ジェミニ 〜魂の契約者達〜

えいりす

文字の大きさ
69 / 226
第三章 王都への旅

69.依頼探し

しおりを挟む
4人が書類運びから帰ってくるとセラスが満足そうに頷いた。
元々真面目な4人のことだちゃんと届けたのだと信じていたのだ。

「5箇所すべてに書類を届けたみたいね。ありがとう!じゃあこれ依頼報酬5つ分ね」

そう言いながらセラスは銀貨5枚を差し出す。
しかし、セラスの言い方にエイシェルが引っかかった。

「依頼報酬5つ分ってどう言うことですか?」

「あなた達2人には早くBランクになってもらいたいからね。少しずるいけど1箇所1依頼で依頼書を作っておいたわ」

「え?それじゃあ今ので5つも依頼達成した事になるんですか?!」

アリスが驚き声を上げた。
するとセラスが焦りヒソヒソ声で話す

「ち、ちょっと!大きな声を出さないでよ!あなた達の功績とランクが見合わないから内緒でカサ増ししてるんだから!」

「え……それって大丈夫なんですか?」

セラスの説明にフラムが突っ込む。エイシェルとアリスが不正にランクアップしたとか後で言われないか心配だったのだ。

「大丈夫よ。依頼自体は正規の手続きを踏んだものだからね。ただ、ちょっとだけ簡単な依頼をまとめて達成しただけよ」

それが問題なのではと思う4人だったが、もう処理回しちゃったもん!と言い張るセラスに何も言えなくなるのだった。


とはいえ、セラスの好意により残りの依頼件数は6件にまで減ったのだ。エイシェルとアリスは素直に感謝するのだった。


セラスのおかげですぐに依頼が終わった4人は明日受ける依頼を見に行く事にした。
しかし、思う通りには行かなさそうだった。


「思いがけず残り6件まで減ったけど、出来そうな依頼を短期間にやったせいで余りいい依頼が残って無いな……」

「ほんと、1ヶ月間用心棒やってくれとか、幻の食材求むとか、依頼内容詳細が不明なものが残ってるけど……他には……」

「ワイバーン討伐」

「フルーム、それは無しで」

「うぅ……じゃあこのワイバーンの鱗5枚納品は?ワイバーンの牙2本納品もあるよ?ワイバーンの爪2本納品とかは?あ、ワイバーンの尻尾肉納品もある!」

「フルーム?フラムの言う通り一回ワイバーンから離れようか……?」

「はい!すみませんでした!」

「……と言うかなんでそんなにワイバーンの依頼が多いのよ!?」


エイシェルがめぼしい依頼がないと言うとアリスが残った依頼をいくつか読み上げる。多少の余裕はできたものの、長期依頼や達成条件不明な依頼は受けられない。
そんな事を言っているとフルームがワイバーン討伐を蒸し返していた。
フラムに却下されるも諦めないフルームにアリスは静かな笑みを浮かべフルームを諭した。
フルームは一度アリスに説教されてから素直に従った方が利口な判断だと学んでいた為に素直に従う。

とはいえ、ワイバーン関連の依頼が多いのは間違いなかった。

そんな中後ろからセラスが声をかけた。


「あなた達……ワイバーンまで討伐する気…….?」

「流石にワイバーンは相手にしたくないですよ……。ただ、ワイバーンの素材の依頼が多いなと思って話してたんです」

「あぁ、そう言う事?それは当然よ。亜竜とはいえ竜種の素材だもの。薬の素材にもなるし、装飾品に使ってもいいし、武器の素材にもなるらしいわ。そんな貴重なものだからみんなおこぼれが欲しいのよ」

「そうだったんですね……」

「あの」


セラスの説明を聞いてアリスは納得をした。ただ、そこでフラムが声を上げたのだ。


「ん?何かしら?」

「ワイバーンの血に……その、何か効能があるとかって聞いたことありますか?」


フラムは先程聞いたフラターの話が気になったのだ。もし老化を抑えるような効能があるのであれば、もっと広まっていてもおかしくない。
それにもかかわらず全く聞いた事がないのだ。
ギルドマスターなら何かしら情報があるのではないかと思い聞いてみたのだ。


「ワイバーンの血……ね。何か効能があるとかそういった話しは聞いた事がないわね……。そもそも討伐したら血なんてほとんど流れ出てなくなってるし。……何か気になることでもあるのかしら?」

「い、いえ……鱗とか牙とか使えるところが多いので、血とか内臓とか骨まで無駄なく活用されているのかと思っただけです……」


セラスはフラムへ逆に質問をした。
セラスは直感でただの興味で聞いたわけではないと思った。そのため確認してみたのだが、フラムの口からは単なる興味で聞いたとしか話されなかった。

フラムは誤魔化したのだ。フラターが今まで誰にも言えなかった出来事。それを自分に話してくれた。
だから自分もおいそれと他の人に話すわけにはいかないと感じたのだ。

気のせいだったかしらとセラスはこの件で特に言う事はなかった。
最初から4人がワイバーンの討伐依頼を受けるんじゃないかと思って、心配して声をかけたのだ。


「それにしても安心したわ。これでワイバーン討伐なんて言い出したらちょっと心配だったから。勢いのある若者冒険者はたまに出てくるのよ。ただ、自身の力量も知らずにちょっと背伸びした依頼を受けて、取り返しのつかない失敗をしてしまう。そんな子達が後を立たないから……。あなた達は既に理不尽な相手と戦ったみたいだけど、それでどんな相手でも勝てると慢心していないか心配してだったの。杞憂で良かったわ」


セラスは本当に安心したような表情を浮かべる。今気付いたが、最初に声をかけられた時は少し硬い表情をしていた気がした。
それだけ4人のことを心配していたのだ。

それじゃあ気をつけてねと言い残しセラスは去っていった。


「……フルーム?」

「ハンセイシテマス」

フルームはセラスの言葉を聞いてちょっと調子に乗っていたと反省したのだった。

結局のところ、今日はいい依頼が見つからなかったため、明日の朝に出直す事にした。
また新しい依頼が増えるかもしれないためだ。
そう思い今日は解散してそれぞれ宿へ帰るのだった。



「アリス足は治ったの?」

「そんな簡単に治らないわよ?内からくるものだからか、ヒールも効かないみたいだし……」

「そうなんだ……」

「……フルーム?絶対にやめてよ?」

「や、やだなーもうやらないよー」

アリスにとっては常に警戒する一夜だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...