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夕方までソファーで拓実とイチャイチャして過ごした。最後までしたかったけどここではダメだ。
住むところが決まったら拓実としよう。
拓実を送りがてら家に寄ると家政婦の章子さんが出迎えてくれた。
拓実は家政婦に電話を取り次いでもらえなかったと言っていたな。
章子さんはうちに来たのは三年前だ。その前にいたのは三人。そのうちの誰かだ。調べれば分かるだろう。でも今はそれどころじゃない。
「亮平さん、お食事は?」
「いらない。」
部屋に入って必要な荷物をまとめる。タクシーを待たせて置いたのでそれに乗ってアトリエに戻った。
飯はどうしようか。デリバリーでも頼むか…。
拓実はどうしてるかな。さっき別れたばかりなのにもう会いたい。
アルファが家に居るんだろ?
心配だ。急に発情期がくれば万が一のこともある。
スマホでメッセージを送ってみた。
『大丈夫か?』
『うん。どうしたの?』
『なんか心配で』
可愛いスタンプが送られてきてほっとする。
少しやり取りしてスマホを置いた。
明日学校が終わったら拓実の学校に迎えに行こう。本当はここで一緒に過ごしたい。とにかくアルファが心配だ。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「えー?孝太郎さん?大丈夫だよ。弘海兄ちゃんのことが好きで好きで堪らないから。」
「そうかもしれないけど、拓実の発情期がいつ来るか分からないだろ?フェロモンに当てられたらどうなるか…。」
拓実を足の間に入れてアトリエのソファーに座っている。
家にアルファが居るのが心配だと伝えた。当の本人はあまり分かっていない。
「叔母さんに言ってここに泊まれない?住むとこが決まったら一緒に暮らそうよ。」
白い頸にキスをしながら言った。
「うーん、とりあえず弘海兄ちゃんに聞いてみるよ。」
ポケットからスマホを取り出してメッセージを送っている。後ろから覗き込みながら首筋や耳や頬にキスをした。
「擽ったいよ。ちょっと今、メッセージ送るからダメだよ。」
「うん。」
顔や首は諦めて後頭部に顔を埋める。
しばらくするとスマホが鳴った。
「一度、亮平に会いたいって。」
「いいよ。いつ?早い方が良いな。」
「今からは?」
「うん。」
またメッセージを送る。駅前のコーヒーショップで待ち合わせることになった。
やり取りを見るからには完全にダメではなさそうだ。
待ち合わせの時間までまだ一時間ある。
また顔や首にキスを再開した。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
約束の時間の十分前にコーヒーショップに着いた。
拓実を席に座らせてカウンターに飲み物を買いに行く。
「アイスコーヒーのMとアイスソイラテのM」
飲み物を受け取る時に小さな紙を握らされた。開くと連絡先が書いてある。
飲み物を渡してきた店員を見るとにこりと微笑まれた。
ああ、そういうこと…。
ベータの女か。昔なら連絡してたかもな。でも今は全くそんな気にはならない。可愛くて仕方ない拓実がいる。
そのまま紙を置いて拓実の所へ行った。
「ありがと。」
隣に座って頭を撫でた。
「ガムシロは?一つでいい?」
「うん。」
ソイラテにガムシロを入れて混ぜ、拓実の前に置いた。
「ありがと。お金は?」
「良いよ。親父の奢り。」
「亮平のお父さん?」
「そう。」
最近は全部親父のカードで払ってるからな。
遠慮なく使えと言われている。
「あ、弘海兄ちゃん!」
入り口を見て拓実が手を挙げた。
何となく拓実に似たオメガともう一人男が一緒に店に入ってきた。
あの時のアルファだ。
「こんにちは。」
「こんにちは。今日は急にすいません。」
俺は立って頭を下げた。
「とりあえず座ろうか。」
弘海さんはそう言って俺たちの前に座った。簡単に自己紹介をする。
恋人のアルファはカウンターに飲み物を買いに行ったのでその間少し世間話をしていた。
「小さい頃会ったの覚えてる?」
「いいえ。すいません。」
「ふふふ。良いよ。たぶん君たちが五歳くらいの頃だもん。亮平くん、拓実にべったりだった。」
「はい。三歳で拓実に会って、それからずっと拓実だけです。」
「ふーん、この間はベータの女の子と腕組んで歩いてたよね?」
孝太郎さんが飲み物を持って俺の前に座った。
覚えてるのか。一瞬顔を見ただけなのに。
「すいません。いろいろあって。この間再会して、俺には拓実だけです。」
「拓実は俺にとっても弟みたいなもんだ。泣かせるようなやつにはやれない。」
朋花も他のやつも全員別れた。朋花ともう一人がなかなか納得しなかったけど、オメガと番いになると言ったら諦めてくれた。
「もういいだろ?孝太郎だって人のこと言えないからな。」
「うっ…。」
孝太郎さんはかなり威圧感があるけど弘海さんには敵わないらしい。大人しくアイスコーヒーを飲み始めた。
「で?一緒に暮らしたいと。」
弘海さんが僕に向かって言った。
「はい。孝太郎さんが同居していると聞きました。信用していない訳ではありません。でも何かあったらと思うと…。急に発情期が来るかもしれませんし。」
「君の気持ちは分かるよ。俺なら耐えられないね。弘海がアルファと一つ屋根の下に暮らすなんて。考えただけでおかしくなりそうだ。」
アイスコーヒーを飲んでいた孝太郎さんが口を挟んだ。
アルファだから俺の気持ちが分かるのだろう。
その通りだ。何かあったら、と思うと夜も眠れない。
「うーん、母さんが何て言うかな。叔母さん…拓実のお母さんによろしく頼むって拓実のことをお願いされてるからなぁ。」
「ベータには分からないだろ。アルファの自分のオメガに対する執着を。自分のオメガが他のアルファと番ったら間違いなく食い殺すな。」
真顔で言う孝太郎さんを拓実と弘海さんがギョッとした顔で見た。
いや、本当にそうなんだよ。大袈裟じゃない。その通りだ。
孝太郎さんは俺の味方なんだろうか…。
住むところが決まったら拓実としよう。
拓実を送りがてら家に寄ると家政婦の章子さんが出迎えてくれた。
拓実は家政婦に電話を取り次いでもらえなかったと言っていたな。
章子さんはうちに来たのは三年前だ。その前にいたのは三人。そのうちの誰かだ。調べれば分かるだろう。でも今はそれどころじゃない。
「亮平さん、お食事は?」
「いらない。」
部屋に入って必要な荷物をまとめる。タクシーを待たせて置いたのでそれに乗ってアトリエに戻った。
飯はどうしようか。デリバリーでも頼むか…。
拓実はどうしてるかな。さっき別れたばかりなのにもう会いたい。
アルファが家に居るんだろ?
心配だ。急に発情期がくれば万が一のこともある。
スマホでメッセージを送ってみた。
『大丈夫か?』
『うん。どうしたの?』
『なんか心配で』
可愛いスタンプが送られてきてほっとする。
少しやり取りしてスマホを置いた。
明日学校が終わったら拓実の学校に迎えに行こう。本当はここで一緒に過ごしたい。とにかくアルファが心配だ。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「えー?孝太郎さん?大丈夫だよ。弘海兄ちゃんのことが好きで好きで堪らないから。」
「そうかもしれないけど、拓実の発情期がいつ来るか分からないだろ?フェロモンに当てられたらどうなるか…。」
拓実を足の間に入れてアトリエのソファーに座っている。
家にアルファが居るのが心配だと伝えた。当の本人はあまり分かっていない。
「叔母さんに言ってここに泊まれない?住むとこが決まったら一緒に暮らそうよ。」
白い頸にキスをしながら言った。
「うーん、とりあえず弘海兄ちゃんに聞いてみるよ。」
ポケットからスマホを取り出してメッセージを送っている。後ろから覗き込みながら首筋や耳や頬にキスをした。
「擽ったいよ。ちょっと今、メッセージ送るからダメだよ。」
「うん。」
顔や首は諦めて後頭部に顔を埋める。
しばらくするとスマホが鳴った。
「一度、亮平に会いたいって。」
「いいよ。いつ?早い方が良いな。」
「今からは?」
「うん。」
またメッセージを送る。駅前のコーヒーショップで待ち合わせることになった。
やり取りを見るからには完全にダメではなさそうだ。
待ち合わせの時間までまだ一時間ある。
また顔や首にキスを再開した。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
約束の時間の十分前にコーヒーショップに着いた。
拓実を席に座らせてカウンターに飲み物を買いに行く。
「アイスコーヒーのMとアイスソイラテのM」
飲み物を受け取る時に小さな紙を握らされた。開くと連絡先が書いてある。
飲み物を渡してきた店員を見るとにこりと微笑まれた。
ああ、そういうこと…。
ベータの女か。昔なら連絡してたかもな。でも今は全くそんな気にはならない。可愛くて仕方ない拓実がいる。
そのまま紙を置いて拓実の所へ行った。
「ありがと。」
隣に座って頭を撫でた。
「ガムシロは?一つでいい?」
「うん。」
ソイラテにガムシロを入れて混ぜ、拓実の前に置いた。
「ありがと。お金は?」
「良いよ。親父の奢り。」
「亮平のお父さん?」
「そう。」
最近は全部親父のカードで払ってるからな。
遠慮なく使えと言われている。
「あ、弘海兄ちゃん!」
入り口を見て拓実が手を挙げた。
何となく拓実に似たオメガともう一人男が一緒に店に入ってきた。
あの時のアルファだ。
「こんにちは。」
「こんにちは。今日は急にすいません。」
俺は立って頭を下げた。
「とりあえず座ろうか。」
弘海さんはそう言って俺たちの前に座った。簡単に自己紹介をする。
恋人のアルファはカウンターに飲み物を買いに行ったのでその間少し世間話をしていた。
「小さい頃会ったの覚えてる?」
「いいえ。すいません。」
「ふふふ。良いよ。たぶん君たちが五歳くらいの頃だもん。亮平くん、拓実にべったりだった。」
「はい。三歳で拓実に会って、それからずっと拓実だけです。」
「ふーん、この間はベータの女の子と腕組んで歩いてたよね?」
孝太郎さんが飲み物を持って俺の前に座った。
覚えてるのか。一瞬顔を見ただけなのに。
「すいません。いろいろあって。この間再会して、俺には拓実だけです。」
「拓実は俺にとっても弟みたいなもんだ。泣かせるようなやつにはやれない。」
朋花も他のやつも全員別れた。朋花ともう一人がなかなか納得しなかったけど、オメガと番いになると言ったら諦めてくれた。
「もういいだろ?孝太郎だって人のこと言えないからな。」
「うっ…。」
孝太郎さんはかなり威圧感があるけど弘海さんには敵わないらしい。大人しくアイスコーヒーを飲み始めた。
「で?一緒に暮らしたいと。」
弘海さんが僕に向かって言った。
「はい。孝太郎さんが同居していると聞きました。信用していない訳ではありません。でも何かあったらと思うと…。急に発情期が来るかもしれませんし。」
「君の気持ちは分かるよ。俺なら耐えられないね。弘海がアルファと一つ屋根の下に暮らすなんて。考えただけでおかしくなりそうだ。」
アイスコーヒーを飲んでいた孝太郎さんが口を挟んだ。
アルファだから俺の気持ちが分かるのだろう。
その通りだ。何かあったら、と思うと夜も眠れない。
「うーん、母さんが何て言うかな。叔母さん…拓実のお母さんによろしく頼むって拓実のことをお願いされてるからなぁ。」
「ベータには分からないだろ。アルファの自分のオメガに対する執着を。自分のオメガが他のアルファと番ったら間違いなく食い殺すな。」
真顔で言う孝太郎さんを拓実と弘海さんがギョッとした顔で見た。
いや、本当にそうなんだよ。大袈裟じゃない。その通りだ。
孝太郎さんは俺の味方なんだろうか…。
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