殲滅された小国の姫

とうたら

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秘めた力

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◇◇◇

魔力を枯渇したシルヴィアの身体は、流れ込んできたルフの神力を、細胞の隅々まで行き渡らせた。

シルヴィアの魔力が精霊を魅了するように、ルフの神力はシルヴィアを魅了した。ルフの神力はシルヴィアの身体を満たし、内に秘めた力を覚醒させた。

◇◇

「……ルフ」
『目覚めたか。気分はどうだ』

シルヴィアは寝台で目覚めた。いつも通り、隣にはルフが寄り添ってくれている。部屋には二人だけ。とても気分がいいわ。あれは夢だったのかしら?シルヴィアはじっとルフを見つめた。

『如何した』
わたくしは……、気を失ったのですわね)
『魔力が尽きておった』
(ご心配をお掛けし、申し訳ございません)
『二度は許さぬ』
(はい。肝に銘じますわ)

(ところで、わたくしはどれくらいの間、気を失っていたのでございますか)
『一日だ。今朝は少し寝坊したな』
(ふふふ。ルフのお側は余りに心地良く、離れ難うございますが、これから日課をこなしてまいりますわ)
『ならぬ。貴女そなたに話がある』
(畏まりました。どの様なお話でございますか)

シルヴィアは真っ直ぐにルフを見つめたまま、言葉を待った。

貴女そなたに神力を注いだ』
(ええ。お側にいる限りわたくしは常にルフの神力で浄化されておりますわ)
『うむ。魔力を枯渇させた貴女そなたを放っておけず、我の神力を直接注ぎ込んだのだ』
(……では、今、わたくしを満たしている魔力は、ルフの神力、なのでございますか)

シルヴィアは不思議そうに自分の小さな手を矯めつ眇めつ眺めた。

『ああ。そして、その神力が貴女そなたの内に秘めた力を覚醒させたようだ。心せよ』
(秘めた力とは、どの様な力ですの?)
『分からぬ』
(まあ……、それは、楽しみですわ!)

目を輝かせ、好奇心を露にするシルヴィアに、ルフは呆れ、愉快になった。

『シルヴィア、愛している。我は貴女そなたの虜だ。日毎に愛しさが募る。昨夜は、早く目覚めてくれぬかと眠れなかった。シルヴィア、早く大人になってくれ』
(!!!)

シルヴィアは赤面した顔をルフの胸に埋め、こくりこくりと頷いた。



心臓がドキドキして胸が苦しいわ。いつもなら落ち着くはずの、ルフの声と温もりと匂いと鼓動が、シルヴィアの心をかき乱した。
離れたくないのに、このままでは心臓が止まってしまいそうですわ。……と思っていることも、ルフにはお分かりでしょ!

えいっ!とシルヴィアは頬を赤らめたまま、身を起した。

「ルフ。わたくしは何が出来るようになったのかを知りとうございますわ」と宣言し、心を静める為に、早速、実験いたしましょう、とルフに微笑んだ。

『顔が赤いぞ』
「存じておりますわ。全身真っ赤に火照っておりますもの!」
『そうか。ところで、どうやって確かめる気だ』
「……、如何いたしましょう?」

暫く見つめ合ったが答えは出なかった。

(先ずは、整理いたします)

◇◇

精霊の中には、特殊な能力を持つ者もいる。
特殊能力を持つ精霊に愛されたものは、その能力を使えるようになる。

精霊の加護を授かった【祝福ギフト】持ちは、能力を【隠密】することも出来る。

【癒やし】は心身を正常な状態に戻す治癒能力。
周囲にいるだけで心地が良いので、いろいろと寄って来る。
死者を生き返らせることは出来ないが、【創造】との合わせ技で欠損部位を再生することも出来る。

【浄化】は清浄能力。
洗濯や掃除しなくても、清潔に暮らせる。
だが、魔獣を普通の獣や聖獣に浄化することは、出来ない。

【心眼】は相手の真意を知る能力。
嘘偽りは通じない。
本人すら気付かない本質や能力を見極める事が出来る。

【創造】は見るだけで全く同じものを創り出すことが出来る能力。
道具や料理だけでなく、技術さえも習得出来る反則技。
だが、素材は必要。
無から有は創れない。

【空間】は時間が存在しない異空間収納のような能力。
容量は精霊の力によって様々。
収納した時の状態を永久に保つ。
なので、熟成させたいものを入れてはいけない。

【鑑定】は見た物の性能や成分が判る能力。
真贋もお見通し。

【隠密】はステルス能力。
他者の記憶を曖昧にすることも出来るし、完全に認識されない状態にも出来る。

◇◇

(……と、精霊様に教えて頂きましたわ。【祝福ギフト】持ちになったわたくしは【隠密】【癒やし】【創造】の特殊能力を授かりましたわ。【浄化】はルフの神力が強力すぎて、よく分かりませんわ)

『特殊能力を持つ精霊は、内に秘めた力に惹かれる。元から無い能力は得られぬ。貴女そなたの魔力が媚薬のように精霊を魅了したのは、摩訶不思議な魂と【癒やし】【浄化】の力を秘めておる故だろう。貴女は【心眼】【鑑定】も秘めておる。恐らくは【空間】もだ』

シルヴィアは目を輝かせてルフの話を聞いていたが、ふと疑問に思い、尋ねた。

(【空間】も……、でございますか?ルフは何故、その様にお考えですの?)
『過去と現在。時空を越え融合した魂』

シルヴィアは「えっ」と息を飲んだ。

◇◇◇
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