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外出
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◇◇◇
グランドール大国の最北に位置するナイトレイ侯爵領地の三月は寒い。朝晩は冷え込み、氷点下の日もある。
比較的暖かな晴れた日に、シルヴィアは、マリーと共に散歩へ出かけた。
シルヴィアは、動きやすい焦茶色のデイドレスの上に、お気に入りの深緑色のケープコートを羽織り、編み上げブーツを履いている。久し振りに庭園の外へ出るシルヴィアは、少し興奮気味だ。
「マリー見て!クロッカスが咲いているわ!」
「シルヴィア様。ぬかるみがございます。お気を付け下さいませ」
はしゃぐシルヴィアの姿は、年相応に見える。
シルヴィア様が健やかに成長なさいますように。神よ。どうかお守りください。
マリーは、全ての神に祈らずにはいられなかった。
雪解けの冷たい水がせせらぐ小川を辿り、枯れ草色の広大な牧草地へ着いた。たんぱく質や脂質が多く含まれているイネ科のオーツ。高カロリーでカルシウムを多く含むマメ科のアルファルファ。栄養バランスと消化性に優れているイネ科のチモシー。他にも、クローバーやレンゲなどの牧草が、一面に生息している。
「マリーはその辺りで休んでいてね!」
マリーから離れ、牧草地を走る。近くに生き物がいないことを確認し、シルヴィアは立ち止まった。
「マリー、見ていて!」
シルヴィアは、ワクワクする気持ちを落ち着かせながら、一番苦手な火魔法を放った。シルヴィアを囲むように、勢いの無い小さな火が、三メートルほど離れた辺りの枯れ草を焦がす。
「まあ、こんなものね。消さないように微調整しなくちゃ」
続いて放たれた風魔法を受けて、小さな火は徐々に周囲へと燃え広がった。
「上手くいったわ。力加減はこれくらいかしら」
百メートルほど先まで燃え広がった火を、水魔法で消火する。
「さあ、仕上げよ」
最後に、一番得意な樹土魔法を大地に放つ。
枯草色だった牧草地が、俄に色付いた。シルヴィアを中心に半径五十メートルほどの範囲の牧草が、一気に芽吹く。
茶から赤、黒、緑と色彩を変えていく大地。この光景を目の当たりにしたマリーは、言葉を失った。
シルヴィアが魔法を熟知しているのは明らかだ。四歳の子どもが、誰からの助言もなく、密かに鍛練をして、達するレベルの魔法ではない。
一方、シルヴィアの周囲を飛び回る精霊たちは、なんとしてもシルヴィアと話したくなってしまい、姿を現した。
美しく可愛らしい精霊たちの姿を初めて目にしたシルヴィアは、驚きと喜びで声も出せず、精霊たちの舞に魅入っている。
『『『『シルヴィア、大好き!』』』』
「ありがとう存じます!」
『シルヴィア、森で遊ぼうよ!』
『『『遊ぼうよ!』』』
『聖獣たちも、シルヴィアに会いたがっているよ!』
『『『いるよ!』』』
「聖獣?!」
『『『『うん!』』』』
「是非、お会いしたいわ!」
シルヴィアは、呆然と立ち尽くすマリーに駆け寄ると、その手を取り、森へと誘った。
◇◇◇
グランドール大国の最北に位置するナイトレイ侯爵領地の三月は寒い。朝晩は冷え込み、氷点下の日もある。
比較的暖かな晴れた日に、シルヴィアは、マリーと共に散歩へ出かけた。
シルヴィアは、動きやすい焦茶色のデイドレスの上に、お気に入りの深緑色のケープコートを羽織り、編み上げブーツを履いている。久し振りに庭園の外へ出るシルヴィアは、少し興奮気味だ。
「マリー見て!クロッカスが咲いているわ!」
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雪解けの冷たい水がせせらぐ小川を辿り、枯れ草色の広大な牧草地へ着いた。たんぱく質や脂質が多く含まれているイネ科のオーツ。高カロリーでカルシウムを多く含むマメ科のアルファルファ。栄養バランスと消化性に優れているイネ科のチモシー。他にも、クローバーやレンゲなどの牧草が、一面に生息している。
「マリーはその辺りで休んでいてね!」
マリーから離れ、牧草地を走る。近くに生き物がいないことを確認し、シルヴィアは立ち止まった。
「マリー、見ていて!」
シルヴィアは、ワクワクする気持ちを落ち着かせながら、一番苦手な火魔法を放った。シルヴィアを囲むように、勢いの無い小さな火が、三メートルほど離れた辺りの枯れ草を焦がす。
「まあ、こんなものね。消さないように微調整しなくちゃ」
続いて放たれた風魔法を受けて、小さな火は徐々に周囲へと燃え広がった。
「上手くいったわ。力加減はこれくらいかしら」
百メートルほど先まで燃え広がった火を、水魔法で消火する。
「さあ、仕上げよ」
最後に、一番得意な樹土魔法を大地に放つ。
枯草色だった牧草地が、俄に色付いた。シルヴィアを中心に半径五十メートルほどの範囲の牧草が、一気に芽吹く。
茶から赤、黒、緑と色彩を変えていく大地。この光景を目の当たりにしたマリーは、言葉を失った。
シルヴィアが魔法を熟知しているのは明らかだ。四歳の子どもが、誰からの助言もなく、密かに鍛練をして、達するレベルの魔法ではない。
一方、シルヴィアの周囲を飛び回る精霊たちは、なんとしてもシルヴィアと話したくなってしまい、姿を現した。
美しく可愛らしい精霊たちの姿を初めて目にしたシルヴィアは、驚きと喜びで声も出せず、精霊たちの舞に魅入っている。
『『『『シルヴィア、大好き!』』』』
「ありがとう存じます!」
『シルヴィア、森で遊ぼうよ!』
『『『遊ぼうよ!』』』
『聖獣たちも、シルヴィアに会いたがっているよ!』
『『『いるよ!』』』
「聖獣?!」
『『『『うん!』』』』
「是非、お会いしたいわ!」
シルヴィアは、呆然と立ち尽くすマリーに駆け寄ると、その手を取り、森へと誘った。
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