ドラゴンライダーと禁忌の魔法

いっき

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マキの家に着いて、二人は部屋でひっそりと話し合いをした。彼女の家では母親は昼間は働きに出ている。だから、老婆になったサラを連れて来ても訝しむ人はいないのだ。

「さて、これからのことだけど……私はあんたに、『時間を巻き戻す魔法』の方法を送った奴を探すことが先決だと思うのよね」

「送った奴?」

「そう」

マキは頷いた。

「そいつならきっと、あんたを元に戻す方法が分かる。だけれど……一つ、問題があるの。それは、私が助かった今となっては、そいつはきっと、『送らない』」

「送らない?」

「そう。だって、私が死んだことでそいつにとって不都合が生じたから送ったわけだけれど。私が生きているのなら、別に送る必要はないんじゃない?」

「あ、そうか……それもそうよね。マキちゃん、やっぱ、頭いい!」

「はい、はい。それは分かってる」

一々自分を褒めるサラをマキは照れ隠しにあしらう。これも、見慣れた光景だった。

「あれ、でも、それじゃあ……どうやって、送った人を探すの?」

「そこなのよ、問題は。今の段階じゃあ、状況から考えるしかないわ。でもね、大体の目星はついているの」

「えっ……嘘! 誰なの?」

驚くサラを見て、マキは悪戯っぽく目を細めた。

「誰なのか言う前に、あんたも少しは考えな。私が死んで損をする人物よ」

「そんな……損得じゃなくって、私は本当に悲しかったんだからね!」

瞳を涙で滲ませるサラに、マキは苦笑いした。

「はい、はい。あんたが私のことを大切に思ってくれてるのは、とっても良く分かってる。私が言いたいのはそうじゃなくて、スミルとエバンの計画が上手くいったら損をする人物よ」

「計画が上手くいったら?」

「そう」

マキはにやりと笑った。

「スミルとエバンは黒魔法師のドルーアをドラゴンライド・オリンピックで優勝させるために今回のことを計画したと言っていた。それでもし優勝してしまったら……ヤルク国王の禁じる黒魔法が一目置かれるようになり、黒魔法師達によるクーデターが起こる可能性が高くなるの。それにね、これはあまり知られていないことなんだけど。ヤルク国王って、時間を操る魔法の名手らしいわ」

「え、それって、まさか……」

驚愕のあまりサラの目が大きく見開かれると、マキは不敵な笑みを見せた。

「そう。サラの元へ『時間を巻き戻す魔法』の方法を送った人物……それはきっと、ヤルク国王よ。百パーセントじゃなくても、十中八九」

「うそ、私なんかのもとに、国王から直々に!? そんなこと、あるわけ……」

「ないとも言い切れないわよ。だって、今日の各学校のドラゴンレース。それって、密かに水晶玉に撮られて国王の目に入るようになってるみたいだから」

「えー、知らなかった!」

「だから。国王はお城の中にただいるだけでなく、国民の一人一人を見ているかも知れないってこと。この小さな国だからできることなのかも知れないけどね」

「そ、そうなんだ。でも、ヤルク国王とコンタクトを取る方法なんて、あるの?」

「そこなのよ。でもね、ヤルク国王は水晶玉でドラゴンレースを見ている、私が死んだらあんたに『時間を巻き戻す魔法』の方法を送れる……ってことは、案外、今でもヤルク国王は私達のことを知っていて。王城に行ったらすんなりと通してくれるものなのかも」

「えっ、王城に!?」

「ええ。一か八か……行ってみない?」

サラは、ウィンクをするマキを呆然と見つめた。
おっちょこちょいなサラに比べると、マキはしっかりとしていて、優秀で……だけれども、時にひどく向こう見ずな冒険をする。だけれども、サラはそんなマキが大好きなのだ。

だから、サラもマキの真似をしてウィンクした。

「うん! ありがとう、私のためにそんな冒険を……」

「そりゃあ、命の恩人のためだもの。どんな冒険だってするわよ」

お礼を言うサラに、マキは照れながらにっこりと笑った。
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