ジェミニ 〜魂の契約者達〜

えいりす

文字の大きさ
41 / 226
第三章 王都への旅

41.地上へ生還

しおりを挟む
エイシェルたちが落下してから2時間程経ち、ようやくメルカとフルームが戻ってきた。

「お姉ちゃん!2人は無事?海の大きなのが陸の下から出てきたの!」

フルームが開口一番に2人の安否を確認してきた。海の魔物を見た時から嫌な予感がしていたのだ。

「あぁ……海に出て行ったのね……。2人は無事よ。下で休んでるわ」

フラムの回答に少し引っかかる部分があったが、2人が無事と分かったためフルームはさほど気にしなかった。

「では、早速このロープで引き上げよう」

メルカは近くの木にしっかりとロープの一端をくくりつけ、穴にロープを垂らした。

「どうだ?かなり長いロープなんだが……」

すると穴の中から声が聞こえる。

『もう少し下げられないか?ジャンプしても届きそうにない』

どうやらまだ足りないようだ。

「ふむ……どうやったら長さを補えるか……私の上着やズボンを先端につければ届くか?」

メルカは出来そうな案を考えるおそらく、服で補うのが今できる最善であった。

「……それなら。私の服も使ってください!」

「私のも!」

フラムとフルームも即座に名乗り出る。2人ともアリスとエイシェルを助けるためならば服を脱ぐくらいなんでもないと考えたのだ。
服を脱ぐのを恥じらい2人の助けが遅れる事で、地下にまた危険が迫るかもしれない。
その結果、最悪の事態が引き起こされたら一生の恥である。
今、この時だけ恥ずかしい思いをすることなんて、前者に比べたら天秤にかけるまでもない。
それに、メルカの服だけでは足りるか怪しいのは確かであった。

「気持ちは嬉しいが、女の子が人の前で服を脱ぐのは……」

『そ、そうだよ!おれの服を使えば足りるんじゃないか!?』

「エイシェル……あなた、届かないのにどうやってくくりつけるつもりよ……」

地上の3人のやりとりが地下の2人にも聞こえていたようで、メルカとエイシェルは抵抗していた。
エイシェルとしても自分が助かるために女の子に服を脱がせるのは紳士として何としても阻止したかったのだ。
やれやれと言った表情でアリスはエイシェルにツッコミをいれる。ただ、アリスとしても2人にはそんな事をして欲しくはなかったため、エイシェルに提案する。

「ねぇ、もう一度水で濡れるくらい構わないよね?」

「ん?構わないが……どう言うことだ?」

「おーけー。見ればわかるわよ。ウォーターボール!」

アリスは魔法を唱えると目の前に大きな水球が現れた。
そして水球は徐々に縦に伸びてロープの一端を飲み込んだ。

「そうか!水の中に入って浮けばロープに届く!」

「流石に天井までは届きそうにないけどね……あそこのロープくらいなら伸ばせるわ」

アリスが魔法でロープまでの道を作ったため、3人は服を脱ぐ必要はなくなった。

『わたしが魔法でなんとかしたから3人ともそのままで大丈夫よー!今からロープに捕まるから引っ張ってくれると助かるわ』

アリスは3人に聞こえるように声を張り、引っ張りあげてもらう事にした。
正直、ロープに捕まり続けるのも不安なのに、ロープをつたって昇るなんてできる気がしない。
それくらいはお願いしてもいいかなとアリスは考えた。

「じゃあ、アリスから行ってくれ。おれは次でいい」

エイシェルはレディーファーストという言葉を知っていた。ただでさえ何が起こるか分からない場所のため、先にアリスに行ってもらおうと考えたのだが、アリスは申し出を断った。

「いえ、距離が離れるとこの水球が制御出来なくなるからあなたから先に行って?」

アリスは先に行けない理由を話すとエイシェルはそれならばと先に地上へと向かった。

(制御の話もあるけど……今日はスカートなのよね……)

降りる時は気にならなかったが、登るとなると話は変わる。どうしても視線が上へと向くはずだ。そうなるとどうなるか……考えるまでもなかった。

エイシェルが引き上げられると再度ロープが落ちてくる。
アリスは自身の作り出した水に浮かびロープを掴む。地上にはエイシェルも加わりアリスは何事もなく引き上げられるのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...