婚約破棄ですか。別に構いませんよ

井藤 美樹

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二年生になりました

第二話 心底、面倒くさいですわ

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 またしても、背後からあの男の気配がします。

「セリア皇女殿下。話がある。少し付き合ってくれないか」

 朝から気分が滅入りますわ。

 あれから何度も何度も話し掛けられて、とてもとても迷惑してます。最悪なことに、この王子、頭と腕がいいらしく、同じクラスなので逃げることも出来ません。登校すれば顔を合わせますしね。

 出来る限り、リーファと一緒にいるようにしているので、変な噂は流れていませんが、正直時間の問題でしょう。

「……前にも言いましたが、用があるのならば、この場でお願い致しますわ。殿下」

 そう告げると、ケルヴァン殿下はニカッと笑います。

「ああ、すまない。そうだったな。セリア皇女殿下に迷惑が掛かるな」

 このケルヴァン殿下、悪い人ではないのです。

 今までの馬鹿たちとは違い、常識知らずや腹黒でもなく、自分が優れてると勘違いしている訳でもありません。人の話を聞かない訳でもありません。突出した野心も感じません。ちょっと脳筋な面はありますが、まぁ許せる範囲内です。自分が悪ければ、素直に頭を下げれる人物ですね。大半の人間は、彼のことを好青年と言うでしょう。

 どうやら恥知らずで愚かだったのは、エルヴァ王国のようでした。

 その件について、ケルヴァン殿下に正式に謝罪されましたわ。最初に声を掛けたのは、謝ろうと思っていたそうです。やり方は最悪でしたけどね。

「で、話はなんですか?」

「セリア皇女殿下にお願いがあるんだ」

 お願い? 嫌な予感しかしませんね。

「……それは、私にしか出来ないことでしょうか?」

「ああ。セリア皇女殿下にしか頼めないんだ」

 満面な笑みで言われましたわ。

「なら、聞く必要はありませんね。これにて失礼させてもらいますわ」

 私にも拒否権はありますわ。絶対、面倒事に決まってます。さっさとその場を離れようとする私に、「えっ!?」という声がしましたが、当然無視ですわ。

「ちょっと待ってくれ!!」

 追い掛けて来るケルヴァン殿下に逃げる私。

「ほんと、仲がいいわね。ケルヴァン殿下とセリア」

 完全に巻いた私に向かって、とんでもない台詞を口にするのは、私の親友。

「どこがです?」

 思わず低い声が出てしまいましたわ。そんな私に、リーファはクスクスと笑いながら続けます。

「セリア。ケルヴァン殿下のこと嫌っていないでしょ。嫌いな相手には容赦がないからね、セリアは。この学園にいる生徒はよく分かっているわよ」

 そう言われては、何も言い返せませんわ。その通りですから。

「リーファの言う通り嫌ってはいませんわ。迷惑だとは思っていますけどね。エルヴァ王国のことで頭を下げた点は好印象でしたし。だからといって、仲がいいと言われるのは心外ですわ。私にはシオン様という大事な方がいるのですよ」

 さすがに、私もむくれてしまいます。

「まぁ、程々にね。でも、ケルヴァン殿下ってしつこそうだから、折れた方がいいかもね」

 確かにしつこそうですね。変な噂が流れる前に、折れた方がいいのかしら。ああ、ほんと面倒くさいですわ。


 

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