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第三章 仲間
34歳と賢老のブレインストーミング
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「いかがでしたか?皇帝の承認はいただけましたか?」
皇帝の執務室から出てきたナオと一緒に歩きながら、ロレンツェが心配そうな顔で見る。
「好きにしろ、だって。
もちろん、皇印はもらったわ」
皇帝の冷たい態度にナオは少し苛立っていた。
「でもこれで、フィリップ殿を正式に宰相補佐官として迎えられるわ。
一気に帝議会を乗っ取るよ!」
「ナ・・・ナオ様・・・。お声が大きいかと・・・まだここは陛下の宮殿内です・・・」
あら、しまったという表情をするが、それも作戦の内とニヤけるナオ。
「ふん。相変わらずバカな娘め。」
刹那、正面から向かってきた大男が軽く罵倒してきた。
首にボリュームのある毛皮が付いたエンジ色の外套を纏っている。
外套の左胸には盾の外枠に、ケルト文字風なPの文字を二つ並べたような家紋が施されている。先日ナオが気づいたあの家紋だ。
大男は賢老フィリップ・パスカルである。
190センチはあろうかという身長に筋肉隆々とした背格好。短い白髪を軽く後ろに流している。
年齢は50歳を過ぎたほどだが、深いしわと白いあごひげ、迫力のある風貌はそれ以上の年齢を感じさせる。
「フィリップ殿・・・」
突然の再会にナオとロレンツェは驚く。
「陛下に呼ばれて登城したのだ。そう驚くな。」
フィリップは貶したと思ったら今度は珍しく微笑んだ。
「そうでしたか。それはちょうど良かった。お屋敷まで使いを出す手間が省けました。
先ほど陛下から承認をいただきました。
賢老フィリップ・パスカル殿。これから私の宰相補佐官としてお力をお貸しください。
後ほど辞令をお渡しします。本日中に皇城内に私室を設けますのでなるべく早く準備をお願いします。」
ナオは行き交う人に聞こえるように話した。当然二人の会話は注目されていた。
過去に大きな権力を持っていた重鎮がナオに協力する。
この後、この事実は方々で大きく取り沙汰されることには間違いない。
「昨日の今日で強引なまでの早さだな。よかろう。承った。
明日の朝には登城して準備を終える。正午には宰相殿の執務室に参ろう。」
「それではな」とフィリップは一礼してナオの横を通り抜ける。
その後ろに従者が一人付き添っていた。
深い深緑の色の髪を後ろに流し、まだ二十代前半であろう若い肌ツヤに同じ深い緑の瞳が映える。
背は180センチほどで体格はがっしりとしている。
フィリップと同じ外套を羽織っていて、どことなくフィリップに似ている。
昨日までナオたちを襲った盗賊の首領。フィリップの息子クリストフ・パスカルだ。
「あらっ?あなたは・・・盗賊の・・・」
ナオが驚いて声を掛ける。
「よう、ナオ嬢。昨日ぶり。」
クリストフは右手を挙げてフランクに挨拶した。
「俺はフィリップ・パスカルの息子クリストフ・パスカル。以後よろしくな。」
「ナ・・ナオ嬢・・・」
フランクな挨拶とナオ嬢という言葉、そして何よりフィリップの息子だということにナオとロレンツェは驚き、戸惑いを隠せない。
クリストフは固まっている二人にさらに追い打ちをかける。
「それにしても、あの強く麗しい女性騎士がまさかメイドだとは・・・」
「・・・萌える!!!」
ロレンツェは昨日の女性騎士の軍服とは違い、メイド服姿だ。
クリストフは舐めるようにロレンツェを眺めた後、フィリップの後を追っていった。
「なに今の・・・さわやかだけどキモイね・・・」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
翌日、ナオの執務室にフィリップとクリストフが来ていた。
二人は早々に私室の準備を終え、正午前にはナオの前に参上した。
まずは食事でもしながら、とナオは提案して三人は別室でテーブルを囲む。
「―――であるからして―――が最善である。」
「しかしそれでは―――の場合、無理が生じてしまうでしょう?なので―――では?」
「ばかもの!それでは―――がダメになり、それ以上に時間がかかりすぎる!」
ナオとフィリップのやり取りの一部抜粋。
初日なので穏やかな顔合わせの食事のはずがあっという間に討論になった。
「おいおい、父上にここまで反論できる人間を初めて見たぞ・・・」
一緒にテーブルを囲む息子のクリストフが呟いた。
「分かりました!それでは経済特区を作るということなら何も問題ないでしょう!?」
熱くなってナオは立ち上がりフィリップにまくし立てる。
「おう!それでよい!やっと正解にたどり着いたか、小娘め!」
「小娘は今関係ないでしょう!」
まるで龍虎の争いである。両者遠慮というモノを知らず、お互いに直球を投げあう。
「小娘は小娘だ!数も力も不足しておる小娘にはすでに補佐の文官を数人手配しておる。
明日にも謁見に来るであろう。ワシが鍛えた優れた文官たちだ。好きに使え!」
「何を勝手な配慮を!!全く!ありがたく使わせていただきます!」
討論しているのか、協力しているのか、もうぐちゃぐちゃである。
「経済特区だが、実行するには下地はおおよそ出来ておる。ワシが決断の一筆を書けば大勢を作ることが可能ぞ。
あとは身の振り方が決まり切っていない幾つかの貴族を説得するのみだ。ワシとナオ殿が直に会いに行けば容易いであろう。明日にも根回しに回ろうぞ。」
「分かりました。ではお互いの合議で決定した旨の書面を作り、手分けして参りましょう!」
「・・・いや、それではだめだ。一緒に動く必要がある。理由は自ずとわかる。」
ナオは疑問が浮かんだが、すでにフィリップを信用しきっていたためにすぐに決断する。
「分かりました。何かお考えがあるのでしょう。二人で諸侯を回りましょう。」
フィリップは口の端で少し笑い、言った。
「皆まで言わされずに済むとはな。思ったより切れる小娘よ。」
「小娘はやめてください!」
「いいではないか!若い今のうちだけの呼称ぞ!がははははは!!!」
「もう!」
ちょっと怒ったナオだが、豪快なフィリップの笑い声につられて少し笑顔になる。
「・・・っと忘れておった。
文官を手配したが、現状ではナオ殿の手足となって動く者が少なすぎる。
皇城内での公募と外から在野を登用した方がよいだろう。」
「なるほど、実際の戦力になるばかりでなく、厳しい生活を強いられる平民を雇用して少しでも困窮する人を救おうという狙いもあるわけですね。」
「ばかもの、皆まで言うな」
「ふふっ。申し訳ありませんっ」
次第にナオは上機嫌になっていた。
もとの世界ではここまで真剣にナオと向き合ってくれる人はいなかった。
言いたいことを好きなだけ言って積み上がる信頼関係の絆に感動を覚えていた。
「だいぶ白熱されておりましたが、そろそろ召し上がられてはいかがでしょうか?」
すっかり冷めてしまった料理を見かねてロレンツェがタイミング良く口を挟む。
「おーこれはすまん、すまん。」
ナオとフィリップの討論っぷりに物怖じして、ほとんど料理に手を付けられなかったクリストフがここぞとばかりに食べ始める。
「しかしよう。さすがだな。
ナ嬢はもちろんだが、メイドさんたちもみんな美人ぞろいだぜ。」
クリストフがフォークを回しながら一瞥して言う。
「まだまだだな、クリストフ。顔だちが美麗というのは大したことではない。
本当に素晴らしい女性というのは可愛げのある表情をできる純粋無垢な女性のことよ。」
ナオとロレンツェは『これって私たちケナされてんだよね』と顔を見合わせる。
そんな二人を見てかフィリップは一笑に伏し、視線を壁際に逸らした瞬間―――
―――メイド服姿が眩しい純粋無垢な少女が目に映る。
明るめな茶色の髪に、素朴さが残る童顔。細身で華奢だが、メイド服に強調された顔とのギャップがある大きい胸。侍女のクリスティーヌである。
「ブフォオオオオ!」
わけのわからない声を発してフィリップは立ち上がり、両手を前に構えてクリスティーヌにゆっくりと近づいていく。
クリスティーヌは悪寒を感じて顔を上げると、目の前に迫りくる怪物のような大男のシルエット。
「ギャーーーーー!!!」
驚いたクリスティーヌは部屋を飛び出して走り去ってしまった。
「ぐははははは!待て待てー!!」
続けてフィリップも後を追いかけて部屋を飛び出していく。
「なにこれ・・・?キモイ・・・やっぱり親子だから・・・?」
ナオは先ほどの信頼関係を築けた高揚感とは打ってかわり、なんとも気持ち悪い感覚に襲われていった。
皇帝の執務室から出てきたナオと一緒に歩きながら、ロレンツェが心配そうな顔で見る。
「好きにしろ、だって。
もちろん、皇印はもらったわ」
皇帝の冷たい態度にナオは少し苛立っていた。
「でもこれで、フィリップ殿を正式に宰相補佐官として迎えられるわ。
一気に帝議会を乗っ取るよ!」
「ナ・・・ナオ様・・・。お声が大きいかと・・・まだここは陛下の宮殿内です・・・」
あら、しまったという表情をするが、それも作戦の内とニヤけるナオ。
「ふん。相変わらずバカな娘め。」
刹那、正面から向かってきた大男が軽く罵倒してきた。
首にボリュームのある毛皮が付いたエンジ色の外套を纏っている。
外套の左胸には盾の外枠に、ケルト文字風なPの文字を二つ並べたような家紋が施されている。先日ナオが気づいたあの家紋だ。
大男は賢老フィリップ・パスカルである。
190センチはあろうかという身長に筋肉隆々とした背格好。短い白髪を軽く後ろに流している。
年齢は50歳を過ぎたほどだが、深いしわと白いあごひげ、迫力のある風貌はそれ以上の年齢を感じさせる。
「フィリップ殿・・・」
突然の再会にナオとロレンツェは驚く。
「陛下に呼ばれて登城したのだ。そう驚くな。」
フィリップは貶したと思ったら今度は珍しく微笑んだ。
「そうでしたか。それはちょうど良かった。お屋敷まで使いを出す手間が省けました。
先ほど陛下から承認をいただきました。
賢老フィリップ・パスカル殿。これから私の宰相補佐官としてお力をお貸しください。
後ほど辞令をお渡しします。本日中に皇城内に私室を設けますのでなるべく早く準備をお願いします。」
ナオは行き交う人に聞こえるように話した。当然二人の会話は注目されていた。
過去に大きな権力を持っていた重鎮がナオに協力する。
この後、この事実は方々で大きく取り沙汰されることには間違いない。
「昨日の今日で強引なまでの早さだな。よかろう。承った。
明日の朝には登城して準備を終える。正午には宰相殿の執務室に参ろう。」
「それではな」とフィリップは一礼してナオの横を通り抜ける。
その後ろに従者が一人付き添っていた。
深い深緑の色の髪を後ろに流し、まだ二十代前半であろう若い肌ツヤに同じ深い緑の瞳が映える。
背は180センチほどで体格はがっしりとしている。
フィリップと同じ外套を羽織っていて、どことなくフィリップに似ている。
昨日までナオたちを襲った盗賊の首領。フィリップの息子クリストフ・パスカルだ。
「あらっ?あなたは・・・盗賊の・・・」
ナオが驚いて声を掛ける。
「よう、ナオ嬢。昨日ぶり。」
クリストフは右手を挙げてフランクに挨拶した。
「俺はフィリップ・パスカルの息子クリストフ・パスカル。以後よろしくな。」
「ナ・・ナオ嬢・・・」
フランクな挨拶とナオ嬢という言葉、そして何よりフィリップの息子だということにナオとロレンツェは驚き、戸惑いを隠せない。
クリストフは固まっている二人にさらに追い打ちをかける。
「それにしても、あの強く麗しい女性騎士がまさかメイドだとは・・・」
「・・・萌える!!!」
ロレンツェは昨日の女性騎士の軍服とは違い、メイド服姿だ。
クリストフは舐めるようにロレンツェを眺めた後、フィリップの後を追っていった。
「なに今の・・・さわやかだけどキモイね・・・」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
翌日、ナオの執務室にフィリップとクリストフが来ていた。
二人は早々に私室の準備を終え、正午前にはナオの前に参上した。
まずは食事でもしながら、とナオは提案して三人は別室でテーブルを囲む。
「―――であるからして―――が最善である。」
「しかしそれでは―――の場合、無理が生じてしまうでしょう?なので―――では?」
「ばかもの!それでは―――がダメになり、それ以上に時間がかかりすぎる!」
ナオとフィリップのやり取りの一部抜粋。
初日なので穏やかな顔合わせの食事のはずがあっという間に討論になった。
「おいおい、父上にここまで反論できる人間を初めて見たぞ・・・」
一緒にテーブルを囲む息子のクリストフが呟いた。
「分かりました!それでは経済特区を作るということなら何も問題ないでしょう!?」
熱くなってナオは立ち上がりフィリップにまくし立てる。
「おう!それでよい!やっと正解にたどり着いたか、小娘め!」
「小娘は今関係ないでしょう!」
まるで龍虎の争いである。両者遠慮というモノを知らず、お互いに直球を投げあう。
「小娘は小娘だ!数も力も不足しておる小娘にはすでに補佐の文官を数人手配しておる。
明日にも謁見に来るであろう。ワシが鍛えた優れた文官たちだ。好きに使え!」
「何を勝手な配慮を!!全く!ありがたく使わせていただきます!」
討論しているのか、協力しているのか、もうぐちゃぐちゃである。
「経済特区だが、実行するには下地はおおよそ出来ておる。ワシが決断の一筆を書けば大勢を作ることが可能ぞ。
あとは身の振り方が決まり切っていない幾つかの貴族を説得するのみだ。ワシとナオ殿が直に会いに行けば容易いであろう。明日にも根回しに回ろうぞ。」
「分かりました。ではお互いの合議で決定した旨の書面を作り、手分けして参りましょう!」
「・・・いや、それではだめだ。一緒に動く必要がある。理由は自ずとわかる。」
ナオは疑問が浮かんだが、すでにフィリップを信用しきっていたためにすぐに決断する。
「分かりました。何かお考えがあるのでしょう。二人で諸侯を回りましょう。」
フィリップは口の端で少し笑い、言った。
「皆まで言わされずに済むとはな。思ったより切れる小娘よ。」
「小娘はやめてください!」
「いいではないか!若い今のうちだけの呼称ぞ!がははははは!!!」
「もう!」
ちょっと怒ったナオだが、豪快なフィリップの笑い声につられて少し笑顔になる。
「・・・っと忘れておった。
文官を手配したが、現状ではナオ殿の手足となって動く者が少なすぎる。
皇城内での公募と外から在野を登用した方がよいだろう。」
「なるほど、実際の戦力になるばかりでなく、厳しい生活を強いられる平民を雇用して少しでも困窮する人を救おうという狙いもあるわけですね。」
「ばかもの、皆まで言うな」
「ふふっ。申し訳ありませんっ」
次第にナオは上機嫌になっていた。
もとの世界ではここまで真剣にナオと向き合ってくれる人はいなかった。
言いたいことを好きなだけ言って積み上がる信頼関係の絆に感動を覚えていた。
「だいぶ白熱されておりましたが、そろそろ召し上がられてはいかがでしょうか?」
すっかり冷めてしまった料理を見かねてロレンツェがタイミング良く口を挟む。
「おーこれはすまん、すまん。」
ナオとフィリップの討論っぷりに物怖じして、ほとんど料理に手を付けられなかったクリストフがここぞとばかりに食べ始める。
「しかしよう。さすがだな。
ナ嬢はもちろんだが、メイドさんたちもみんな美人ぞろいだぜ。」
クリストフがフォークを回しながら一瞥して言う。
「まだまだだな、クリストフ。顔だちが美麗というのは大したことではない。
本当に素晴らしい女性というのは可愛げのある表情をできる純粋無垢な女性のことよ。」
ナオとロレンツェは『これって私たちケナされてんだよね』と顔を見合わせる。
そんな二人を見てかフィリップは一笑に伏し、視線を壁際に逸らした瞬間―――
―――メイド服姿が眩しい純粋無垢な少女が目に映る。
明るめな茶色の髪に、素朴さが残る童顔。細身で華奢だが、メイド服に強調された顔とのギャップがある大きい胸。侍女のクリスティーヌである。
「ブフォオオオオ!」
わけのわからない声を発してフィリップは立ち上がり、両手を前に構えてクリスティーヌにゆっくりと近づいていく。
クリスティーヌは悪寒を感じて顔を上げると、目の前に迫りくる怪物のような大男のシルエット。
「ギャーーーーー!!!」
驚いたクリスティーヌは部屋を飛び出して走り去ってしまった。
「ぐははははは!待て待てー!!」
続けてフィリップも後を追いかけて部屋を飛び出していく。
「なにこれ・・・?キモイ・・・やっぱり親子だから・・・?」
ナオは先ほどの信頼関係を築けた高揚感とは打ってかわり、なんとも気持ち悪い感覚に襲われていった。
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