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終章 選択
34歳はのほほんと、何も知らずに
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謁見の間で議員は皇帝にスタインベルグ王国の侵攻を伝える。
宣戦布告の書状が届いた時には、スタインベルグ軍はすでに北の国境を越え、領域侵犯していていた。
陸路を馬と歩兵で進み、オルネア皇都まであと一日というところだ。
オルネア帝国としては非常に緊急を要する事態だった。
長きにわたってスタインベルグ王国と友好な関係だったため、両国の国境に配している警備隊の数は少なかった。
さらにはイスタリカ王国が暗躍した先日のナオの騒動もあったために、軍の半分を南のイスタリカ王国の国境近くに配備していた。
どんなに早く呼び寄せても一週間はかかる。
幸いなことに、皇帝暗殺未遂事件もあって、オルネア皇都には平時以上の数の兵が詰めていた。
「して、目的は?」
皇帝が報告した議員に尋ねる。
皇帝は事件から復帰して以来、ほとんど任せっきりだった政務を自ら執るようになっていた。
宰相が議会をまとめることができない状況で、皇帝の周りに人が集まり、指示を仰ぐようになっていくのは自然な流れだった。
「はい。それはこちらの宣戦布告の書状に要求がしたためられております。」
議員はうやうやしく頭を垂れて皇帝に書状を手渡した。
皇帝はそれを無造作につかんで広げる。
それを読んだ皇帝はみるみるうちに怒りの表情になっていく。
―――宰相ナオを牢獄から釈放し、スタインベルグ王国に引き渡せ。
そして、旧アルマニャック王国領をスタインベルグ王国領として差し出せ。―――
最後にスタインベルグ国王名代ブラハのサインが示されている。
「ブラハめ・・・・。私情で戦争を起こしたというのか!」
皇帝は怒りのあまり、フルフルと震えている。手の書状はやはり握りつぶされている。
ナオとブラハが親睦を深めていたのは周知の事実で、先日のナオの姦通罪の容疑での投獄。
ナオを取り戻そうとしたブラハの行動。
状況証拠はナオがブラハと恋仲になっていたことを証明している。
しかし恋仲の相手を助け出すために戦争を仕掛けるとは。
公正を期し、人の上に立つ王族の倫理観としては恥ずべきことであろう。あまりに私的な感情の話である。
その場に集まっている議員や軍人はこの要求に対してどう対処していいのか、何も進言できなかった。
「皆の者!よく聞くがよい!
オルネア帝国はスタインベルグ王国と戦う!異存は許さん!
各部署は情報を整理し、準備を整えろ!一時間後に皇宮殿で軍議を行う!」
「「「はっ!!!」」」
皇帝の言葉に全ての軍人が胸に手を当てて敬礼して応える。
すぐさま各所に散る。議員も同様にその場を後にした。
だが、賢老フィリップだけのその場に残った。人がいなくなるのを見計らって皇帝に話しかける。
「陛下。本当にそれでよいのですか?講和の道もないわけではないですがな。」
思っていても、誰も口にできなかった事をフィリップは言った。
「よい。貴様たちが言いたいことはわかる。だが、余は二度とナオを手放したくないのだ。
これは余の最大のわがままだ。すまんが最後まで付き合ってくれ。」
フィリップは皇帝の決意に満ちた目を見る。
その眼差しは一点の曇りもない。
「陛下はそこまでナオ殿のことをか。」
フィリップは胸に過去の情景を思い出した。
オルネア帝国を立て直すために、皇帝がフィリップを訪れた時の事。
戦争を全て終わらせ、平和を取り戻した時の事。
どれを思い出しても、皇帝の目には光がなかった。自己嫌悪。蔑み。
この世の全ての悲しみと負の感情を背負いこんでしまったかのようだった。
だが、今は違う。
皇帝ははっきりと自分というものを取り戻し、大切なものを守るために自らの手で行動しようとしている。
それを目の当たりにして、フィリップの心は震えずにはいられなかった。
「陛下。承りました。
陛下のわがまま、一緒に貫き通しましょうぞ。」
フィリップは片膝をつき、強い思いを胸に首を垂れた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
慌ただしく一日が経った。
スタインベルグ王国軍は既にオルネア皇都が見下ろせる小高い丘に陣を敷いていた。
進軍中、オルネア帝国小隊と小競り合いをするが、数の差は歴然でそのオルネア帝国小隊は侵攻の速度を遅れさせることもかなわなかった。
スタインベルグ王国軍は途中の村や町を素通りもしくは迂回してひたすらに皇都を目指し、最速でこの丘に布陣した。
オルネア皇都は広大な平野に位置していて、皇城を中心にそれを取り囲むように大きな都市が形成されている。
皇都は非常に長い城壁で全て囲まれ、城壁内はあまりに広い。田畑以外全て収まってしまっている。
そしてその城壁は非常に背が高く、さらにはその高い外壁の他に内側に同じ高さの内壁があり、二重の壁が外敵から守る造りだった。
オルネア皇都を攻めるにはこの外壁と内壁を突破し、さらに広大な城下町を進んでやっと、皇城を守る外壁だ。さらにそこからは攻城戦となる。
一見、この鉄壁に見える造りだが、逆に今はそれがあだとなっている。
オルネア帝国軍の半分が出兵中のため、この広すぎる皇都に配備できる兵が足りないのだ。
皇帝はこの事態に対して、外壁から打って出る野戦を選択する。
オルネア帝国軍はスタインベルグ王国が布陣している丘に一番近い西門の外に多く布陣した。
皇帝も軽装ではあるが、甲冑を身に着けて本陣に来ている。
数刻後、オルネア帝国軍とスタインベルグ王国軍の激突が始まることとなる。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「はあ・・・気持ちいい・・・。」
ナオは皇帝の居室のバスルームでバスタブに浸かっていた。
投獄中はもちろん湯浴みなどできなかったので、反動でなにかとすぐ湯に浸かっていた。
長湯した後は皇帝の侍女が身体や髪の手入れなど、至れり尽くせりでしてくれる。
食事も上等なものを用意してくれる。
もはや囚人とは言えない。
だが、ナオはこの皇帝の部屋から出ることを許されなかった。
しばらくこの部屋から出るな、と皇帝に命令されたのだ。
何か大変なことがあったはずなのだが、皇帝はそれを教えてはくれず、さらには侍女たちにもかん口令を出している。誰も何も教えてくれない。
外ではナオを巡って戦争になっているのに、当の本人は蚊帳の外だ。
「さてと、身体も綺麗になったし、お腹もいっぱい。そろそろ動こうかしら。」
髪の手入れが終わり、侍女が部屋を出た後、ナオは大きく伸びをして呟いた。
『何かが起こっている。しかも、自分に無関係なことではなさそう。』
ナオはなにもしないで終わるような人間ではなかった。
こっそりと部屋から出て、回廊を歩く侍女たちの会話を盗み聞く。
「ついに始まったみたいよ。
まだ様子見程度の戦いみたいらしいけど。自分を取り合っているのに本人が何もしらないなんてなんだか変な感じね。」
「でもナオ様が交渉に入ってしまったら、そのままスタインベルグ王国に行ってしまうかもしれないわよ。
今、そんなことになったら陛下は相当荒れるわよ。
見たでしょ。寝台のシミ。やっと自分のものにしたんだから。」
陰で聞いていたナオは、恥ずかしくなって両手で顔を隠した。真っ赤に赤面している。
『それはそうだ。侍女はシーツを毎日変えてくれる。気づくのは当然だ・・・。』
だが、今はそれどころではない。自分のことよりも、侍女のその前に言ったことだ。
『戦い?私を取り合っている?スタインベルグ王国?』
最初は意味が分からなかったが考えれば考えるほど、まさかと思う仮説の整合性が取れてくる。
赤面した顔は今度は血の気が引いていく。
「私が何とかしないと!」
やはりナオは動き出した。寝台に枕とクッションを使って寝ているかのようなカモフラージュをする。
侍女の目を盗んで控え室から侍女の外出用の外套を拝借し、白虎宮を抜け出す。
兵士の会話を盗んで状況も把握する。目指すは皇都の外だ。
皇城も兵士の数が少ないせいか、侍女のふりをして簡単に外に出ることができた。
いや、兵が少なかったせいではなかった。
皇城の門のところに人々が集まって騒いでいる。それを抑えるために手が足りず、皇城から出る人はほぼ素通りだったのだ。
集まった人々は口々に叫んでいる。
「「「宰相ナオ様を開放しろー!!」」」
「えっ!?私!?」
宣戦布告の書状が届いた時には、スタインベルグ軍はすでに北の国境を越え、領域侵犯していていた。
陸路を馬と歩兵で進み、オルネア皇都まであと一日というところだ。
オルネア帝国としては非常に緊急を要する事態だった。
長きにわたってスタインベルグ王国と友好な関係だったため、両国の国境に配している警備隊の数は少なかった。
さらにはイスタリカ王国が暗躍した先日のナオの騒動もあったために、軍の半分を南のイスタリカ王国の国境近くに配備していた。
どんなに早く呼び寄せても一週間はかかる。
幸いなことに、皇帝暗殺未遂事件もあって、オルネア皇都には平時以上の数の兵が詰めていた。
「して、目的は?」
皇帝が報告した議員に尋ねる。
皇帝は事件から復帰して以来、ほとんど任せっきりだった政務を自ら執るようになっていた。
宰相が議会をまとめることができない状況で、皇帝の周りに人が集まり、指示を仰ぐようになっていくのは自然な流れだった。
「はい。それはこちらの宣戦布告の書状に要求がしたためられております。」
議員はうやうやしく頭を垂れて皇帝に書状を手渡した。
皇帝はそれを無造作につかんで広げる。
それを読んだ皇帝はみるみるうちに怒りの表情になっていく。
―――宰相ナオを牢獄から釈放し、スタインベルグ王国に引き渡せ。
そして、旧アルマニャック王国領をスタインベルグ王国領として差し出せ。―――
最後にスタインベルグ国王名代ブラハのサインが示されている。
「ブラハめ・・・・。私情で戦争を起こしたというのか!」
皇帝は怒りのあまり、フルフルと震えている。手の書状はやはり握りつぶされている。
ナオとブラハが親睦を深めていたのは周知の事実で、先日のナオの姦通罪の容疑での投獄。
ナオを取り戻そうとしたブラハの行動。
状況証拠はナオがブラハと恋仲になっていたことを証明している。
しかし恋仲の相手を助け出すために戦争を仕掛けるとは。
公正を期し、人の上に立つ王族の倫理観としては恥ずべきことであろう。あまりに私的な感情の話である。
その場に集まっている議員や軍人はこの要求に対してどう対処していいのか、何も進言できなかった。
「皆の者!よく聞くがよい!
オルネア帝国はスタインベルグ王国と戦う!異存は許さん!
各部署は情報を整理し、準備を整えろ!一時間後に皇宮殿で軍議を行う!」
「「「はっ!!!」」」
皇帝の言葉に全ての軍人が胸に手を当てて敬礼して応える。
すぐさま各所に散る。議員も同様にその場を後にした。
だが、賢老フィリップだけのその場に残った。人がいなくなるのを見計らって皇帝に話しかける。
「陛下。本当にそれでよいのですか?講和の道もないわけではないですがな。」
思っていても、誰も口にできなかった事をフィリップは言った。
「よい。貴様たちが言いたいことはわかる。だが、余は二度とナオを手放したくないのだ。
これは余の最大のわがままだ。すまんが最後まで付き合ってくれ。」
フィリップは皇帝の決意に満ちた目を見る。
その眼差しは一点の曇りもない。
「陛下はそこまでナオ殿のことをか。」
フィリップは胸に過去の情景を思い出した。
オルネア帝国を立て直すために、皇帝がフィリップを訪れた時の事。
戦争を全て終わらせ、平和を取り戻した時の事。
どれを思い出しても、皇帝の目には光がなかった。自己嫌悪。蔑み。
この世の全ての悲しみと負の感情を背負いこんでしまったかのようだった。
だが、今は違う。
皇帝ははっきりと自分というものを取り戻し、大切なものを守るために自らの手で行動しようとしている。
それを目の当たりにして、フィリップの心は震えずにはいられなかった。
「陛下。承りました。
陛下のわがまま、一緒に貫き通しましょうぞ。」
フィリップは片膝をつき、強い思いを胸に首を垂れた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
慌ただしく一日が経った。
スタインベルグ王国軍は既にオルネア皇都が見下ろせる小高い丘に陣を敷いていた。
進軍中、オルネア帝国小隊と小競り合いをするが、数の差は歴然でそのオルネア帝国小隊は侵攻の速度を遅れさせることもかなわなかった。
スタインベルグ王国軍は途中の村や町を素通りもしくは迂回してひたすらに皇都を目指し、最速でこの丘に布陣した。
オルネア皇都は広大な平野に位置していて、皇城を中心にそれを取り囲むように大きな都市が形成されている。
皇都は非常に長い城壁で全て囲まれ、城壁内はあまりに広い。田畑以外全て収まってしまっている。
そしてその城壁は非常に背が高く、さらにはその高い外壁の他に内側に同じ高さの内壁があり、二重の壁が外敵から守る造りだった。
オルネア皇都を攻めるにはこの外壁と内壁を突破し、さらに広大な城下町を進んでやっと、皇城を守る外壁だ。さらにそこからは攻城戦となる。
一見、この鉄壁に見える造りだが、逆に今はそれがあだとなっている。
オルネア帝国軍の半分が出兵中のため、この広すぎる皇都に配備できる兵が足りないのだ。
皇帝はこの事態に対して、外壁から打って出る野戦を選択する。
オルネア帝国軍はスタインベルグ王国が布陣している丘に一番近い西門の外に多く布陣した。
皇帝も軽装ではあるが、甲冑を身に着けて本陣に来ている。
数刻後、オルネア帝国軍とスタインベルグ王国軍の激突が始まることとなる。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「はあ・・・気持ちいい・・・。」
ナオは皇帝の居室のバスルームでバスタブに浸かっていた。
投獄中はもちろん湯浴みなどできなかったので、反動でなにかとすぐ湯に浸かっていた。
長湯した後は皇帝の侍女が身体や髪の手入れなど、至れり尽くせりでしてくれる。
食事も上等なものを用意してくれる。
もはや囚人とは言えない。
だが、ナオはこの皇帝の部屋から出ることを許されなかった。
しばらくこの部屋から出るな、と皇帝に命令されたのだ。
何か大変なことがあったはずなのだが、皇帝はそれを教えてはくれず、さらには侍女たちにもかん口令を出している。誰も何も教えてくれない。
外ではナオを巡って戦争になっているのに、当の本人は蚊帳の外だ。
「さてと、身体も綺麗になったし、お腹もいっぱい。そろそろ動こうかしら。」
髪の手入れが終わり、侍女が部屋を出た後、ナオは大きく伸びをして呟いた。
『何かが起こっている。しかも、自分に無関係なことではなさそう。』
ナオはなにもしないで終わるような人間ではなかった。
こっそりと部屋から出て、回廊を歩く侍女たちの会話を盗み聞く。
「ついに始まったみたいよ。
まだ様子見程度の戦いみたいらしいけど。自分を取り合っているのに本人が何もしらないなんてなんだか変な感じね。」
「でもナオ様が交渉に入ってしまったら、そのままスタインベルグ王国に行ってしまうかもしれないわよ。
今、そんなことになったら陛下は相当荒れるわよ。
見たでしょ。寝台のシミ。やっと自分のものにしたんだから。」
陰で聞いていたナオは、恥ずかしくなって両手で顔を隠した。真っ赤に赤面している。
『それはそうだ。侍女はシーツを毎日変えてくれる。気づくのは当然だ・・・。』
だが、今はそれどころではない。自分のことよりも、侍女のその前に言ったことだ。
『戦い?私を取り合っている?スタインベルグ王国?』
最初は意味が分からなかったが考えれば考えるほど、まさかと思う仮説の整合性が取れてくる。
赤面した顔は今度は血の気が引いていく。
「私が何とかしないと!」
やはりナオは動き出した。寝台に枕とクッションを使って寝ているかのようなカモフラージュをする。
侍女の目を盗んで控え室から侍女の外出用の外套を拝借し、白虎宮を抜け出す。
兵士の会話を盗んで状況も把握する。目指すは皇都の外だ。
皇城も兵士の数が少ないせいか、侍女のふりをして簡単に外に出ることができた。
いや、兵が少なかったせいではなかった。
皇城の門のところに人々が集まって騒いでいる。それを抑えるために手が足りず、皇城から出る人はほぼ素通りだったのだ。
集まった人々は口々に叫んでいる。
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