ジェミニ 〜魂の契約者達〜

えいりす

文字の大きさ
40 / 226
第三章 王都への旅

40.助け待ち

しおりを挟む
少ししたらエイシェルは落ち着き、恥ずかしそうに顔をあげる

「……なんか、ごめんな。もう大丈夫だ」

「そ、そう?それじゃあここから出ましょうか!」

(思わず抱きしめちゃったけど……めちゃくちゃ恥ずかしかった!!)

アリスはエイシェルを落ち着かせようとしたが、冷静に考えてかなり恥ずかしい状況である事に気づいた。
気づいた時にはもう時既に遅し。身動きが取れない状態だったのだ。

エイシェルが落ち着いたとこで話題を切り替えるかのように脱出を提案する。

「そうだな、きっと3人も心配してる。大声でもあげてみるか?」

「そうね!遅くなったけど無事だって知らせないと」

エイシェルとアリスは地上にいる3人に向かって叫ぶ事にした。




~フルーム視点~

しばらく木の根元に座り込み震えていると物音がしなくなった。
どうやらあの大きな白蛇は遠ざかったようだ。
それでも身体の震えが止まらない。白蛇が怖くて震えているのではなく、2人を見殺しにしてしまった事に恐れ震えているのだ。

「私は…なんてことを……せめて、蛇の気を逸らすことが出来れば2人は逃げれたかもしれないのに……」

先程からずっとこの繰り返しだった。
あの状況からフラムが何をしても2人が助からないのは分かっている。それでも"何もしなかった"自分を悔いているのだった。



『おーい』

『フラムー?フルームー?メルカさーん?誰かいますかー?』

そうこうしていると穴から声が聞こえてきた。最初は幻聴かと思っていたフラムだが、幻聴ではないと分かると飛び跳ねるように起き上がり急いで穴の中を確認した。
すると、そこに元気そうな2人の姿を見つけた。

「あぁ……あぁ……!よかった……!ほんとうに……!!」

フラムは2人が無事だとわかり、とても嬉しかった。ただ、嬉しいと思うのと同時に後ろめたさも感じた。
ただ、今は2人を地上にあげるのが先である。フラムは気持ちの整理を全て片付いてからする事にした。

「怪我とかしてない!?大丈夫??」

『フラムか?大丈夫!2人とも無傷だ!』

フラムの問いかけにエイシェルが答える。
見た目で怪我は無さそうと分かっていても聞かずにはいられなかった。

「今、フルームとメルカさんがロープもってくるから、もう少し待ってて!」

『ありがとー!』

2人の無事を確認できたフラムに今出来ることはなかった。あとはフルームとメルカを待つ事にした。


~フルーム、メルカ視点~

荷台を回収した2人は崩落した場所へ戻る途中だった。

「少し時間かかってしまいましたね……早く戻らないと3人とも待ちくたびれちゃいます」

「うん……」

メルカは行きも帰りもフルームを励まし続けた。フルームがずっと上の空なのだ。

「あの2人なら大丈夫ですよ。きっと、ちょっとトラブルあったけど何ともない。といった反応で帰ってきますよ」

「うん……」

気のない返事をするフルーム。なにも2人の無事を信じていないわけではないのだ。
むしろ、2人が無事であると信じているから行動を起こしたわけである。
では、なにがフルームを悩ませるのか?
……それはアリスであった。

(なんで、あんなに自然に飛び込めたんだろう……距離が近かったから?ううん、関係ない。誰だって自分の命が惜しい。ましてや昨日会ったばかりの人なのに命を張れるなんて……。どうしたらあんなに自然に……?)

フルームはすぐに動けなかった自分が情けなく感じていた。
そして、昨日出会ったばかりのエイシェルに対して、何の躊躇もなく命を張れるアリスが分からなくなったのだ。

最初はアリスがエイシェルのことが好きなのかな程度にしか考えてなかったが、それだけであの行動はあまりにも異常であった。
……そして、フルームはその異常さに憧れを抱いてしまったのだ。

(わたしも……誰かを助ける時に躊躇なんてしたくない!……そんなカッコ悪いこともうしたくない!)

フルームは自分に足りないものは何か考えながら荷台に揺られていた。


すると前方の海の方に何か大きな影が現れた。
陸の底から現れ海へ去っていく。

「あれは!?海から近づいていたやつか!?まさかまだここにいたとは……!?」

「……地下に入る入り口があった……?!」

フルームは最悪な想像をしてしまった。

「メルカさん!はやく!2人に何かあったかもしれない!!」

「お、おぅ、俺の馬……もう少し耐えてくれよ……!」

メルカとフルームは3人の元へ急いだ。
そんなこんなしていると次第に空が明るくなり始めるのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

処理中です...