ヤンデレ狼の英雄様に無理矢理、番にされました。さて、それではデスゲームを始めましょうか

井藤 美樹

文字の大きさ
17 / 73

撒き餌は豪快にまかないとね

しおりを挟む

「ここにいたのかユリシア嬢。探していた、早速きてもらおうか!!」

 生徒会役員かな、五人いる内の一人が厳しい声で恫喝する。かなり苛ついているのがわかる。感情の乱れは隙を作る。カイナル様から教わった通りだわ。一気に場が制御しやすくなった。

「お断りしますわ。今、昼ご飯を食べているのがみえませんか? それに、怒鳴らないでくれます、汚いので」

 きっぱりと断った。ついでに煽る。でも、大袈裟なことは言ってないわ。だって、色々飛んできそうで汚いでしょ。

「昼ご飯なら、後で食え!!」

「なぜ、貴方たちに命令されないといけないのです?」

 コンディー公爵家で礼儀作法受けていてよかった~。毅然な態度と落ち着いた有無を言わさない言葉使い。たじろいでるたじろいでる。

 私の言葉を無視して再度掴もうとした時、アベル殿下が生徒会役員の腕を掴んだ。と同時に、生徒会長が「やめないか!!」と割り込んできた。

 よし!! 撒き餌(二)がきた。

「なにを騒いでいる!?」

 生徒会長が役員に問いただすが、聞き流し、役員たちは生徒会長の制止を無視した。

「生徒会長は黙っていてください!! これは、副会長の命令です!! 元々、貴方がしっかりしてないから、こんなことになっているんですよ!!」

 その台詞に、私はニヤリと笑いそうになる。

「あらあら、おかしなことをいいますね。この学園において、最高責任者である生徒会長を、一役員が理由もなく非難し、命令を聞かないとは? ねぇ、アジル殿下、スノア王女殿下、この学園は生徒会長よりも副会長の方が偉いのですか? ならば、副会長が会長職を就けばいいのに……それとも、就けないのですか?」

 私の言葉に、生徒会役員たちは真っ赤になる。

「この学園は実力主義だから、学年首席である生徒が必然的に会長職に就くことになるんだよ」

 アジル殿下の言葉に、私は知らない振りをして頷く。

「そうなのですね、知りませんでしたわ。では、この方々は学園の主義を認めていないのですね」

「そうなるな」

 アジル殿下がそう認めた時、彼に腕を掴まれたままの生徒会役員が怒鳴った。

「なら、なぜ、お前は生徒会室にこなかった!?」

「命令されておりませんもの。お願いはされましたが、願いなら断っても問題はないでしょ」

「それは詭弁だ!!」

「ならば、私のクラスメートに訊いてみてはどうです? 生徒会長はいつもこう言ってましたの。きてもらえないだろうか? と、それは命令ではありませんよね」

 悔しそうな表情で私を睨む、生徒会役員。あとの四人も彼ほどではないが似た表情を浮かべていた。

「話を戻しますが、貴方がた以上に学園の主義を認めていないのは副会長のようですね。自分は一切表には出ず、生徒会長を己の駒のように扱っていますよね。正直、不愉快ですわ。……場違いな暴言を放ったのは副会長、謝罪するなら副会長なのでは? 生徒会長が、なぜ謝罪の言葉を代弁しなければならないのです? 頭を下げなければならないのです? それとも、高位貴族だから、この学園の主義は無効だとお考えですか?」

 私がゆっくりとそう言い放つと、ますます生徒会役員たちは怒りで顔を赤らめる。黙って聞いている食堂にいた生徒たちは、徐々に私の味方になり始めている。

 この流れになるのは読めていた。私は間違ったことは何一つ言ってはいない。平民としての常識と、貴族としての常識も。強いて言うなら、生徒会長も生徒会役員も動きすぎたことが、この結果を作り出していた。

 一生徒を訪ねるだけ――そう考えていたのは、かなり甘かった。結構、皆シビアな目で見てるのよ。盲目的になるのは一部の生徒。甘い言葉にうっとりしていても、その言葉全部を無条件に信じ切る者は少ない。

「……ユリシア嬢、そこまでにしてくれないか?」

 生徒会長が生徒会役員たちのために頭を下げる。

「生徒会長とはいえ、一平民に貴族が頭を下げる。部下の不始末のせいで。それを見て、なぜ、貴方がたは当然のように受け入れているのでしょう。私はダクリス様が成績一位だからではなく、人格者としても優れているから、なるべくして生徒会長になったのだと思いますわ」

 さぁ、撒き餌はすべて投げ終えたわよ。どうする? 食堂内は生徒会長有利に進んでる。プライドの高い貴方は、絶対それを許さない。

「なにをしているんだ!? 食堂で騒いでると聞いてきてみれば、会長が率先してなにをしているのです!?」

 あ~あくまで、生徒会長が悪い体でいくつもりね。隠れて聞いていたくせに。まぁでも、そうでしか、この場に現れないよね。

 やっと、本命が釣れたわ。

 撒き餌を豪快にまいてあげたんだから、盛大に食らいついて離さないでね。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜

鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。 誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。 幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。 ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。 一人の客人をもてなしたのだ。 その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。 【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。 彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。 そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。 そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。 やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。 ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、 「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。 学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。 ☆第2部完結しました☆

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

処理中です...