夏影

ゆうき

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前編

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 私はこの時期を私は待ち焦がれていた

 「お、来た来た…お~い!」

 私は見覚えのある車に手を振る
 
 「待たなくてもよかったのに…」
 「駄目よ…私が出迎えたいの!!」
 「そっか…」
 「お帰り~」
 「ただいま母さん…」

 彼の母親は彼を見た後に私の方を見る

 「あらあら来てたのかい?」
 「こんにちは!!」
 「中で来るまで待てばよかったのに…」
 「ううん、私が一番に出迎えたかったの…」
 「そうかい…」
 「うん…それで今回はどのくらいいるの?」
 「う~ん、二週間はここにいる予定だよ…」
 「じゃあドライブ連れてって!!」
 「いいよ~どこ行きたい?」
 「いつもの喫茶店!!」
 「わかった…早速帰って来て悪いんだけど」
 「行ってらっしゃい」
 
 私は車の助手席に乗る
 
 「久しぶりだなぁ~」
 「毎回車乗ってるでしょ…」
 「そうじゃなくてドライブデート!!」
 「あははっ…高校生になって更にませてきたなぁ~」
 「私もう高校生だよ!!そりゃ恋愛には興味ある歳頃だもん!!」
 「ほほぅ…さては好きな人でも出来たか?」
 「まぁ…」
 
 言えるわけない…子どもの頃から好きだったなんて…
 
 「お兄ちゃんは…好きな人で来た?」
 「う~ん、まだかなぁ~そもそも出会いが無いし…」
 「えぇ~!?大学生だから出会いはあるでしょ!?」
 
 オーバーリアクションをして内心ほっとする…

 「それが無いんだよ…全くと言っていいほど…というか、」

 私の頭に手を置き
 
 「ここに帰ってきている時点で悟れ…」
 「なんか、ごめんなさい…」
 「いいよいいよ…それで好きな人って?」
 「えっ!?…あっ…内緒!!」
 「ケチ~」
 「そっか~彼女出来てないんだ~」
 
 そう言ってニヤつく顔を隠そうと窓を見つめる
 
 「そんな可哀想なお兄ちゃんには私と夏まつりに行く権利をあげます…」
 「え、でも友達と行くって…」

 しまった…今年は帰れないかもしれないと言われた時そんな話をラインでしてた!!
 
 「あ~それがね…皆彼氏と行くらしくて」
 「お前も一人なんじゃねぇかよ…」
 「う、うるさい!…それで行くのいかないの!?」

 心臓がバクバクうるさい…
 内心では断られたらどうしようという心の焦りが心臓の鼓動を早めている
 心臓の音が聞こえそうなほどバクバクと私の中で大きい音を出していた
 聞こえませんように!!
 横目に彼を見つめる

 「まぁ、特に予定もないし…いいよ…行こうか」
 「そう…」

 うっしゃ~~~~~~~!

 内心では今現在進行中でお祭り花火が打ち上げられている

 「じゃあ、用意出来たら迎えに来てね!!」
 「わかった…着いたぞ~」
  
 私達は車から降り喫茶店に入る

 「いらっ…あら、今日はどうしたの?」
 「今日は普通に来ただけ…」
 「あぁ、そういうこと…こちらへどうぞ…」
 
 席に着くとメニューが渡される
 
 「お久しぶりです…」
 「お久しぶりね~今回も長いの?」
 「えぇ…二週間ほど…」
 「よかったわね~あ、私そろそろ行かなきゃ…注文が出来たら読んでね~」
 
 注文を受けおくの方に下がっていく 

 「何にするかな~」
 
 メニューを見てお互いの注文を決め注文をする

 「コーヒー二つ…後は何かいるか」
 「特製パフェ!」
 「じゃあそれで…」
  
 店員が注文を受け離れていく

 「よくあんなの食えるな…」
 「えぇ~美味しいよ~」
 「うん、上手いのはわかるけどあの量一人で食うのか?」
 「もちろん…あ、少し食べる?」
 「あ、うん少しだけもらおうかな…」
 「いいよ~」
 
 パフェが目の前に現れる…

 「みてるだけで胸やけしそう…」
 
 私はお兄ちゃんと私のを取り分け食べる

 「美味し~!」

 アイスクリームに添えられた旬の巨峰とももがおいしい

 「それはよかった…」
 
 お兄ちゃんは取り分けたパフェを食べ終え

 「学校はどうだ?楽しい?」
 「…うん!とっても楽しいよ!」
 
 学校の事を一通り話し…

 「お兄ちゃんの大学のことも聞かせてよ」
 「うん?そんなに面白くないぞ?」
 
 私は知りたい、私の知らないお兄ちゃん…中学、高校とちょうど入れ替わりで学校のお兄ちゃんを知らない
 話だけでも知りたいのだ

 「教えて!」
 「う~ん、じゃあ大学入学式…」
 
 そうして長く話をして気が付けば日が沈みかけていた

 「そろそろ帰るか…」
 「えぇ~…もっと話したい!!」
 「まだ僕が帰るまで当分あるだろう…また聞いてやるから…」
 「ぶーぶー!」
 「ほら行くぞ…奢ってやるから」
 「ホント!?やった~!」
 
 そう言ってお兄ちゃんに駆け寄りお互い帰路に着くのだった
 
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