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第三章 王都への旅
37.地震
しおりを挟む朝まで休む事になったのだが、メルカはアリスが魔物に向かって何かしているのを見つけ声をかける。
「何をしてるのですか?」
「こうして氷を作って冷やしてるんです。お肉としては使わないとは思いますが、素材として使うときにキレイに使えるようにと思って。えっと、少しでも腐敗?しないようにと思ったんです。あ、馬に乗せる時には冷たく無いように溶かしますので心配しないでください」
メルカが買い取ると言ったのでアリスは少しでも傷まないようにと魔物を冷やしていた。
「腐敗をしないように冷やす……?こんな場所でそんな事が出来るのですか?」
「えぇ、水から熱を奪うように魔力を操作すればいいんです。最初はコツがいりますが、慣れると簡単ですよ?」
メルカは驚いた。こんなにも若い娘が魔法を使いこなしている。それだけではなく、"他の人が考えもしない"ような事に魔法を使うのだ。
そして、このアイデアは今後のメルカの商売に大きな影響を与えることとなるがそれはまた別のお話。
アリスが魔物を氷で包むとエイシェルの元へ戻って来た。
「おつかれさま」
「エイシェルもね?見張りでしょ?」
アリスは見張りをしているエイシェルにこえをかける
「まぁね。大丈夫だと思うけど気をつけるに越したことはないからね。アリスは少し休んでくれ、夜が明けたらまた数時間歩く事になるから」
「うん……ありがとう……」
「おーい。アリスー、こっちこっちー」
「簡単な寝床作ったよー」
アリスはお礼をいうとフラムとフルームが落ち葉で簡易的に作った寝床にアリスを呼ぶ。
アリスは少しでも休むためにフラムとフルームのところへ歩き出した。
その時、大きく地面が揺れた。
「な、なんだ!?」
「地震!?」
「みんな姿勢を低くして!」
「ゆ、ゆれるー!」
咄嗟に姿勢を低くする4人は揺れの影響を最小限に抑えようとした。
しかし、エイシェルの足元にヒビが入り地面が抜ける。
「え?」
「「「エイシェル!!」」」
(これはやばい!!)
地面が抜けたということは足元に空洞が広がっているということであり、そこそこの高さがあると推測される。
そんなところに落下した人間がどうなるかなんて簡単に想像ができた。
エイシェルが穴へ落ちるのとほぼ同時にアリスが駆け出した。
そして、アリスはエイシェルが落ちた穴へ飛び込んだのだ。
「な!?アリス!!」
「うそでしょ!?」
地上にはフラムとフルーム、氷漬けにした魔物の近くにいたメルカの3人がとり残された。
アリスは咄嗟に飛び込んでしまったため、落下しながら思考をフル回転させる。
(エイシェルは……いた!空洞の広さは……かなり広い空間ね……そして足元は……硬そうな岩がゴツゴツと……このままだと死ぬじゃない!?どうする……風魔法でエイシェルを持ち上げる?……ダメね距離が足りないわ。竜巻を起こせば……巻き込んだ岩とかで死にそうね……。となると水で衝撃を和らげるしかない!!)
アリスは月明かりからうっすらと見えるまわりの情報をもとに瞬時に考えを巡らせ魔法を唱えた
(出来るだけ大きく!広がるように!)
「ウォーターボール!」
エイシェルはまだ速度が乗ってないうちに水に包まれる。水が空中に浮かんだままのため、落下の速度を緩める事に成功した。
そして、エイシェルは着地に無理のない速度で空洞の底に到達した。
……当然アリスも同じ経路を辿る
「ぶべ!?」
(水に入る衝撃って結構あるのね……でも、あとはこのまま息を止めて底まで降りれば……)
そのままアリスも空洞の底へ降りた。
「はぁ……はぁ……。アリス、ありがとう……死ぬかと思った……」
「ほんとうに……間に合ってよかったわ……」
現状、エイシェルが死ねばアリスも死ぬのだ。お互いに自分だけの身体ではない事を理解している。
出会って数日であるにもかかわらず、不思議とエイシェルはアリスが飛び込んできた事に驚かず、アリスも何も躊躇する事なく飛び込むことができた。
ゴゴゴ………
2人が互いの無事を喜んでいると洞窟の奥から何かが這いずる音が聞こえる。
そして、その音がどんどん近づいてくるのを2人は感じた。
「ねぇ……エイシェル……。わたしすごく嫌な予感がするんだけど……」
「奇遇だな……もっと言えば、今すぐ逃げ出したい気持ちだ……」
2人は音のする方に意識を集中させる。
すると空洞の奥からそれが現れ、月の光に照らされた。
50mはあろう真っ白な大蛇が2人を見ていた。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
2人は大きな声で叫びながら逃げ出した。
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