38 / 226
第三章 王都への旅
38.できること
しおりを挟む
エイシェルが地震による崩落に巻き込まれ、アリスが穴へ飛び込んだあと、取り残されたフルームは狼狽し、フラムはフルームを落ち着かせようとしていた。
「2人とも落ちちゃった……どうしよう!お姉ちゃん!助けに行かなきゃ!」
「落ち着いて!穴に近づいたらまた崩落するかもしれない!落ちたら普通助からないわ」
フルームは涙を流し、どうしようもないことを分かっていながらフラムに助けを求めた。
フラムなら何か2人を助ける方法を思いつくかもしれないと考えたのだ。
しかし、フラムが残酷な現実を突きつける。
フルームはフラムの言葉に憤りを感じた。
「……なんでそんなこと言うの!助けたいと思わないの!?」
フルームにとって命の恩人なのだ。どうにかして助けたいと思うのは自然であった。
ただ、フラムも気持ちは同じだった。少し冷静に考えていただけなのだ。
「フルーム、落ち着きなさい。私は"普通"助からないって言ったの。例えば、私たちが追いかけたところで地面に衝突して終わりよ。だけど、あの2人が普通だと思う?」
「……思わない」
「あの2人ならどうにかなるはず。私たちが今するべきことは、2人が無事を信じて、助けるにはどうするか考えることでしょう?」
「!……そう……だね……」
フラムの指摘に素直に従うフルーム。少しだけ冷静さを取り戻していた。
もちろんフラムが言っていることは根拠がない。ただ、フルームを安心させるため、いや、自分自身も安心するために2人の無事を信じたのだ。
「おーい!無事かー?」
その時、1人離れていたメルカが合流する
「メルカさん!さっきの地震で地面が崩落して……エイシェルとアリスが落ちました」
「なんだって!?」
メルカは驚き辺りを見回すと地面に穴が空いているのを見つける
「……確か荷台にロープがあったはずだ。……正直どれくらい深いのか分からないが、何もないよりマシだろう。私がとってくる。街道に出てから馬に乗ればそんなに時間がかからないはずだ。ただ、あの海の大きなのが出たらおしまいだがな」
「私も手伝う!危なくたって、ここでじっとなんか出来ない!」
メルカの提案にフルームが応える。何もしないでいるよりも身体を動かしていた方が不安を忘れられる。知ってか知らずかフルームはメルカを手伝いに行くことにした。
海から来た何かよりも、何もせず後悔する方が怖いと判断したのだ。
「私は……ここでなにか出来る事がないか探ってみるわ」
フラムは自身でできることを探す事にした。2人とコンタクトを取れればなにかできることがあるかもしれない。
速やかに3人は行動に移した。
メルカとフルームは馬を引き連れて急ぎ街道へ足を進めた。
残されたフラムは慎重に穴へ近づき、穴の中を確認した。
「……あれ?何か浮いてる……?」
フラムがよく見ると大きな水の球のようだった。
「!……水をクッションにして底に降りたんだわ!それなら2人は無事ね!」
2人の無事が濃厚になり、フラムは喜んだ。
しかし、声をかける前に地の底で何かが這いずる音が聞こえた。
「……?何か音が聞こえる。落ちないように……もうちょっと中を……」
フラムは地面がさらに崩落しないようにと気をつけながら穴の中を確認した。
「!?」
確認した事を後悔するほどに絶望を感じ、恐怖からその場を飛び退いた。その姿が見えなくなってからも身体の震えが止まらない。
……海から来たであろう真っ白な大蛇が姿を現したのだ。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
穴の中から2人の叫び声が聞こえてくる。
フラムは恐怖で、いや、本能で身動きしてはならないと感じ何も出来ずにいた。
(な、なによあのバケモノ……あんなん……人間がどうこうできるものじゃない……今の叫び……きっと今はもう……)
フラムは悟った。あの2人は助からないと。
もし、見つかれば次は自分の番だと。
理不尽な現実に2人の無事を信じていたフラムの心は折れてしまったのだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
1人すすり泣く声が他に誰もいない森の中へ溶けていった。
「2人とも落ちちゃった……どうしよう!お姉ちゃん!助けに行かなきゃ!」
「落ち着いて!穴に近づいたらまた崩落するかもしれない!落ちたら普通助からないわ」
フルームは涙を流し、どうしようもないことを分かっていながらフラムに助けを求めた。
フラムなら何か2人を助ける方法を思いつくかもしれないと考えたのだ。
しかし、フラムが残酷な現実を突きつける。
フルームはフラムの言葉に憤りを感じた。
「……なんでそんなこと言うの!助けたいと思わないの!?」
フルームにとって命の恩人なのだ。どうにかして助けたいと思うのは自然であった。
ただ、フラムも気持ちは同じだった。少し冷静に考えていただけなのだ。
「フルーム、落ち着きなさい。私は"普通"助からないって言ったの。例えば、私たちが追いかけたところで地面に衝突して終わりよ。だけど、あの2人が普通だと思う?」
「……思わない」
「あの2人ならどうにかなるはず。私たちが今するべきことは、2人が無事を信じて、助けるにはどうするか考えることでしょう?」
「!……そう……だね……」
フラムの指摘に素直に従うフルーム。少しだけ冷静さを取り戻していた。
もちろんフラムが言っていることは根拠がない。ただ、フルームを安心させるため、いや、自分自身も安心するために2人の無事を信じたのだ。
「おーい!無事かー?」
その時、1人離れていたメルカが合流する
「メルカさん!さっきの地震で地面が崩落して……エイシェルとアリスが落ちました」
「なんだって!?」
メルカは驚き辺りを見回すと地面に穴が空いているのを見つける
「……確か荷台にロープがあったはずだ。……正直どれくらい深いのか分からないが、何もないよりマシだろう。私がとってくる。街道に出てから馬に乗ればそんなに時間がかからないはずだ。ただ、あの海の大きなのが出たらおしまいだがな」
「私も手伝う!危なくたって、ここでじっとなんか出来ない!」
メルカの提案にフルームが応える。何もしないでいるよりも身体を動かしていた方が不安を忘れられる。知ってか知らずかフルームはメルカを手伝いに行くことにした。
海から来た何かよりも、何もせず後悔する方が怖いと判断したのだ。
「私は……ここでなにか出来る事がないか探ってみるわ」
フラムは自身でできることを探す事にした。2人とコンタクトを取れればなにかできることがあるかもしれない。
速やかに3人は行動に移した。
メルカとフルームは馬を引き連れて急ぎ街道へ足を進めた。
残されたフラムは慎重に穴へ近づき、穴の中を確認した。
「……あれ?何か浮いてる……?」
フラムがよく見ると大きな水の球のようだった。
「!……水をクッションにして底に降りたんだわ!それなら2人は無事ね!」
2人の無事が濃厚になり、フラムは喜んだ。
しかし、声をかける前に地の底で何かが這いずる音が聞こえた。
「……?何か音が聞こえる。落ちないように……もうちょっと中を……」
フラムは地面がさらに崩落しないようにと気をつけながら穴の中を確認した。
「!?」
確認した事を後悔するほどに絶望を感じ、恐怖からその場を飛び退いた。その姿が見えなくなってからも身体の震えが止まらない。
……海から来たであろう真っ白な大蛇が姿を現したのだ。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!」
穴の中から2人の叫び声が聞こえてくる。
フラムは恐怖で、いや、本能で身動きしてはならないと感じ何も出来ずにいた。
(な、なによあのバケモノ……あんなん……人間がどうこうできるものじゃない……今の叫び……きっと今はもう……)
フラムは悟った。あの2人は助からないと。
もし、見つかれば次は自分の番だと。
理不尽な現実に2人の無事を信じていたフラムの心は折れてしまったのだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
1人すすり泣く声が他に誰もいない森の中へ溶けていった。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる