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」  目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?    ※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。 『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

処理中です...