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第一章
~43~
しおりを挟むガンッガンッ
ガンッガンッ
王城前広場
そこは七年前から広く開けた場所ではあったが今ではあまりにも何も無い閑散としたもの寂しい雰囲気の場所となっている。
せめて花壇でもあったなら少しは見栄えしたかもしれないが今の王宮にはそれだけの余裕は無いのだろう
サズワイト王国に帰還して三日
ようやく王城へと向かい国王陛下と王妃陛下に帰還の挨拶を交わした。
本来なら家族に次いで挨拶すべき存在なのだが、それについて責められる事は無かった。
むしろ王妃陛下が私に対して謝罪をしてきた事に驚いた
七年、短くはない筈のその間に王族の力は削ぎ落とされてしまったようだった
ガンッガンッ
ガンッガンッ
「うるさいな、あれは何だ?」
馬車で帰るのを断り街を見て回っている最中
ひたすら穴を掘っている工事現場近くの人に尋ねたところ
「ああ、なんでも自称聖女様が地下水がどーのって騒ぎたてたらしいのよ
ホント、王様は何をしてるのかしら
あんな小娘に良いようにされてるんじゃない?」
「ほう、地下水か」
「今じゃ水道水が主流で、井戸を使ってる人の方が珍しいくらいなのに
地下水が危ないとか、街が大変な事になるだとか、そんな事言って騒いでたのよ」
「それで人が沢山死ぬーとか騒いでたわねぇ」
「馬鹿みたいよねぇ、井戸水なんて掃除くらいにしか使わないわよ」
地下水、そのワードで昨日ローズ嬢と話した内容が頭に過ぎる。
ローズ嬢が前世でプレイしたというゲームでは第二のヒロインの序盤のストーリーで汚染された地下水の問題を解決するといった物があるのだとか
おそらくその問題解決の為なのだろうが、とにかくうるさい上に作業者達の態度も悪い
工事現場の近くには瓦礫が放り投げられたまま積み上げられている
広い道路の為通行の邪魔にはなっていないが迷惑な事に変わりはない
「最近の漁業会は勢いに乗ってるねぇ
久しぶりの街はどうだい?」
「悪くない」
概ね、予想通りといった所か
街中に敷かれたレールと大きく作られた駅舎
大勢の人が住める七階建ての集合住宅地
私の居なかった間に我が国は随分と様相を変えたようだった。
「ああ、そうそう聖女様
港の方で珍しい物を捕まえたとか、聖女様が帰ってきたら見せたいとか漁業会の人達が言ってたらしいですよ」
「そうか、明日にでも行ってこよう
伝えてくれて感謝する」
「いえいえ、良いですよ」
それと不思議な事に七年もの間不在であった筈の私に対してやたら人々が馴れ馴れしい
私は人から好かれるようなタイプでは決して無いはずだし、特別なにか世のため人のためになるような事をした訳でもないのだが
しかし珍しい物を捕まえた、か
生き物、なのか
ルークのようなものであればスカウトするのも悪くない
ちらり、と気配を消し私の後ろを付きまとう男を見る
この男は随分と揶揄いがいが無くなってしまった。
しかし詰まらない存在となった訳でも無い
長く伸びた灰色の癖っ毛に男らしい角張った骨格に厚い筋肉、整った顔立ちと
いかにも年頃の女性からモテそうな見目となったものだ。
正々堂々、真っ正面から私のストーカーとなる事を宣言するような男だとは誰も思わないだろう
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