転生した精霊モドキは無自覚に愛される

suiko

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第一章

~75~

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パン、パンッ


乾いた火薬の音


パチパチパチパチパチッ


一斉に叩かれる人々の拍手の音


どこからか色とりどりの紙吹雪が散らされ無惨にも踏み潰されていく


花の節の始まり、それを祝う祭りが行われており
私とライネルの結婚式も行われた。

王都で一番大きな精霊殿で互いの愛を誓い、祝福を受ける式を終えれば披露宴と言う名の見世物となるだけのつまらないものだ。
屋根の無い祝時用の馬車に乗せられ街の中をただただ意味も無く闊歩する。
私達に手を振る者拍手する者、彼等は面白そうな物に群がるだけで私達を心から祝福してやいないだろうに


「ミーシャ、少しは愛想良く笑ったら?折角の結婚式なのにそんな顰めっ面じゃ皆戸惑ってしまうよ」

「笑いたくも無いのに笑える訳がなかろう
彼等とて休日の暇を潰しているだけでこちらの顔まで見てやしないだろう」

「いや、そんな事無いよ。皆俺達を祝福してくれている。
そうじゃなきゃここまで多くの人がわざわざ休日に集まったりなんかしないよ」

「節の祭りなのだから人が出るのは当然だろう」

「うーん、
ミーシャはこの国の人達から本当に慕われているのにねぇ」


慕われている?
何の冗談だろう
私自身自覚しているが、私はそうそう好かれるような人柄では無い
人とプライベートな話はしたく無いし、仕事を済ませれば余計な話はせずに切り上げる。
馴れ馴れしく近寄ってくる輩の相手などしないで無視する。
食事だとかに誘われても大体は断るしたまに載っても食事が終わったらすぐに帰宅して二次会にまで残った試しが無い
こんな人とのコミュニケーション能力が底辺だろう私が人から好かれる訳が無い

白いドレスに白いタキシード、結婚とは如何にして純白を好むのだろうか
馬車の装飾も白ければ、それを引くのも白馬と徹底している。
肌の白い私に白は似合わないと言ったにも関わらずゴリ押しで着る羽目になった。

ワーワーと歓声が近くから遠くから響いており、ただ座って速く終わらないものかと無意味に時間を食い潰す
随分と長い準備期間を経てようやくの結婚式だと言うに、これ程までにつまらないとは




人々が道の端に群がり騒ぎ立て、過ぎ去れば背を向け知らぬ顔をする。
そんなものだ。
面白そうだから、人が集まっているから、何となくで野次馬をしてるだけの輩に手を振られても何とも思わないし思えないと言うもの
そんな冷めた思考でいるとふと、種類の違う叫びのような声が聞こえた気がした。

馬車からずっと離れた、奥の方
良く目を凝らし耳を澄ませれば何やら慌てた様子

「ルーク、聞こえるか?」

「んあ?あれか?」

馬車の後ろに座らせた紺色の礼服を纏ったルークに尋ねる
動物的感覚の優れたルークは時に私よりも優れる為便利だ。

「・・・マジか、城の地下から魔物が湧いてきたってよ。」

「チッ、ルーク」

「おう」

「えっ、ミーシャ!?ちょっ、ルークさん待って!」


立ち上がればすぐにルークの腕が腰に回り膝裏の辺りを手で支えられるように抱えられ、無言で私とルークに強化魔法を掛けた瞬間視界が急上昇する。
屋根から屋根へ、移動をルークに任せ目的地、王城の解体工事現場を見据える。
まさか魔物が王都の中心から湧くなどと、誰が想像出来ると言うのか

「翔べ」

より一層高くなった視界の先
崩れた石壁と、地下に続く階段だろう場所から湧き出る魔物、逃げ惑う人々
数が多い上に魔物があちらこちらへと散ってしまっている

「ルーク、周りを狩れ穴を塞ぐ」

「おう」

着地すぐ、真っ直ぐに地下階段へと向かう
向かってくる魔物を錬成魔法で作った剣で両断し、蓋をするように階段入口に結界を張る
他に魔物の出入りする場所が無いか探しながら近くの魔物を剣で、時に魔法で倒していく

二十~三十程いた魔物の死骸だけが残り、散ってしまっただろう魔物の死骸が遠くに見える。
ドレスが汚れてしまったが、まあ仕方ない


「えっ・・・嘘、なんであんたここに居るの!?
って、ええっ!!?あんたっまさかっ・・式放り出して来た訳!?
何やってんの新婦が!!」

「おや、これは、私達の出番がまた無くなってしまいましたね。
これだけの数を良く無傷で・・・」

「ミーシャ!?ミーシャ!ミーシャ!」

「あっ、レオ様!」

ユキノ嬢、ミルウェッチ・クロウラー、レオクリス・サズワイト、ギラジュ・ブラン、ビリーク、マルクスらが剣やら盾やらを持って現れた。
これが例の魔物の大量発生とやらなのだろうか?
ユキノ嬢に話し掛けようとした油断からかレオクリス・サズワイトに身体を拘束されてしまった。

「ミーシャ!好きだ!愛してる!ミーシャ!ミーシャ!俺を、俺を愛してくれ!ミーシャ!」

「離れろ、離れなさい、レオクリス・サズワイト
おい、ビリーク、マルクス、これを引き剥がしてはくれないか」

「えっ、俺!?」
「な、何で・・・うぅ」

「それよりユキノ嬢、例の魔物の大量発生とやらはこの事かね?結界で防いでいるが、地下から湧いて来ているようだ」

「レオクリス様!しっかりして下さい!
多分そうなんじゃないの!?詳しい事は私だって知らないわよ!」

「ちょっと、まぁ、落ち着いて下さい皆さん
とりあえずレオクリスでん、んん、レオクリスさんを何とかしてから、それから現状把握に努めましょう」

「ほら、殿下離れて下さい、ね?」
「女性にしがみつくなんてはしたないですよー」


「出てた魔物は全部片付いたぞって、何だ?こりゃ」

「ルーク、何とかしろ」

ごちゃごちゃとしていて纏まりがつかないでは無いか

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