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32.変わらないもの
また石化されるのだけは嫌だ。そんな焦りも、射精の最中は快感のほうが強くなってしまう。
「ぅっ、あっ……はぁん、っ……」
行きかう群衆の中、石畳の上に立ち止まったブラッドただ一人だけがじっとエヴァンを観察している。周囲の人々がごく自然な様子で彼を避けて歩いている事から、ブラッド自身も人間から意識を逸らすような魔法を使っているのだろう。
「やっ、ぁ……見なっ、ぁんっ、ひっ、あっ……」
じっとこちらを見上げる視線に、まるでこちらの全てを見透かされているような心地にさせられて……意識すればするほど、羞恥と興奮が高まってしまう。
(こんな……皆が居るところに吊るされて、見られながら噴水を汚して……っ)
先端から精液が零れなくなっても、睾丸の中でぐつぐつと煮立つ欲望が収まる気配はない。
早く解放されたい。せめて次の射精が早く来るようにと、無駄だと思いつつも腰を再び前後に揺する。
「はぁっ、ん……んっ……っ、え……」
そんな最中、ふいに見知った顔が視界をちらついた。慌てて目で追いかけて、確信する。
「ぁ……」
かつて同じパーティに所属していた、エヴァンと同年代の治療術師。
どうやら今は新しいパーティメンバーと行動しているのか、剣士や魔導士らしき若者と楽しげに話ながら歩いている。
「ぁ、いやだ、あいつに、こんな……」
認識阻害の魔法の存在があったとしても、昔の仲間にこんな姿を見られたくはない。
動揺するエヴァンの前で、今まさに彼がぱっと顔を上げてこちらを見上げた。
「……っ!?」
もしかして、彼には見えているのだろうか、と錯乱しかけたのはほんの一瞬の事だった。
彼や仲間たちが浮かべた表情と、目線からすぐにそれが違うと分かった。彼らが見ていたのは、エヴァンの後ろに飛んでいたもの……魔法を使えるものが戯れに生成する、淡い光が詰め込まれた風船を指さしていたのだった。
「よかっ……んっ、あああっ!?」
安堵の息を漏らしたのも束の間、再びゅくびゅくと精を吐き出す。再び込み上げてきた射精感に、嬌声と共に背を仰け反らせる。
射精の快楽にまどろみかけた時、ふいに冷たい声音が聞こえた。
『あいつ、最近見かけないと思ったら、こんなところに縛られてみっともなく善がってるなんてな』
『一人で敵地に突っ込んだ挙句、魔族に捕まって手籠めにされただって?』
『あいつの腹に刻まれた刻印とぐずぐずに蕩けた顔。あんなの、もう完全に淫魔だろ』
「ちがっ、……これ、ブラッドのせいでぇ……っ」
責め立てる声の主は、明らかに眼下の彼らではない。以前にもエヴァンを苛んだ声と同じ幻聴……そう理解しているのに、彼らに軽蔑されるのが怖くて必死に首を横に振る。
『そのブラッドに抱かれて気持ちいい気持ちいいって、後ろでぎゅうぎゅう締め付けながら喜んでいたのは誰だよ。本当に根っからの淫乱だったんだな』
「ひぅ、あっ……あ……いんらん、じゃなっ、きもちいいいけど、違うっ、んんぅ、あああああっ……んっまた、せーえき、でりゅ……んっ、ぁ……」
喘ぎ混じりに矛盾した言葉を吐き出しながら、陰茎を押し上がってくる精液の感覚に目を細める。
そんなエヴァンの姿を嘲るように、ブラッドは言葉を投げかける。
「その脚の開き方が癖にでもなったか? 何にせよ、大衆の前で脚を広げて精液を飛ばしているお前の何が淫乱ではないと言うんだ。馬鹿馬鹿しい」
「えっ……あっ……あああっ……」
幻聴が途切れると共に、気持ち良すぎて意識していなかった己の体勢を自覚して、かぁっと頬が熱くなる。
「や、っ……ひぅっ…」
ブラッドに激しく貫かれる中で、行為が終わっても脚を開く癖がついてしまっていた。見回り中は気付くたびに羞恥を感じながら意識的に脚を閉じるようにしていたものだが……今はもう、石化で長期間同じ体勢で固められてしまったこともあってか、無意識に両のつま先を外に向け、膝を落とした体勢で脚を開く……いわゆるガニ股の状態になってしまっている。
「ぁ……やだ、んっ、んぅ……!」
自覚のないままそうなってしまっていたのが恥ずかしくて、閉じようとしてもまたパカッと脚が開いてしまう。
「脚を開くと快感を得ることが出来ると、身体がそう覚えてしまったのだろう」
噴水に括り付けられながら、下半身を露わにしてガニ股のポーズをとり続けるという悪趣味なオブジェ。そんな自分の姿に、エヴァンは羞恥に顔を歪める。
「ひぅ、う……っ、ん、ぁ……」
気恥ずかしさが過ぎてどうにかなりそうなのに、精を吐き出す感覚が気持ち良くて、こぼれるのは甘い喘ぎ声ばかり。
「ぁ……う……いやだ、はやく、んっ、……ださなきゃ……んんっ……」
辱めを受けている最中とはいえ、久しぶりに人間の街に降り立ったというのに、あの中に戻りたいという気持ちは全く湧き上がらない。それどころか、城に連れ戻された後、射精の余韻にひくつく後孔を、硬く熱い屹立で穿たれるかもしれないという淫らな期待を抱いてしまっている。
「ん、ぅ……ブラッドっ……」
ずっとお預けされていただけあって、確かに射精は気持ちいい。でも、ブラッドの言っていた魔法のせいか、射精中にも関わらず明瞭な意識は、咥え込んでいたものを抜き去られた後孔が物淋しくて、はやく埋めてほしい、と思ってしまう。
(っ……はぅ……、ブラッドにとって、俺は大罪人なのに……きもちいいだけ、なんてありえないのに……)
もしかしたら戻った先で、また焦らされるかもしれない。それこそ生きた花瓶として後孔は弄られるものの、決定的なものを与えられずにもどかしくも切ない日々を送ることになるのかもしれない。
(だめだ……、そんな風にされたとしても……俺は……もう……)
つ、とエヴァンの頬を一筋の涙が伝い、陰茎がふるりと震える。
例え周囲から疎外されようと、一介の剣士として魔族から人間を守りたいという思いは確かにあった。
今でもそれは変わらないが、心も体も、魔族に……ブラッドの肉壺として使われる事に満たされる感覚を覚えてしまっている。
「ぁ………みんな……ごめん……あっ、んんぅ……!」
掠れた声で誰にともなく許しを請いながら、エヴァンは濃厚な精を噴水の中に吐き出した。
「ぅっ、あっ……はぁん、っ……」
行きかう群衆の中、石畳の上に立ち止まったブラッドただ一人だけがじっとエヴァンを観察している。周囲の人々がごく自然な様子で彼を避けて歩いている事から、ブラッド自身も人間から意識を逸らすような魔法を使っているのだろう。
「やっ、ぁ……見なっ、ぁんっ、ひっ、あっ……」
じっとこちらを見上げる視線に、まるでこちらの全てを見透かされているような心地にさせられて……意識すればするほど、羞恥と興奮が高まってしまう。
(こんな……皆が居るところに吊るされて、見られながら噴水を汚して……っ)
先端から精液が零れなくなっても、睾丸の中でぐつぐつと煮立つ欲望が収まる気配はない。
早く解放されたい。せめて次の射精が早く来るようにと、無駄だと思いつつも腰を再び前後に揺する。
「はぁっ、ん……んっ……っ、え……」
そんな最中、ふいに見知った顔が視界をちらついた。慌てて目で追いかけて、確信する。
「ぁ……」
かつて同じパーティに所属していた、エヴァンと同年代の治療術師。
どうやら今は新しいパーティメンバーと行動しているのか、剣士や魔導士らしき若者と楽しげに話ながら歩いている。
「ぁ、いやだ、あいつに、こんな……」
認識阻害の魔法の存在があったとしても、昔の仲間にこんな姿を見られたくはない。
動揺するエヴァンの前で、今まさに彼がぱっと顔を上げてこちらを見上げた。
「……っ!?」
もしかして、彼には見えているのだろうか、と錯乱しかけたのはほんの一瞬の事だった。
彼や仲間たちが浮かべた表情と、目線からすぐにそれが違うと分かった。彼らが見ていたのは、エヴァンの後ろに飛んでいたもの……魔法を使えるものが戯れに生成する、淡い光が詰め込まれた風船を指さしていたのだった。
「よかっ……んっ、あああっ!?」
安堵の息を漏らしたのも束の間、再びゅくびゅくと精を吐き出す。再び込み上げてきた射精感に、嬌声と共に背を仰け反らせる。
射精の快楽にまどろみかけた時、ふいに冷たい声音が聞こえた。
『あいつ、最近見かけないと思ったら、こんなところに縛られてみっともなく善がってるなんてな』
『一人で敵地に突っ込んだ挙句、魔族に捕まって手籠めにされただって?』
『あいつの腹に刻まれた刻印とぐずぐずに蕩けた顔。あんなの、もう完全に淫魔だろ』
「ちがっ、……これ、ブラッドのせいでぇ……っ」
責め立てる声の主は、明らかに眼下の彼らではない。以前にもエヴァンを苛んだ声と同じ幻聴……そう理解しているのに、彼らに軽蔑されるのが怖くて必死に首を横に振る。
『そのブラッドに抱かれて気持ちいい気持ちいいって、後ろでぎゅうぎゅう締め付けながら喜んでいたのは誰だよ。本当に根っからの淫乱だったんだな』
「ひぅ、あっ……あ……いんらん、じゃなっ、きもちいいいけど、違うっ、んんぅ、あああああっ……んっまた、せーえき、でりゅ……んっ、ぁ……」
喘ぎ混じりに矛盾した言葉を吐き出しながら、陰茎を押し上がってくる精液の感覚に目を細める。
そんなエヴァンの姿を嘲るように、ブラッドは言葉を投げかける。
「その脚の開き方が癖にでもなったか? 何にせよ、大衆の前で脚を広げて精液を飛ばしているお前の何が淫乱ではないと言うんだ。馬鹿馬鹿しい」
「えっ……あっ……あああっ……」
幻聴が途切れると共に、気持ち良すぎて意識していなかった己の体勢を自覚して、かぁっと頬が熱くなる。
「や、っ……ひぅっ…」
ブラッドに激しく貫かれる中で、行為が終わっても脚を開く癖がついてしまっていた。見回り中は気付くたびに羞恥を感じながら意識的に脚を閉じるようにしていたものだが……今はもう、石化で長期間同じ体勢で固められてしまったこともあってか、無意識に両のつま先を外に向け、膝を落とした体勢で脚を開く……いわゆるガニ股の状態になってしまっている。
「ぁ……やだ、んっ、んぅ……!」
自覚のないままそうなってしまっていたのが恥ずかしくて、閉じようとしてもまたパカッと脚が開いてしまう。
「脚を開くと快感を得ることが出来ると、身体がそう覚えてしまったのだろう」
噴水に括り付けられながら、下半身を露わにしてガニ股のポーズをとり続けるという悪趣味なオブジェ。そんな自分の姿に、エヴァンは羞恥に顔を歪める。
「ひぅ、う……っ、ん、ぁ……」
気恥ずかしさが過ぎてどうにかなりそうなのに、精を吐き出す感覚が気持ち良くて、こぼれるのは甘い喘ぎ声ばかり。
「ぁ……う……いやだ、はやく、んっ、……ださなきゃ……んんっ……」
辱めを受けている最中とはいえ、久しぶりに人間の街に降り立ったというのに、あの中に戻りたいという気持ちは全く湧き上がらない。それどころか、城に連れ戻された後、射精の余韻にひくつく後孔を、硬く熱い屹立で穿たれるかもしれないという淫らな期待を抱いてしまっている。
「ん、ぅ……ブラッドっ……」
ずっとお預けされていただけあって、確かに射精は気持ちいい。でも、ブラッドの言っていた魔法のせいか、射精中にも関わらず明瞭な意識は、咥え込んでいたものを抜き去られた後孔が物淋しくて、はやく埋めてほしい、と思ってしまう。
(っ……はぅ……、ブラッドにとって、俺は大罪人なのに……きもちいいだけ、なんてありえないのに……)
もしかしたら戻った先で、また焦らされるかもしれない。それこそ生きた花瓶として後孔は弄られるものの、決定的なものを与えられずにもどかしくも切ない日々を送ることになるのかもしれない。
(だめだ……、そんな風にされたとしても……俺は……もう……)
つ、とエヴァンの頬を一筋の涙が伝い、陰茎がふるりと震える。
例え周囲から疎外されようと、一介の剣士として魔族から人間を守りたいという思いは確かにあった。
今でもそれは変わらないが、心も体も、魔族に……ブラッドの肉壺として使われる事に満たされる感覚を覚えてしまっている。
「ぁ………みんな……ごめん……あっ、んんぅ……!」
掠れた声で誰にともなく許しを請いながら、エヴァンは濃厚な精を噴水の中に吐き出した。
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