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「うっわぁ。祐飛(ゆうひ)のロッカー、すごいゴミ」
千佳(ちか)が俺のロッカーを見て、眉を顰めた。
「ゴミじゃねぇよ。まだ使える物を一回使ったからといって、捨ててしまったら勿体無いだろ。いつかは使うよ」
「そんなこと言って、絶対に使わないでしょ! 私が、掃除したげる」
お節介女が、俺のロッカーに入っているものを全部出した。
一回はめたけれど、結局殆ど使わなかったゴム手袋。
一回つけただけの使い捨てマスク。
裏紙として使うつもりだった大量のプリント……。
今までロッカーを隠れ蓑にしていた資源達が、続々と容赦なく外に放り出される。
「ちょ……ちょっと。全部、いつかは使うものだって」
「そんなこと言って、溜めこむだけでしょ……うっわ、何これ。今まで、どうやってこのロッカーに入ってたの!?」
千佳に出された大量の使い置き資源達は、ロッカーの容積の幾倍もの量になっていた。
「まぁ、俺の収納術の賜物だな」
「いや、ドヤるとこじゃないし。ダラしないだけでしょ」
千佳は溜息を吐いた。
「これ、まるでドラちゃんの四次元ポケットみたい。『四次元ロッカー』ね。今日から、あんたのアダ名は『四次元ロッカー』よ」
「おお、いい名前だ。ロッカー(ロック歌手)を目指す俺にぴったり!」
「馬鹿なこと言ってないで、これ全部ゴミ袋に詰めて! 明日、ゴミの日だから」
「いや、ちょい待ち! これ、まだ全部使えるって……」
結局、ロッカーに所狭しと詰め込まれていた資源達は、全て捨てられることになった。
千佳は、俺の幼馴染。
小学生の頃からずっと一緒にいて、同じ大学の工学部に入学、電子工学の研究室に入った。
お節介なのは昔から相変わらずで、研究室の俺の机を勝手に掃除したりする。
そのお節介は、研究室にいる時だけではない。
俺は軽音サークルに所属し、ロックのボーカルをやっている。
千佳は音楽に関しては疎いのだが、ライブをする時には友達に声掛けをして呼んでくれたり、飲み物を差し入れてくれるのだ。
お節介な彼女は、いつも側にいて当たり前……俺にとっては、そんな存在だった。
千佳(ちか)が俺のロッカーを見て、眉を顰めた。
「ゴミじゃねぇよ。まだ使える物を一回使ったからといって、捨ててしまったら勿体無いだろ。いつかは使うよ」
「そんなこと言って、絶対に使わないでしょ! 私が、掃除したげる」
お節介女が、俺のロッカーに入っているものを全部出した。
一回はめたけれど、結局殆ど使わなかったゴム手袋。
一回つけただけの使い捨てマスク。
裏紙として使うつもりだった大量のプリント……。
今までロッカーを隠れ蓑にしていた資源達が、続々と容赦なく外に放り出される。
「ちょ……ちょっと。全部、いつかは使うものだって」
「そんなこと言って、溜めこむだけでしょ……うっわ、何これ。今まで、どうやってこのロッカーに入ってたの!?」
千佳に出された大量の使い置き資源達は、ロッカーの容積の幾倍もの量になっていた。
「まぁ、俺の収納術の賜物だな」
「いや、ドヤるとこじゃないし。ダラしないだけでしょ」
千佳は溜息を吐いた。
「これ、まるでドラちゃんの四次元ポケットみたい。『四次元ロッカー』ね。今日から、あんたのアダ名は『四次元ロッカー』よ」
「おお、いい名前だ。ロッカー(ロック歌手)を目指す俺にぴったり!」
「馬鹿なこと言ってないで、これ全部ゴミ袋に詰めて! 明日、ゴミの日だから」
「いや、ちょい待ち! これ、まだ全部使えるって……」
結局、ロッカーに所狭しと詰め込まれていた資源達は、全て捨てられることになった。
千佳は、俺の幼馴染。
小学生の頃からずっと一緒にいて、同じ大学の工学部に入学、電子工学の研究室に入った。
お節介なのは昔から相変わらずで、研究室の俺の机を勝手に掃除したりする。
そのお節介は、研究室にいる時だけではない。
俺は軽音サークルに所属し、ロックのボーカルをやっている。
千佳は音楽に関しては疎いのだが、ライブをする時には友達に声掛けをして呼んでくれたり、飲み物を差し入れてくれるのだ。
お節介な彼女は、いつも側にいて当たり前……俺にとっては、そんな存在だった。
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