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結奈&晴人編
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「どうして……あんなこと、してしまったんだろう」
結奈が帰ってから、晴人は自分のしてしまったことの大胆さを自覚するにつれて、顔をみるみる火照らせて……だがしかし、内心ではすっかり青ざめていた。
自分がまさかあんな……キスを迫るようなこと。しかも、彼女は傷心だし、自分のことなんて何とも思っていないだろうし、拒否されるに決まっている。
(……って言うか嫌われたな。間違いなく)
そんなことを考える彼は、どうすることもできず……ただただ、真っ白になった頭を抱えていた。
窓の外もすっかりと真っ暗になり、満月の朧げな白い光が射し込んできた頃。ようやく少し落ち着いてきた晴人は、彼女の涙で濡れた顔が無理につくった微笑みをぼんやりと思い出していた。
それは、とてもつらく、哀しげな笑みで……余程、大輝のことが好きだったんだと分かった。そして、そんな彼女の抱える一途な想いは、普段、教室で見せる姿からは想像のできない一面で。気がついたら、自分は彼女と唇を重ねようとしていたのだ。
(やっぱり……僕、あいつのことが好きだ。どうしようもないくらい……)
そのことを自覚した途端、彼の顔はみるみる火照り出して。初めてのその感情が抑えきれず、目から涙が吹き出した。
(どうしたらいいんだよ。本当に……)
結奈の態度を思い出すにつけて、自分なんかに気のないことは明白だと思った。だけれども……彼は、自分の中に燻るその気持ちの遣り場を、見つけることができなかったのだった。
*
「やっぱり、今日も来ない。そりゃ、そうだけど……」
その日も彼は呟いて、大きな溜息をついた。
データを印刷屋にアップロードした日から早三日。その間、結奈からのLINEはないし、もちろん、家に来ることもなかった。
もう本の発注も済んだし、結奈にとっては特にここに来なければいけない用事もないし、それはそれで仕方のないことではあるけれど。晴人の中では、あの日の記憶が後悔とともに悶々とわだかまっていたのだった。
『ピンポーン!』
インターホンが鳴って、彼ははっと顔を上に上げた。
(もしかして……)
ドキドキと胸が高鳴る……そんな、淡い期待とともに、玄関ドアを開けた。
しかし……
「宅配便でーす」
目の前にいる、その運送会社の制服姿に脱力した。
「サイン、お願いします」
「はい」
渡された受領書にやる気なく署名する。
しかし、受領の署名と引き換えに段ボール箱を受け取って、その中身を確認した途端……晴人は先程の脱力が嘘のように、瞳をキラキラと輝かせた。
「すごい……完成版だ!」
それは、印刷屋に発注していた本。本来なら一週間程度かかるところだったのだけれど、結奈と一緒に作り上げたその本を一刻も早く見たいし、彼女にも見せたい……その一心で、相当に割高にはなるものの、一番早く仕上がるコースにしていたのだ。
それらは五作品とも、表紙に描かれた登場人物達が生き生きと輝いていて、誰が見ても思わず手に取りたくなる……そんな魅力に溢れる本だった。
(見せたい……!)
そう。晴人は一刻も早く、結奈に完成したその本を見せたかった。ポケットから即座にスマホを取り出した。
(でも……)
彼女から反応がなかったら、どうしよう……そんな想いが、彼を一瞬、躊躇させる。
LINEを送信しても、もし既読すらつかなかったら……。あの日、自分のしてしまったことを考えるとブロックされていることもあり得るし、より絶望することになるかも知れない。
だけれども、彼は高揚するその気持ちを抑えることができなくて……どうしてもその喜びを、他の誰でもない彼女に伝えたくて。その五作品の本の写メを撮って、祈る想いで結奈のLINEに送ったのだった。
結奈が帰ってから、晴人は自分のしてしまったことの大胆さを自覚するにつれて、顔をみるみる火照らせて……だがしかし、内心ではすっかり青ざめていた。
自分がまさかあんな……キスを迫るようなこと。しかも、彼女は傷心だし、自分のことなんて何とも思っていないだろうし、拒否されるに決まっている。
(……って言うか嫌われたな。間違いなく)
そんなことを考える彼は、どうすることもできず……ただただ、真っ白になった頭を抱えていた。
窓の外もすっかりと真っ暗になり、満月の朧げな白い光が射し込んできた頃。ようやく少し落ち着いてきた晴人は、彼女の涙で濡れた顔が無理につくった微笑みをぼんやりと思い出していた。
それは、とてもつらく、哀しげな笑みで……余程、大輝のことが好きだったんだと分かった。そして、そんな彼女の抱える一途な想いは、普段、教室で見せる姿からは想像のできない一面で。気がついたら、自分は彼女と唇を重ねようとしていたのだ。
(やっぱり……僕、あいつのことが好きだ。どうしようもないくらい……)
そのことを自覚した途端、彼の顔はみるみる火照り出して。初めてのその感情が抑えきれず、目から涙が吹き出した。
(どうしたらいいんだよ。本当に……)
結奈の態度を思い出すにつけて、自分なんかに気のないことは明白だと思った。だけれども……彼は、自分の中に燻るその気持ちの遣り場を、見つけることができなかったのだった。
*
「やっぱり、今日も来ない。そりゃ、そうだけど……」
その日も彼は呟いて、大きな溜息をついた。
データを印刷屋にアップロードした日から早三日。その間、結奈からのLINEはないし、もちろん、家に来ることもなかった。
もう本の発注も済んだし、結奈にとっては特にここに来なければいけない用事もないし、それはそれで仕方のないことではあるけれど。晴人の中では、あの日の記憶が後悔とともに悶々とわだかまっていたのだった。
『ピンポーン!』
インターホンが鳴って、彼ははっと顔を上に上げた。
(もしかして……)
ドキドキと胸が高鳴る……そんな、淡い期待とともに、玄関ドアを開けた。
しかし……
「宅配便でーす」
目の前にいる、その運送会社の制服姿に脱力した。
「サイン、お願いします」
「はい」
渡された受領書にやる気なく署名する。
しかし、受領の署名と引き換えに段ボール箱を受け取って、その中身を確認した途端……晴人は先程の脱力が嘘のように、瞳をキラキラと輝かせた。
「すごい……完成版だ!」
それは、印刷屋に発注していた本。本来なら一週間程度かかるところだったのだけれど、結奈と一緒に作り上げたその本を一刻も早く見たいし、彼女にも見せたい……その一心で、相当に割高にはなるものの、一番早く仕上がるコースにしていたのだ。
それらは五作品とも、表紙に描かれた登場人物達が生き生きと輝いていて、誰が見ても思わず手に取りたくなる……そんな魅力に溢れる本だった。
(見せたい……!)
そう。晴人は一刻も早く、結奈に完成したその本を見せたかった。ポケットから即座にスマホを取り出した。
(でも……)
彼女から反応がなかったら、どうしよう……そんな想いが、彼を一瞬、躊躇させる。
LINEを送信しても、もし既読すらつかなかったら……。あの日、自分のしてしまったことを考えるとブロックされていることもあり得るし、より絶望することになるかも知れない。
だけれども、彼は高揚するその気持ちを抑えることができなくて……どうしてもその喜びを、他の誰でもない彼女に伝えたくて。その五作品の本の写メを撮って、祈る想いで結奈のLINEに送ったのだった。
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