至宝のオメガ

みこと

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閑話:セルゲイ1

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「ただいま~。」

「ああ、おかえり。早かったな。」

勢いよく扉が開いてセルゲイが飛び込んで来た。
ソファーで本を読んでいたジルに抱きつく。
神経質そうなシルバーフレームのメガネ。
アッシュグレーの髪。
スラリとした体躯。一見オメガには見えないが、美しい容姿はやはりオメガだ。

「あ~疲れた。ジル、良い子にしてたか?」

「は?おまえこそフレデリック殿下の足を引っ張ってないだろうね?」

「そんな訳ないだろ。あー良い匂い。会いたかった。」

ジルのシルバーフレームのメガネを外すし、顔中にちゅっちゅっとキスをする。

「シャワーぐらい浴びろよ。」

「んー、あとで。」

ジルがセルゲイの分厚い胸板を押して離れようとするがびくともしない。

「ジル~、浮気してないだろうな?」

「ふん、私がそんなくだらない非生産的なことするわけないだろ。」

「そうじゃないだろ?俺を愛してるからそんな気にならない、だろ?」

「…。」

「くくく、照れるなよ。可愛いなぁ。」

ソファーに押し倒してのし掛かる。
細身の文官の抵抗などセルゲイには全く響かない。
手際よくジルの服を脱がせていく。

「あー、マジで可愛い。寂しかった?」

「…。」

「俺はめちゃくちゃ寂しかった。」

ジルは身体まで赤く染まっている。その身体を愛おしそうに撫でてキスをした。





「あ、んん、セルゲイ、もう良いからぁ…。」

「ダメ、もうちょっと…」

身体中をしつこく舐め回し、ジルの後孔に舌を入れる。
下を奥まで入れて動かすときトロトロと愛液が溢れてくる。

「ジル、すごいぞ。溢れてくる。」

「あ、あ、だって…。」

「ん?欲しかった?」

「あ、バカっ!あぁん!」

目をギラつかせたセルゲイがジルを見下ろす。
それはまるで獲物を捕らえた野獣の目だ。

「寂しかっただろ?ごめんな?今日は朝まで可愛がってやるからな。」

「あ、朝まで…?」

怯えたような顔をしたジルの顔にキスをする。唇に吸い付きぴちゃぴちゃと舌を絡ませながらゆっくり中に入っていく。

「はぁ、めっちゃ気持ちいい…。すげーキツイ。本当に浮気してないな。」

「ん、あぁ、バカ!する、わけないっ!あっ、あぁん。」

ジルがセルゲイを睨みつける。

「分かってるよ。はぁ、怒った顔も可愛い…」

宥めるように顔中にキスしながらねっとりと動く。

「くぅっ!はぁ、ヤバいな、出そう。あ、ダメだ。一回出すぞっ!」

「あ、あ、あ、はぁーーんっ!熱いっ!」

セルゲイはぎゅっとジルに抱きついて中で射精する。
久しぶりなので長い射精だ。
それをジルはガクガクと震えながら受け入れている。

「あーーっ、はぁーー、んっ!セルゲイっ!ダメっ!」

「ん、はぁ、気持ちいい…まだ出るっ!くぅっ!」

セルゲイが腰を押し付けビクビクと痙攣する。
それが終わるとぐったりとジルに体重を預けた。

「はぁ、すごく良かった。ジル、愛してる。」

「ん、はぁ、出し過ぎだろ…。」

二人はしばらく余韻に浸っていたが、セルゲイはまたゆるゆると動き出した。
その後も何度も激しく愛し合ってセルゲイがジルの中から出ていったときにはすでに外が白み始めていた。

「セルゲイ、ちょっとは加減しろよ!」

「んー、だって久しぶりだから。あ、大丈夫。今日の夜する体力は残ってるから。」

「はぁ?もうしないからな。」

「遠慮するなよ~。可愛いやつめ。」

抱きついて何度もキスをする。ジルは抵抗しようとするががっちり抱きしめられて身動きが取れない。
無駄な抵抗は諦めて大人しくキスをされていた。

「ツンツンしてるのも可愛いけど、発情期はもっと可愛い。いや、ツンツンも捨てがたいな。」

「…どっちでもいいよ。」

「遠征に行くときの『愛してる。気を付けて』も痺れたな。アレで何回も抜ける。」

「おまえ…、遠征中にそんな事してるのか?」

顔を真っ赤にしたジルが恥ずかしさで震えている。
その顔にキスしながらセルゲイがニヤリと笑った。

「する訳ないだろ?もったいない。帰ってこうやってジルの中に出すために我慢してんの。だから…な?」

「え?え?ちょっと待て。もう無理だ!」

「我慢して帰ってきたんだぞ?な?」

セルゲイはまたジルの中に熱い欲望を捩じ込んだ。




「今何時?」

ジルがベッドから出た気配でセルゲイが目を覚ました。

「もう昼過ぎ。底なしの絶倫め。」

「あはは。お褒めの言葉。ありがとう。」

「…褒めてないよ。風呂に入るだろ?」

「ああ。」

セルゲイも起き上がり一緒に風呂に入る。お互いの身体を洗い合って湯船に浸かった。
ジルを足の間に座らせて後ろから抱きつく。
明るい場所でこの体勢。頸についたセルゲイが噛んだあとがはっきりと見えた。噛み跡にキスをしているとまたムクムクと欲望が顔を出す。
自分の尻にセルゲイの欲情を感じたジルは慌ててその気を紛らそうとした。

「そうだ、ゴートの魔獣はどうだった。」

「ん?ああ。直接は見なかった。でも結界柵が壊されてたんだ。たぶんジルたちにも近いうちに報告がいくだろ。」

「結界柵が?誰がそんなこと…。」

「分からん。感じたことない気配だった。」

「フレデリック殿下とマルコムだっけ?あれ、マーカスの方か。二人で張り直したのか。」

「ああ。それとゴートでじゃないけど久しぶりに聖魔法を見たな。」

「へぇ…。殿下が。」

セルゲイは今回の遠征のフレデリックを思い出した。なんとなくいつもと違う。もちろん良い意味で。
おそらくあのオメガ、ルイーズだろう。あんな切なそうな顔のフレデリックを見るのは初めてだ。
死ぬほどにオメガが嫌いだったのに。
セルゲイがジルを追いかけ回してたときも、ジルと番いになったときも微妙な顔をされた。
仕返しではないけれどしばらくはルイーズのことで揶揄って遊べるなとほくそ笑む。

「何ニヤニヤしてるんだ?」

「え?いや、別に。あ、そうだ。俺の冠婚用の正装服どうしたっけ?」

「冠婚用?たぶんクローゼットの一番奥にあるはずだ。誰か結婚するのか?」

「んー?まぁ、たぶんな。あの様子じゃ、そう遠くないだろ。」

不思議そうにセルゲイを見るジルにまたキスをして身体に手を這わせた。
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