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紅&克也編~1~
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期末テストも終わってテスト返しが始まった。外ではかなり強い紫外線が降り注ぎ、いくつものセミの鳴き声が合唱となって鼓膜をビンビンと震わせてくる。
「それにしても。あいつ、佐原。エラい変わったわよね。男も化けるものなんだなぁ。人気も急上昇だし……ギャップ萌えってやつ?」
「え、えぇ……」
紅は思わず口ごもる。
結奈との会話の中でも、克也は普通に出てくるようになっていた。以前は決して出ることはなかった……というか、クラスにいることさえ忘れ去られていた。
なのに、イメチェンした今では普通に話題に出てくる。
いや、それどころか、彼は本当にこの期末試験、すごくよくやった。やっぱり、偉大な目標ができた成果なのだろうか。テスト返しの際に、各教科の先生が軒並み「このクラスで満点はただ一人……佐原だ」なんて発表するものだから、一躍、人気者になっていた。あんなに克也を馬鹿にしていた河田や長谷も、今や彼に手を出せないでいる。
紅はその状況が嬉しい反面、どこか複雑だった。その感情は彼がイメチェンして登校した最初の日から多少、抱えていたけれど、日に日に大きくなっていった。
克也のイメチェンは大成功……彼は気付いていなかったみたいだけれど、初日から女子が色めき立っていた。それは紅にとっても喜ばしいことだったが、同時に寂しさも感じていた。それまでは自分しか知らなかった、克也のカッコ良さ……それが、みんなのものになってしまうような気がした。
さらに、紅がそんな複雑な感情を抱えているのを知ってか知らずか、克也は日に日に友達も増やし、クラスにどんどん馴染んでいっていたのだった。
そんな切なさを抱える紅に、結奈は口を開いてさらに追い討ちをかけることを言い始めた。
「そういや……沙也加(さやか)も佐原のことを好きになったみたい。夏休みまでに告白するって言ってるみたいよ」
「えっ、うそ! 沙也加が?」
紅は耳を疑った。だって、その倉科 沙也加は大人しめで紅とはグループは違うけれど、黒髪の清楚なお嬢さんで、男子からの人気は非常に高い。それに自分はメイクとかに気を使って多少、誤魔化している部分があるけれど、素顔であれば負けているかも知れない……と思うくらい、ルックスも美しい女子なのだ。
そんな女子に告白されて振る男子なんて、まずいるはずがない。
「そうなのよ。私もマジで!?って思ったんだけど、本当みたい。沙也加みたいな優等生タイプは、佐原みたいな、ちょい頼りないけれど誠実そうで勉強のできる奴がツボみたいよ」
その話を聞いて……紅の胸の中ではドックン、ドックンと心臓が激しく踊った。
結奈は人を見かけで判断する節はあるけれど、根はいい奴で親友には絶対に嘘はつかない。だから、沙也加が克也のことを好きだってのも、夏休みまでに告白する気だってのも、きっと本当なんだろう。
じゃあ……告白されたら、克也はどう返事をするんだろう?
紅から見ても沙也加は素敵な女子で、克也が拒む理由はない。それに、克也のようなタイプの男子にとっては、きっと沙也加のような女子が好みのはずだ。
付き合ったら、きっと克也は幸せになれるだろうし、とってもお似合いの二人だとも思う。
だけど……紅の胸の中では堪らなく切ない想いが、靄のように込み上げて。以降の結奈との会話も、全く頭に入らずにただ、ぼんやりと立ち尽くしていたのだった。
「それにしても。あいつ、佐原。エラい変わったわよね。男も化けるものなんだなぁ。人気も急上昇だし……ギャップ萌えってやつ?」
「え、えぇ……」
紅は思わず口ごもる。
結奈との会話の中でも、克也は普通に出てくるようになっていた。以前は決して出ることはなかった……というか、クラスにいることさえ忘れ去られていた。
なのに、イメチェンした今では普通に話題に出てくる。
いや、それどころか、彼は本当にこの期末試験、すごくよくやった。やっぱり、偉大な目標ができた成果なのだろうか。テスト返しの際に、各教科の先生が軒並み「このクラスで満点はただ一人……佐原だ」なんて発表するものだから、一躍、人気者になっていた。あんなに克也を馬鹿にしていた河田や長谷も、今や彼に手を出せないでいる。
紅はその状況が嬉しい反面、どこか複雑だった。その感情は彼がイメチェンして登校した最初の日から多少、抱えていたけれど、日に日に大きくなっていった。
克也のイメチェンは大成功……彼は気付いていなかったみたいだけれど、初日から女子が色めき立っていた。それは紅にとっても喜ばしいことだったが、同時に寂しさも感じていた。それまでは自分しか知らなかった、克也のカッコ良さ……それが、みんなのものになってしまうような気がした。
さらに、紅がそんな複雑な感情を抱えているのを知ってか知らずか、克也は日に日に友達も増やし、クラスにどんどん馴染んでいっていたのだった。
そんな切なさを抱える紅に、結奈は口を開いてさらに追い討ちをかけることを言い始めた。
「そういや……沙也加(さやか)も佐原のことを好きになったみたい。夏休みまでに告白するって言ってるみたいよ」
「えっ、うそ! 沙也加が?」
紅は耳を疑った。だって、その倉科 沙也加は大人しめで紅とはグループは違うけれど、黒髪の清楚なお嬢さんで、男子からの人気は非常に高い。それに自分はメイクとかに気を使って多少、誤魔化している部分があるけれど、素顔であれば負けているかも知れない……と思うくらい、ルックスも美しい女子なのだ。
そんな女子に告白されて振る男子なんて、まずいるはずがない。
「そうなのよ。私もマジで!?って思ったんだけど、本当みたい。沙也加みたいな優等生タイプは、佐原みたいな、ちょい頼りないけれど誠実そうで勉強のできる奴がツボみたいよ」
その話を聞いて……紅の胸の中ではドックン、ドックンと心臓が激しく踊った。
結奈は人を見かけで判断する節はあるけれど、根はいい奴で親友には絶対に嘘はつかない。だから、沙也加が克也のことを好きだってのも、夏休みまでに告白する気だってのも、きっと本当なんだろう。
じゃあ……告白されたら、克也はどう返事をするんだろう?
紅から見ても沙也加は素敵な女子で、克也が拒む理由はない。それに、克也のようなタイプの男子にとっては、きっと沙也加のような女子が好みのはずだ。
付き合ったら、きっと克也は幸せになれるだろうし、とってもお似合いの二人だとも思う。
だけど……紅の胸の中では堪らなく切ない想いが、靄のように込み上げて。以降の結奈との会話も、全く頭に入らずにただ、ぼんやりと立ち尽くしていたのだった。
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