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第三章 王都への旅
71.鹿の角
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山を登り始めしばらく探し回ったがなかなか見つからなかった。
「警戒心が強いからかなかなか見つからないか……近くの道も人通り少ないから行けると思ったんだけどな……」
エイシェルの見立てでは山につけばそんなに苦労せず見つけられるものと考えていた。
だが、見積もりが甘かったと言わざるを得ない。
「まだ登らないとダメかもしれないわね……」
「ま、まだ……うぅ仕方ないか……」
「今日のアリス頑張ってると思うよ」
「フルーム……ありがと……」
アリスには過酷だがまだまだ登る必要がありそうだった。
「ここからまだ登るとなると、ここらで休憩した方が良さそうだな。少し早いけどここでお昼にしよう」
アリス以外にも疲労の色が見え始めていたので少し早いがお昼休憩を取る事にした。
食事を始めた4人は雑談をしながら食べていた。
「お、エイシェルはお昼にサンドイッチなんだ?まさか手作り?」
「あぁ、集合時間まで少し時間があったから籠を取りに戻ったついでに作ってきた。フルームが食べたいなら、多めに作ってきたから少しあげるよ」
「ほんと!やったぁ!」
「な!フルームずるい!わたしも気になってたのに!」
「へへん!言ったもん勝ちだもんね!」
エイシェルが籠の中に入れていた袋からサンドイッチを取り出し食べているとフルームとアリスが食べたそうにこちらを見ていた。
フルームにあげると抗議の声をあげるアリス。
やはりアリスも食べたかったのだ。
そして、エイシェルの予想範囲内である。
「あはは……それじゃあ、アリスもどうぞ」
「ほんと!?ありがとう!」
「フラムもどうだ?」
「あなたが食べる分は大丈夫なの?」
「たくさん作ってきたから大丈夫だ。是非食べてくれ」
「そう、ならせっかくだからいただくわね」
実はこんなこともあろうかとエイシェルは3人が食べる分のサンドイッチも用意してきたのだ。
3人用はさすがにそれだけだと少ないが、お昼を各自用意しているはずなので普段よりちょっと多いくらいになるだろう量を作ってきた。
……ちょっと多くてもアリスとフルームなら間違いなく食べるだろう。フラムも2人には及ばないが結構食べれるのだ。
「美味しい!このたまごサンドふわふわしてる!」
「ほんと美味しいわね!」
「野菜もシャキシャキしてて食感もいいわね、すごく美味しい」
「喜んでもらえてなによりだ」
エイシェルは笑顔で自分の作ったサンドイッチを頬張る3人をみてしみじみと思う。
自分が作った料理を食べてもらい、みんなが笑顔になるのが嬉しいのだ。
この旅が終わったら本格的に料理を始めてみようと密かに考えていた。
「ごちそうさまでした!美味しかったわ」
「アリスは……さらにおにぎり食べるのか……しかも大きいな」
アリスはサンドイッチを食べ終わると今度はおにぎりを頬張り始めた。
「お腹が減ってはなんとやらよ。それに、ここのおにぎり美味しいんだから!」
「私もそこのおにぎり2つ持ってきたよー。……さすがにアリスの持ってる巨大おにぎりじゃないけど」
「あなた達よく食べるわね……私はまたサンドイッチね。エイシェルのサンドイッチ食べた後だからか、ちょっと物足りないわね……」
アリスとフルームが追加でおにぎりを頬張る中、エイシェルとフラムはそれぞれ違うもののサンドイッチを食べる。
途中フルームがおにぎりを喉に詰まらせる事件があったが、それ以外は和やかに過ごせた。
「よし、食べ終わった事だしそろそろ登ろう。早く見つけて早く帰るぞ」
「「「おー」」」
4人ともお腹いっぱいになり満足したところで出発する事にした。
長いこと登ると木々が生えない岩肌地帯に到着する。木がない分見晴らしが良くなっていた。
すると、エイシェルが少し離れた木の影に何か見つけた。
「静かに!……多分あそこにいるな」
「どこどこ?」
エイシェルが指を指す先をマジマジと見つめるフルーム。しかし、なかなか見つけられないでいた。
「あそこのひとつだけ背の高い木の影にいる」
「あ、いた!」
「……でも近づいたら逃げられそうね」
「あれ親子じゃない?小さくてかわいいのもいる……ねぇ、エイシェル……?」
せっかく見つけたがアリスが親子であることが分かるとエイシェルに訴えかける。
あの鹿は見逃してあげてと言った目で見てくるのだ。
親の命を奪ってしまえば子供を守れなくなり子供もそのうち他の動物に食べられて死んでしまう。
かと言ってここで親子の命を奪うのはとても心苦しい。
どちらもあまり気持ちいいものではないためなんとかならないかとエイシェルに訴えかけたのだ。
しかし、エイシェルは聞いているのか突然弓を構え始めた。
「え、エイシェル……?」
「大丈夫。分かってるから。……知ってるか?鹿の角って毎年生え変わるんだ。あれだけ立派な角、しかも白くなってるからそろそろほっといても落ちる。片方の角だけ先に落としてもらおうと、思ってね!」
パシュッ!
エイシェルが矢を放つと見事に鹿の角が片方だけ吹き飛んだ。
驚いた鹿の親子は林の中へ逃げて行ったのだ。
「おれも流石にあの親子は狩れないかな。角だけならまた生えてくるから少し我慢してもらおう」
「エイシェル……。ありがとう、なんだけど。もうちょっと心の準備させてよ……大丈夫とは言われたけど、そんなすぐに射ると思わなかったから矢を放った時ドキッとしちゃったじゃない……」
「ごめんごめん、でもモタモタしてる方が危なかったからさ。草を食べ始めた瞬間を狙わないとすぐ動いちゃうからね」
「……相変わらず山の中だとデタラメね」
「あの距離一発っておかしくない?」
エイシェルが流れるように矢を放ち目的を達成できた。
エイシェルの腕前に唖然とするフラムとフルームをよそに意気揚々と角を回収しに行くエイシェルだった。
角を回収して戻ってくると何やら低い唸り声のようなものが聞こえた。
「ん?」
「エイシェル、どうしたの?」
「いや、なんか聞こえた気がして……」
グォォォォォ…………
「……遠くからなにか聞こえるわね。……ねぇ、エイシェル?わたしすごく嫌な気がするんだけど?」
「おれもすごく嫌な気がする……」
「あ!!」
「な、なによ!フルーム!びっくりするじゃない!」
エイシェルとアリスがお互いに嫌な予感がすると言っている中でフルームが突然何かを思い出したように声を上げた。
隣にいたフラムは気を張っていたのでフルームの声に驚き非難の声を上げる。
しかし、フルームが思い出したことは思い出すにはとても遅いものだった。
「……あー。依頼受ける時に南西の山ってなんか引っかかってたんだよねー。で、思い出したんだけど……ここにワイバーンいるって書いてあった……」
グオオォォォォ!
「「「なんで早く言わないのよ(んだ)!!!」」」
「だ、だってえ~」
フルームは依頼書をよく見る前にエイシェル達に却下された為あまりよくみていなかったのだ。
むしろ、それでも思い出した事を褒めて欲しいくらいだが、状況があまりにもよろしくない。
「まずい!早く山を降りないと遭遇するぞ!」
「ま、まって、そんな早く歩けない……」
「じゃあ籠の中に入って!」
「そんな無茶な!?」
「じゃあ抱えて走る!持ち上げるからごめん!」
「きゃっ!なっなっなっ~~~!?」
エイシェルが急ぎ山を降りようとするも、アリスの足が限界のようで、早く歩けない。
そこでエイシェルは焦っているからかわけのわからない提案をしてしまう。
アリスがつっこんだ後に、それならとエイシェルはアリスを抱えて走り出した。
……俗に言うお姫様抱っこである。
アリスは恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらも、エイシェルがあまりにも激しく走るため振り落とされないように抱きつくことしかできない。
ただ、抱きつくのも恥ずかしい。アリスは葛藤していた。
「アリスしっかりー」
「少しの我慢よー」
……この2人の前でこんな姿を見られたのはまずい。今後絶対イジられる!
こんな状況にも関わらずアリスは別の心配をしてしまうのだった。
グオオオオオオォォォォォォォォ!!!
そんな事を考えいるのもつかの間。
鳴き声がどんどん近づいてくる。
……と言うかもう真上を飛んでいた。
4人がそれに気づいた時には目の前の木木が上から薙ぎ倒され大きな身体が目の前を塞ぐ。
空からワイバーンが現れた。
「警戒心が強いからかなかなか見つからないか……近くの道も人通り少ないから行けると思ったんだけどな……」
エイシェルの見立てでは山につけばそんなに苦労せず見つけられるものと考えていた。
だが、見積もりが甘かったと言わざるを得ない。
「まだ登らないとダメかもしれないわね……」
「ま、まだ……うぅ仕方ないか……」
「今日のアリス頑張ってると思うよ」
「フルーム……ありがと……」
アリスには過酷だがまだまだ登る必要がありそうだった。
「ここからまだ登るとなると、ここらで休憩した方が良さそうだな。少し早いけどここでお昼にしよう」
アリス以外にも疲労の色が見え始めていたので少し早いがお昼休憩を取る事にした。
食事を始めた4人は雑談をしながら食べていた。
「お、エイシェルはお昼にサンドイッチなんだ?まさか手作り?」
「あぁ、集合時間まで少し時間があったから籠を取りに戻ったついでに作ってきた。フルームが食べたいなら、多めに作ってきたから少しあげるよ」
「ほんと!やったぁ!」
「な!フルームずるい!わたしも気になってたのに!」
「へへん!言ったもん勝ちだもんね!」
エイシェルが籠の中に入れていた袋からサンドイッチを取り出し食べているとフルームとアリスが食べたそうにこちらを見ていた。
フルームにあげると抗議の声をあげるアリス。
やはりアリスも食べたかったのだ。
そして、エイシェルの予想範囲内である。
「あはは……それじゃあ、アリスもどうぞ」
「ほんと!?ありがとう!」
「フラムもどうだ?」
「あなたが食べる分は大丈夫なの?」
「たくさん作ってきたから大丈夫だ。是非食べてくれ」
「そう、ならせっかくだからいただくわね」
実はこんなこともあろうかとエイシェルは3人が食べる分のサンドイッチも用意してきたのだ。
3人用はさすがにそれだけだと少ないが、お昼を各自用意しているはずなので普段よりちょっと多いくらいになるだろう量を作ってきた。
……ちょっと多くてもアリスとフルームなら間違いなく食べるだろう。フラムも2人には及ばないが結構食べれるのだ。
「美味しい!このたまごサンドふわふわしてる!」
「ほんと美味しいわね!」
「野菜もシャキシャキしてて食感もいいわね、すごく美味しい」
「喜んでもらえてなによりだ」
エイシェルは笑顔で自分の作ったサンドイッチを頬張る3人をみてしみじみと思う。
自分が作った料理を食べてもらい、みんなが笑顔になるのが嬉しいのだ。
この旅が終わったら本格的に料理を始めてみようと密かに考えていた。
「ごちそうさまでした!美味しかったわ」
「アリスは……さらにおにぎり食べるのか……しかも大きいな」
アリスはサンドイッチを食べ終わると今度はおにぎりを頬張り始めた。
「お腹が減ってはなんとやらよ。それに、ここのおにぎり美味しいんだから!」
「私もそこのおにぎり2つ持ってきたよー。……さすがにアリスの持ってる巨大おにぎりじゃないけど」
「あなた達よく食べるわね……私はまたサンドイッチね。エイシェルのサンドイッチ食べた後だからか、ちょっと物足りないわね……」
アリスとフルームが追加でおにぎりを頬張る中、エイシェルとフラムはそれぞれ違うもののサンドイッチを食べる。
途中フルームがおにぎりを喉に詰まらせる事件があったが、それ以外は和やかに過ごせた。
「よし、食べ終わった事だしそろそろ登ろう。早く見つけて早く帰るぞ」
「「「おー」」」
4人ともお腹いっぱいになり満足したところで出発する事にした。
長いこと登ると木々が生えない岩肌地帯に到着する。木がない分見晴らしが良くなっていた。
すると、エイシェルが少し離れた木の影に何か見つけた。
「静かに!……多分あそこにいるな」
「どこどこ?」
エイシェルが指を指す先をマジマジと見つめるフルーム。しかし、なかなか見つけられないでいた。
「あそこのひとつだけ背の高い木の影にいる」
「あ、いた!」
「……でも近づいたら逃げられそうね」
「あれ親子じゃない?小さくてかわいいのもいる……ねぇ、エイシェル……?」
せっかく見つけたがアリスが親子であることが分かるとエイシェルに訴えかける。
あの鹿は見逃してあげてと言った目で見てくるのだ。
親の命を奪ってしまえば子供を守れなくなり子供もそのうち他の動物に食べられて死んでしまう。
かと言ってここで親子の命を奪うのはとても心苦しい。
どちらもあまり気持ちいいものではないためなんとかならないかとエイシェルに訴えかけたのだ。
しかし、エイシェルは聞いているのか突然弓を構え始めた。
「え、エイシェル……?」
「大丈夫。分かってるから。……知ってるか?鹿の角って毎年生え変わるんだ。あれだけ立派な角、しかも白くなってるからそろそろほっといても落ちる。片方の角だけ先に落としてもらおうと、思ってね!」
パシュッ!
エイシェルが矢を放つと見事に鹿の角が片方だけ吹き飛んだ。
驚いた鹿の親子は林の中へ逃げて行ったのだ。
「おれも流石にあの親子は狩れないかな。角だけならまた生えてくるから少し我慢してもらおう」
「エイシェル……。ありがとう、なんだけど。もうちょっと心の準備させてよ……大丈夫とは言われたけど、そんなすぐに射ると思わなかったから矢を放った時ドキッとしちゃったじゃない……」
「ごめんごめん、でもモタモタしてる方が危なかったからさ。草を食べ始めた瞬間を狙わないとすぐ動いちゃうからね」
「……相変わらず山の中だとデタラメね」
「あの距離一発っておかしくない?」
エイシェルが流れるように矢を放ち目的を達成できた。
エイシェルの腕前に唖然とするフラムとフルームをよそに意気揚々と角を回収しに行くエイシェルだった。
角を回収して戻ってくると何やら低い唸り声のようなものが聞こえた。
「ん?」
「エイシェル、どうしたの?」
「いや、なんか聞こえた気がして……」
グォォォォォ…………
「……遠くからなにか聞こえるわね。……ねぇ、エイシェル?わたしすごく嫌な気がするんだけど?」
「おれもすごく嫌な気がする……」
「あ!!」
「な、なによ!フルーム!びっくりするじゃない!」
エイシェルとアリスがお互いに嫌な予感がすると言っている中でフルームが突然何かを思い出したように声を上げた。
隣にいたフラムは気を張っていたのでフルームの声に驚き非難の声を上げる。
しかし、フルームが思い出したことは思い出すにはとても遅いものだった。
「……あー。依頼受ける時に南西の山ってなんか引っかかってたんだよねー。で、思い出したんだけど……ここにワイバーンいるって書いてあった……」
グオオォォォォ!
「「「なんで早く言わないのよ(んだ)!!!」」」
「だ、だってえ~」
フルームは依頼書をよく見る前にエイシェル達に却下された為あまりよくみていなかったのだ。
むしろ、それでも思い出した事を褒めて欲しいくらいだが、状況があまりにもよろしくない。
「まずい!早く山を降りないと遭遇するぞ!」
「ま、まって、そんな早く歩けない……」
「じゃあ籠の中に入って!」
「そんな無茶な!?」
「じゃあ抱えて走る!持ち上げるからごめん!」
「きゃっ!なっなっなっ~~~!?」
エイシェルが急ぎ山を降りようとするも、アリスの足が限界のようで、早く歩けない。
そこでエイシェルは焦っているからかわけのわからない提案をしてしまう。
アリスがつっこんだ後に、それならとエイシェルはアリスを抱えて走り出した。
……俗に言うお姫様抱っこである。
アリスは恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらも、エイシェルがあまりにも激しく走るため振り落とされないように抱きつくことしかできない。
ただ、抱きつくのも恥ずかしい。アリスは葛藤していた。
「アリスしっかりー」
「少しの我慢よー」
……この2人の前でこんな姿を見られたのはまずい。今後絶対イジられる!
こんな状況にも関わらずアリスは別の心配をしてしまうのだった。
グオオオオオオォォォォォォォォ!!!
そんな事を考えいるのもつかの間。
鳴き声がどんどん近づいてくる。
……と言うかもう真上を飛んでいた。
4人がそれに気づいた時には目の前の木木が上から薙ぎ倒され大きな身体が目の前を塞ぐ。
空からワイバーンが現れた。
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