最前線のブークリエ

甲斐根澤 鳥栖丹

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第خ守 救世主降臨。

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-----------???---------------

「失礼します。マスニエル様。」

ボロ着のローブを纏った長髪の男性がそう言いながら扉を開ける。

「……どうぞ。」

その部屋には左右後方壁一面に本棚が敷き詰まっており。少々奥行きがあり、中心にはカウンターのような机と椅子のみがあり、そこに魔導書を読むマスニエルの姿があった。

「今回はどのようなご要件でございますか?」

「……ダイノーンがやられた。」

「ダ、ダイノーンがですか?!」

ボロ着の男に背を向けていたマスニエルが男の方へ目を向ける

「あぁ。少々私も想定外だ。あの超防御。高火力。そして超巨体を兼ね備えた黒騎士を倒したライガー族。甘く見ていた。」

マスニエルは拳をグッと強く握り怒りの表情を見せた。

「そこで、お前を呼んだのだ。。お前は魔物の軍勢を連れ、ライガー族の村を破壊しに行け。」

「はっ!了解であります!このトニーギス。あなた様の願いとあらば。」

トニーギスはその場に跪き、マスニエルに敬意を見せた。

「ふふっ。さぁ、行け!全てはアズル様完全復活のため!!」

そうマスニエルが命令するとトニーギスは黒い霧と共に姿を消した。

「あぁ……!アズル様!このマスニエル!必ずあなた様を……」

マスニエルは机の上に飾られている小さな絵画に手を合わせた。

----------トグローフ村----------

「あぁ……私たちの村はどうなっているのだろうか………」
「せめて村の紋章くらいは残っていないだろうか……」
「いや、それが一番残ってないだろう。家の炭だけさ……どうせ。」

ゾロゾロと森の中を謎の集団が歩いている。
サーリセルカと同じ種族、ライガー族の仲間たちだ。
みな落ち込んだような表情で村へと向かっていた。

「………さぁ、皆のもの。もう直ぐで我々の村だ。少しでも残っている物質を回収するぞ。」

先頭の村長らしき人物がそう告げた。
各々が悲惨な状態の村のを想像し、冷や汗を垂らしたり、目を瞑るものなどがいた

「さぁ、トグローフ村に到着だ…………な!?」

先に森から顔を出した村長が村を見た途端口を大きく開け、驚愕する。

「一体どうなって…………」
「な、なんで……?」
「これは……!」

村長だけでなく皆口を開け驚愕する。

「む、村が…………無事だ……!」

そう。村は形を留めており、彼らが村を出ていったときと全く変わっていなかった。

「な、なんでだ!」
「幻覚……幻覚か?」
「もしかして襲撃の日にち間違えたのかしら……」

何故か残っている村を目指し、ライガー族達は歩き始める。

「お、おい!傷跡1つもねえぞ!!どうなってんだ!?」
「まさか本当に日にちを間違えたのでは……」

ライガー族達は村内に入ると、待ったく傷跡がない地面や家屋を見て、更に驚愕する。

「おい!誰かこっちに歩いて来てねぇか?!」

一人のライガー族が奥に続く道を指さした。
ライガー族達はそちら側に振り向き警戒体制に入った。

「この資材……まだ使えそうだけど捨てちゃうの?」

「うん。どうせそがな端っこのほう使わんし、えいぜよ。」

奥の方から現れたのは大量の角材を担いだ万と、捕獲ネットが入った木製のバケツを両手で持っているサーリセルカだった。

「ん?なんだー?敵かー?」

万が目を凝らし、ライガー族の集団を見る。
サーリセルカは万の見た方向を見るとライガー族の仲間だとゆうことがわかった。

「ん?あっ!秀映さん!あれうちの仲間ちや!おーい!みんなー!」

サーリセルカはそう言うと、手を大きく振り、仲間達に向かって走っていった。

〈サ、サーリだ!サーリセルカだ!〉

ライガー族の一人がサーリセルカを指さし、仲間に聞こえるように大声で言った。

〈みんな!ただいま!そしておかえり!〉

サーリセルカは笑顔でみんなにそう言った。

〈サーリ!サーリ!良かった!生きてたのかい!!〉

そう言いながらみんなを跳ね除けて出てきたのは腰まで伸びた金色の髪を持ち、若々しい顔を立ちの女性ライガー族だった。

〈ちょ、ちょっと母さん!くっつきすぎ!離れて~!〉

「なんだ、なんだ~。サーリちゃんの仲間か~」

万はそう言いながらサーリセルカ達に近づいた。

「そうぜよ!トグローフ村のライガー族のみんなあ!うちの仲間らぁ!」

サーリセルカは母親に抱きつかれながらそういった。

〈あの~……あなたは?〉

「え?なんて?」

ライガー族の一人が万にそう言うが、伝わらなかった。

〈村長さん。この人は人間族の秀映さん!こないだの襲撃から守ってくれたの!〉

サーリセルカがそう言うと、みんながざわざわとし始める。

「な、なあサーリちゃん。それ何語?」

「あぁこりゃライガ語よ!うちらのライガー族の共通言語なが!」

サーリセルカはそう言うと、えっへんと何故か胸を張ってみせた。

〈人間族?!しかも襲撃を跳ね除けた?!〉
〈信じられん……あの人間族が??〉
〈てかあいつ人間か?デカすぎだろ……〉

「万さ~ん……サーリさ~ん…これどこに持ってけばいいの~……?」

するともう一人、道の奥から現れた。
その姿はかなりの長身で色白。普通の人より細く、薄着で手足に包帯を巻かれた超絶美形の女の子?だった。

〈な……デッカ!!〉
〈ほっっっっっっそ!!〉
〈声低!かわ……!!〉

と、ライガー族が更にざわざわし始める。

「あぁ。その水はあっちの小屋に持っていってくれ。ダイノ。」

「は~い。ご命令とあらば。」

と、長身の人物は来た道を戻っていった。

〈サ、サーリ。あの人は……?〉

と、ライガー族の一人がサーリセルカに質問する。

〈あの人はダイノ。ここに来た元ブラック・ナイトよ。〉

その言葉にライガー族は慌て始めた。

〈みんな!落ち着いて。大丈夫。もう秀映さんがしつけて、この村には悪さしないから。〉

その言葉に半信半疑になりつつも、仲間達は少し落ち着いた。

「後で皆さんに謝らせるって言っておいて。」

万はサーリセルカの耳元でそういった。

「あいよ。」
〈後でみんなに謝らせるから!その間は私と秀映さんで押さつけておくね。〉

そう言うと、みんなは少し安堵した。
すると、村長がおほん。と咳払いをして、万に話しかけた。

「君……秀映くん言うたかえ?襲撃を防いだがかい?」

「おお。急に日本語……そうです。万秀映です。ご勝手ながらトグローフ村の守護をさせていただきました。」

そう言うと、万は村長に向って敬礼をした。

「……何をしてくれたがや君は!!」

直後。村長が万を怒鳴りつけた。
その声にここにいた全員がビクッと体を跳ねらせた。

「な、何してくれたって……」

「どいて村を守ったがや!!どいてブラック・ナイトを倒したがや!!これでは村が更にはひどいことになるじゃないか!!しかも生きちゅーならなおさら!裏で通達されちゅーかもしれんろ!!」

と、怒りの表情で万を怒鳴りつけた。

〈ちょ、ちょっと村長さん!まずはありがとうとか……〉

〈サーリセルカは黙ってなさいっっっ!!〉

〈ひいっ!!〉

村長がサーリセルカにも怒鳴ると、再び万の方を向いた。

「おんしのせいで村がほんまに跡形ものう消えてしまうじゃないか!次の襲撃はおんしの力じゃどうにもならん相手ぞ!」

そう言うと、村長はライガ語で村から出るぞ的な事を仲間に告げた。
すると万はパアアン!と空にも響くようなハンドクラップをした。

「そう言うと思って!第二の襲撃に備える準備ができていますよ!村長さん!」

万は村長にニヤリとした表情をみせた。

「なに?人間の君が?どうするがで?」

村長は怪しむ表情をした。

「えぇ。人間ですけど、やれることはやりますよ。刀鍛冶はいますか!」

万がライガー族に向かってそう言うと、一人の男性が〈私だ。〉といい、仲間の中から出てきた。

〈刀鍛冶のヴァンハセルカ。サーリセルカの父だ。〉

その男はオールバックの黒と金が混じった髪色をした、筋骨隆々の男だった。

「ほう……なんて言ったかわかんないけど、サーリセルカとヴァンハセルカって単語は聞こえたぜ!サーリちゃんのお父さんか?なら話は早い。」

万はニヤリと笑みをこぼした。

------------2日後------------

「……そろそろ来るはずだ。」

万はただ一人。松明が2本灯る門の前に立っていた。
トグローフ村は静かに明かりを放っているだけだった。

「……」

万は今日話したことを思いだす。






「ブラック・ナイトはどうゆうやつらなんですか?」

万はサーリセルカの父に質問した。

「あいつらはクズや。村や街を奪うなら手段を選ばん。」

ヴァンハセルカは作業しながらそう答えた。

「ほう。例えばどんなですか?」

「……殺すらぁて当たり前。家を燃やすがも当たり前。宝や物資は奪われ、子供や老人を『遊び』と称して極悪な拷問にかける。おなごとかわいい男は奴らの慰みものになったち聞いた。」

「……それはぁ、酷いですね。」

万はまぁ、そうなるかと思いながら真剣な趣でヴァンハセルカの話を聞く。

「わしらも捕まって奴隷にされる。飯も与えられんと、一生働かされる。病気にかかってもねや。さらに酷いがは奴らの仲間や。ゴブリンやリザードマン。あいつらは人の妻を身動きができん旦那の前で犯す。ほんでその旦那を殴ったりする。……うっ。」

と、ヴァンハセルカは青ざめた顔で口を押さえる。

「す、すみません!ヴァンハセルカさん……色々聞いてしまって、そんなことをするやつらなんですね……」

そして万は自分の拳をギュッと固く握る。

「じゃあヴァンハセルカさん…………奴らはと、いうことですか?」

その質問にヴァンハセルカはため息をついた。

「殺せるものなら殺いてみぃ……ほら。できたがじゃ。あとはこれを研磨する。それで完成や。」

と、万に両刃の剣を見せた。

「おぉ!さすがの腕前!ありがとうございます。では……殺しても良いとの事で。」

万はニヤリとマスク越しに笑って見せた。









「……俺はブークリエ。人類最高到達点。殺せるものなら殺してみろ!!」

万が森に向かってそう叫んだ。
すると森の奥からゾロゾロと大量の足音が聞こえて来た。

『グガアィ……』

そう鳴き声をあげて出てきたのは黒い鎧を身にまとったリザードマン。ざっと数えて40以上の軍勢だった。

「これは……学ばねぇな。正面突破なんて。」

そう言うと万は盾とヴァンハセルカが作った剣を構える。

「さぁ!来いゴミ共!!この秀映サマが相手してやるぜ!!」

万がリザードマンの軍勢にそう叫ぶ。
するとリザードマンは雄叫びをあげ万に襲いかかる。

『グガアアアアィ!!』

「アホかぁぁぁぁぁ!!」

そう言うと万は先頭のやつに剣を投げつける。

『オグゥゥッッ!』

見事に切っ先が顔面に命中しそのまま刀身が顔の中に入っていく。
そして一体はその場にバタンと倒れた。

『グシャアアアィ!』

「そりゃ、1人やられただけじゃ怯まねぇよな!!残念!俺は剣と縦だけじゃねぇぞ!!」

と、万はホルダーからかなり大きい万専用のリボルバーを取り出した。

ズパンッ!ズパンッ!!

万のリボルバーは遠くにも聞こえるような銃声を響かせ、リザードマン達を一掃していく。

『シャアアア!!』

それでも怯まないリザードマンは万に襲いかかろうとする。
が、

「フンッ!!」

『ブギィ?!』

襲いかかったやつの槍を避け、顔面を思いっきりぶん殴る。

「さぁ!どうした!!かかってこいっ!この村を制圧してみせろ!!この万秀映様を倒せたらなぁ!」

万は残ってるリザードマンの軍勢にそう叫ぶ。
するとリザードマンは一斉に万に襲いかかった。


【あとがき】

お久しぶりです。甲斐根澤です。
TRPG楽しくて更新するの忘れてました。
申し訳ない。

面白かったら応援よろしくお願いします!







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