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第23話 姉と妹
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※
授業が終わるまでに、俺と竜胆はメールでいくつか情報の共有をした。
確認した内容を簡易的にまとめていく。
・竜胆は日曜日の夜から『脅し』を受けていた。
・相手の正体は不明だが、竜胆の『過去』について知る人物らしい。
・日曜日の夜から数件のメールが送られてきている。
・現時点では直接的な被害はないが、今日の20時に呼び出しがあったそうだ。
今の状況で警察は動いてはくれないだろう。
何より竜胆自身がそこまで大事《 おおごと》になることは望んでいないはずだ。
(……気になるのは、なぜメールがあったことを誰にも相談せず、自分自身で解決しようとしたのかだが……)
誰しも触れられたくはないことはある。
だから、彼女が伏せた点に関して尋ねようとは思わない。
大切なのは、竜胆を精神的に追いつめる第三者がいる――その事実なのだ。
(……あとはこの問題をどう解決するかだが、その為には間違いなく、竜胆自身の『勇気』が必要になる)
そんなことを考えながら、俺はスマホを取り出した。
そして、思考を巡らせ犯人をしぼる為の手を打っていく。
※
午後のホームルーム。
「最近、学生を狙った恐喝、暴行事件が頻繁に起こっているそうだ。
生徒間で薬物が流れているなんて話も出たほどでな……。
当校の生徒たちに被害は確認されていないが、何かあったら直ぐに家族や学校、警察に相談するように」
真間先生からなんともダイレクトな連絡があった。
このタイミングで嫌な話が出たものだが、そういった事件は珍しくはないはずだ。
実際、竜胆に絡んできた不良たちのように、質《 たち》の悪い人間はどこにでもいる。
報告されていないだけで、調べればそういった被害はいくらでも出てくるだろう。
「ちなみに、わたしに相談してくれてもいいぞ。
とはいえ出来ることはほぼないがな」
それ、自信を持っていうことだろうか?
「では諸君、気を付けて帰れよ」
放課後の訪れと共に――竜胆は席を立った。
「凛華、今日はもう帰るん?」
最初に反応したのは岬だ。
「ちょっと用事があって」
「そっか……。
彼氏に送ってもらわなくていいん?」
「彼氏じゃない……らしいから」
視線を軽く流して、竜胆は俺を一瞥《 いちべつ》した。
その口振りは、答えを俺に委ねるようなものだった。
「竜胆、またね。
帰ったら連絡する」
「うん。
カナン、また明日ね」
友人たちに手を振り、竜胆は教室を出て行った。
彼女が出て行った教室を俺は見回す。
怪しい動きをする生徒は少なくともクラス内にはいない。
(……さて、俺も行くか)
竜胆から少し遅れて俺は教室から出た。
※
俺は足早に真っ直ぐ自宅に帰宅する。
「ただいま」
「お兄ちゃん、おかえりなさいです」
バタバタと玄関まで走ってきて、妹が俺を出迎えてくれた。
でも、今日はいつもと少しだけ光景が違う。
それは、
「おかえり……皆友くん」
竜胆が妹の隣に立っていたのだ。
「……それと、お邪魔してます」
「ああ、いらっしゃい」
事の経緯はこうだ。
俺は竜胆に放課後になったら、家まで来てほしいと頼んでおいた。
二人が落ち着いて話せて、誰の目も届かない場所を考えた際に自然とこうなっていた。
自宅の場所は住所とマップを送る。
こんな面倒なことをしたのは、竜胆を狙う第三者が教室内にいるのかを確かめる為だった。
もし竜胆が教室を出て直ぐ、あとを追う生徒がいたなら限りなく黒に近い。
だが、そんな簡単に尻尾を出す奴はいなかった。
しかし、竜胆に連絡を送れているという時点で、犯人はかなり絞れている。
「も~お兄ちゃん、びっくりしたんですよ!
確かに昨日、彼女さんを紹介してくださいと言いましたが、まさか今日うちに呼ぶなんて!」
「悪い。
でも、天音がいてくれて助かった」
天音には竜胆が家に向かっていることをメールで伝えた。
そしてインターフォンに連絡があり次第、家に迎え入れてくれと。
「天音ちゃん、急にごめんね。
驚かせちゃったよね……」
「あ、いいんですいいんです!
凛華さんに会えて、天音はとっても嬉しいです!
まさかお兄ちゃんの彼女さんが、こんなに美人さんだったなんて……」
「び、美人なんて……」
褒められて照れてしまったのか、竜胆は視線を少し下げる。
普段、俺と話している時よりもなんだか遠慮がある……というか、緊張してるのか?
敬語で話してるもんな。
「あの……もしイヤじゃなかったら、凛華お姉ちゃんって、呼んでもいいですか?」
「お、お姉ちゃん!?」
「やっぱり、ダメでしょうか?」
竜胆は感激した様子で、その場でぶんぶんと首を横に振る。
「だ、ダメじゃない!」
「本当ですか?」
「お姉ちゃんって呼んでほしい。
いつか……本当のお義姉《 ねえ》さんになれたらって思ってるし……もっと、天音ちゃんと仲良くなりたいから」
「だとしたら嬉しいです。
天音も、もっと凛華お姉ちゃんと仲良くなりたいです」
二人の少女はお互いに笑みを交わす。
なんだか見ているだけで和んでしまいそうな光景だった。
「天音……仲良くなったところ悪いんだが、ちょっと竜胆と二人切りにさせてもらってもいいか?」
「もちろんです。
でも、今度ゆっくりと凛華お姉ちゃんとお話させてくださいね」
俺の返事を待たず、天音はリビングに走って行った。
「……いい子だね、天音ちゃんって」
「俺の妹とは思えないだろ?」
「そんなことない。
優しいとことか、そっくりじゃん」
天音は優しいかもしれないが、俺は……どうだろうか?
話しながら部屋まで歩いて扉を開く。
「入ってくれ」
「じゃ、じゃあ、失礼します」
竜胆に入るように促すと、緊張した様子で足を踏み入れた。
授業が終わるまでに、俺と竜胆はメールでいくつか情報の共有をした。
確認した内容を簡易的にまとめていく。
・竜胆は日曜日の夜から『脅し』を受けていた。
・相手の正体は不明だが、竜胆の『過去』について知る人物らしい。
・日曜日の夜から数件のメールが送られてきている。
・現時点では直接的な被害はないが、今日の20時に呼び出しがあったそうだ。
今の状況で警察は動いてはくれないだろう。
何より竜胆自身がそこまで大事《 おおごと》になることは望んでいないはずだ。
(……気になるのは、なぜメールがあったことを誰にも相談せず、自分自身で解決しようとしたのかだが……)
誰しも触れられたくはないことはある。
だから、彼女が伏せた点に関して尋ねようとは思わない。
大切なのは、竜胆を精神的に追いつめる第三者がいる――その事実なのだ。
(……あとはこの問題をどう解決するかだが、その為には間違いなく、竜胆自身の『勇気』が必要になる)
そんなことを考えながら、俺はスマホを取り出した。
そして、思考を巡らせ犯人をしぼる為の手を打っていく。
※
午後のホームルーム。
「最近、学生を狙った恐喝、暴行事件が頻繁に起こっているそうだ。
生徒間で薬物が流れているなんて話も出たほどでな……。
当校の生徒たちに被害は確認されていないが、何かあったら直ぐに家族や学校、警察に相談するように」
真間先生からなんともダイレクトな連絡があった。
このタイミングで嫌な話が出たものだが、そういった事件は珍しくはないはずだ。
実際、竜胆に絡んできた不良たちのように、質《 たち》の悪い人間はどこにでもいる。
報告されていないだけで、調べればそういった被害はいくらでも出てくるだろう。
「ちなみに、わたしに相談してくれてもいいぞ。
とはいえ出来ることはほぼないがな」
それ、自信を持っていうことだろうか?
「では諸君、気を付けて帰れよ」
放課後の訪れと共に――竜胆は席を立った。
「凛華、今日はもう帰るん?」
最初に反応したのは岬だ。
「ちょっと用事があって」
「そっか……。
彼氏に送ってもらわなくていいん?」
「彼氏じゃない……らしいから」
視線を軽く流して、竜胆は俺を一瞥《 いちべつ》した。
その口振りは、答えを俺に委ねるようなものだった。
「竜胆、またね。
帰ったら連絡する」
「うん。
カナン、また明日ね」
友人たちに手を振り、竜胆は教室を出て行った。
彼女が出て行った教室を俺は見回す。
怪しい動きをする生徒は少なくともクラス内にはいない。
(……さて、俺も行くか)
竜胆から少し遅れて俺は教室から出た。
※
俺は足早に真っ直ぐ自宅に帰宅する。
「ただいま」
「お兄ちゃん、おかえりなさいです」
バタバタと玄関まで走ってきて、妹が俺を出迎えてくれた。
でも、今日はいつもと少しだけ光景が違う。
それは、
「おかえり……皆友くん」
竜胆が妹の隣に立っていたのだ。
「……それと、お邪魔してます」
「ああ、いらっしゃい」
事の経緯はこうだ。
俺は竜胆に放課後になったら、家まで来てほしいと頼んでおいた。
二人が落ち着いて話せて、誰の目も届かない場所を考えた際に自然とこうなっていた。
自宅の場所は住所とマップを送る。
こんな面倒なことをしたのは、竜胆を狙う第三者が教室内にいるのかを確かめる為だった。
もし竜胆が教室を出て直ぐ、あとを追う生徒がいたなら限りなく黒に近い。
だが、そんな簡単に尻尾を出す奴はいなかった。
しかし、竜胆に連絡を送れているという時点で、犯人はかなり絞れている。
「も~お兄ちゃん、びっくりしたんですよ!
確かに昨日、彼女さんを紹介してくださいと言いましたが、まさか今日うちに呼ぶなんて!」
「悪い。
でも、天音がいてくれて助かった」
天音には竜胆が家に向かっていることをメールで伝えた。
そしてインターフォンに連絡があり次第、家に迎え入れてくれと。
「天音ちゃん、急にごめんね。
驚かせちゃったよね……」
「あ、いいんですいいんです!
凛華さんに会えて、天音はとっても嬉しいです!
まさかお兄ちゃんの彼女さんが、こんなに美人さんだったなんて……」
「び、美人なんて……」
褒められて照れてしまったのか、竜胆は視線を少し下げる。
普段、俺と話している時よりもなんだか遠慮がある……というか、緊張してるのか?
敬語で話してるもんな。
「あの……もしイヤじゃなかったら、凛華お姉ちゃんって、呼んでもいいですか?」
「お、お姉ちゃん!?」
「やっぱり、ダメでしょうか?」
竜胆は感激した様子で、その場でぶんぶんと首を横に振る。
「だ、ダメじゃない!」
「本当ですか?」
「お姉ちゃんって呼んでほしい。
いつか……本当のお義姉《 ねえ》さんになれたらって思ってるし……もっと、天音ちゃんと仲良くなりたいから」
「だとしたら嬉しいです。
天音も、もっと凛華お姉ちゃんと仲良くなりたいです」
二人の少女はお互いに笑みを交わす。
なんだか見ているだけで和んでしまいそうな光景だった。
「天音……仲良くなったところ悪いんだが、ちょっと竜胆と二人切りにさせてもらってもいいか?」
「もちろんです。
でも、今度ゆっくりと凛華お姉ちゃんとお話させてくださいね」
俺の返事を待たず、天音はリビングに走って行った。
「……いい子だね、天音ちゃんって」
「俺の妹とは思えないだろ?」
「そんなことない。
優しいとことか、そっくりじゃん」
天音は優しいかもしれないが、俺は……どうだろうか?
話しながら部屋まで歩いて扉を開く。
「入ってくれ」
「じゃ、じゃあ、失礼します」
竜胆に入るように促すと、緊張した様子で足を踏み入れた。
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