断片の輪廻

第？話 星の影・再生の核

二人が最後に潜った門を抜けると、そこは「星の影」と呼ばれる都市だった。この都市は、かつて偉大なる門の一つを擁していたが、その門は機能を喪失し、開きっぱなしのまま凍結されていた。


都市は門の影響を色濃く受けた地形を持ち、夜の闇が濃く沈むような薄暗い雰囲気を漂わせていた。空には星々が静かに瞬き、まるで都市の名前通り、星の影が落ちたかのような幻想的な景観を作り出している。街路は滑らかな黒曜石で舗装され、そこに薄紫の光を放つ浮遊灯が並び、ぼんやりとした光が行き交う人々を照らしている。

この都市には、門の力が衰えたことで行き場を失った者たちが多く住んでいた。彼らはもともと門の向こう側にいた者たちで、門の崩壊とともに帰る術を失い、ここに根を張るしかなかったのだ。そのため、都市には異世界の文化や技術が混在し、奇妙な共存がなされていた。


二人がこの都市にたどり着いた理由は、ここに「喪われた門の番人」の手がかりがあると聞いたためだった。もし彼らが門の機能喪失を引き起こした原因を知っていれば、それを修復する手段があるかもしれない。あるいは、門の機能が失われる前にどのような異変があったのか、その記録が残されている可能性もある。

二人は、街の中心にある「守り手の遺跡」に向かった。そこは、かつて門の守り手が拠点としていた場所で、今は廃墟となっている。壁面には古い碑文が刻まれ、崩れたアーチの残骸が当時の壮麗な建築を物語っていた。都市の住人たちは皆、この遺跡に近寄ることを恐れていた。なぜなら、この遺跡の内部には、門と共に消えたはずの番人たちの声が響いていると言われていたからだ。



遺跡の中心には、かつて門の核があったであろう場所があった。そこには灰色の霧が渦巻いており、近づく者の意識を攪乱するという。二人が足を踏み入れると、霧の中から人影が現れた。それは、まるで門そのものと融合したかのような存在であり、ただの幻影なのか、それともかつての番人が何らかの形で残っているのか判然としなかった。

「門は語る…門は記憶する…だが、その声を聞く者は少ない。」

低く、響くような声が霧の中から漏れた。影のような番人がゆっくりと手を伸ばし、二人に問いかける。

「お前たちは何を望む？」

二人は、この都市に来た目的を伝えた。門の修復、あるいはその秘密の解明。番人の影はしばし沈黙し、やがて静かに口を開いた。

「門の力は、均衡を司る。我らはその番人。されど、門が閉ざされるとき、我らもまた…存在を縛られる。」

二人は、門の番人が門と一体化する宿命にあることを悟った。門の力を取り戻すことは、彼らを解放することにもなるのか？それとも、さらなる危機を生むのか？

その時、霧の中から一つの印が浮かび上がった。それは門の核を表す象徴であり、これを使えば門の封印を解くことができる可能性があった。

「お前たちが、門を再び開く意思を持つのならば、この印を持て。しかし、門の力を取り戻すということは、内に眠るものを目覚めさせることでもある。その選択を誤れば、お前たちの世界もまた…巻き込まれることになる。」

二人は互いに目を見交わした。この選択が、次に訪れる門、そしてこの世界全体の未来に大きな影響を与えることを理解していた。

彼らは、次にどの門へ向かうべきか、慎重に考える必要があった。