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お仕置きの反動は激甘でした
第六話 これも一種の抑止力です
しおりを挟む「パジャマパーティーだったと聞いたが、楽しかったか?」
たった一晩会えなかっただけですが、シオン様は寂しくて仕方なかったようです。可愛いですね。格好良くて、可愛いって反則ですよ。
戻って来てからは、ずっと私を膝の上に乗せて、頭を撫でています。竜人にとって、番を膝の上に乗せる行為は、食事を取るように自然な事です。
一緒にいられる時間が少ないせいか、少しでも時間が合えば、周囲が赤面するような濃密さで引っ付いています。私の側近たちは慣れたもので、スルースキルを日々鍛えていますよ。それでも、ちゃんと一線を越えないようにしてます。内緒でなんて、到底無理ですからね。守護神と呼ばれるシオン様が、唯一勝てない相手が監視していますから。
「楽しかったです。とても勉強になりましたわ」
「勉強?」
私の髪をもて遊びながら、甘い声でシオン様は訊いて来ます。
「ええ、虫の駆除についての話です」
にっこりと微笑みながら告げると、シオン様の顔が少し引き攣りました。虫が何か想像出来たのでしょうね。シオン様の周りにも、幾度となく湧きましたから、
「……そうか」
甘い声の中に、困惑が混じってますね。
寝る前に、リーファが言ったの。ここでした話を、さり気なくシオン様に話すようにと。
具体的に話すことで、より周囲に意識を向けてくれるよう促す事も出来ますし、抑止力にもなると。さすが、リーファですわ。虫という単語だけで、反応がありましたわ。
「ええ。リーファの所に湧いたそうですよ。リーファの婚約者は、とても魅力的な方ですからね。湧くのは仕方ありません。でも、相手が悪かったですね。リーファは私より冷徹ですからね、一度敵認定されたら、徹底的に跡形もなく蹂躙しますから。その方法も色々あると知りましたわ。その点は、私も勉強しなくてはいけません。なんせ……これまでも、幾度となく湧いていることですし」
シオン様の頬を撫でながら、私は言います。
別に私を裏切るような行為をしているわけではないのに、シオン様の目が少し泳いでます。罪悪感があるのでしょう。
竜人の番である私を悲しめることは、シオン様の中で絶対に許されない事ですから。
とでもとでも、深く愛されています。
その気持ちを疑う事は、一度もありませんでした。ただ……あらゆる手を使い、近付こうとする虫に対し、激しい憤りは感じましたけどね。そして、簡単に懐に入られてしまうシオン様に対し、傷付き、涙したことも何度もありました。
私がその事を一人胸にしまい込み話さなくても、リーファは薄々察していたのでしょう。親友ですからね。感謝しかありませんわ。彼女も私にとって、掛け替えのない宝です。
「……すまなかった」
「謝る必要はありません。謝罪も受け取りましたし、罰も終わりましたから。ただ……これだけは覚えておいで下さい。シオン様の弱点が私のように、私の弱点もシオン様なのです。魔法と剣に関しては、負けないと自負しています。でも、心はそこまで強くはありません」
私がそう告げると、シオン様は何も言わず抱き締めてくれました。彼の規則正しい心臓の音が私を癒やしてくれます。
「……シオン様は、私に恋心を教えてくれました。同時に、失う怖さも教えてくれました。おかげで強くもなれましたし、弱くもなりました。その不安定さが、幸せなのだと知ったのです」
「そうか……」
優しいシオン様の声に、私は安堵します。ここが私の居場所だと、再確認出来るから。
居場所を奪われるかもしれない不安を、これから先抱かないために、私はシオン様に訴えることにしました。
「はい……もし、また湧いて出て来ても、一人で対処しようとしないで下さい。私を巻き込んで下さい。そして出来るなら、そういう隙を作らないで下さい。シオン様が私を捨てる事はないと信じています。それでも、不安ですから……」
「分かった。隙を作らない。必要事項以外は、異性とは話さない」
シオン様は同性からもモテますけどね。その台詞は胸に止めて置きましょう。
今はその言質が取れただけでいい。監視はしませんが、シオン様は一度口にしたことは守ってくれますから、そこは信用しています。そう言えば、後一つ、言質を取る事がありましたね。
「シオン様、今後虫が湧いた時は、リーファを見習って、徹底的に潰します。いいですよね?」
今までも徹底的に潰して来ましたが、内緒で動いていましたから。勿論、穏便に許可を頂きましたよ。
☆☆☆
かなり時間が空いての更新となりました。
応援して下さる読者様、本当にすみませんでした。
今年も頑張りますので、見捨てないでくれると嬉しいです。
後、宣伝を。
短編を一本連載中です。
タイトルは【冷血人形と呼ばれた悪役令嬢、婚約破棄出来ないので屑婚約者共々婚家先を潰します】です。
読んでもらえたら嬉しいです。
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