ドラゴンライダーと禁忌の魔法

いっき

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魔法の特性

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「マキちゃん、すごい! すごかったよ~。マキちゃんのドラゴンライド、やっぱ、いつ見ても私の憧れだよ~」

ドラゴンレースの後。龍舎にシルバーを連れて来たマキに、サラは目を輝かせてはしゃいでいた。

「で、収穫は?」

「えっ?」

「だから。何か、怪しい動きをしている奴はいなかった?」

「あっ……」

フリーズするサラを見て、マキは呆れ顔で溜息を吐いた。

「やっぱりこいつ、忘れてたか……」

「いやいや、そんなこと……。そ、そうだ。クラスの中にいる時には分からなかったけど、物陰でこっそり聞いてると……マキちゃんって割と、嫌われてるんだね。クルちゃんやミリちゃんなんて、ドラゴンレースの間中ずっと、『落ちればいいのに』なんて言ってたし。あの子達なら、細工をしてもおかしくないかも」

「私が嫌われるってことなんて、今更あんたに教えられなくても百も承知だっちゅうの」

マキはまた溜息をついた。
そんなマキに、サラは慌ててもう一言つけ加えた。

「そ、そうだ。そういえば……ドラゴンレースの後くらいに、スミル先生が魔法実験室から青い水みたいなのを持ち運んでいたわ」

「スミル先生が、青い水?」

「うん。次の授業ででも、使うのかなぁ……」

「ふーん……」

マキは腕を組んで少し考えて……そして思い出したようにサラに言った。

「そう言えば、話は変わるけど。あんた、今日は学校を欠席したことになってたわよ」

「え、でも。私は普通に登校していたはずだよ」

「でも、それじゃあ、サラはここにいるあんたと二人……ってことになっちゃわない?」

「あ、そうか。あれ、でも私は時間を巻き戻して、だから、私は今日は登校しているはずで……」

マキは混乱するサラを見て、クスっと笑った。

「だから。それはきっと、この魔法の特性なのよ」

「特性?」

「そう。この世に同じ人間が二人以上ってことにならないように。きっと、術者だけは時間を巻き戻すことはない、ってことなんじゃないかな」

「あ、そういうことか」

サラは取り敢えず、合点がいったようだ。

「まぁ、兎に角。私はもう、終業のホームルームの時間だから、あんたは物陰からシルバーを見張ってなさい。何かがあるとしたら、これからなんだからね」

「うん……何だか、怖いなぁ……」

心配そうな顔をするサラを、マキはしっかりと見つめた。

「いいこと? 何があっても絶対に、物陰から出てこないこと。何となくの勘なんだけど、これってちょっと厄介なことのような気がするから」

「厄介なこと?」

「そう。シルバーの暴走で死んでしまう私に、禁断の魔術……私にはどうも、ヤバいことが絡んでる気がするのよね」

「う……うん」

さらに不安そうな顔をするサラを見て、マキはニッと笑った。

「まぁ、あんたなら大丈夫。何と言っても、時間を巻き戻すことのできる、れっきとした魔女なんだし」

「え、でも私、こんな姿に……」

頼りなさげな顔をする老婆のサラを見て、マキはまたクスッと笑った。

「だから! 無理はすんなってこと。あんたは落ちこぼれなんかじゃない。私はあんたのこと、一番に信頼してるんだから」

「マキちゃん……」

サラはマキの言葉に、ジワッと瞳を潤ませた。

「分かった、ありがとう! 私、マキちゃんが戻ってくるまでの間、シルバーの見張り頑張る!」

「うん、任せたよ!」

マキは頼もしげにサラを見つめて、クルミ組の教室へ戻ったのだった。
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