1 / 2
ぼくらのおみなめし畑
しおりを挟む
ぼくらの生まれ育ったのは、おみなめし畑。今日もお日さまの光を受けて、黄色くきれいにかがやいている。
それはどんなお花よりも美しくて、だからこそ大切な生まれ故郷で……ずっと変わらずにいてほしい。ぼくらはそう、願っているんだ。
風にそよそよとゆれるそのお花からお花へ、ぼくらは追いかけっこする。お空は青くすんでいて、ぼくらはワクワクとはしゃいでいた。
「あ、小さなチョウチョ。かわいい!」
そんなぼくらを見て、人間の女の子がキラキラと笑っている。ゆっくりとさしだされたその手の指に、ぼくはそっと止まった。
「わー、お母さん。チョウチョ、私の指に止まってくれたよ」
女の子の笑顔はさらにキラキラとかがやいて、まるでおみなめしのお花みたいだった。
「そうね、さゆり。そのチョウチョはウスイロヒョウモンモドキ。すごく人なつこいチョウチョなの。私も小さい頃、よくいっしょにあそんでいたわ」
さゆりちゃんと言うのだろうか……その女の子のお母さんもにっこりと笑った。
このお母さんも、子供の頃にチョウチョとあそんでいたんだ。それはきっと、ぼくらの先祖の先祖のご先祖さまと。そんな昔から、このおみなめし畑はあってウスイロヒョウモンモドキたちは育まれてきたんだ。ぼくはうれしくって、さゆりちゃんの指から飛び去って。兄弟たちにそのことを話しに行った。
少し冷たい風にゆれるおみなめしは、どこかはかなくてさみしそう。どうしてか分からないけど、ぼくらのおみなめし畑が消えてしまいそうで、不安になった。
ぼくらはそんな不安をまぎらわそうと、お花からお花へと追いかけっこをしていた。だけれども、お空はどんよりとくもっていて、ぼくらの心も何だか晴れなかった。
『大変だ!大きな鹿がやって来た!』
兄弟の一人が大あわてで飛んできて、ぼくらは真っ青になった。すぐにみんな、おみなめしのかげにかくれたんだ。
むしゃむしゃ、むしゃむしゃ。
大きな鹿がおみなめしを……ぼくらの生まれ故郷を食べてしまう。でも、小さなぼくらには何もできなくて、ぼくは悲しくて泣いていた。いや、ぼくだけじゃない。兄弟たちみんな、しくしく、しくしくと泣いていたんだ。
それからどのくらいたっただろう。お腹いっぱいになったのか、鹿はどこかに行ってしまった。すっかり小さくなってしまった故郷を見て、ぼくらはふさぎこんでいた。
「あれ?お花畑が……」
今日もさゆりちゃんが来てくれたけれど、おみなめし畑を見て……ぼくらと同じように、悲しげな顔になった。
「ねぇ、お母さん。お花畑がぐちゃぐちゃになってる……」
すると、お母さんも悲しそうな顔になった。
「そうね。私が子供の頃もこんなことがあって悲しかった。ねぇ、さゆり。オミナエシは……ウスイロヒョウモンモドキの故郷はね、ずっと、鹿とか雑草から私たちが守ってきた。だから、これからも守っていこうね」
お母さんの言葉に、さゆりちゃんはこくりとうなずいた。
「うん。チョウチョのお花畑、守る!」
さゆりちゃんとお母さんは顔を見合わせてそっと笑った。
その日からすぐに、ぼくらのおみなめし畑のまわりには大きな柵がつけられるようになった。鹿はやって来てもおみなめしに近づくことができなくなって、トボトボと引き返して行くしかなかった。
さゆりちゃんは、それから毎日、ぼくらのおみなめし畑の雑草をぬいてくれている。
今日も晴れわたる空の下でキラキラとした汗を流すさゆりちゃんの目の前をぼくらが横切ると、まるでおみなめしのようにかがやくきれいな笑顔を向けてくれた。
「わぁい、チョウチョ。今日も元気でかわいい!」
ぼくらの故郷のおみなめし畑は少し小さくなったけれど。さゆりちゃんたちに守られて、ぼくらはとっても幸せなんだ。
ぼくらの生まれ育ったのは、おみなめし畑。今日もお日さまの光を受けて、黄色くきれいにかがやいている。
それはどんなお花よりも美しくて、だからこそ大切な生まれ故郷で……ずっと変わらずにいてほしい。ぼくらはそう、願っているんだ。
それはどんなお花よりも美しくて、だからこそ大切な生まれ故郷で……ずっと変わらずにいてほしい。ぼくらはそう、願っているんだ。
風にそよそよとゆれるそのお花からお花へ、ぼくらは追いかけっこする。お空は青くすんでいて、ぼくらはワクワクとはしゃいでいた。
「あ、小さなチョウチョ。かわいい!」
そんなぼくらを見て、人間の女の子がキラキラと笑っている。ゆっくりとさしだされたその手の指に、ぼくはそっと止まった。
「わー、お母さん。チョウチョ、私の指に止まってくれたよ」
女の子の笑顔はさらにキラキラとかがやいて、まるでおみなめしのお花みたいだった。
「そうね、さゆり。そのチョウチョはウスイロヒョウモンモドキ。すごく人なつこいチョウチョなの。私も小さい頃、よくいっしょにあそんでいたわ」
さゆりちゃんと言うのだろうか……その女の子のお母さんもにっこりと笑った。
このお母さんも、子供の頃にチョウチョとあそんでいたんだ。それはきっと、ぼくらの先祖の先祖のご先祖さまと。そんな昔から、このおみなめし畑はあってウスイロヒョウモンモドキたちは育まれてきたんだ。ぼくはうれしくって、さゆりちゃんの指から飛び去って。兄弟たちにそのことを話しに行った。
少し冷たい風にゆれるおみなめしは、どこかはかなくてさみしそう。どうしてか分からないけど、ぼくらのおみなめし畑が消えてしまいそうで、不安になった。
ぼくらはそんな不安をまぎらわそうと、お花からお花へと追いかけっこをしていた。だけれども、お空はどんよりとくもっていて、ぼくらの心も何だか晴れなかった。
『大変だ!大きな鹿がやって来た!』
兄弟の一人が大あわてで飛んできて、ぼくらは真っ青になった。すぐにみんな、おみなめしのかげにかくれたんだ。
むしゃむしゃ、むしゃむしゃ。
大きな鹿がおみなめしを……ぼくらの生まれ故郷を食べてしまう。でも、小さなぼくらには何もできなくて、ぼくは悲しくて泣いていた。いや、ぼくだけじゃない。兄弟たちみんな、しくしく、しくしくと泣いていたんだ。
それからどのくらいたっただろう。お腹いっぱいになったのか、鹿はどこかに行ってしまった。すっかり小さくなってしまった故郷を見て、ぼくらはふさぎこんでいた。
「あれ?お花畑が……」
今日もさゆりちゃんが来てくれたけれど、おみなめし畑を見て……ぼくらと同じように、悲しげな顔になった。
「ねぇ、お母さん。お花畑がぐちゃぐちゃになってる……」
すると、お母さんも悲しそうな顔になった。
「そうね。私が子供の頃もこんなことがあって悲しかった。ねぇ、さゆり。オミナエシは……ウスイロヒョウモンモドキの故郷はね、ずっと、鹿とか雑草から私たちが守ってきた。だから、これからも守っていこうね」
お母さんの言葉に、さゆりちゃんはこくりとうなずいた。
「うん。チョウチョのお花畑、守る!」
さゆりちゃんとお母さんは顔を見合わせてそっと笑った。
その日からすぐに、ぼくらのおみなめし畑のまわりには大きな柵がつけられるようになった。鹿はやって来てもおみなめしに近づくことができなくなって、トボトボと引き返して行くしかなかった。
さゆりちゃんは、それから毎日、ぼくらのおみなめし畑の雑草をぬいてくれている。
今日も晴れわたる空の下でキラキラとした汗を流すさゆりちゃんの目の前をぼくらが横切ると、まるでおみなめしのようにかがやくきれいな笑顔を向けてくれた。
「わぁい、チョウチョ。今日も元気でかわいい!」
ぼくらの故郷のおみなめし畑は少し小さくなったけれど。さゆりちゃんたちに守られて、ぼくらはとっても幸せなんだ。
ぼくらの生まれ育ったのは、おみなめし畑。今日もお日さまの光を受けて、黄色くきれいにかがやいている。
それはどんなお花よりも美しくて、だからこそ大切な生まれ故郷で……ずっと変わらずにいてほしい。ぼくらはそう、願っているんだ。
0
あなたにおすすめの小説
小さな歌姫と大きな騎士さまのねがいごと
石河 翠
児童書・童話
むかしむかしとある国で、戦いに疲れた騎士がいました。政争に敗れた彼は王都を離れ、辺境のとりでを守っています。そこで彼は、心優しい小さな歌姫に出会いました。
歌姫は彼の心を癒し、生きる意味を教えてくれました。彼らはお互いをかけがえのないものとしてみなすようになります。ところがある日、隣の国が攻めこんできたという知らせが届くのです。
大切な歌姫が傷つくことを恐れ、歌姫に急ぎ逃げるように告げる騎士。実は高貴な身分である彼は、ともに逃げることも叶わず、そのまま戦場へ向かいます。一方で、彼のことを諦められない歌姫は騎士の後を追いかけます。しかし、すでに騎士は敵に囲まれ、絶対絶命の危機に陥っていました。
愛するひとを傷つけさせたりはしない。騎士を救うべく、歌姫は命を賭けてある決断を下すのです。戦場に美しい花があふれたそのとき、騎士が目にしたものとは……。
恋した騎士にすべてを捧げた小さな歌姫と、彼女のことを最後まで待ちつづけた不器用な騎士の物語。
扉絵は、あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
隣のじいさん
kudamonokozou
児童書・童話
小学生の頃僕は祐介と友達だった。空き家だった隣にいつの間にか変なじいさんが住みついた。
祐介はじいさんと仲良しになる。
ところが、そのじいさんが色々な騒動を起こす。
でも祐介はじいさんを信頼しており、ある日遠い所へ二人で飛んで行ってしまった。
おっとりドンの童歌
花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。
意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。
「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。
なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。
「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。
その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。
道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。
その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。
みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。
ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。
ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。
ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?
青色のマグカップ
紅夢
児童書・童話
毎月の第一日曜日に開かれる蚤の市――“カーブーツセール”を練り歩くのが趣味の『私』は毎月必ずマグカップだけを見て歩く老人と知り合う。
彼はある思い出のマグカップを探していると話すが……
薄れていく“思い出”という宝物のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる