オメガの秘薬

みこと

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番外編4

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「うわぁ、可愛い。」

「本当だね。ほっぺなんかぷにぷにだね。」

俺とヒロは忠臣さんの家に赤ちゃんに会いに来ている。
昨日、三カ月になったと言っていた。
名前は理玖くん、ぷくぷくの男の子だ。

「出産は大変でしたか?」

「うーん、まぁね。でも安産だって言われた。あれで安産って、難産はどうなっちゃうんだろって怖くなったよ。」

雅人さんは俺たちにお茶とケーキを出しながら苦笑いしている。

「え、やっぱり怖い。」

「大丈夫。なるようにしかならないから。それに産まれた赤ちゃんを見たらそんなの忘れちゃうくらい感動するよ。忠臣なんて号泣して大変だったんだから。」

「ん?俺がどうしたったって?」

理玖くんをベビーベットに寝かせていた忠臣さんが振り返る。

「ふふ、何でもないよ。」

「何だ?隠し事はなしだぞ。」

雅人さんの隣に座って抱き寄せる。

「ちょっと、外ではダメって…。」

「外じゃない。うちの中だ。」

忠臣さんは雅人さんにべったりくっついて離れない。
くっつきながら手を握ったり頸にキスをしたりしている。
何だかイチャイチャが酷くなった気がする。

「ヒロくんは七カ月目に入ったんだっけ?」

忠臣さんにされるがままになっている雅人さんがヒロに聞いてきた。
もう抵抗もしないんだな。

「はい。ちょっと苦しくなってきました。」

「そっかぁ。でもあと少しだから。三カ月なんてあっという間だよ。航くんは車の免許取れたんだね。」

「はい。一発合格でした。今日も車で来ました。」

雅人さんが俺にもにこやかに話しかけてくれるけど、べったりくっつく忠臣さんが気になって仕方ない。
俺たちの存在なんて全く気にしていないみたいだ。
チラチラ忠臣さんを見てしまう。

「夜泣きとか大変ですか?」

「そうだね。最初の二カ月くらいはほとんど寝られなかった。でも忠臣がかなり頑張ってくれたし、昼間はベビーシッターさんにも来てもらったりしてる。俺は実家が遠いし、両親ともにまだ働いてるからなかなかそっちは頼れなくて。とにかく頑張りすぎないことだよ。ベビーシッターさんが必要なら紹介するよ。」

「ありがとうございます。」

ヒロと雅人さんがスマホでベビーシッターの派遣所の連絡先をやり取りしている。
その間も忠臣さんはくっついて離れない。

「ほら、忠臣。せっかくヒロくんたちがきてくれたんだから。」

「ああ、分かってる。」

いや、分かってない。全然離れようよしない。
雅人さんは呆れた顔をしてため息をついた。

「家の中を見せるんだろ?案内してあげてよ。」

「…分かったよ。雅人、後でな。」

「…うん。」

やっと離れて立ち上がった。何が『後で』なんだろう…。
今日は理玖くんに会いにきただけじゃなく、新居を見せてもらいにも来たんだ。
子どもが産まれたら今のマンションは手狭になる。
うちの敷地内に俺とヒロの家を建てることになった。いわゆる敷地内同居だ。
俺はどこか別のところでも良かったんだけど、うちの両親が勧めてきた。干渉しない約束で敷地内同居することにしんだ。

「ヒート部屋は絶対だ。ここはものすごくこだわって作ったんだ。」

二階の一番端の部屋に案内された。
雅人さんのヒートの時に使う部屋だ。俺もこれは絶対に作る予定だ。小さなキッチンと大きなベッドが置いてあり、バス、トイレ付き。匂いや音が完全に遮断される作りだ。それでいて高い天井に天窓が付いているので明るく開放感がある。
高級ホテルのようなイメージだ。すごく良い。
ヒロと一週間過ごすんだ。明るくて清潔でリラックス出来る作りにしよう。地下室にヒート部屋を作ろうかと思っていたけど、太陽の光が入る方が良いな。やっぱり地下じゃなくて二階に作ろうと決めた。
この部屋を見せてもらえて本当に良かった。
その他の部屋も見せてもらって、俺は自分の家のイメージを膨らませた。

「あれ?ヒロと雅人さんは…?」

二人が廊下でこそこそ話をしている。二人とも顔が真っ赤だ。どうしたんだろう。

「ヒロ?」

「あ!航…。」

「どうしたの?」

「ううん、何でもないよ。」

顔が赤い。何を話してたんだろうか。

「えっと、その、敷地内同居なんだよね?大変そうだなって話をしてて…。」

雅人さんの顔も赤い。
それに気付いた忠臣さんが雅人さんを抱き締めてどうしたのかと尋ねている。

「何でもないから…。」

忠臣さんが何か言おうとすると理玖くんの泣き声が聞こえた。

「あ!理玖が起きちゃった!」

雅人さんは慌ててリビングに戻ってしまい、結局そのことはうやむやになった。





「ただいま~。」

「理玖くん、可愛かったね。」

忠臣さんの家から帰ってきた俺たちはソファーに座ってテレビを見ていた。

「雅人さんと何話してたの?」

「え?あ、何が?」

ヒロは明らかに動揺している。顔が赤いし目は泳いでいる。ヒロは昔から嘘がつけないんだ。

「廊下でこそこそ話してたでしょ?」

「べ、別に。大した話じゃないよ。」

「俺に言えないようなこと?」

悲しくなって思わず涙が出てきた。

「え?ちょっと!何で?」

「だって…。ヒロが…。」

上手く言葉が出ない。ヒロには何でも言って欲しい。

「雅人さんが…。」

泣いている俺を見てヒロが俯いて話し出した。
何故かすごく恥ずかしそうだ。

「産後の…その、アレなんだけど…」

「アレって?」

「アレだよ。あの、性生活について…の話をしてたんだ。」

え?性生活?

「雅人さんが産後、大変だけど航のこともちゃんと構ってあげないと相手がストレスでおかしくなっちゃうって言ってて…。忠臣さん、べったりだっただろ?構ってもらえなくておかしくなっちゃったみたいで。」

「え?おかしくなるって?」

「四六時中くっついて離れないって。理玖くんとも張り合おうとしてきたり、人前でもイチャイチャしたりして。怒ると『寂しい』って言って泣いて拗ねるんだって。所謂赤ちゃん返りってやつがアルファに起きるみたいで。」

赤ちゃん返り…。だからあんなに甘えてたのか。
俺は涙も引っ込んでヒロを見つめた。

「だから、ちゃんと相手してあげないとダメだよって。エッチも、その、しないとダメって。だからベビーシッターもお願いしてるんだって。」

そうなのか。だから二人とも顔が赤かったんだ。

「ヒロ、俺は大丈夫だよ。ヒロが俺の子どもを産んでくれてすごく幸せなんだ。」

「うん。」

まだ顔が赤い。恥ずかしがり屋のヒロにはヘビーな話だ。
可愛いな。

「でも、ちゃんと構ってくれる?」

「え?う、うん。俺だって航が赤ちゃんばっかりで俺のこと構ってくれなくなったら寂しいよ。」

「ヒロ…。」

あーもう、なんて可愛いこと言うんだ。
今日は出かけたから我慢しようと思ってたのに。

「ヒロ、大好きだよ。」

「うん…。」

ちゅっちゅっとキスしながらお腹を撫でた。

「身体は平気?」

「え?あ、うん…。」

本当に可愛いくて我慢できない。
俺はヒロの手を引いてベッドに連れて行った。







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