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第七話 第三節:「緊急招集 ― 白霞の防衛線」
しおりを挟む夜の霧は、日が沈むにつれて密度を増していた。
その色は白ではなく、どこか灰じみていた。まるで遠くの山火事の煙が混じったような、微かな濁りを帯びて——。
神社の境内に、警戒班の面々が集められていた。
剣之介が中心に立つ。
その背にあるのは剣ではなく、“迷いのない立ち姿”だった。
「皆、聞いてくれ。境界の揺らぎは、偶然じゃない。
モローの次の攻撃は、外からではなく……この村の“成り立ち”そのものを壊すことだ。」
村人たちの顔に、緊張が走る。
リツキが歩み出て、持参した探知板を示す。
「これは、村の結界外縁の霧密度を測定したもの。
通常なら朝と夜で推移が見られるが、昨日からずっと“高密度状態”が続いている。」
剣之介が続ける。
「つまり、霧は自然じゃない。
“意図的に吹き込まれている”。——侵入のために、外から“こちらに向かって”作られている。」
沈黙の中、トウマが立ち上がった。
「なら、逆に言えば、向こうも“通路を開こうとしてる”ってことだよな?
それって……その隙を突いて妨害できる可能性がある。」
ナギサが頷く。
「問題は、それをどう突くか。……剣之介、何か見えたか?」
剣之介は一瞬、霧の奥を見つめた。
「白霞石が、反応していた。
誰かが“繋ごうとしている”とき、あの石は必ず揺れる。
だから、俺たちも“意思”を示す必要がある。」
「意思……?」
「剣で示す。……俺たちの立つこの場所が、“境界”の意味を持つ場所であると。」
**
その後、神社地下の封域に警戒陣が敷かれた。
白霞石の中央には、微かな脈動。
剣之介はそこに剣を突き立てることで、“剣士の意志”を石へと伝える古式の儀を行った。
同時に、村の若者たちは霧への対策として、境界周辺の警戒線を強化。
トウマの試作ジャマーは要所に設置され、結界の共鳴干渉を阻害するための準備が進められていった。
静かながらも、確実に“備え”は進んでいた。
霧の中、誰もが気づいていた。
この夜を超えた先に、“剣が届かない領域”が待っていることを——。
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