ジェミニ 〜魂の契約者達〜

えいりす

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第四章 王都防衛戦

157.情報整理(王都)

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 4人は適当に宿を取り少し休んだ後、エイシェルの部屋に集まっていた。

「今日は大変だったな」

「昨日今日と休みなしだったからね……昨日の方がマシだったよ」

「昨日は昨日で移動が大変だったけど……」

「アリスはもうちょっと体力をつけた方がいいわよ……」

 集まった4人は最初こそ歓談していたが、フラムが気になっていたことを切り出す。

「そういえば、あのドラゴンが現れた時どこに居たの?ふたりのことだからあんなのが現れたら真っ先に駆けつけると思うんだけど」

「その事なんだが、話しておきたいことがあるんだ」

 エイシェルはちょうど良いとばかりにフラムとフルームに説明を始めた。



 クレープ屋でディル達に会ったこと。ディルが落とした宝石を拾おうとしたら空山へ転移させられた事。祖龍に殺されかけた事。今回の騒動は祖龍が絡んでいること。そして、王都内部に黒幕がいる恐れがあることを伝えた。

「そんなことが……」

「無事に帰ってこれて良かったよ……」

 フラムとフルームはエイシェル達の話を聞いて素直に無事で良かったと思った。そして、これからの戦いにおいて注意しなければならない明確な敵の出現に気を引き締める。ただ、何故祖龍が今回のような騒動を引き起こしたのか、何故エイシェル達を狙ったのかが疑問であった。

「ねぇ、祖龍が襲ってきた理由って分からないの?」

 フラムがエイシェルに訊ねる。フラムはエイシェルから最初は会話が出来ていた事を説明されていた。そこから一方的に襲ってくるようになる為には何か理由があるはず。フラムはそう考えたのだ。

「理由っていっても……。最初は辺りの霧を吹き飛ばす為に魔法を使ったから、それが攻撃だと思って襲ってきたんだと思う。その後は勇者と魔王って話になって……何故か怒ってた。何度も現れては討伐しに来たって」

「何度も討伐にきた……?それ、誰かと勘違いしてない?」

 エイシェルの説明にフラムが口を挟む。エイシェルとアリスは勇者と魔王の生まれ変わりらしいが、今の今までずっと一緒に旅をしてきたのだ。隠れてドラゴン退治なんてしている時間はなかった。

「……多分、昔の勇者と魔王の事だと思う。色がどうとか言ってた気がするから、多分ステラの言っていた魂の色なのかなと」

 アリスが推測をする。今まで経験した情報から察するにそういう事だろう。……身に覚えのない事で恨まれるのは困るが。

「あとは……神に会ったことがないって言ったら急に話を聞いてくれた」

「……神様って会えるもんなの?」

「そもそも実在するのかしら?」

 エイシェルが話を続けるとフルームとフラムが懐疑的な反応をする。神頼みなどあまりして来なかったふたりはその存在を信じていなかった。
 ただ、エイシェルには思い当たる人物がいる。あの飛んできた槍から聞こえた声の主、オージンを思い浮かべていた。
 
(おっちゃん……。普通に食べるし寝るし、ケガもするし。普通の人間としか思えないけど……いや、あれが神って……なんかやだな……)

 エイシェルは普段オージンと仲が良い。だがそれが神様として受け入れられるかと言われると否である。普段から筋肉しか頭に無いような人がこの世の神と分かれば暴動でも起きかねない。そんな事を考えていた。

「エイシェル?ぼーっとしてるけど大丈夫?」

「あ、あぁ……ちょっと考え事してた……」

 フルームに心配され現実に戻る。話が逸れるからまた後で考えよう。エイシェルはそう心に決めるのだった。

「それで、神様と会った事がないって言ったら話ができたんでしょ?」

「あぁ、そこで何故勇者と魔王が一緒にいるのかを聞かれた。……今までは一緒に現れると必ず討伐する為に来てたらしいからな」

 全く身に覚えがないが。

「それで、ジェミニの魔法の解き方、魔法を無くす方法、ドラゴンの血の効果を消す方法を聞いたんだ。そしたらまた襲ってきた」

「いやいやいや、ドラゴンにドラゴンの血の効果の話しちゃ怒るでしょう!?」

 エイシェルが話すとフルームが何をしてるんだとばかりに驚く。普通に考えて同族を殺しましたと言っているようなものだ。それなら攻撃されても仕方がない。そう思ったがアリスが捕捉する。

「そう思うでしょ?でも、そこは全然関心がない風だった」

「……そうなのね。でもそれならなんで襲ってきたのかな」

 フルームが頭を悩ませているとアリスが思いついた事を話す。

「……今ならわかる。魔法を無くすって言った時に"そうきたか"って言ってた。つまり祖龍としては魔法を無くされると困るって事だと思う」

 結局、魔王がやろうとしていたことに全てが繋がるらしい。それなら手っ取り早く魔王から答えを聞きたいところだが、それを答えて仕舞えば魔王はまたアリスの中へ引っ込んでしまう。せっかく協力してくれる気になっていろいろアドバイスがもらえているのだから、全員まだ魔王がアリスの中に戻るのは早いと思っていた。

「魔法を無くしてどうしたかったのか答えを聞く為にも早くステラに新しい転魂箱を用意してもらわないとな。いざ魔法を無くして祖龍が少し困る程度だったらこっちが詰むし」

 エイシェルの言う通り祖龍は魔法を無くすのを嫌がっているように感じる。ただ、どの程度なのかどんな影響があるのかがわからない為迂闊に行動はできないのだ。
 また、情報を整理していくうちに気になることが出てきている。確認できるところは確認するべきだろう。

「それに、祖龍が言っていた過去の勇者と魔王の話も気になる。魔王はこの話何か知らないか?」

『…………』

「ん?魔王?」

 エイシェルが魔王に話を振る。アリスが質問をしなければ答えられるはずだからだ。しかし、何故か魔王からの返答はなかった。

「そういえば、さっきからずっと黙ってるわね」

「それちょっと思ってた。魔王さんどうしたんだろ?」

「ちょっと?わたしは下手に話しかけられないんだから……え?」

 アリスがそう言いながらカバンを開けると魔王の転魂箱が光っていた。それは先ほどエイシェルが使った死者蘇生の魔法の光と似ている。

「なにこれ……?」

 なにこれ?そのままの感想である。魔王が入った転魂箱が光っている。ただ、アリスはなんとなく魔王がまだその箱の中にいるような感覚があり、無事そうだと確信できた。だからこそ返事がない事に違和感を覚えたのだ。
 アリスはとりあえず箱を取り出し机に置く。すると突然その光を増した。その光はみるみるうちに大きくなり、気づけば人の形をしている。光が収まったと思った時には目の前に知らない人が立っていた。

「ふふふ……あははははは!」

 高らかに笑う黒髪ロングの女性。服は黒いワンピースを着ており、よく見るとアリスのワンピースとデザインが似ていた。
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