ジェミニ 〜魂の契約者達〜

えいりす

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第三章 王都への旅

55.ガールズトーク

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アリス、フラム、フルームの3人は順番に宿のお風呂に入り、寝る支度も済ませた。
後は寝るだけとなったところでアリスは気になっていたことを確認する。

「そういえば、さっき聞きそびれたけどフラターさんって2人の親戚なの?」

明日からは別の宿に泊まることを誓いメンタルを持ち直したアリスが2人にはなしかける。

「うん、パパの弟。剣の腕がすごく良くて、昔パパと一緒に旅をした事があるらしいんだけど、ドラゴンの討伐依頼中に何かあったらしく剣を振るうのをやめちゃったんだって」

「この町には叔父さんに会いにきてたんだよ。…….ちなみに叔父さん、ものすごく若く見えるけどもう36歳だよ?」

「はぁ!?そうなの!?……どう見たって20代の容姿じゃないの……どうすればあんなに若く保てるのかしら……」

「謎だよね。聞いても特に何もしていないって言ってるんだよね」

「私は絶対に裏があると思っているわ……」

女性にとっていつまでも若くいるのは憧れである。フラムとフルームがフラターに会いに行くのは密かに若さの秘密を探る目的もあるのだ。そして、アリスもその秘密が気になった。
やはり、誰しもがいつまでも若々しくいたいのだ。人類の永遠のテーマである。



そんなことを考えていたアリスだったが、ふと気になったことがあり質問する。


「……素朴な疑問なんだけど、ドラゴンってそんなにぽんぽんいるもんだっけ……?最近知ったんだけどうちの父親もドラゴン討伐に参加みたい」

アリスはセラスがアリスの冒険者登録をした際に聞いた話と、うっすらとだが父親が冒険者の時にドラゴン討伐で功績を上げたと聞いた気がしたため、ドラゴンがそんなに頻繁に現れるものかと錯覚しそうになっていた。

「え、そうなの!?……そんなにぽんぽんいたらこの世界終わってそうだから討伐パーティのひとりかな……?うちのパパもパーティメンバーのひとりだよ!」

「ドラゴンの話を聞くのは、20年前のドラゴン討伐の話だけね。……あとは伝記の中くらいしか……」

「そ、そうよね……」

アリスは急に嫌な予感がしてきた。少なかった情報が引き寄せられるように繋がる。
……まだ、断言するには早いため更なる情報収集を始める。

「ねぇ、そのドラゴン討伐の時のパーティってどんな構成だったの?やっぱりすごくたくさん人が集められたんでしょ?」

「いえ、たった6人で討伐したらしいわよ?だからか6人ともAランク冒険者になったみたい」

「剣士2人、魔法剣士2人、魔法使い1人、ヒーラー1人だったんだって。剣士2人がパパと叔父さんね」

「あー……その、他の人たちの名前ってわかる……?」

魔法使い1人の時点でもはや答えが出ているようなものだったが、アリスは往生際の悪い質問をし、フラムが答える。

「確か……。魔法剣士の2人がアラン、カレンだったかしら……。魔法使いがルードスさんね」

「……それ、たぶんうちの父です……」

アリスは覚悟を決めて告白した。ここまでならカッコいい父親で済む。問題はここからだ。ここから何も付属する情報が無ければ幸せなのだ。

しかし、アリスの予感はよく当たる。案の定フルームが興奮気味に叫ぶ。



「ほんと!?あの元遊び人のルードスさんがアリスのパパなの!?」

「ちょっと待って!やっぱりそうなの!?うちの父親、そんな恥ずかしい径歴の持ち主だったの!?」

セラスから聞いたドラゴンスレイヤーの話。父親の事とは夢にも思っていなかった。旅に出るまで両親が冒険者であるのとすら知らなかったのだ。
アリスが元遊び人の父親に思いを馳せているとフラムがとんでもない追撃をする。



「ちなみに、ヒーラーの人の名前はマーテルね」

「おかあさん!!なにしてるの!!!」

「えぇ!?アリスってその2人の子供なの!!?」

「その実力は親譲りだったのね……!」

アリスは既にキャパオーバーだったため叫ぶくらいしかリアクションが取れなかった。
まさか父親だけでなく母親もドラゴン討伐のメンバーだなんて思ってもみなかったのだ。

確かに、フラムの説明からすると1日に何回もヒールを使えるのは異常である。それを母親は仕事でしているのだ。ドラゴン討伐メンバーくらいぶっ飛んだ経歴の持ち主であれば確かに納得である。
……納得はしたが今のアリスの頭には素直に受け入れるキャパはなかった。

そんなところにフルームから質問がくる。

「アリスのパパは王国騎士魔術部隊の指南役だよね?アリスのママは今なにしてるの?」

「あー……そうね、うちの母親は今サーナーティオっていう街の病院で働いているわ。」

「あぁ、なんか大きな病院があるとか聞いたことあるわね」

「そう、その病院。そこの外科の先生って事になっているわ。……片っ端からヒールかけるだけだけどね……」

「外科だけなの?内科もやって風邪とか治療すればいいのに」

「ヒールってケガとか損傷したもの、痛みくらいにしか効果ないわよ?疲れとかダルさ、吐き気や眩暈とか、そういう身体の中から治さないといけないものには効果が無いわ。……疲れや風邪に効くんならどんなによかったことか……」

アリスは比較的体が弱いため、道中の疲れや先日の風邪でエイシェルに迷惑をかけてしまった。そう思い口にした言葉だったが、そのあと自然と口が緩んでしまった。

魔法で治れば迷惑をかけることもなかっただろう。でも、迷惑をかけなかったらエイシェルがイノシシから守ってくれることもなく、港町で看病してくれることもなかったはずである。
今までの出来事がなかったらアリスにとってエイシェルがこんなにも気になる存在になっていなかっただろう。
そう思うと、エイシェルには悪いなと思いつつも、ひとうひとつの出来事がかけがえのない思い出になっていたのだ。



そんなことを思っているとフルームから声が上がる。

「……アリス、今エイシェルのこと考えてたでしょ……?」

「な、なんでわかっ……!?い、いや、これは、その……」

突然のフルームによる奇襲にアリスは墓穴を掘った。ただでさえ両親の話でキャパオーバーなのだ。反射的に言葉が出てしまうのは仕方のないことだった。

慌てるアリスの様子を見たフルームとフラムは新しいおもちゃを見つけたかのようにニヤニヤしながら迫る。

「そういえば港町で一泊してわね……そこで何かあったわね?白状しなさい!」

「な、なにもないわよ……」

アリスはこのままではまずいと思いしらを切る事にした。

「ウソはよくないですなー。さっき風邪とかにヒールが効けば的な話してからのあの顔。……さては、アリス風邪をひいてエイシェルが看病してくれたとか?密室で2人っきりで!」

「なんでわかるのよ!!!……はっ!?」

アリスはこういう時のフルームが苦手である。あまりにも的確に事実をついてくるからだ。
余裕のないアリスはフルームのエスパーじみた推測に思わず突っ込んでしまった。

「ほ、ほんとうにそうだったんだ……。で、どこまでいったの?ちゅーくらいはした?」

「ち、ちょっと!」

「密室で弱ったアリスと2人っきりでしょ……。……まさか!?……もっと先まで……!!」

「ななななにいってるのよ!!!全然そんなんじゃないから!!!」

「えー、あやしいなー?逆にアリスから誘惑とかしてないの?」

「は、はぁ?!なんでわたしがそんな……こと……」

……したな。意図せずしてしまったな。
アリスはふと冷静になり、確かにそう捉えられても仕方がない状況だったと思い返す。
思い返す時に思わず目が泳いでしまった。

そして、その変化を見逃すフルームではなかった

「……え、まじで……?」

「アリス……あなた意外と大胆なのね……」

「ち、ちがっ!ちょっとまって!これには深いわけが……!」

夜遅くになってもアリスの声が響き渡るのであった。
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