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第一話
しおりを挟む夜ご飯の途中いつも急に始まる祖父の説教。
皿にあるものを急いで食べる。
まだ食べ足りないが、こうなったら仕方ない。
自分の身を守るためだから。
「ごちそうさまでした」
皿を水につけて、サッとリビングを出る。
自分の部屋に直行して、勉強道具をだす。
本を出し入れするガサガサッという音が無くなった途端、耳に入ってくる祖父の声。
あぁ。うるさい。
ヘッドホンを取り出し、お気に入りの音楽をかける。
最近のお気に入りは、歌、と言うよりも、歌ってみたをしている歌い手さんだ。
この歌い手さんは、怒鳴るように歌う歌が似合うと思う。悪魔で個人の意見だが。
腹から。気持ちよさそうに叫ぶ声を聞いて、自分の心の悲鳴を代わりに叫んでくれているような、そんな気持ちになる。
『『 』』
祖父の声が頭に響く。
「「
それに続いて、母の泣きそうな声…
が、したかと思うと、
『『 』』
その言葉に重ねるように、また聞こえてくる祖父の声。
スマホに手を伸ばし、音量を2つ上げる。
『『 』』
「「 」」
『『 』』
まだ。まだ聞こえる。
再びスマホに手を伸ばし、音量を2つ上げる。
『『 』』
「「 」」
まだ。まだ。まだ聞こえる。
うるさい。うるさい。
再びスマホに手を伸ばし、音量を2つ上げる。
『『 』』
あぁぁぁぁああぁぁぁぁあああああ
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
うるさい!!
音量をMAXにする。
耳がキーンとするのを感じて、
咄嗟にヘッドホンを投げ捨てるようにとった。
耳の痛みが引いていくのと同時に、聞こえてくる、現実の祖父の声。
立ち上がって、放心した状態でいたが、涙が頬を伝うのを感じて、その場にしゃがみこむ。
それでもなお音を拾うのをやめない耳。
クローゼットの中に転がり込むように入る。
タンスの裏の隙間に入り、ハンガーにかかってる服をかき分けて間に入り込む。
私は両手で耳を塞いで膝の間に頭を抱え込んだ。
いつからだろう。
こんなにも祖父の声に苛立ちと恐怖を感じるようになったのは。
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