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第三章 王都への旅
86.姉妹の絆
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気持ち悪いと言うフルームを部屋に運び込みベッドに寝かせると船が揺れるのを感じた。
どうやら出発したようだ。
フルーム以外はあまり揺れてなかったように感じてたが、出発し加速する時は多少揺れる。
「ありがと……みんなは船の中見てまわってて。少し休んでるから……」
「あ、私はフルームに付き添ってるから2人で先にまわってきてよ。私達は乗ったことあるし、後で初めて乗った感想でも聞かせてよ」
「そう言うことなら……じゃあアリス行こうか」
「うん。それじゃあ2人ともまたあとでね」
エイシェルとアリスはそう言うと部屋を出て船内を見てまわることにしたのだった。
「……お姉ちゃん、わかってるねぇ」
「何年一緒にいると思ってるのよ。あなたももう大丈夫なんでしょ?"前に"食べた時も似たような感じだったけど、さっき横になってからは顔色も良くなったじゃないの」
「うーん、正直まだそんなにだけど、甲板にいた時に比べたら全然だよ。それに、前食べた時よりお腹の気持ち悪さ治るの早いからクスリが効いたのかも?」
そう、2人はあのカレー屋で食べたことがあったのだ。フルームは前回も一番辛いものを食べて同じようなことになっていたが、フラムは前回は最初だからと普通の辛さを頼んだのだ。結果少し物足りなかったため、今回は1段階辛さを上げてみたのである。
そのため、フルームの体調が回復したのかも顔色でわかったのだ。
……前回は顔色が戻るのに一日かかっていたが。
それはさておき、フラムはまさかフルームがカレー屋の時点でエイシェルとアリスをふたりきりにするために動いていたとはと思い感心していた。
時間を作るとは言ったものの実際はノープランだったからだ。
ちょっと早い気もするが知らないところを2人で見て回るのは楽しいに違いない。
そう考えるとフルームが体を張って作ったこの状況はとても望ましい状況だった。
「それにしても、エイシェルとアリスをふたりきりにするために随分と体張ったわね?船酔いしたような演技もすごくそれっぽかったわ」
「え?なんのこと?」
「惚けなくても良いわよ?2人に気を遣ってわざわざ体調崩すほど辛いカレーを食べたんでしょ?」
「んん?」
「……あれ?」
前言撤回。何も考えてなかった。ただ辛いものを食べて身体を痛めつけただけのようだ。
フラムが感心していた気持ちを返してくれとばかりに残念な表情を浮かべるとフルームがフラムの言わんとしたことに気付き焦りだす。
「……はっ!そ、そうだよ!迫真の演技だったんじゃないかな!?」
「もう説得力ないわよ?どうせ前と同じで辛さの限界に挑戦して自爆してただけでしょ?感心して損したわ」
「ひどい!かわいい妹が苦しんでるのにその言い草はひどい!」
「……自業自得って言葉知ってるかしら?それにもう元気じゃないの」
「うっ……まぁ体調は戻ってきたけど……前食べた時は我慢してたけど丸一日くらい気持ち悪かったんだから……少しは心配してくれてもいいんだよ?」
「よくそんなものをまた食べようと思ったわね……」
フラムはフルームに呆れながらも違うことを考えていた。
前回カレーを食べた時に丸一日不調になったのに対して今回は回復が異常に早い。
もちろんメルカから貰ったクスリの効果かもしれないがあまりにも効きすぎな気がするのだ。
そうなった時に思い当たる事がひとつ。
(もしかして、ドラゴンの血の効果かしら……?確かに簡単な傷ならすぐに治るし……でもフルームも同じ状態か分からないし……)
「お姉ちゃん?」
「ん?あぁ、なんでもないわ。そうね、念のためにもう少し休んどきましょう。」
フラムが急に黙り込んだのを見て不審に思ったフルームはフラムに声をかけた。
考えている最中に声をかけられたフラムはまだ考えがまとまっていなかったため誤魔化すことにした。
いきなり他人と違う身体になったなんて言われても訳がわからないだろう。
フルームが本当に体調が悪かったようなので打ち明けるのはまた別の機会にしよう。そうフラムは考えたのだがそう言うわけにもいかなくなった。
「お姉ちゃんこそ、何年一緒にいると思ってるの?……なにか隠してるのは気付いてたけど、私にも関係があることなんでしょ?叔父さんと何か話してたよね?」
フルームは勘が鋭い。ちょっとした違和感から真意に迫る時すらある。
会って間もない人でも違和感から相手が何か隠しているかくらいは分かるのだ。
それを姉が相手なら尚更の事であった。
「きっかけはワイバーンの討伐。討伐し終わって叔父さんに呼び出された時。ううん、たぶんその時にはもう何かを知っていたはず。呼び出された時に何故呼び出されたのか分かってたような雰囲気だった」
「フルーム……」
「……叔父さんも話してくれないって事は私が知るべきじゃないのかもしれない。それならそれでもいい。今は言えるか言えないかだけでも教えて。なんかこう……多分隠されてるみたいな中途半端なのが気持ち悪いから」
フラムは正直驚いていた。フルームの洞察力がここまでだとは思わなかったのだ。
それともう一つ。話しているフルームがとても寂しそうだったのだ。いつも元気に明るく能天気に振る舞うフルームが今にも泣きそうな顔に見えた。
実際の表情はそんな事はないのかも知れない。
だが、姉妹だからか、相手の気持ちが分かってしまうからか、そんな顔に見えたのだ。
フルームに寂しい思いをさせてしまったと思ったフラムは話すことを心に決めた。
「……分かった、話すわ。正直なところ、話そうとは思っていたんだけど話すタイミングが分からなかったの。……結構ショックな事だから覚悟して」
「……2人して私に隠してたくらいだもん。多少のことは覚悟してる」
「そう……」
フルームの覚悟を聞いたフラムはおもむろにナイフを取り出し……自分の手のひらを傷つけた。
「お、お姉ちゃん!?」
「……見てて」
フラムの言う通りにフルームがフラムの傷ついた手のひらを見る。
フラムが持っていた布で滲み出た血を拭った。
すると、そこにあったはずの傷が綺麗さっぱりなくなっていたのだ。
「え……」
「ドラゴンの血を飲んだ効果、って言えば良いのかしら?小さな傷ならすぐ治るの。おじさんがずっと若いのもドラゴンの血を飲んだからなんだって」
「ドラゴンの血……ってまさか!?」
「そう、おじさんは20年前にドラゴンを討伐した時に。私達も一昨日倒したワイバーン……ドラゴンの幼体を討伐した時に血を飲んだ。たぶんフルームも同じ事になってると思う」
「ほぉー……それならそうと言ってくれても良かったのに」
「他の人と違う身体になった事をあまり話さないほうがいいっておじさんがね。フルームに話してなかったのは私自身気持ちの整理が出来てなかったからうまく伝えられるか分からなかったの」
本当か知らないがバレると人体実験とかフラターに言われていたこともあり、念のため他の人には知られないようにする必要がある。
ただ、フラム自身そこまで重要なこととは思えないのだ。自分が納得できない事を説明したところで納得感など無い。
フラターが強く注意してきた意味を図れないでいた為にフルームへの説明を先延ばしにしていた。
その事をフラムに話すと真剣な面持ちで話し始めた。
「……なるほどね。ドラゴンの血を飲めば簡単に長寿になれるけど、ドラゴンなんていつ出てくるか分からないし、出てきたとしても普通血なんて手に入らないもんね。……そうなったら既にいるサンプルを調べて違いを見つけたほうが早いって考えるか……」
フルームはフラターが他人に知られないようにと言った理由が理解できた。
人には黒い部分がある。自分の目的のためだったら手段を選ばない人だっているのだ。
そうなると困ったことが出てくる。
「今は良いけど将来的にバレるリスクが高くなるね。叔父さんみたいにいつまでも若いって事でしょ?そうなると同じ街にずっと居続けるのは危ないから街を転々と移らないといけないかもね……」
「……案外普通に受け入れるのね」
「ん?だってなっちゃったものは仕方ないし……お姉ちゃんがいるからね。そりゃあひとりだけそうなってたらどうなってたか分からないけど、お姉ちゃんも一緒なんだって思ったらそこまで不安はないかな?」
「フルーム……」
思ったよりもすんなり受け入れるフルーム。
理由を聞いてフラムはやはり姉妹なんだなと感じた。
フラムも最初にフラターから話を聞いた時はそこまで不安を感じていなかった。
同じ境遇の仲間がいるからだ。
だが、いざフラターと離れフルームに説明しようと思うと様々な事が頭を巡り不安になった。
普通の人と比べ歳の取り方がゆっくりになり、簡単な怪我は最初から無かったかのようにすぐ治る。
これからの人生で何かしら組織に所属する事になるだろう。
果たしてその中に溶け込めるのか?
バレずに生活を続けられるか?
将来結婚出来るのか?
子供を産んだら子供も同じ事になるのか?
……実はフルームは血を飲んでなくてひとり寂しく生きる事になるのか?
そんなことを考えてしまい不安になっていたのだ。
そんなフラムだからこそ、フルームには不安な思いをさせたくないと思ったのだ。
今は仲間がいるから不安はない。
それならずっと一緒にいてあげれば良い。
とてもシンプルなことだったのだ。
フラムがそんなことを考えているとフルームがハッとした表情で喋る。
「あ……、でも、まだわかんないんだよね?ちょっとナイフで……ぴっ……と」
まだ本当にドラゴンの血の効果がフルームにも現れているのかわからない。
証明するためにとフルームは利き手と反対の手のひらをナイフで傷つけた。
血が滲む手のひら。それをフラム同様に血を布で拭った。
すると、思った通り傷が無くなっているのだ。
この時フラムは複雑な気持ちだった。
一緒だと言う安心感。フルームも同じだと喜んでしまった事への罪悪感。
どちらかと言うと罪悪感の方が強く後ろめたい気持ちになっていた。
その気持ちを汲み取ったのかフルームがフラムに話しかける。
「お姉ちゃん、大丈夫だよ?これからの事は一緒に考えていこう?」
「うん……!」
姉妹の絆はより強いものとなったのであった。
「……ところで、あの2人今頃何してるかな?チューとかしてたりして!」
「……あなたねぇ……流石に早すぎるんじゃないかしら?きっとまだ手も繋いでないんじゃないかと……」
どんな状況になろうともいつもの姉妹のままであった。
どうやら出発したようだ。
フルーム以外はあまり揺れてなかったように感じてたが、出発し加速する時は多少揺れる。
「ありがと……みんなは船の中見てまわってて。少し休んでるから……」
「あ、私はフルームに付き添ってるから2人で先にまわってきてよ。私達は乗ったことあるし、後で初めて乗った感想でも聞かせてよ」
「そう言うことなら……じゃあアリス行こうか」
「うん。それじゃあ2人ともまたあとでね」
エイシェルとアリスはそう言うと部屋を出て船内を見てまわることにしたのだった。
「……お姉ちゃん、わかってるねぇ」
「何年一緒にいると思ってるのよ。あなたももう大丈夫なんでしょ?"前に"食べた時も似たような感じだったけど、さっき横になってからは顔色も良くなったじゃないの」
「うーん、正直まだそんなにだけど、甲板にいた時に比べたら全然だよ。それに、前食べた時よりお腹の気持ち悪さ治るの早いからクスリが効いたのかも?」
そう、2人はあのカレー屋で食べたことがあったのだ。フルームは前回も一番辛いものを食べて同じようなことになっていたが、フラムは前回は最初だからと普通の辛さを頼んだのだ。結果少し物足りなかったため、今回は1段階辛さを上げてみたのである。
そのため、フルームの体調が回復したのかも顔色でわかったのだ。
……前回は顔色が戻るのに一日かかっていたが。
それはさておき、フラムはまさかフルームがカレー屋の時点でエイシェルとアリスをふたりきりにするために動いていたとはと思い感心していた。
時間を作るとは言ったものの実際はノープランだったからだ。
ちょっと早い気もするが知らないところを2人で見て回るのは楽しいに違いない。
そう考えるとフルームが体を張って作ったこの状況はとても望ましい状況だった。
「それにしても、エイシェルとアリスをふたりきりにするために随分と体張ったわね?船酔いしたような演技もすごくそれっぽかったわ」
「え?なんのこと?」
「惚けなくても良いわよ?2人に気を遣ってわざわざ体調崩すほど辛いカレーを食べたんでしょ?」
「んん?」
「……あれ?」
前言撤回。何も考えてなかった。ただ辛いものを食べて身体を痛めつけただけのようだ。
フラムが感心していた気持ちを返してくれとばかりに残念な表情を浮かべるとフルームがフラムの言わんとしたことに気付き焦りだす。
「……はっ!そ、そうだよ!迫真の演技だったんじゃないかな!?」
「もう説得力ないわよ?どうせ前と同じで辛さの限界に挑戦して自爆してただけでしょ?感心して損したわ」
「ひどい!かわいい妹が苦しんでるのにその言い草はひどい!」
「……自業自得って言葉知ってるかしら?それにもう元気じゃないの」
「うっ……まぁ体調は戻ってきたけど……前食べた時は我慢してたけど丸一日くらい気持ち悪かったんだから……少しは心配してくれてもいいんだよ?」
「よくそんなものをまた食べようと思ったわね……」
フラムはフルームに呆れながらも違うことを考えていた。
前回カレーを食べた時に丸一日不調になったのに対して今回は回復が異常に早い。
もちろんメルカから貰ったクスリの効果かもしれないがあまりにも効きすぎな気がするのだ。
そうなった時に思い当たる事がひとつ。
(もしかして、ドラゴンの血の効果かしら……?確かに簡単な傷ならすぐに治るし……でもフルームも同じ状態か分からないし……)
「お姉ちゃん?」
「ん?あぁ、なんでもないわ。そうね、念のためにもう少し休んどきましょう。」
フラムが急に黙り込んだのを見て不審に思ったフルームはフラムに声をかけた。
考えている最中に声をかけられたフラムはまだ考えがまとまっていなかったため誤魔化すことにした。
いきなり他人と違う身体になったなんて言われても訳がわからないだろう。
フルームが本当に体調が悪かったようなので打ち明けるのはまた別の機会にしよう。そうフラムは考えたのだがそう言うわけにもいかなくなった。
「お姉ちゃんこそ、何年一緒にいると思ってるの?……なにか隠してるのは気付いてたけど、私にも関係があることなんでしょ?叔父さんと何か話してたよね?」
フルームは勘が鋭い。ちょっとした違和感から真意に迫る時すらある。
会って間もない人でも違和感から相手が何か隠しているかくらいは分かるのだ。
それを姉が相手なら尚更の事であった。
「きっかけはワイバーンの討伐。討伐し終わって叔父さんに呼び出された時。ううん、たぶんその時にはもう何かを知っていたはず。呼び出された時に何故呼び出されたのか分かってたような雰囲気だった」
「フルーム……」
「……叔父さんも話してくれないって事は私が知るべきじゃないのかもしれない。それならそれでもいい。今は言えるか言えないかだけでも教えて。なんかこう……多分隠されてるみたいな中途半端なのが気持ち悪いから」
フラムは正直驚いていた。フルームの洞察力がここまでだとは思わなかったのだ。
それともう一つ。話しているフルームがとても寂しそうだったのだ。いつも元気に明るく能天気に振る舞うフルームが今にも泣きそうな顔に見えた。
実際の表情はそんな事はないのかも知れない。
だが、姉妹だからか、相手の気持ちが分かってしまうからか、そんな顔に見えたのだ。
フルームに寂しい思いをさせてしまったと思ったフラムは話すことを心に決めた。
「……分かった、話すわ。正直なところ、話そうとは思っていたんだけど話すタイミングが分からなかったの。……結構ショックな事だから覚悟して」
「……2人して私に隠してたくらいだもん。多少のことは覚悟してる」
「そう……」
フルームの覚悟を聞いたフラムはおもむろにナイフを取り出し……自分の手のひらを傷つけた。
「お、お姉ちゃん!?」
「……見てて」
フラムの言う通りにフルームがフラムの傷ついた手のひらを見る。
フラムが持っていた布で滲み出た血を拭った。
すると、そこにあったはずの傷が綺麗さっぱりなくなっていたのだ。
「え……」
「ドラゴンの血を飲んだ効果、って言えば良いのかしら?小さな傷ならすぐ治るの。おじさんがずっと若いのもドラゴンの血を飲んだからなんだって」
「ドラゴンの血……ってまさか!?」
「そう、おじさんは20年前にドラゴンを討伐した時に。私達も一昨日倒したワイバーン……ドラゴンの幼体を討伐した時に血を飲んだ。たぶんフルームも同じ事になってると思う」
「ほぉー……それならそうと言ってくれても良かったのに」
「他の人と違う身体になった事をあまり話さないほうがいいっておじさんがね。フルームに話してなかったのは私自身気持ちの整理が出来てなかったからうまく伝えられるか分からなかったの」
本当か知らないがバレると人体実験とかフラターに言われていたこともあり、念のため他の人には知られないようにする必要がある。
ただ、フラム自身そこまで重要なこととは思えないのだ。自分が納得できない事を説明したところで納得感など無い。
フラターが強く注意してきた意味を図れないでいた為にフルームへの説明を先延ばしにしていた。
その事をフラムに話すと真剣な面持ちで話し始めた。
「……なるほどね。ドラゴンの血を飲めば簡単に長寿になれるけど、ドラゴンなんていつ出てくるか分からないし、出てきたとしても普通血なんて手に入らないもんね。……そうなったら既にいるサンプルを調べて違いを見つけたほうが早いって考えるか……」
フルームはフラターが他人に知られないようにと言った理由が理解できた。
人には黒い部分がある。自分の目的のためだったら手段を選ばない人だっているのだ。
そうなると困ったことが出てくる。
「今は良いけど将来的にバレるリスクが高くなるね。叔父さんみたいにいつまでも若いって事でしょ?そうなると同じ街にずっと居続けるのは危ないから街を転々と移らないといけないかもね……」
「……案外普通に受け入れるのね」
「ん?だってなっちゃったものは仕方ないし……お姉ちゃんがいるからね。そりゃあひとりだけそうなってたらどうなってたか分からないけど、お姉ちゃんも一緒なんだって思ったらそこまで不安はないかな?」
「フルーム……」
思ったよりもすんなり受け入れるフルーム。
理由を聞いてフラムはやはり姉妹なんだなと感じた。
フラムも最初にフラターから話を聞いた時はそこまで不安を感じていなかった。
同じ境遇の仲間がいるからだ。
だが、いざフラターと離れフルームに説明しようと思うと様々な事が頭を巡り不安になった。
普通の人と比べ歳の取り方がゆっくりになり、簡単な怪我は最初から無かったかのようにすぐ治る。
これからの人生で何かしら組織に所属する事になるだろう。
果たしてその中に溶け込めるのか?
バレずに生活を続けられるか?
将来結婚出来るのか?
子供を産んだら子供も同じ事になるのか?
……実はフルームは血を飲んでなくてひとり寂しく生きる事になるのか?
そんなことを考えてしまい不安になっていたのだ。
そんなフラムだからこそ、フルームには不安な思いをさせたくないと思ったのだ。
今は仲間がいるから不安はない。
それならずっと一緒にいてあげれば良い。
とてもシンプルなことだったのだ。
フラムがそんなことを考えているとフルームがハッとした表情で喋る。
「あ……、でも、まだわかんないんだよね?ちょっとナイフで……ぴっ……と」
まだ本当にドラゴンの血の効果がフルームにも現れているのかわからない。
証明するためにとフルームは利き手と反対の手のひらをナイフで傷つけた。
血が滲む手のひら。それをフラム同様に血を布で拭った。
すると、思った通り傷が無くなっているのだ。
この時フラムは複雑な気持ちだった。
一緒だと言う安心感。フルームも同じだと喜んでしまった事への罪悪感。
どちらかと言うと罪悪感の方が強く後ろめたい気持ちになっていた。
その気持ちを汲み取ったのかフルームがフラムに話しかける。
「お姉ちゃん、大丈夫だよ?これからの事は一緒に考えていこう?」
「うん……!」
姉妹の絆はより強いものとなったのであった。
「……ところで、あの2人今頃何してるかな?チューとかしてたりして!」
「……あなたねぇ……流石に早すぎるんじゃないかしら?きっとまだ手も繋いでないんじゃないかと……」
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