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間章
34歳のサンタクロース
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数日が過ぎ、12月24日当日の夕方。
灯り祭と名付けられた祭りの準備は万端だった。
街の街灯には全て火が灯され、さらに多くのオイルランプで街を彩った。話はあっという間に広まり、近隣の村や街からも多くの人が訪れている。
出店や酒場は空前の盛り上がりを見せている。
6時の鐘とともに広場のオーケストラからテンポのよい音楽が溢れだし、陽気な人から踊り始め、次第に輪が大きくなっていく。
「さあ、お祭りの準備は整ったわね。後は私たちが主役よ!」
ナオ、ロレンツェ、クリスティーヌそしてレルミタの女性四人は広場のステージ横でスタンバイしていた。
四人はお揃いの格好をしていた。
胸元が大きく空き、ミニスカートの真っ赤なワンピースに赤と白の毛皮のコートを纏い、頭にも赤と白の毛皮の帽子を被っている。そう、ミニスカサンタクロースだ。
「ナオ様あ。なんだか恥ずかしいですう。」
クリスティーヌがモジモジして言う。
「いやいや、クリスティーヌはまだ若いので大丈夫です。私はほら、年齢が年齢なので犯罪かと・・・」
ロレンツェは冷静に自分にツッコんだ。
「私は派手なのは好きだ・・・。問題ない。」
レルミタは全く気にしていない。普段着の方が露出が多いだろう。
「みんな、いいいんじゃない?かわいいわよ。そしてエロいわ!」
ナオはこの四人でアイドルユニットを組んだら売れるかしらなどと考える。
「なぜこんな格好しなければならないのですか?」
たまらず、ロレンツェが聞いてしまった。
「サービスよ!!」
ロレンツェは聞かなければよかったと後悔した。
「さあ、そこの白い袋を担いで街を練り歩きましょう!」
四人は街を歩き、出会った子供たちにお菓子やらおもちゃやらを配る。
プレゼントをもらった子供の笑顔が弾ける。その笑顔でナオたちも笑顔になった。子供たちのお父さんも。
二時間後、練り歩いて白い袋の中のプレゼントは底をつき、広場に戻ってきた。
「大盛況でしたね!それにあの子たちの笑顔!」
四人はキャッキャとやっていると二人の老人がナオに声を掛ける。
「おじいちゃん!おばあちゃん!」
ナオのこの世界の家族、ニコルじいさんとレリアばあさんだった。
ナオがお祭りを開催すると聞き、コパ村からやって来た。ナオは嬉しさのあまり飛びつく。
「ナオよ。なんとかうまくやれてるみたいだねえ。
それに宰相だなんてびっくりだよ。」
「うん。いろいろあってこんな感じになりました。でも大切な仲間もできたし、幸せだよ。」
「そうかい、そうかい。それはよかったねえ。
なにか楽しそうな服を着て頑張ってるね。どれ、私も着てお手伝いしようかねえ?」
「ありがとう、おばあちゃん・・・・ごめんね。」
「ハハハハ。ばあさん、やはりだめだねえ。あと四〇年若ければそこの四人に負けなかったのにねえ。」
なんともいえないブラックユーモアで後ろの三人が言葉を失っていた。
「じゃあ、おじいちゃん、おばあちゃん!踊ろう!みんなも!」
ナオは手を取って広場の人だかりに混じっていった。
オーケストラは交響曲ではなく、大衆が踊れるような弾むテンポの曲をずっと弾いている。
手をたたいたり、回ってみたり、それぞれ思い思いにダンスの高揚を楽しんだ。
そして休憩と言わんばかりにゆったりとしたバラード調の曲になる。
「ふん。だいぶ、盛り上がっているのだな。」
ふいに周囲がざわつく。
周囲の視線の先には近衛騎士数名と赤髪の男性が歩いて来ていた。
オーケストラも曲を弾くのをやめてしまった。
「よい!音楽を続けよ!宰相が催した余興ぞ!皆楽しめ!」
「陛下・・・。」
ナオが呟く。
「どうだ?ナオ。一曲踊らんか?」
「え・・・、ええ!!?」
「いやなのか?」
「いえ、そんなことは・・・。ただ驚いてしまって・・・」
そう言って、ナオは差し出された皇帝の手に右手を添えた。
丁度バラード調の曲だったこともあり、皇帝のスマートなダンスにリードされるナオ。
しかし、とりあえず二度ほど皇帝の足を踏む。
「すみません・・・。」
「ふん。随分としおらしいな。夜会の時とは違う。」
「それは・・・・その・・・ど、どうして・・・」
「わからんか?お前が仕掛けたものを視察に来ただけだ。」
ナオは緊張のあまり完全に言葉を失っていた。
そんな間に曲が終わってしまった。
「ではな。」と告げて皇帝は立ち去ろうとする。
「ま、待って!」
ナオはプレゼントの袋のところまで行き、すぐに走って戻ってくる。
「これを・・・」
ナオは封書と包みを皇帝に手渡した。
皇帝は何も言わず、そのまま踵を返し、皇城へ帰って行った。
「陛下がお見えになるなんて・・・。どうしたことでしょうか。」
狼狽え気味にロレンツェが近寄ってきた。
「さあ・・・。わからないわ・・・。」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「さあナオ様!打ち上げの用意はできております!!」
お祭りが佳境を迎えるころ、ラヴェルがナオを迎えに来た。
連れていかれた先は先日の酒場だった。
ラヴェルに誘われて、今度はブラハもいる。
「皆さん!今日はご協力ありがとうございました!!
お陰様で盛大なお祭りになりましたわ!!来年、再来年と続けていきましょう!乾杯!!!」
お祭りに負けないほどこちらの酒宴も盛大に盛り上がる。
コスプレに興奮したのか、酔ってエロサンタキャラに成り切ったのか、ロレンツェは羽目を外していてサンタの格好のままテーブルの上で踊っていた。
明日、死ぬほど後悔するに違いない。
クリスティーヌはフィリップにサンタのまま、連れていかれた。そのあとはご想像にお任せということで・・・。
珍しく酔って寝てしまったロレンツェをレルミタにお願いしてナオはブラハと皇城へ帰路についていた。
少し前から雪が降っていたらしく、しんしんと降る雪が音を吸収して静寂が広がる。
まだところどころ灯っているオイルランプの光を雪の結晶が滲ませる。
そんな中、二人は新雪をゆっくりと踏む。
「いつか聞いてみたいと思っていたのですが・・・」
他愛のない話をしながら歩いていた二人だが、ふいにブラハが声を掛ける。
「どうしたんですか、ブラハ殿?改まって」
「二年後の審判はわかりますが、なぜナオ殿はあそこまで人のためにがんばれるのですか?」
「・・・そうね・・・」
ナオは思いを馳せるように夜空を眺める。
「私が生まれ育った国は全ての人が平等だった。
私もそれが当然だと思って生きてきた。
だから、あまりの理不尽さに意味が分からず、理解することができなかったのが一つ目の理由です。
そして、もう一つは心が理由かな。
私は少し前まで人としての幸せが何か、忘れてしまっていた。
だけどこの国にきて、この国の人の心に触れて、ほんの小さな喜びの中にたくさんの大きな幸せが詰まっていることに気が付いたの。
それから私は人の笑顔を見るたびに、私も幸せな気分になることができた。
一緒に笑って、心に触れて、私もここにいていいんだと感じるし、安心する。
この幸せをたくさん作ることが私が生きる意味、私の存在意義なんだと感じたの。
だから苦痛に歪むつらい表情、希望を失って死んだような表情、憎悪に身を任せて感情をぶつけてくる人たちを見ると心を掻き毟られるような気分になる。
信念に従って真っすぐ生きろという父の教えもあって、どうにかしたくて気づいたら行動に移していたわ。
そうね・・・。
人のために行動してきたつもりだったけど・・・・結局自分のためだったみたい。ふふふふ。」
ナオはブラハの方に振り向く。
寒い冬の夜に白い吐息がぼんやりと輝き、少女の屈託のない笑顔が幻想的に浮んだ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
皇帝は寝室で椅子に座って暖炉にあたっていた。
手にはナオからもらった手紙がある。
ペーパーナイフで蝋封を切り、手紙を見る。
―――ジョルジュ陛下
先日は賢老フィリップ・パスカル様の件でお力添えいただき、ありがとうございました。
今日、12月24日は私のいた国ではプレゼントを贈る風習があります。
国境都市ネルトに出向いた際、外国の逸品を見つけました。お礼も兼ねてお贈りいたします。
ナオ・クレルモン=フェラン―――
包の中には皇帝の紋章に使われている不死鳥ミュジニーが十字架に留まっているような形をした白銀のネックレスが入っていた。
不死鳥ミュジニーは厄災から守ってくれる伝説があるという。
「愛いことを・・・」
灯り祭と名付けられた祭りの準備は万端だった。
街の街灯には全て火が灯され、さらに多くのオイルランプで街を彩った。話はあっという間に広まり、近隣の村や街からも多くの人が訪れている。
出店や酒場は空前の盛り上がりを見せている。
6時の鐘とともに広場のオーケストラからテンポのよい音楽が溢れだし、陽気な人から踊り始め、次第に輪が大きくなっていく。
「さあ、お祭りの準備は整ったわね。後は私たちが主役よ!」
ナオ、ロレンツェ、クリスティーヌそしてレルミタの女性四人は広場のステージ横でスタンバイしていた。
四人はお揃いの格好をしていた。
胸元が大きく空き、ミニスカートの真っ赤なワンピースに赤と白の毛皮のコートを纏い、頭にも赤と白の毛皮の帽子を被っている。そう、ミニスカサンタクロースだ。
「ナオ様あ。なんだか恥ずかしいですう。」
クリスティーヌがモジモジして言う。
「いやいや、クリスティーヌはまだ若いので大丈夫です。私はほら、年齢が年齢なので犯罪かと・・・」
ロレンツェは冷静に自分にツッコんだ。
「私は派手なのは好きだ・・・。問題ない。」
レルミタは全く気にしていない。普段着の方が露出が多いだろう。
「みんな、いいいんじゃない?かわいいわよ。そしてエロいわ!」
ナオはこの四人でアイドルユニットを組んだら売れるかしらなどと考える。
「なぜこんな格好しなければならないのですか?」
たまらず、ロレンツェが聞いてしまった。
「サービスよ!!」
ロレンツェは聞かなければよかったと後悔した。
「さあ、そこの白い袋を担いで街を練り歩きましょう!」
四人は街を歩き、出会った子供たちにお菓子やらおもちゃやらを配る。
プレゼントをもらった子供の笑顔が弾ける。その笑顔でナオたちも笑顔になった。子供たちのお父さんも。
二時間後、練り歩いて白い袋の中のプレゼントは底をつき、広場に戻ってきた。
「大盛況でしたね!それにあの子たちの笑顔!」
四人はキャッキャとやっていると二人の老人がナオに声を掛ける。
「おじいちゃん!おばあちゃん!」
ナオのこの世界の家族、ニコルじいさんとレリアばあさんだった。
ナオがお祭りを開催すると聞き、コパ村からやって来た。ナオは嬉しさのあまり飛びつく。
「ナオよ。なんとかうまくやれてるみたいだねえ。
それに宰相だなんてびっくりだよ。」
「うん。いろいろあってこんな感じになりました。でも大切な仲間もできたし、幸せだよ。」
「そうかい、そうかい。それはよかったねえ。
なにか楽しそうな服を着て頑張ってるね。どれ、私も着てお手伝いしようかねえ?」
「ありがとう、おばあちゃん・・・・ごめんね。」
「ハハハハ。ばあさん、やはりだめだねえ。あと四〇年若ければそこの四人に負けなかったのにねえ。」
なんともいえないブラックユーモアで後ろの三人が言葉を失っていた。
「じゃあ、おじいちゃん、おばあちゃん!踊ろう!みんなも!」
ナオは手を取って広場の人だかりに混じっていった。
オーケストラは交響曲ではなく、大衆が踊れるような弾むテンポの曲をずっと弾いている。
手をたたいたり、回ってみたり、それぞれ思い思いにダンスの高揚を楽しんだ。
そして休憩と言わんばかりにゆったりとしたバラード調の曲になる。
「ふん。だいぶ、盛り上がっているのだな。」
ふいに周囲がざわつく。
周囲の視線の先には近衛騎士数名と赤髪の男性が歩いて来ていた。
オーケストラも曲を弾くのをやめてしまった。
「よい!音楽を続けよ!宰相が催した余興ぞ!皆楽しめ!」
「陛下・・・。」
ナオが呟く。
「どうだ?ナオ。一曲踊らんか?」
「え・・・、ええ!!?」
「いやなのか?」
「いえ、そんなことは・・・。ただ驚いてしまって・・・」
そう言って、ナオは差し出された皇帝の手に右手を添えた。
丁度バラード調の曲だったこともあり、皇帝のスマートなダンスにリードされるナオ。
しかし、とりあえず二度ほど皇帝の足を踏む。
「すみません・・・。」
「ふん。随分としおらしいな。夜会の時とは違う。」
「それは・・・・その・・・ど、どうして・・・」
「わからんか?お前が仕掛けたものを視察に来ただけだ。」
ナオは緊張のあまり完全に言葉を失っていた。
そんな間に曲が終わってしまった。
「ではな。」と告げて皇帝は立ち去ろうとする。
「ま、待って!」
ナオはプレゼントの袋のところまで行き、すぐに走って戻ってくる。
「これを・・・」
ナオは封書と包みを皇帝に手渡した。
皇帝は何も言わず、そのまま踵を返し、皇城へ帰って行った。
「陛下がお見えになるなんて・・・。どうしたことでしょうか。」
狼狽え気味にロレンツェが近寄ってきた。
「さあ・・・。わからないわ・・・。」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「さあナオ様!打ち上げの用意はできております!!」
お祭りが佳境を迎えるころ、ラヴェルがナオを迎えに来た。
連れていかれた先は先日の酒場だった。
ラヴェルに誘われて、今度はブラハもいる。
「皆さん!今日はご協力ありがとうございました!!
お陰様で盛大なお祭りになりましたわ!!来年、再来年と続けていきましょう!乾杯!!!」
お祭りに負けないほどこちらの酒宴も盛大に盛り上がる。
コスプレに興奮したのか、酔ってエロサンタキャラに成り切ったのか、ロレンツェは羽目を外していてサンタの格好のままテーブルの上で踊っていた。
明日、死ぬほど後悔するに違いない。
クリスティーヌはフィリップにサンタのまま、連れていかれた。そのあとはご想像にお任せということで・・・。
珍しく酔って寝てしまったロレンツェをレルミタにお願いしてナオはブラハと皇城へ帰路についていた。
少し前から雪が降っていたらしく、しんしんと降る雪が音を吸収して静寂が広がる。
まだところどころ灯っているオイルランプの光を雪の結晶が滲ませる。
そんな中、二人は新雪をゆっくりと踏む。
「いつか聞いてみたいと思っていたのですが・・・」
他愛のない話をしながら歩いていた二人だが、ふいにブラハが声を掛ける。
「どうしたんですか、ブラハ殿?改まって」
「二年後の審判はわかりますが、なぜナオ殿はあそこまで人のためにがんばれるのですか?」
「・・・そうね・・・」
ナオは思いを馳せるように夜空を眺める。
「私が生まれ育った国は全ての人が平等だった。
私もそれが当然だと思って生きてきた。
だから、あまりの理不尽さに意味が分からず、理解することができなかったのが一つ目の理由です。
そして、もう一つは心が理由かな。
私は少し前まで人としての幸せが何か、忘れてしまっていた。
だけどこの国にきて、この国の人の心に触れて、ほんの小さな喜びの中にたくさんの大きな幸せが詰まっていることに気が付いたの。
それから私は人の笑顔を見るたびに、私も幸せな気分になることができた。
一緒に笑って、心に触れて、私もここにいていいんだと感じるし、安心する。
この幸せをたくさん作ることが私が生きる意味、私の存在意義なんだと感じたの。
だから苦痛に歪むつらい表情、希望を失って死んだような表情、憎悪に身を任せて感情をぶつけてくる人たちを見ると心を掻き毟られるような気分になる。
信念に従って真っすぐ生きろという父の教えもあって、どうにかしたくて気づいたら行動に移していたわ。
そうね・・・。
人のために行動してきたつもりだったけど・・・・結局自分のためだったみたい。ふふふふ。」
ナオはブラハの方に振り向く。
寒い冬の夜に白い吐息がぼんやりと輝き、少女の屈託のない笑顔が幻想的に浮んだ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
皇帝は寝室で椅子に座って暖炉にあたっていた。
手にはナオからもらった手紙がある。
ペーパーナイフで蝋封を切り、手紙を見る。
―――ジョルジュ陛下
先日は賢老フィリップ・パスカル様の件でお力添えいただき、ありがとうございました。
今日、12月24日は私のいた国ではプレゼントを贈る風習があります。
国境都市ネルトに出向いた際、外国の逸品を見つけました。お礼も兼ねてお贈りいたします。
ナオ・クレルモン=フェラン―――
包の中には皇帝の紋章に使われている不死鳥ミュジニーが十字架に留まっているような形をした白銀のネックレスが入っていた。
不死鳥ミュジニーは厄災から守ってくれる伝説があるという。
「愛いことを・・・」
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