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第六章 正体
34歳の過去を知るもの
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皇都に残る雪はすっかり解けて春になった。
ある日、ナオは孤児院の帰り、皇都をロレンツェ、クリスティーヌと歩いていた。
すると、向かいから誰か、走って来る。
二十歳を超えたくらいの若い細身の男。オルネア帝国には珍しい、黒髪で端正な顔立ち。
その後ろを殺気だった衛兵が待て!と叫びながら後に続いている。
明らかに皇都の人間ではないが、ナオは知っているような気がした。
その黒髪の男は追われているようだった。
ナオたちの横を通り過ぎようとした時に、ロレンツェが黒髪の男を制止しようとするのを、
「待って」
とナオは止めた。
そのまま黒髪の男は横を通り過ぎ、細い路地に逃げ込んで行った。
『今のは・・・』
立ち止まって固まっているナオにロレンツェが声を掛ける。ロレンツェもなぜ制止を止められたのか、疑問だった。
「ロレンツェごめん。
今の黒髪の人と話さなければいけないかもしれない。
衛兵に見つからないように、一緒に捕まえて?」
神妙な面持ちのナオを見たロレンツェはコクリと頷き、すぐに後を追う。
ナオとクリスティーヌも別な脇道に進む。すでに皇都の道はおおよそ把握している。
黒髪の男はうまく撒けたと思ったのか、裏通りの樽の影で座り込んでいた。
「ったく、なんなんだ・・・」
呟く声も息絶え絶えだ。
呼吸を整えようとするその男の視界に、抜き身の剣が映る。ロレンツェのサーベルだ。
「動くな。捕らえる気はない。
話を聞きたい。」
「はい・・・抵抗しませんので切らないで下さい・・・」
黒髪の男が観念しているとナオとクリスティーヌがやってきた。
「はあはあ。さすが、ロレンツェね。ありがとう。少し二人にしてくれる?」
「わかりました。衛兵が来ないか少し先で見張っています。行こう、クリスティーヌ。」
二人に声が聞こえない距離になるまで待ってからナオは話しを始めた。
「いきなりごめんなさい。
私はナオ・クレルモン=フェラン。
このオルネア帝国の宰相です。」
黒髪の男はまるで訳がわからないといった表情をしている。言葉も出てこない。
「・・・あなたはもしかして長谷部賢人君じゃない?」
黒髪の男はナオのもとの世界のスーツにシャツ、そして緩めたネクタイをしていた。
「あっあなたは私の事を知っているんですか!?
ここは!ここはどこなんですか!?
自分もなんか変な言葉をしゃべってる!
もう訳がわからない!」
ナオの両肩をつかんで関を切ったように、黒髪の男・長谷部賢人は疑問と感情をぶつけてきた。
目には涙が浮かんでいる。
ナオは肩をつかまれた手にそっと手を添える。
「あなたがこんなに感情的になるなんて・・・。
落ち着いて聞いて。
ここはオルネア帝国の皇都。あなたのいた日本とは全く違う異世界にあなたは迷いこんでしまったの。」
「・・・そして私の本当の名前は山田直。」
長谷部賢人は恐怖と驚きのあまり、ナオの肩から手を放した。
なにか話そうとするが声が出てこない。
「そう。あなたの元上司。ご覧の通り、なんでかわからないけど34歳だった私は18歳の金髪碧眼になっちゃったのよ。こっちの世界に来てもう一年近く経つのかしら。」
「・・・・こんなゲームみたいなことあるんですか・・・」
「信じられないのは無理ないわ。私もかなり戸惑った。しかも私は見た目も変わってたし。フフフ。」
ナオの見せる笑顔に、長谷部賢人は顔を曇らせた。
「本当に山田直さんですか?
私は山田さんが笑っているのを見たことありません。」
「ひどい。
でも、そうね。笑ってなかったかも。
じゃあ・・・覚悟を決めろ。」
「あっ。山田さんだ。」
「叱咤激励で特定されるのも、どうかとも思うのだけど・・・。
まあいいわ。長谷部君はどうやってここに来たの?」
長谷部賢人はやっと落ち着きを見せ、事の顛末を話し始めた。
営業の帰りに一人車に乗っていて、トンネルを通ったら対向車もいないのに眩しい光に包まれた。
光が収まってそのトンネルをでたら、牧歌的な草原が眼前に広がる山道に出た。
振り返るとトンネルだと思っていたものは洞窟だった。
戻ってもよかったが、興味が出たので先を進んだ。
途中道が荒く、車で通れなかったので、歩いていたら街が見えたのでこの皇都に入ったらしい。
しかし、入るときに守衛がいて身分を問われる。
そこで怪しまれて逆に皇都内に逃げ込んで先ほどの展開になった。
さらに山田直がいなくなった後のことも聞く。
帰りにトラックに轢かれたと噂されているが、遺体が消えていてどこにも見つからなかったらしい。
真相は謎で行方不明ということになっている。
時間軸は同じらしく、もとの世界でも一年近く経っているらしい。
「そう・・・。行方不明ということになっているんだ・・・。」
「はい。山田さんがいなくなって、僕はどれだけ甘えていたのかよくわかりました。あの後本当に大変だったんです。今更ですけど・・・ありがとうございました。」
長谷部賢人は深々と頭を下げた。思わぬ感謝にナオは目頭が熱くなるのを感じる。
「お礼だなんて・・・。確かに長谷部君のためを思ってやってたけど、私はやり方が良くなかった。今はそれがわかる。」
「山田さん、なんだか変わったんですね。なんか優しいし、笑顔が絶えない。」
「ええ。このオルネア帝国に来て、私は変わったわ。見た目も若返ったし。フフフ。」
「ハハハ。あんなに年上で怖い人だったのに、今は僕より年下ですか。」
「そう。それで今はいろいろあってこの帝国の宰相をしているわ。
だんだん良い国になってきたの。後で案内するね。それと、今日は皇城に泊まりなさい。
客人としておもてなしするわ。」
「さすがですね山田さん。それに相変わらずな強引さ。若返っても変わらない。」
それからオナと長谷部賢人は適当に口裏合わせて、ロレンツェたちに説明した。
そして皇城に帰還する。
長谷部賢人に客室を与え、別室でオルネア帝国の宮廷料理を用意した。
豪華な料理で長谷部賢人も満足し、客室に帰る。
ナオも私室に戻り一人になる。そして、長谷部賢人の言葉を思い出す。
「帰れますよ」
長谷部賢人の言葉にナオはその日の夜は眠ることができなかった。
―――帰れる。
帰ったら、家族にも友人にも会える。うれしい。
けど、見た目は戻るの?
戻ってしまったら、またあのダメな山田直に戻ってしまう気がする。
今の見た目だから、なんでも自信を持ってやれてきたのかも。
でもそれじゃあ、この身体と昔の身体でこんなに変わってしまうなんて、私という存在は一体なんなの?
身体が、表面がなければ何にもできないそんなちっぽけな存在なの?
私は、私はそんなものだったの?
今の自信もただの仮初めにしか過ぎない・・・。
帰ろう。偽物ではない、もう一度本当の自分を見直して生きよう。―――
もとの世界に帰れるかもしれないという希望。
それが強制的に自分自身の内面と向き合わせられる。
そして、矮小な人間だった事に気付き、ナオは帰る決断をしてしまう。
ある日、ナオは孤児院の帰り、皇都をロレンツェ、クリスティーヌと歩いていた。
すると、向かいから誰か、走って来る。
二十歳を超えたくらいの若い細身の男。オルネア帝国には珍しい、黒髪で端正な顔立ち。
その後ろを殺気だった衛兵が待て!と叫びながら後に続いている。
明らかに皇都の人間ではないが、ナオは知っているような気がした。
その黒髪の男は追われているようだった。
ナオたちの横を通り過ぎようとした時に、ロレンツェが黒髪の男を制止しようとするのを、
「待って」
とナオは止めた。
そのまま黒髪の男は横を通り過ぎ、細い路地に逃げ込んで行った。
『今のは・・・』
立ち止まって固まっているナオにロレンツェが声を掛ける。ロレンツェもなぜ制止を止められたのか、疑問だった。
「ロレンツェごめん。
今の黒髪の人と話さなければいけないかもしれない。
衛兵に見つからないように、一緒に捕まえて?」
神妙な面持ちのナオを見たロレンツェはコクリと頷き、すぐに後を追う。
ナオとクリスティーヌも別な脇道に進む。すでに皇都の道はおおよそ把握している。
黒髪の男はうまく撒けたと思ったのか、裏通りの樽の影で座り込んでいた。
「ったく、なんなんだ・・・」
呟く声も息絶え絶えだ。
呼吸を整えようとするその男の視界に、抜き身の剣が映る。ロレンツェのサーベルだ。
「動くな。捕らえる気はない。
話を聞きたい。」
「はい・・・抵抗しませんので切らないで下さい・・・」
黒髪の男が観念しているとナオとクリスティーヌがやってきた。
「はあはあ。さすが、ロレンツェね。ありがとう。少し二人にしてくれる?」
「わかりました。衛兵が来ないか少し先で見張っています。行こう、クリスティーヌ。」
二人に声が聞こえない距離になるまで待ってからナオは話しを始めた。
「いきなりごめんなさい。
私はナオ・クレルモン=フェラン。
このオルネア帝国の宰相です。」
黒髪の男はまるで訳がわからないといった表情をしている。言葉も出てこない。
「・・・あなたはもしかして長谷部賢人君じゃない?」
黒髪の男はナオのもとの世界のスーツにシャツ、そして緩めたネクタイをしていた。
「あっあなたは私の事を知っているんですか!?
ここは!ここはどこなんですか!?
自分もなんか変な言葉をしゃべってる!
もう訳がわからない!」
ナオの両肩をつかんで関を切ったように、黒髪の男・長谷部賢人は疑問と感情をぶつけてきた。
目には涙が浮かんでいる。
ナオは肩をつかまれた手にそっと手を添える。
「あなたがこんなに感情的になるなんて・・・。
落ち着いて聞いて。
ここはオルネア帝国の皇都。あなたのいた日本とは全く違う異世界にあなたは迷いこんでしまったの。」
「・・・そして私の本当の名前は山田直。」
長谷部賢人は恐怖と驚きのあまり、ナオの肩から手を放した。
なにか話そうとするが声が出てこない。
「そう。あなたの元上司。ご覧の通り、なんでかわからないけど34歳だった私は18歳の金髪碧眼になっちゃったのよ。こっちの世界に来てもう一年近く経つのかしら。」
「・・・・こんなゲームみたいなことあるんですか・・・」
「信じられないのは無理ないわ。私もかなり戸惑った。しかも私は見た目も変わってたし。フフフ。」
ナオの見せる笑顔に、長谷部賢人は顔を曇らせた。
「本当に山田直さんですか?
私は山田さんが笑っているのを見たことありません。」
「ひどい。
でも、そうね。笑ってなかったかも。
じゃあ・・・覚悟を決めろ。」
「あっ。山田さんだ。」
「叱咤激励で特定されるのも、どうかとも思うのだけど・・・。
まあいいわ。長谷部君はどうやってここに来たの?」
長谷部賢人はやっと落ち着きを見せ、事の顛末を話し始めた。
営業の帰りに一人車に乗っていて、トンネルを通ったら対向車もいないのに眩しい光に包まれた。
光が収まってそのトンネルをでたら、牧歌的な草原が眼前に広がる山道に出た。
振り返るとトンネルだと思っていたものは洞窟だった。
戻ってもよかったが、興味が出たので先を進んだ。
途中道が荒く、車で通れなかったので、歩いていたら街が見えたのでこの皇都に入ったらしい。
しかし、入るときに守衛がいて身分を問われる。
そこで怪しまれて逆に皇都内に逃げ込んで先ほどの展開になった。
さらに山田直がいなくなった後のことも聞く。
帰りにトラックに轢かれたと噂されているが、遺体が消えていてどこにも見つからなかったらしい。
真相は謎で行方不明ということになっている。
時間軸は同じらしく、もとの世界でも一年近く経っているらしい。
「そう・・・。行方不明ということになっているんだ・・・。」
「はい。山田さんがいなくなって、僕はどれだけ甘えていたのかよくわかりました。あの後本当に大変だったんです。今更ですけど・・・ありがとうございました。」
長谷部賢人は深々と頭を下げた。思わぬ感謝にナオは目頭が熱くなるのを感じる。
「お礼だなんて・・・。確かに長谷部君のためを思ってやってたけど、私はやり方が良くなかった。今はそれがわかる。」
「山田さん、なんだか変わったんですね。なんか優しいし、笑顔が絶えない。」
「ええ。このオルネア帝国に来て、私は変わったわ。見た目も若返ったし。フフフ。」
「ハハハ。あんなに年上で怖い人だったのに、今は僕より年下ですか。」
「そう。それで今はいろいろあってこの帝国の宰相をしているわ。
だんだん良い国になってきたの。後で案内するね。それと、今日は皇城に泊まりなさい。
客人としておもてなしするわ。」
「さすがですね山田さん。それに相変わらずな強引さ。若返っても変わらない。」
それからオナと長谷部賢人は適当に口裏合わせて、ロレンツェたちに説明した。
そして皇城に帰還する。
長谷部賢人に客室を与え、別室でオルネア帝国の宮廷料理を用意した。
豪華な料理で長谷部賢人も満足し、客室に帰る。
ナオも私室に戻り一人になる。そして、長谷部賢人の言葉を思い出す。
「帰れますよ」
長谷部賢人の言葉にナオはその日の夜は眠ることができなかった。
―――帰れる。
帰ったら、家族にも友人にも会える。うれしい。
けど、見た目は戻るの?
戻ってしまったら、またあのダメな山田直に戻ってしまう気がする。
今の見た目だから、なんでも自信を持ってやれてきたのかも。
でもそれじゃあ、この身体と昔の身体でこんなに変わってしまうなんて、私という存在は一体なんなの?
身体が、表面がなければ何にもできないそんなちっぽけな存在なの?
私は、私はそんなものだったの?
今の自信もただの仮初めにしか過ぎない・・・。
帰ろう。偽物ではない、もう一度本当の自分を見直して生きよう。―――
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