洞窟姫と封印の指輪

いっき

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最終章 セレモニー

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 戦いが終わり、全てが落ち着いた。そんな、太陽の光が柔らかく降り注ぐ日。
 エバンは、改めてミハエル国王にリルムを紹介した。
「父上。もう御存知かとは思いますが、こちらがリルム姫にございます。マグリア国の姫であり、私のこの世で最も愛する女性です。どうか、私達の結婚をお許し下さい」
 王座に座るミハエル国王に、エバンは凛々しく膝をつき、お願いした。
「うむ……マグリア国の姫とはな」
 ミハエル国王は改めてリルムを見た。
 金色の髪に、吸い込まれそうなほどに青く澄んだ瞳。
 見惚れるほどに美しいこの姫が、我がカヴァラ国の最大の危機を救ったのだ。リルム姫の美しさ、内に秘めた燃えるばかりの強さに、ミハエル国王も惹かれていた。

「リルム姫」
「はい」
 リルムは、青く澄んだ瞳を真っ直ぐミハエル国王に向ける。
「この国の王妃となり、我が王子、エバンの支えになってくれるか」
「はい、勿論。私は、エバン王子のため、そして、この国の皆が平和に暮らし……もう二度と深い悲しみを産むことのないように力を尽くし、命を捧げると誓います」
「うむ……」
 リルムの、赤い決意の熱を含む青く澄んだ瞳。
 それを見ると、ミハエルは亡くなった自分の王妃を思い出した。
 かつての王妃……エバンの母親も、これほどに決意を秘めた、強い女性だった。この王妃となら、争いもなく、誰もが幸せに暮らしてゆける世界を創っていけると思っていた。
 しかし、王妃は病に倒れて亡くなって……いつからか、その想いを忘れてしまっていた。
 ミハエル国王は、じんわりと涙で滲んだ目を閉じる。
「リルム姫……どうかこの国と、我が息子のエバンをよろしく頼む」
「はい!」
 ミハエルはリルムの青い瞳に吸い込まれそうになり……この二人なら、自分の成し得なかった夢を実現できると確信した。

 晴れ渡る青空の下。ついに、エバンとリルムのウェディングセレモニーが開かれた。
 リルムはマグリア国の姫であったが、その力でカヴァラ国の最大の危機を救った。そのことが、両国のわだかまりを全て消し去り、友好国となったのだ。
 そして、今日、カヴァラ国王子とマグリア国の姫が結婚する。両国の絆がより深まることは、誰の目にも明らかだった。

「リルム……綺麗だよ」
 白いウェディングドレスを着たリルムはこの世の誰よりも輝いていて、美しかった。
 マグリア国の国王は涙で目を滲ませる。王妃もハンカチで目を拭いていた。
「ありがとう……お父さん、お母さん」
 リルムは天使の笑顔で両親を見る。

 封印の指輪で『太陽の魔力』を封じたリルムは、戦いの後すぐに両親と再会、エバン王子を紹介した。離れてからずっと心を曇らせていた両親は、リルムの元気な顔を見て、そして連れて来た凛々しい王子を見て、涙を流して喜んだ。勿論、カヴァラ国と友好関係を結ぶことには微塵も反対しなかった。
 神前に、凛々しいエバンが立つ。国王にエスコートされ、リルムはバージンロードを進んだ。
 エバンは、リルムの左手の薬指にはまっている『封印の指輪』の上から、美しいダイヤの指輪をはめる。リルムは、幸せそうな笑顔でエバンを見る……。

「エバン。あなたはこの美しいリルム姫に永遠の愛を誓いますか?」
「はい、誓います」
「リルム、あなたはこの凛々しいエバン王子に永遠の愛を誓いますか?」
「はい、誓います」
 二人は、神前で永遠の誓いのキスを交わした。

「リルム姫さま、幸せそう」
 メレンは、とても嬉しそうだ。
「本当、綺麗……」
 マリヤは見とれている。
「僕達の姫だもん、当たり前だよ」
 エルスは誇らしげだ。
 三人の妖精達は、王宮のリルムの部屋に招き入れられた。今でも、毎日リルムと楽しく歌いながら過ごしている。

 両国の全国民が祝福する中。凛々しいエバン王子はスピーチを行なった。ミハエル国王も、誇らしげにそれを聞く。
「本日は、カヴァラ国王子の私とマグリア国姫のリルムの結婚をお祝いいただき、ありがとうございます。しかし、この結婚で結ぶのは、ただ私達の永遠の愛の誓いだけではない。カヴァラ国とマグリア国の永遠の友好を結ぶセレモニーなのです。
 カヴァラ国とマグリア国は、長い間冷戦状態でした。だから、国の内情を把握することが後回しになってしまった。そのことが、カヴァラ国に一人の不幸な青年を生み出してしまったのです。
 その青年は、人間全てを……いや、この世界全てを憎んでいました。その憎悪の力をもってこの世界を支配しようとした。
 これからは、この世界にそんな不幸な想いを生むことはあってはならない。だから、僕達は、カヴァラ国とマグリア国の永遠の友好をここに約束し、誰もが幸せに暮らせる両国にすることを誓います」

 両国民は、祝いと賞賛の拍手をエバンに送った。そんな凛々しいエバンを、リルムは青く透き通る目で頼もしく見つめるのだった。
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