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第七章 叛逆
34歳の帰還と反撃、そして投獄
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サヴァディン群島の沖でとんでもない約束が交わされた。
サヴァディン群島は全体で人口5万人ほどの国家にはなっていない自治集団だ。
古くからジャドの一族が全ての島を牛耳っていて、実質的な領主だ。
そのサヴァディン群島の領有権をすべて、ナオに差し出す。
ナオが領主になるということだ。それが書面にしたためられ、明文化される。
「本当によいのですか?」
書類にサインをするジャドにナオは話しかけた。
ジャドは手を止めずに話す。
「ああ、もちろんだ。どのみち、あんたの誘拐を失敗した俺たちにイスタリカ王国が黙っているわけがない。口封じのために蹂躙されるだろう。
それならば、自分たちがそうしたいと思える相手に従う方が何倍もマシだ。」
「しかし、オルネア帝国ではなく、私にとは・・・。」
「帝国じゃなくてあんたがいいんだ。
ここにいる奴らだって、一人の人間としてのあんたに惚れてついてきているんだろう?
なら、俺もそれに乗っかるまでだ。
それに俺はあんたが望む世界、あんたが作る世界を見てみたい。」
「ジャド殿・・・・。」
「これから頼むぜ?頭のナオ殿!」
感慨深い顔をしているナオの肩をジャドは威勢よく叩いた。かなり強かったらしく、ナオの顔が苦くなる。
「取りあえずは俺が頭代行として、島々を仕切っておく。オルネア帝国の方が落ち着いたら島に来てゆっくり差配してくれ。
あと、イスタリカ王国が襲ってきたら助けてくれよな。」
その言葉に、控えていたタリス島の軍隊長トレスが前に出た。
「そうなったら、俺たちタリスの出番だ。お互いにやり口は充分に海で語った。たやすく連携できるだろう。過去誰も想像したことのない、あり得ない連携をもってイスタリカ王国を驚かせてやろう。」
「違えねえ。」
長年の宿敵。お互いに多くの血を流したが、それがいま終焉を迎え、手を携える。
「では、後は頼みます。私たちはオルネア皇都へ!!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ナオたちはタリス島を経由して海路を進んだ。
十日ほどでネルトの国境都市の港に着く。
いまだに叛逆者の汚名を雪げていないナオだが、ネルト領主のシャルル・グロ公爵は快く迎え入れてくれた。
公邸内に部屋を用意してくれて、シャルル公爵と共に会食をする。
そこで最新の情報に乏しかったオルネア帝国の現状を知らされる。
皇帝はいまだに意識不明で、それに乗じて元宰相のラリュー・デュモンが帝議会で攻勢をかけていて、意のままに操り始めている。
イスタリカ王国の支援を受けていると噂されていて、暗殺・買収が蔓延っているという。
「もし、私が捕まっていなくてフィリップ殿が助けに来る必要がなければ、うまく立ち回ってくれていたでしょうに・・・。」
「いやいや、ナオ殿の身柄の確保に向かうということがなければ、ワシも暗殺されていたかもしれん。それほどまでに皇城は混乱していた。」
ナオが自分の失態に唇を噛んでいると、フィリップがフォローする。
「スタインベルグ王国のブラハ王子も危機回避のため、帰国されましたから。」
シャルル公爵も追随して言う。
「そうですか・・・。ブラハ殿が・・・。」
「はい。やはり、ナオ殿に強力していたので立場がかなり悪くなりました。ナオ殿の行方が分からなくなった後、しぶしぶとスタインベルグ王国へ帰還されたと聞いています。」
ナオがブラハと最後に会ったのは屋上庭園でキスをしたあの日。
あれから一言も話すことができず、すでにひと月近く経っている。
思い返すと胸が苦しくなる。ナオは握りしめた拳を胸にギュッと当てた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
翌日、ナオ達は皇城に向かって出発した。
ナオ、フィリップ、クリストフ、ロレンツェ、ラヴェル。そして公式私設部隊の騎士二十名ほど。
もともとフィリップ達四人はナオが叛逆者だとは思っていなかったが、公式私設部隊の騎士も信じてくれていた。説明すると、疑いは簡単に解ける。
だが皇城に入るにあたり、オルネア帝国騎士と戦闘にならないように、叛逆者ナオを捕らえて護送するという形を装った。
数日後、皇城に入ったナオは帝議会に叛逆者として引き出された。
五十人ほどの議員の前に立たされる。
その議員をナオは見て驚く。
過去にナオの味方をしてくれていた議員は十人もいなかった。
ほとんど代わっている。ラリュー・デュモンの息のかかった者達なのであろう。
「宰相ナオ殿。よくぞ戻られた。
あなたはに叛逆の罪が掛けられている。
皇帝陛下を誘惑し、未遂に終わったが暗殺を実行し、宮殿に火を放った。
国家を揺るがす重罪だ!
よって、帝議会の意をもって極刑に処す!」
話す隙も与えず、決定を下したのはラリュー・デュモンだった。多数決をもって、宰相代理となっているらしく、完全に場を仕切っていた。
ラリュー・デュモンに賛同する議員がそうだそうだ!と声を荒げる。
ナオは声が収まるのを待ってから、口を開いた。
「ラリュー・デュモン殿!私に向けた言葉をそっくりそのまま、お返しします!
あなたを叛逆罪に問う!」
周りの議員は突然のナオの発言に唖然とする。
「はあっ?何を言っているのですか?私が叛逆罪に問われるいわれはありません。
証拠でもあるのですか?」
いけしゃあしゃあとラリュー・デュモンは言った。言わないだけで誰しもがラリュー・デュモンのことを疑ってはいる。しかし証拠がなく、誰も何も言えなかった。
このひと月で逆らった議員は消されてしまっていることを皆知っている。
ナオはにやりと不敵な笑みを浮かべる。
「証拠ならあります。こちらを!」
ナオは手にしていた羊皮紙を開いた。
それはラリュー・デュモンの叛逆を証明する文章を綴った告発文だった。
サヴァディン群島のジャドのサインが入っている。
ラリュー・デュモンはナオから羊皮紙を受け取り、確認する。
確かにサヴァディンのジャドが、ラリュー・デュモンとイスタリカ王国に協力して皇帝暗殺を企んだことが綿密に書いてある。
「裏切ったな・・・ジャドめ・・・。」
ラリューはぼそりと呟く。しかし、顔を上げて声を荒げる。
「こんな文章がなんの証拠になるのですか?あなたの罠には嵌りませんよ!」
ナオはラリューの方ではなく、広い天井の高い場所にある窓の方を見ていた。
窓枠によじ登ったクリストフがOKサインを出している。
「今の間に、私の手の者が、あなたの屋敷を襲いました。
かくまっているイスタリカ王国の暗殺者、工作員を捕縛しました。もう言い逃れはできません。」
「そんなばかなっ!彼らは相当の手練れのはず・・・。」
「はい。ボロも出ましたね。衛兵!」
がっくりとうなだれたラリュー・デュモンは衛兵に連れていかれた。
ナオはそれを見送る。今度はナオ自身の手でラリュー・デュモンに引導を渡してしまった。
だが、同情の余地はない。それだけのことをラリューはしたのだから。
「さて、私の嫌疑も晴れたことですし、ラリュー殿はもう日の目を見ることはありません。
ラリュー一派の方々はどうされますか?
もっとも私は従わない方を暗殺したりなどしませんが。
これからは誠実にオルネア帝国の為に尽くしてくれるのであれば、私は受け入れます。」
ラリュー一派へのナオからの最後通告だった。
そこへ壇上のナオの後ろの扉が開く。皇錫を杖代わりにして男性が入ってきた。
「「「「陛下!!」」」」
その姿を目にした議員は驚きのあまり立ち上がった。
ドクン。ナオの心臓が大きく弾ける。緊張感で一気に身体がこわばり、ゆっくりとしか後ろを向けなかった。
ナオの目に皇帝の姿が映る。少しやつれた感じはあるが、まぎれもなく皇帝だった。
「陛下・・・。」
無事を確認した安堵感と驚きで、ナオはそれ以上声を出せなかった。
皇帝は皇錫をつきながら、ナオに近づいた。そして、一言。
「愛妾のナオを捕らえろ。姦通罪だ。」
サヴァディン群島は全体で人口5万人ほどの国家にはなっていない自治集団だ。
古くからジャドの一族が全ての島を牛耳っていて、実質的な領主だ。
そのサヴァディン群島の領有権をすべて、ナオに差し出す。
ナオが領主になるということだ。それが書面にしたためられ、明文化される。
「本当によいのですか?」
書類にサインをするジャドにナオは話しかけた。
ジャドは手を止めずに話す。
「ああ、もちろんだ。どのみち、あんたの誘拐を失敗した俺たちにイスタリカ王国が黙っているわけがない。口封じのために蹂躙されるだろう。
それならば、自分たちがそうしたいと思える相手に従う方が何倍もマシだ。」
「しかし、オルネア帝国ではなく、私にとは・・・。」
「帝国じゃなくてあんたがいいんだ。
ここにいる奴らだって、一人の人間としてのあんたに惚れてついてきているんだろう?
なら、俺もそれに乗っかるまでだ。
それに俺はあんたが望む世界、あんたが作る世界を見てみたい。」
「ジャド殿・・・・。」
「これから頼むぜ?頭のナオ殿!」
感慨深い顔をしているナオの肩をジャドは威勢よく叩いた。かなり強かったらしく、ナオの顔が苦くなる。
「取りあえずは俺が頭代行として、島々を仕切っておく。オルネア帝国の方が落ち着いたら島に来てゆっくり差配してくれ。
あと、イスタリカ王国が襲ってきたら助けてくれよな。」
その言葉に、控えていたタリス島の軍隊長トレスが前に出た。
「そうなったら、俺たちタリスの出番だ。お互いにやり口は充分に海で語った。たやすく連携できるだろう。過去誰も想像したことのない、あり得ない連携をもってイスタリカ王国を驚かせてやろう。」
「違えねえ。」
長年の宿敵。お互いに多くの血を流したが、それがいま終焉を迎え、手を携える。
「では、後は頼みます。私たちはオルネア皇都へ!!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ナオたちはタリス島を経由して海路を進んだ。
十日ほどでネルトの国境都市の港に着く。
いまだに叛逆者の汚名を雪げていないナオだが、ネルト領主のシャルル・グロ公爵は快く迎え入れてくれた。
公邸内に部屋を用意してくれて、シャルル公爵と共に会食をする。
そこで最新の情報に乏しかったオルネア帝国の現状を知らされる。
皇帝はいまだに意識不明で、それに乗じて元宰相のラリュー・デュモンが帝議会で攻勢をかけていて、意のままに操り始めている。
イスタリカ王国の支援を受けていると噂されていて、暗殺・買収が蔓延っているという。
「もし、私が捕まっていなくてフィリップ殿が助けに来る必要がなければ、うまく立ち回ってくれていたでしょうに・・・。」
「いやいや、ナオ殿の身柄の確保に向かうということがなければ、ワシも暗殺されていたかもしれん。それほどまでに皇城は混乱していた。」
ナオが自分の失態に唇を噛んでいると、フィリップがフォローする。
「スタインベルグ王国のブラハ王子も危機回避のため、帰国されましたから。」
シャルル公爵も追随して言う。
「そうですか・・・。ブラハ殿が・・・。」
「はい。やはり、ナオ殿に強力していたので立場がかなり悪くなりました。ナオ殿の行方が分からなくなった後、しぶしぶとスタインベルグ王国へ帰還されたと聞いています。」
ナオがブラハと最後に会ったのは屋上庭園でキスをしたあの日。
あれから一言も話すことができず、すでにひと月近く経っている。
思い返すと胸が苦しくなる。ナオは握りしめた拳を胸にギュッと当てた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
翌日、ナオ達は皇城に向かって出発した。
ナオ、フィリップ、クリストフ、ロレンツェ、ラヴェル。そして公式私設部隊の騎士二十名ほど。
もともとフィリップ達四人はナオが叛逆者だとは思っていなかったが、公式私設部隊の騎士も信じてくれていた。説明すると、疑いは簡単に解ける。
だが皇城に入るにあたり、オルネア帝国騎士と戦闘にならないように、叛逆者ナオを捕らえて護送するという形を装った。
数日後、皇城に入ったナオは帝議会に叛逆者として引き出された。
五十人ほどの議員の前に立たされる。
その議員をナオは見て驚く。
過去にナオの味方をしてくれていた議員は十人もいなかった。
ほとんど代わっている。ラリュー・デュモンの息のかかった者達なのであろう。
「宰相ナオ殿。よくぞ戻られた。
あなたはに叛逆の罪が掛けられている。
皇帝陛下を誘惑し、未遂に終わったが暗殺を実行し、宮殿に火を放った。
国家を揺るがす重罪だ!
よって、帝議会の意をもって極刑に処す!」
話す隙も与えず、決定を下したのはラリュー・デュモンだった。多数決をもって、宰相代理となっているらしく、完全に場を仕切っていた。
ラリュー・デュモンに賛同する議員がそうだそうだ!と声を荒げる。
ナオは声が収まるのを待ってから、口を開いた。
「ラリュー・デュモン殿!私に向けた言葉をそっくりそのまま、お返しします!
あなたを叛逆罪に問う!」
周りの議員は突然のナオの発言に唖然とする。
「はあっ?何を言っているのですか?私が叛逆罪に問われるいわれはありません。
証拠でもあるのですか?」
いけしゃあしゃあとラリュー・デュモンは言った。言わないだけで誰しもがラリュー・デュモンのことを疑ってはいる。しかし証拠がなく、誰も何も言えなかった。
このひと月で逆らった議員は消されてしまっていることを皆知っている。
ナオはにやりと不敵な笑みを浮かべる。
「証拠ならあります。こちらを!」
ナオは手にしていた羊皮紙を開いた。
それはラリュー・デュモンの叛逆を証明する文章を綴った告発文だった。
サヴァディン群島のジャドのサインが入っている。
ラリュー・デュモンはナオから羊皮紙を受け取り、確認する。
確かにサヴァディンのジャドが、ラリュー・デュモンとイスタリカ王国に協力して皇帝暗殺を企んだことが綿密に書いてある。
「裏切ったな・・・ジャドめ・・・。」
ラリューはぼそりと呟く。しかし、顔を上げて声を荒げる。
「こんな文章がなんの証拠になるのですか?あなたの罠には嵌りませんよ!」
ナオはラリューの方ではなく、広い天井の高い場所にある窓の方を見ていた。
窓枠によじ登ったクリストフがOKサインを出している。
「今の間に、私の手の者が、あなたの屋敷を襲いました。
かくまっているイスタリカ王国の暗殺者、工作員を捕縛しました。もう言い逃れはできません。」
「そんなばかなっ!彼らは相当の手練れのはず・・・。」
「はい。ボロも出ましたね。衛兵!」
がっくりとうなだれたラリュー・デュモンは衛兵に連れていかれた。
ナオはそれを見送る。今度はナオ自身の手でラリュー・デュモンに引導を渡してしまった。
だが、同情の余地はない。それだけのことをラリューはしたのだから。
「さて、私の嫌疑も晴れたことですし、ラリュー殿はもう日の目を見ることはありません。
ラリュー一派の方々はどうされますか?
もっとも私は従わない方を暗殺したりなどしませんが。
これからは誠実にオルネア帝国の為に尽くしてくれるのであれば、私は受け入れます。」
ラリュー一派へのナオからの最後通告だった。
そこへ壇上のナオの後ろの扉が開く。皇錫を杖代わりにして男性が入ってきた。
「「「「陛下!!」」」」
その姿を目にした議員は驚きのあまり立ち上がった。
ドクン。ナオの心臓が大きく弾ける。緊張感で一気に身体がこわばり、ゆっくりとしか後ろを向けなかった。
ナオの目に皇帝の姿が映る。少しやつれた感じはあるが、まぎれもなく皇帝だった。
「陛下・・・。」
無事を確認した安堵感と驚きで、ナオはそれ以上声を出せなかった。
皇帝は皇錫をつきながら、ナオに近づいた。そして、一言。
「愛妾のナオを捕らえろ。姦通罪だ。」
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