5 / 86
1巻
1-3
「それで、どうするのですか?」
「どうとは?」
「すぐ死ぬような所には送ってないようですし、彼、人族の寿命に収まらないでしょ?」
「どういう意味ですか?」
わかっていないセレスティナに、ガイストはため息をつく。
そして、再び真剣な顔で言う。
「セレスティナ様、まさか自分の送った世界の特性、忘れてませんか?」
「特性?」
「セレスティーダは魔力が高ければ高いほど寿命が延びる世界です。彼、レベル1でもそこそこのレベルのエルフと同等の魔力を保持していますよ?」
「あっ!!」
しまった、という顔をするセレスティナ。
「……忘れてたんですね」
「彼に詫びて、スキルを与えるのに集中しすぎていましたわ」
「まあ、いくつもの世界を管理してると、多忙すぎて抜けることもあるでしょう」
「ど、どうしましょう?」
困惑するセレスティナに、ガイストは提案する。
「セレスティナ様は、手が空いたときだけ、セレスティーダの様子を見られたらよろしいかと。あとは私が見ますので」
「お願いします」
こうして、ガイストがノートの見守りを買って出たのだが……
第1章 領都ファスティ
5 いろいろ確認しよう
「ここがセレスティーダか……」
俺はそう言って周囲を見渡す。周りには何の変哲もない木々が立っており、特に異世界らしい様子もない。
確認はしていないが、俺の見た目は多少若返っているらしい。
そういえば、体が随分と軽い。メタボ気味の体形だったはずだが、女神様が健康的な体形にしてくれたようだ。
服装はこの世界の住人に合わせて変わっていた。変な腰巻きが付いているのが気になるが……まあ良いだろう。
ヴォルフが尋ねてくる。
『主よ、これからどうするのだ?』
俺は何をすべきか考え、返答する。
「とりあえずは……いろいろ確認しようと思う」
『確認か?』
『何の確認~?』
声を揃えて聞いてきたヴォルフとマナに、俺は答える。
「俺は、この世界のことも、ここの常識も、俺が持つスキルの使い勝手も、お前達の能力もわからない。だからまず把握しておきたいんだ」
二体とも納得してくれた。
俺はヴォルフに尋ねる。
「まずヴォルフに聞くけど、大きさって変えられるのか?」
『ある程度は可能だ』
「最小サイズと最大サイズを教えてくれ」
『最小一メートル五十センチくらいで、最大でおよそ二十メートルくらいだな。一番動きやすいのが今の大きさだ』
「二十メートル!?」
驚く俺に、ヴォルフは平然と言う。
『ドラゴンと戦うには、それくらいの大きさにならんとな?』
いやまあ、そうなのかもしれないが……
とりあえずヴォルフには、小さくなってもらうことにする。
「ヴォルフ。悪いが、今の半分くらいの大きさになってくれるか?」
『造作もないが、なぜだ?』
「街に入るには大きすぎると思うんだ。珍しがって人が寄ってくるかもしれんからな」
俺が理由を説明すると、ヴォルフは急に凄む。
『我に刃を向ける者がいるというなら、受けて立つぞ?』
俺は頭を抱える。
「いや、いきなり女神様の手を煩わすようなことになるわ!」
『そんなものなのか?』
何もわかっていなそうなヴォルフ。
俺はマナに向かって言う。
「おーい、マナさん。ヴォルフの教育を頼んでいいか?」
『契約にはないけど、主に迷惑かけてるみたいだから、教えることにするよ~』
ひとまず安心できた俺は二体に、これからの基本方針を伝えた。
・人には、できるだけ迷惑をかけない
・俺達に被害が出そうなときは撃退するが、その判断は俺がする
・セレスティーダならではの美味い物を食べる
・そのための収入源の確保をする
・旅をしながら、人との交流を楽しむ
「――今のところはこんなところだな。わかったか? ヴォルフ、マナ?」
二体とも頷く。
『承知した』
『わかったよ~』
受け入れてくれたことだし、次の確認をするとしようかな。
俺はマナに声をかける。
「マナは、基本的に人に見えないんだよな?」
『そうよ~。ついでに言っておくけど、主の補助がメインなので、戦闘能力もほぼないよ~』
「それは……そういうふうに女神様に制限されてると思ったら良いのか?」
『そうよ~』
いざとなったら多少は戦えるってことかな。まあ、そういう場面があればヴォルフがいるし、問題ないだろう。
別の質問をする。
「あと聞きたいのは、俺は身分証を持ってないけど、街には入れるのか?」
すると、マナは目を見開いた。
『あっ! ごめんなさい~。真っ先に言ってねって女神様に強くお願いされてたんだ。女神様が、お金を【アイテムボックス】に入れたって言ってたよ~。そのお金で街に入れるし、入ったらどこかのギルドでギルド証を作れば、それが身分証代わりになるよ~』
なるほど、【アイテムボックス】か。
さっそく試してみようとしたが――出し方がわからない。
「マナ、【アイテムボックス】の使い方を教えてくれるか?」
『えっと……【アイテムボックス】って念じると、中に入ってる物が頭の中に浮かんでくるの。今度は、それを出そうと考えれば出てくると思うよ』
よくわからないが、やってみることにする。
マナに言われたように念じてみると、イメージが浮かんできた。
【アイテムボックス】
・金貨 × 10
・銀貨 × 30
・銅貨 × 100
とりあえず出したり入れたりを繰り返して、感覚を慣らす。
ちなみにマナによると、一般的な四人家族で一月の支出が金貨五枚とのことだ。
一応、手元には金貨十枚あるから、二、三か月くらいは持つんじゃないかな。ヴォルフがいるから何とも言えんが。
まあ、しばらくはやっていけそうだし、ギルドに登録して収入源を探すとするか。
俺はヴォルフとマナに話しかける。
「今は、こんなところかな。俺の戦闘力の確認は……あとで大丈夫だろう。ヴォルフに倒してもらえば良いだろうし」
『我はそれで良いぞ。この辺の魔物ならば、今の主でも余裕だがな』
「そうか。でも、今日のところはヴォルフに任せるよ。何せ、数時間前まで戦いとは縁のない世界にいたんだから」
『承知した。向かってくる魔物は、我が確実に屠ろう。あとな、この辺にはいないだろうが、悪意を持つ人の場合はどうするのだ?』
なるほど、人が襲ってくる場合もあるのか。
「……そういう奴もいるんだよな。そのときは、俺のスキル【鑑定】を使って判断するよ」
『承知した』
俺はマナに尋ねる。
「マナ、【鑑定】は対象をよく見たら発動するのかな?」
『そうですよ~。練習のためにやってみましょうか。じゃあ、この辺を見てみてください~』
マナに言われたのでやってみる。
雑草、雑草、雑草、雑草、雑草、雑草、雑草
雑草、薬草、雑草、雑草、雑草、雑草、雑草
……ん?
雑草に紛れて薬草がなかったか?
さらによく見てみると、やはり薬草だった。
・薬草 ×1
ポーションの材料になる。採取する際は、
途中で折れないように、根ごと引っこ抜くように注意する。
えーと、ポーションの材料になるのか。
根っこから折らないようにすると良いらしいから、その通りに採取する。
その様子を見ていたマナが言う。
『【鑑定】スキルの使い方がわかったようですね~』
俺はやや不安を感じつつも頷く。
「たぶん大丈夫だろう……」
6 街に向かおう
ともかく、最低限の確認を終えたな。
でも、【アイテムボックス】がどれだけレアなのかわからないな。マナに確認しても良いけど、変に目立つのは間違いないだろう。
そんなわけで俺は、多少の金をポケットに入れておいた。
「そろそろ街に向かうとするかな。お前達、街では声を出さずに念話で頼むぞ」
ちなみに、念話というのは従魔術で使える魔法の一つだ。二体を従魔にする前から念話で話していた気もするけど、まあその辺は良いだろう。
『主~、街はこっち方向だよ~』
マナが俺とヴォルフを先導するように飛んでいく。
「マナ、道案内を頼むな」
『任せといて~』
それから三時間ほど歩き、大きな壁が見える所までやって来た。その三時間の間に二度ほど狼に襲われたが、ヴォルフが一瞬で倒してくれていた。
壁の近くまで行く。
近くで見ると、相当の高さだった。
「高いなー」と見上げつつ、街に入るための順番待ちに並ぶ。
すると、俺とヴォルフを見た門番が慌てて詰め所に入っていく。しばらくして、少し立派な鎧を着た人が出てきた。
兵士にいろいろ指示してるっぽいな。
なんて観察していると、兵士とおそらく隊長(?)が近づいてくる。隊長らしきその人物は腰の武器に手を当て、すぐにでも抜けるようにしていた。
突如、隊長(?)が声を荒らげる。
「おい貴様、何しにここへ来た! その魔狼は何のつもりだ!」
俺は驚きつつも、正直に答える。
「この子は俺の従魔で、ギルドに従魔登録しに来ました。あと生活のため、俺自身もギルドに登録するつもりです」
隊長(?)は近づき、さらに詰め寄ってくる。
「どこから来たんだ!?」
その辺の設定を考えてなかったので、マナに念話で聞く。
『マナ、この場合、どうすればいいんだ?』
『「迷い人」と答えれば良いと思う~』
俺は言われたままに、隊長(?)に伝える。
「どこからと言われれば、迷い人ですかね?」
隊長(?)は表情を曇らせたものの、慌てて口を開く。
「いくつか質問するからついてこい!」
俺は困惑しつつも、大人しくついていくことにした。
◇
やって来たのは、門の横にある詰め所である。ヴォルフは中に入らずに、建物の外で待っていてもらった。
隊長(?)が厳しい表情で言う。
「それでは質問する」
「はい」
「この街の名前は?」
「知りません」
「この国の名前は?」
「知りません」
「この世界の名前は?」
「セレスティーダですよね?」
「この世界の通貨の名称は?」
「知りません」
「通貨の種類は?」
「俺が知っているのは、金貨、銀貨、銅貨です」
「この付近で出る魔物の種類は?」
「知りません」
周囲にいる他の兵士達が、「嘘をつくな」とか「その辺の子供でも知っているぞ」とかいろいろ言ってくる。
だが、わからないものはわからない。
隊長(?)が二つの水晶を用意してきた。
一方の水晶に触るよう言ってきたので、その通りに触ってみる。
明るくはなるが、何も起こらない。
これに何の意味あるの? と思っていると、隊長(?)が眉根を寄せつつ言う。
「……嘘は、ついてないようだな」
続いて、もう一方の水晶に触るよう促してきた。さっそく触れてみると、今度は金色っぽく光った。
周囲の兵士達と隊長(?)が目を見開く。
俺が内心、「何かまずいことでもあったのか……」と不安になっていると、隊長(?)が口を開いた。
「本当に迷い人か……」
俺は、眉間に皺を寄せて考え込む隊長(?)に尋ねる。
「あの、これは何ですか?」
「ああ、最初のは『真贋の水晶』と言い、次のは『魂の水晶』だ」
名前から察するに、俺が先に触ったほうは、真実を言っているか嘘をついているかを調べる水晶なんだろうな。
ただ、もう一方のほうはよくわからない。
魂? 心? を見られる水晶なのか?
いっそ聞いてみるか。
「それで、その水晶で何がわかるのですか?」
相変わらず考え込んでいた隊長(?)が答える。
「これらは魔道具なんだ。先に触ってもらったほうでは、嘘を見抜ける。次に触れてもらった水晶では、犯罪の有無とこの世界の住人か調べられる。もし犯罪歴があった場合は、さらに別の魔道具を使うことになるが……その必要はないようだな」
「……それで、俺はこの後どうすれば良いのですか?」
俺が嫌な予感を覚えつつ尋ねると、隊長(?)が言う。
「すまないが、従魔登録をしてギルド証を手に入れたら、領主に会ってもらうことになる。それまで、私が付き添うことになるが、了承してほしい」
異世界最初の街に来て早々に領主と会うハメになるとは……面倒なことになってしまったな。
とりあえず、気になってることを確認しとくか。
「えっと……いくつか質問があります。あなたは隊長で良いのですか?」
「ああ。第二衛兵隊、隊長のマークだ。第二衛兵隊はこうして門を守っているが、第一衛兵隊は街中を守っている。今さらだが、さっきは急に怒鳴ってしまって悪かったな」
気にしてなかったが、隊長は謝ってきた。
「いや、別に大丈夫です。俺に付き添うとのことですが、隊長がこの場所を離れても大丈夫なのですか?」
「問題ない。ここには副隊長もいるしな」
何となくだが、マークと名乗ったこの隊長は信頼できそうだ。
いろいろと面倒そうだが、トラブルを避けるためにも彼に従うのが良いかもしれない。
俺はそう考え、マーク隊長に向かって言う。
「じゃあ、従魔登録する場所と、俺がギルドに登録できる場所に連れてってください」
「わかった。ちなみにだが、従魔は従魔ギルドで登録し、体のどこかにギルド証を着けてもらうことになるからな。それであなたのほうは、商業ギルドか冒険者ギルドに登録してもらうことになる」
「複数のギルドに登録するのは可能ですかね?」
商人として生きるのも、冒険者として生きるのも、どちらも良いかもなと思っていたので聞いてみた。
「一応可能だが、その分、金はかかるぞ」
「お金は、たぶん足りると思います」
「いくら持ってるんだ?」
「金貨十枚、銀貨三十枚、銅貨百枚ですね」
俺が正直に言うと、マーク隊長は頷いて言う。
「まあ、それだけあれば大丈夫だな」
マーク隊長によると、通貨の名称は「ダル」のようだ。
ダル硬貨は、価値の低い順に、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、大金貨、白金貨、大白金貨となっており、それぞれの価値は次のようになっているとのこと。
鉄貨一枚 1ダル
銅貨一枚 100ダル
銀貨一枚 1000ダル
金貨一枚 1万ダル
大金貨一枚 10万ダル
白金貨一枚 100万ダル
大白金貨一枚 1000万ダル
なお、白金貨以上は国家間などの大商いでしか使われず、庶民が目にすることはないという。
俺は、詳しく教えてくれたマーク隊長に礼を言う。
「いろいろ教えていただき、ありがとうございした。あと、領主様に会うのは確定ですか?」
偉い人に会うのはやっぱり嫌なので、改めて確認してみた。
マーク隊長は俺のそんな気持ちを察し、残念そうに告げる。
「……確定だ。迷い人の扱いは、そうするように決まっているのでな」
「面倒事が起こる気しかしないのですが」
「諦めてくれ。それをしないと、国の危機になりかねん」
「……はぁ、仕方ないか」
マーク隊長に言われた通り、ここは諦めて従うことにするか。しかし国の危機とは、随分と大げさだな。
気を取り直すようにマーク隊長が言う。
「では、さっそくで申し訳ないが、登録しに行くことにしよう」
「わかりました」
俺とマーク隊長は詰め所から出た。
それからヴォルフを連れ、門をくぐって街に入る。
俺の前には、異世界で初めて目にする街並みが広がっていた。女神様も言っていたが、確かに昔の欧州の街並みのようだった。
7 従魔ギルド
マーク隊長がふと思いついたように聞いてくる。
「そういえば、名前を聞いてなかったな」
俺も名乗ってないのを思い出し、即座に返答する。
「ノート・ミストランドと言います」
「ノートか。じゃあこれからはそう呼ばせてもらう。ところで、名前に家名が付いているが、貴族なのか?」
「いえ。俺がいた所では、家名を持つのが普通でした」
「……そうか。まさか、そのまま登録するつもりか?」
含みを持たせて問うマーク隊長に、俺は尋ねる。
「まずいことでもありますか?」
マーク隊長はため息交じりに答える。
「まあ、まずいというか、トラブルに巻き込まれる可能性があるな。ノートが家名持ちだとバレれば、貴族が圧力をかけてくるかもしれん」
それは随分と面倒くさいな。
「ちょっと避けたいですね。登録の際に名前だけでもできますか?」
「可能だ。むしろ、そうしたほうがいい」
「じゃあ、名前だけにします。それでは行きましょうか」
「ああ、わかった。こちらだ」
案内されるまま、俺はマーク隊長の後ろをついて歩く。
「どうとは?」
「すぐ死ぬような所には送ってないようですし、彼、人族の寿命に収まらないでしょ?」
「どういう意味ですか?」
わかっていないセレスティナに、ガイストはため息をつく。
そして、再び真剣な顔で言う。
「セレスティナ様、まさか自分の送った世界の特性、忘れてませんか?」
「特性?」
「セレスティーダは魔力が高ければ高いほど寿命が延びる世界です。彼、レベル1でもそこそこのレベルのエルフと同等の魔力を保持していますよ?」
「あっ!!」
しまった、という顔をするセレスティナ。
「……忘れてたんですね」
「彼に詫びて、スキルを与えるのに集中しすぎていましたわ」
「まあ、いくつもの世界を管理してると、多忙すぎて抜けることもあるでしょう」
「ど、どうしましょう?」
困惑するセレスティナに、ガイストは提案する。
「セレスティナ様は、手が空いたときだけ、セレスティーダの様子を見られたらよろしいかと。あとは私が見ますので」
「お願いします」
こうして、ガイストがノートの見守りを買って出たのだが……
第1章 領都ファスティ
5 いろいろ確認しよう
「ここがセレスティーダか……」
俺はそう言って周囲を見渡す。周りには何の変哲もない木々が立っており、特に異世界らしい様子もない。
確認はしていないが、俺の見た目は多少若返っているらしい。
そういえば、体が随分と軽い。メタボ気味の体形だったはずだが、女神様が健康的な体形にしてくれたようだ。
服装はこの世界の住人に合わせて変わっていた。変な腰巻きが付いているのが気になるが……まあ良いだろう。
ヴォルフが尋ねてくる。
『主よ、これからどうするのだ?』
俺は何をすべきか考え、返答する。
「とりあえずは……いろいろ確認しようと思う」
『確認か?』
『何の確認~?』
声を揃えて聞いてきたヴォルフとマナに、俺は答える。
「俺は、この世界のことも、ここの常識も、俺が持つスキルの使い勝手も、お前達の能力もわからない。だからまず把握しておきたいんだ」
二体とも納得してくれた。
俺はヴォルフに尋ねる。
「まずヴォルフに聞くけど、大きさって変えられるのか?」
『ある程度は可能だ』
「最小サイズと最大サイズを教えてくれ」
『最小一メートル五十センチくらいで、最大でおよそ二十メートルくらいだな。一番動きやすいのが今の大きさだ』
「二十メートル!?」
驚く俺に、ヴォルフは平然と言う。
『ドラゴンと戦うには、それくらいの大きさにならんとな?』
いやまあ、そうなのかもしれないが……
とりあえずヴォルフには、小さくなってもらうことにする。
「ヴォルフ。悪いが、今の半分くらいの大きさになってくれるか?」
『造作もないが、なぜだ?』
「街に入るには大きすぎると思うんだ。珍しがって人が寄ってくるかもしれんからな」
俺が理由を説明すると、ヴォルフは急に凄む。
『我に刃を向ける者がいるというなら、受けて立つぞ?』
俺は頭を抱える。
「いや、いきなり女神様の手を煩わすようなことになるわ!」
『そんなものなのか?』
何もわかっていなそうなヴォルフ。
俺はマナに向かって言う。
「おーい、マナさん。ヴォルフの教育を頼んでいいか?」
『契約にはないけど、主に迷惑かけてるみたいだから、教えることにするよ~』
ひとまず安心できた俺は二体に、これからの基本方針を伝えた。
・人には、できるだけ迷惑をかけない
・俺達に被害が出そうなときは撃退するが、その判断は俺がする
・セレスティーダならではの美味い物を食べる
・そのための収入源の確保をする
・旅をしながら、人との交流を楽しむ
「――今のところはこんなところだな。わかったか? ヴォルフ、マナ?」
二体とも頷く。
『承知した』
『わかったよ~』
受け入れてくれたことだし、次の確認をするとしようかな。
俺はマナに声をかける。
「マナは、基本的に人に見えないんだよな?」
『そうよ~。ついでに言っておくけど、主の補助がメインなので、戦闘能力もほぼないよ~』
「それは……そういうふうに女神様に制限されてると思ったら良いのか?」
『そうよ~』
いざとなったら多少は戦えるってことかな。まあ、そういう場面があればヴォルフがいるし、問題ないだろう。
別の質問をする。
「あと聞きたいのは、俺は身分証を持ってないけど、街には入れるのか?」
すると、マナは目を見開いた。
『あっ! ごめんなさい~。真っ先に言ってねって女神様に強くお願いされてたんだ。女神様が、お金を【アイテムボックス】に入れたって言ってたよ~。そのお金で街に入れるし、入ったらどこかのギルドでギルド証を作れば、それが身分証代わりになるよ~』
なるほど、【アイテムボックス】か。
さっそく試してみようとしたが――出し方がわからない。
「マナ、【アイテムボックス】の使い方を教えてくれるか?」
『えっと……【アイテムボックス】って念じると、中に入ってる物が頭の中に浮かんでくるの。今度は、それを出そうと考えれば出てくると思うよ』
よくわからないが、やってみることにする。
マナに言われたように念じてみると、イメージが浮かんできた。
【アイテムボックス】
・金貨 × 10
・銀貨 × 30
・銅貨 × 100
とりあえず出したり入れたりを繰り返して、感覚を慣らす。
ちなみにマナによると、一般的な四人家族で一月の支出が金貨五枚とのことだ。
一応、手元には金貨十枚あるから、二、三か月くらいは持つんじゃないかな。ヴォルフがいるから何とも言えんが。
まあ、しばらくはやっていけそうだし、ギルドに登録して収入源を探すとするか。
俺はヴォルフとマナに話しかける。
「今は、こんなところかな。俺の戦闘力の確認は……あとで大丈夫だろう。ヴォルフに倒してもらえば良いだろうし」
『我はそれで良いぞ。この辺の魔物ならば、今の主でも余裕だがな』
「そうか。でも、今日のところはヴォルフに任せるよ。何せ、数時間前まで戦いとは縁のない世界にいたんだから」
『承知した。向かってくる魔物は、我が確実に屠ろう。あとな、この辺にはいないだろうが、悪意を持つ人の場合はどうするのだ?』
なるほど、人が襲ってくる場合もあるのか。
「……そういう奴もいるんだよな。そのときは、俺のスキル【鑑定】を使って判断するよ」
『承知した』
俺はマナに尋ねる。
「マナ、【鑑定】は対象をよく見たら発動するのかな?」
『そうですよ~。練習のためにやってみましょうか。じゃあ、この辺を見てみてください~』
マナに言われたのでやってみる。
雑草、雑草、雑草、雑草、雑草、雑草、雑草
雑草、薬草、雑草、雑草、雑草、雑草、雑草
……ん?
雑草に紛れて薬草がなかったか?
さらによく見てみると、やはり薬草だった。
・薬草 ×1
ポーションの材料になる。採取する際は、
途中で折れないように、根ごと引っこ抜くように注意する。
えーと、ポーションの材料になるのか。
根っこから折らないようにすると良いらしいから、その通りに採取する。
その様子を見ていたマナが言う。
『【鑑定】スキルの使い方がわかったようですね~』
俺はやや不安を感じつつも頷く。
「たぶん大丈夫だろう……」
6 街に向かおう
ともかく、最低限の確認を終えたな。
でも、【アイテムボックス】がどれだけレアなのかわからないな。マナに確認しても良いけど、変に目立つのは間違いないだろう。
そんなわけで俺は、多少の金をポケットに入れておいた。
「そろそろ街に向かうとするかな。お前達、街では声を出さずに念話で頼むぞ」
ちなみに、念話というのは従魔術で使える魔法の一つだ。二体を従魔にする前から念話で話していた気もするけど、まあその辺は良いだろう。
『主~、街はこっち方向だよ~』
マナが俺とヴォルフを先導するように飛んでいく。
「マナ、道案内を頼むな」
『任せといて~』
それから三時間ほど歩き、大きな壁が見える所までやって来た。その三時間の間に二度ほど狼に襲われたが、ヴォルフが一瞬で倒してくれていた。
壁の近くまで行く。
近くで見ると、相当の高さだった。
「高いなー」と見上げつつ、街に入るための順番待ちに並ぶ。
すると、俺とヴォルフを見た門番が慌てて詰め所に入っていく。しばらくして、少し立派な鎧を着た人が出てきた。
兵士にいろいろ指示してるっぽいな。
なんて観察していると、兵士とおそらく隊長(?)が近づいてくる。隊長らしきその人物は腰の武器に手を当て、すぐにでも抜けるようにしていた。
突如、隊長(?)が声を荒らげる。
「おい貴様、何しにここへ来た! その魔狼は何のつもりだ!」
俺は驚きつつも、正直に答える。
「この子は俺の従魔で、ギルドに従魔登録しに来ました。あと生活のため、俺自身もギルドに登録するつもりです」
隊長(?)は近づき、さらに詰め寄ってくる。
「どこから来たんだ!?」
その辺の設定を考えてなかったので、マナに念話で聞く。
『マナ、この場合、どうすればいいんだ?』
『「迷い人」と答えれば良いと思う~』
俺は言われたままに、隊長(?)に伝える。
「どこからと言われれば、迷い人ですかね?」
隊長(?)は表情を曇らせたものの、慌てて口を開く。
「いくつか質問するからついてこい!」
俺は困惑しつつも、大人しくついていくことにした。
◇
やって来たのは、門の横にある詰め所である。ヴォルフは中に入らずに、建物の外で待っていてもらった。
隊長(?)が厳しい表情で言う。
「それでは質問する」
「はい」
「この街の名前は?」
「知りません」
「この国の名前は?」
「知りません」
「この世界の名前は?」
「セレスティーダですよね?」
「この世界の通貨の名称は?」
「知りません」
「通貨の種類は?」
「俺が知っているのは、金貨、銀貨、銅貨です」
「この付近で出る魔物の種類は?」
「知りません」
周囲にいる他の兵士達が、「嘘をつくな」とか「その辺の子供でも知っているぞ」とかいろいろ言ってくる。
だが、わからないものはわからない。
隊長(?)が二つの水晶を用意してきた。
一方の水晶に触るよう言ってきたので、その通りに触ってみる。
明るくはなるが、何も起こらない。
これに何の意味あるの? と思っていると、隊長(?)が眉根を寄せつつ言う。
「……嘘は、ついてないようだな」
続いて、もう一方の水晶に触るよう促してきた。さっそく触れてみると、今度は金色っぽく光った。
周囲の兵士達と隊長(?)が目を見開く。
俺が内心、「何かまずいことでもあったのか……」と不安になっていると、隊長(?)が口を開いた。
「本当に迷い人か……」
俺は、眉間に皺を寄せて考え込む隊長(?)に尋ねる。
「あの、これは何ですか?」
「ああ、最初のは『真贋の水晶』と言い、次のは『魂の水晶』だ」
名前から察するに、俺が先に触ったほうは、真実を言っているか嘘をついているかを調べる水晶なんだろうな。
ただ、もう一方のほうはよくわからない。
魂? 心? を見られる水晶なのか?
いっそ聞いてみるか。
「それで、その水晶で何がわかるのですか?」
相変わらず考え込んでいた隊長(?)が答える。
「これらは魔道具なんだ。先に触ってもらったほうでは、嘘を見抜ける。次に触れてもらった水晶では、犯罪の有無とこの世界の住人か調べられる。もし犯罪歴があった場合は、さらに別の魔道具を使うことになるが……その必要はないようだな」
「……それで、俺はこの後どうすれば良いのですか?」
俺が嫌な予感を覚えつつ尋ねると、隊長(?)が言う。
「すまないが、従魔登録をしてギルド証を手に入れたら、領主に会ってもらうことになる。それまで、私が付き添うことになるが、了承してほしい」
異世界最初の街に来て早々に領主と会うハメになるとは……面倒なことになってしまったな。
とりあえず、気になってることを確認しとくか。
「えっと……いくつか質問があります。あなたは隊長で良いのですか?」
「ああ。第二衛兵隊、隊長のマークだ。第二衛兵隊はこうして門を守っているが、第一衛兵隊は街中を守っている。今さらだが、さっきは急に怒鳴ってしまって悪かったな」
気にしてなかったが、隊長は謝ってきた。
「いや、別に大丈夫です。俺に付き添うとのことですが、隊長がこの場所を離れても大丈夫なのですか?」
「問題ない。ここには副隊長もいるしな」
何となくだが、マークと名乗ったこの隊長は信頼できそうだ。
いろいろと面倒そうだが、トラブルを避けるためにも彼に従うのが良いかもしれない。
俺はそう考え、マーク隊長に向かって言う。
「じゃあ、従魔登録する場所と、俺がギルドに登録できる場所に連れてってください」
「わかった。ちなみにだが、従魔は従魔ギルドで登録し、体のどこかにギルド証を着けてもらうことになるからな。それであなたのほうは、商業ギルドか冒険者ギルドに登録してもらうことになる」
「複数のギルドに登録するのは可能ですかね?」
商人として生きるのも、冒険者として生きるのも、どちらも良いかもなと思っていたので聞いてみた。
「一応可能だが、その分、金はかかるぞ」
「お金は、たぶん足りると思います」
「いくら持ってるんだ?」
「金貨十枚、銀貨三十枚、銅貨百枚ですね」
俺が正直に言うと、マーク隊長は頷いて言う。
「まあ、それだけあれば大丈夫だな」
マーク隊長によると、通貨の名称は「ダル」のようだ。
ダル硬貨は、価値の低い順に、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、大金貨、白金貨、大白金貨となっており、それぞれの価値は次のようになっているとのこと。
鉄貨一枚 1ダル
銅貨一枚 100ダル
銀貨一枚 1000ダル
金貨一枚 1万ダル
大金貨一枚 10万ダル
白金貨一枚 100万ダル
大白金貨一枚 1000万ダル
なお、白金貨以上は国家間などの大商いでしか使われず、庶民が目にすることはないという。
俺は、詳しく教えてくれたマーク隊長に礼を言う。
「いろいろ教えていただき、ありがとうございした。あと、領主様に会うのは確定ですか?」
偉い人に会うのはやっぱり嫌なので、改めて確認してみた。
マーク隊長は俺のそんな気持ちを察し、残念そうに告げる。
「……確定だ。迷い人の扱いは、そうするように決まっているのでな」
「面倒事が起こる気しかしないのですが」
「諦めてくれ。それをしないと、国の危機になりかねん」
「……はぁ、仕方ないか」
マーク隊長に言われた通り、ここは諦めて従うことにするか。しかし国の危機とは、随分と大げさだな。
気を取り直すようにマーク隊長が言う。
「では、さっそくで申し訳ないが、登録しに行くことにしよう」
「わかりました」
俺とマーク隊長は詰め所から出た。
それからヴォルフを連れ、門をくぐって街に入る。
俺の前には、異世界で初めて目にする街並みが広がっていた。女神様も言っていたが、確かに昔の欧州の街並みのようだった。
7 従魔ギルド
マーク隊長がふと思いついたように聞いてくる。
「そういえば、名前を聞いてなかったな」
俺も名乗ってないのを思い出し、即座に返答する。
「ノート・ミストランドと言います」
「ノートか。じゃあこれからはそう呼ばせてもらう。ところで、名前に家名が付いているが、貴族なのか?」
「いえ。俺がいた所では、家名を持つのが普通でした」
「……そうか。まさか、そのまま登録するつもりか?」
含みを持たせて問うマーク隊長に、俺は尋ねる。
「まずいことでもありますか?」
マーク隊長はため息交じりに答える。
「まあ、まずいというか、トラブルに巻き込まれる可能性があるな。ノートが家名持ちだとバレれば、貴族が圧力をかけてくるかもしれん」
それは随分と面倒くさいな。
「ちょっと避けたいですね。登録の際に名前だけでもできますか?」
「可能だ。むしろ、そうしたほうがいい」
「じゃあ、名前だけにします。それでは行きましょうか」
「ああ、わかった。こちらだ」
案内されるまま、俺はマーク隊長の後ろをついて歩く。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ポーション必要ですか?作るので10時間待てますか?
chocopoppo
ファンタジー
【毎日12:10更新!】
松本(35)は会社でうたた寝をした瞬間に異世界転移してしまった。
特別な才能を持っているわけでも、与えられたわけでもない彼は当然戦うことなど出来ないが、彼には持ち前の『単調作業適性』と『社会人適性』のスキル(?)があった。
第二の『社会人』人生を送るため、超資格重視社会で手に職付けようと奮闘する、自称『どこにでもいる』社会人のお話。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日発売!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
