34歳独身女が異界で愛妾で宰相で

アマクサ

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34歳を求める二人、盟友の裏切り

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 ガラス窓のレースのカーテンの隙間から爽やかな朝日が入ってくる。
 その光が窓側にいたナオの顔に差し込む。
ナオは眩しそうに眼を開けた。
 ぼんやりとした意識の中、自分の身体を見る。
 裸だった。
 下腹部になんとなく違和感が残っていて、秘部が少し痛い。
毛布を少しどけるとシーツに赤銅色に変色したシミが残っている。
 心の準備をして隣を見る。
 やはり隣には裸の皇帝がすやすやと眠っていた。

『やはり夢ではないか・・・・。』

 夢ではないことを自分に言い聞かせつつ、皇帝の寝顔を見つめた。
 皇帝はうつ伏せに寝ていて、横顔をナオの方に向けている。
満足に動かない体で情熱的に体を重ねたのだ。疲労もあってか、眠りは深い。
どことなく、その表情は幸せそうに見える。
 ナオはその皇帝の髪をそっと撫でて、微笑む。
 昨夜、皇帝の心の言葉は聞いた。弱さを全てさらけ出した心の声。
それを聞いてナオは衝動のままに、自然と動いてしまった。
 鉄格子を挟んで、皇帝を抱きしめた。
 それが、母性本能だったのか。愛情だったのか。判断はつかない。
涙を流す皇帝を、ただ抱きしめたくてそうしてしまった。
 見つめ合い、二人は鉄格子の隙間で口づけをした。
 そして熱に浮かされた時間が過ぎ、皇帝の寝室で朝を迎えた。

『これでよかったんだよね・・・。』

 心の中には、ブラハの顔が浮かんできてしまう。
だが、昨夜は皇帝の事しか考えられなかった。
 自分自身に言い聞かせるかのように、心に思った。


 ドンドンドン!
突如、寝室のドアを力強くノックされる。

「陛下!陛下!大変でございます!!」

 あからさまに慌てた侍女の声が聞こえる。
 驚いたナオだが、すぐに皇帝を揺すって起こす。

「どうした・・・?」

「起こしてすみません。何かあった様です。」

 ナオは同じく裸だった皇帝が服を着るのを手伝う。
 服を着た皇帝はシーツの赤銅色のシミを一瞥する。

「ナオよ。しばらくはこの部屋でゆっくりしていろ。」

 ナオの身体を気遣って皇帝はそう言い残し、謁見の間に向かった。
 ナオも何があったのか、気にはなったが、まだ勾留中の身。大人しく寝台に戻ることにした。

 皇帝は白虎宮の中の謁見の間に入る。
 すると、帝議会の議員や上役の軍人などがごったがえしていた。
まだ職を解かれていない賢老フィリップの姿もあった。
 皇帝は中央奥に配置されている玉座に座る。

「この身体ゆえ、遅くなった。待たせてすまんな。」

 その場の全員が目を丸くした。
 あの皇帝が、確かに変わりつつあったが、自身の落ち度を詫びるなど過去なかったことだ。
 言葉を失っている議員に皇帝は尋ねた。

「緊急事態ではなかったのか?はやく報告せよ。」

「そ、そうでした。申し訳ございません。それが・・・」

 はっとなった議員が言いづらそうに話し始めた。

「我が帝国の古き同盟国、スタインベルグ王国が宣戦布告してまいりました・・・。
現在、スタインベルグ王国軍は国境警備隊を撃破し、オルネア帝国領内に侵入し、オルネア皇都に向け進軍中です・・・。
 物見によると、軍隊を指揮しているのは・・・ブラハ王子です・・・。」

「馬鹿な!!狂ったか!ブラハ!」

 長きに渡る盟友の裏切り。皇帝はこのまさかの事態に思わず、立ち上がってしまう。



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