10 / 59
第十話 婚姻の無効
しおりを挟む
邸宅に戻ったフェデリカは、即座に養父に手紙を認めた。舞踏会での顛末を記し、アンヌンツィアータ家から勘当する形で、貴族籍から抜けたいと願い出た。大学の費用は1年ごとの返金額を取り決め、必ず返すと約束した。
――しかし翌々日伝書鳩が運んできた手紙には、ならぬ、とだけあった。
理由は分からない。しかし書かなかったということは、書くに値しない、或いは書けないのだと理解して、それ以上の説明は求めなかった。
かくなる上は何かしらの病の捏造か。不妊の疑いがあれば一番だが、月のものはきっかり1か月置きに来ているので難しいだろう。他で婚約を拒むほどの重病ともなれば、大学の在籍も危ぶまれるかもしれない。ついでに医学専攻の者たちから解剖の申し出が殺到することも目に見えている。
――どうしたものか。
婚約は家同士の繋がりを強固にするもの。他所の婚約に口出しすることは基本的には禁じられているから、貴族議会の助けも見込めない。精々フェデリカが身の程知らずだと叩かれる程度だろう。
国外逃亡や偽装死も考えたが、そうすると大学は除籍になってしまう。折角の研究や論文を置いていくのはあまりにも惜しい。アンヌンツィアータ家にも迷惑がかかるのでやめた。
八方塞がりだ。かくなる上は、王弟に動いてもらうしかあるまい。
王弟からの手紙が届いたのは、舞踏会から3日後のことであった。邸宅への呼び出し命令に、フェデリカは速やかに応じた。
「――王弟殿下に拝謁致します」
「堅苦しい挨拶はいい。顔を上げてくれ」
たった3日しか経っていないのに、王弟はいくらか窶れて見えた。
「......済まない。王命を覆すこと、叶わなかった」
息が止まった。かろうじて表情を取り繕うことには成功する。
「アンヌンツィアータ当主から辞退の申し出があったが、陛下はそれを黙殺された。イゾラ公の諫言も、耳には届かなかった様子だ」
「......左様でございますか。では、婚約者としてよろしくお願いいたします」
王弟は驚いたように目を見開いた。構わず言葉を続けた。
「王命を覆すことが叶わないのであれば、白い結婚を理由とした婚姻の無効の申し立てを願います」
「......なるほど、承知した」
婚姻の無効はある程度神殿から批判を受ける。許可されて安堵した。
「王位を継ぐのはすぐではありませんよね。王弟妃、王太子妃という立場になるという理解でよろしいでしょうか」
「あぁ。必須公務には参席してもらわなければならないが、それ以外の期間は大学に戻って構わない」
「よ、よろしいのですか!?」
フェデリカは声を弾ませた。休学せねばなるまいと覚悟していただけに、その言葉は何よりも甘美な響きをしていた。
「ああ。陛下の我儘に巻き込んでしまったのだから、これくらいはさせてほしい」
「しかし、殿下の負担が増えてしまうのでは」
「構わない。研究のことを話している時の令嬢は、随分生き生きしているからな。普段の凍り付いた表情よりも、ずっと好ましい」
フェデリカは意表を突かれて目を見開いた。そんな風に見えていたのだろうか。気恥ずかしいような決まり悪いような気持ちに襲われて、ありがとうございますと頭を下げた。
「婚姻の無効後も、不自由なく暮らせるように手配しよう。現段階でも何か叶えたいことがあればできる限り叶えると約束する」
フェデリカは首を横に振った。元々己が立てた計画の余波でこのような事態になっているのだ。研究継続も認めてもらえたのに、これ以上を望むわけにはいかなかった。
契約書を作成し署名すると、沈黙が落ちた。供された紅茶はすっかり冷めきっている。
「――非礼を承知で尋ねる。令嬢に、想い人はいないのか」
おもいびと、という単語を理解するのに一拍の間があった。
「おりません。愛や恋は、私の理解の範疇の外にあります」
母のことは覚えていない。父は家を空けることが多く、どこか距離があった。貴族学園の友人とは親しくしているが、愛かと言われると戸惑う。大学の知り合いは、いい意味で頭がおかしい。
「そうか......私もだ」
フェデリカは目を瞬いた。確か王弟は、既に亡くなった人に心を捧げているのではなかっただろうか。フェデリカの困惑が伝わったのか、ああ、と王弟は苦笑する。
「好いた人が死んだというのはでまかせだ。縁談が鬱陶しくてね。誰かを好きになったことはないよ」
「左様でございますか」
なら良かった。少しそれが気にかかっていたから。
「――3年と少しの間、よろしく頼む」
差し出された手を、フェデリカは握り返した。
***
フェデリカは婚約手続きの為、王宮に参内していた。辺境伯家当主の署名がある書類を提出し終わったので、あとは神殿に行けばおしまいだ。
足取りも軽く正門に向かっていると、不意に前方から喧騒が聞こえた。大陸共通語ではなく、海上諸国の言葉だ。
——紫の瞳の、海の王国の男。
避けよう、と判断を下したのは一瞬のことだ。曲がり角で右に曲がり、庭園に降りる。奇しくもかつて訪れた迷宮庭園だった。あの時からもう2か月経っている。咲き誇る花々は随分様子を変えていた。
適当にやり過ごそう、と花の迷路に足を踏み入れた途端、視界が暗くなった。衝撃があって、誰かとぶつかったのだと理解する。
「わぶっ」
「申し訳ない。大丈夫だろうか」
「いえ、私も前方不注意でした——」
謝罪しかけて、フェデリカは絶句した。
褐色の肌。光沢のある白い髪。筋骨隆々な体つき。こちらを見下ろす瞳の色は——紫。
「もしや、デアンジェリス令嬢だろうか。物理学の」
「え......あ、はい。アンヌンツィアータ家の養子となり、大学以外ではアンヌンツィアータを名乗っておりますが」
大学で初めて共著者になった時はまだデアンジェリスを名乗っていたので、大学では未だにデアンジェリスで通っている。
「ああ、そうであったか。失礼した。プロヴェンツァーレ令嬢から話は伺っている」
あぁ、と呟いて男は一礼する。学者らしからぬ、騎士のような振る舞いだった。
「名乗りもせず失礼した。私は海の王国エスピノサ領主が息子、ベルトラン・ラミロ・デ・エスピノサ。以後よしなに」
——あなたに似ているの。
ペネロペの言葉が頭に浮かんで消えた。
***
『こちらにおいででしたか、エスピノサ様!』
侍従の安堵した声が背中に掛けられる。早く国王陛下の元へ、と急かされながら、ベルトランは先程までこの場にいた令嬢を思い起こしていた。
——フェデリカ・ヴェルディアナ・ディ・デアンジェリス。いや、アンヌンツィアータか。
大学合同研究会の後、ついでに王宮に行ってくれ、と言われて引き受けたのは、彼女が大学か王宮のどちらかにいるからというところが大きい。一度、見てみたかった。父から、物理学専攻の友人から聞いた彼女を。
——随分と、絶望的な顔をしていたが。
同じ紫色の瞳。国外に出た経験が少ないせいもあろうが、ベルトランは己以外でその色を見たことがなかった。しかし黒い髪と白い肌、それだけで随分と印象が変わるものだ。
双子の妹だというのに。
ベルトランは前方から早足でやってくる男を認めて目を細めた。
「この度は突然の訪問にも関わらず歓待していただき、誠にありがたく存ずる——王弟殿下」
――しかし翌々日伝書鳩が運んできた手紙には、ならぬ、とだけあった。
理由は分からない。しかし書かなかったということは、書くに値しない、或いは書けないのだと理解して、それ以上の説明は求めなかった。
かくなる上は何かしらの病の捏造か。不妊の疑いがあれば一番だが、月のものはきっかり1か月置きに来ているので難しいだろう。他で婚約を拒むほどの重病ともなれば、大学の在籍も危ぶまれるかもしれない。ついでに医学専攻の者たちから解剖の申し出が殺到することも目に見えている。
――どうしたものか。
婚約は家同士の繋がりを強固にするもの。他所の婚約に口出しすることは基本的には禁じられているから、貴族議会の助けも見込めない。精々フェデリカが身の程知らずだと叩かれる程度だろう。
国外逃亡や偽装死も考えたが、そうすると大学は除籍になってしまう。折角の研究や論文を置いていくのはあまりにも惜しい。アンヌンツィアータ家にも迷惑がかかるのでやめた。
八方塞がりだ。かくなる上は、王弟に動いてもらうしかあるまい。
王弟からの手紙が届いたのは、舞踏会から3日後のことであった。邸宅への呼び出し命令に、フェデリカは速やかに応じた。
「――王弟殿下に拝謁致します」
「堅苦しい挨拶はいい。顔を上げてくれ」
たった3日しか経っていないのに、王弟はいくらか窶れて見えた。
「......済まない。王命を覆すこと、叶わなかった」
息が止まった。かろうじて表情を取り繕うことには成功する。
「アンヌンツィアータ当主から辞退の申し出があったが、陛下はそれを黙殺された。イゾラ公の諫言も、耳には届かなかった様子だ」
「......左様でございますか。では、婚約者としてよろしくお願いいたします」
王弟は驚いたように目を見開いた。構わず言葉を続けた。
「王命を覆すことが叶わないのであれば、白い結婚を理由とした婚姻の無効の申し立てを願います」
「......なるほど、承知した」
婚姻の無効はある程度神殿から批判を受ける。許可されて安堵した。
「王位を継ぐのはすぐではありませんよね。王弟妃、王太子妃という立場になるという理解でよろしいでしょうか」
「あぁ。必須公務には参席してもらわなければならないが、それ以外の期間は大学に戻って構わない」
「よ、よろしいのですか!?」
フェデリカは声を弾ませた。休学せねばなるまいと覚悟していただけに、その言葉は何よりも甘美な響きをしていた。
「ああ。陛下の我儘に巻き込んでしまったのだから、これくらいはさせてほしい」
「しかし、殿下の負担が増えてしまうのでは」
「構わない。研究のことを話している時の令嬢は、随分生き生きしているからな。普段の凍り付いた表情よりも、ずっと好ましい」
フェデリカは意表を突かれて目を見開いた。そんな風に見えていたのだろうか。気恥ずかしいような決まり悪いような気持ちに襲われて、ありがとうございますと頭を下げた。
「婚姻の無効後も、不自由なく暮らせるように手配しよう。現段階でも何か叶えたいことがあればできる限り叶えると約束する」
フェデリカは首を横に振った。元々己が立てた計画の余波でこのような事態になっているのだ。研究継続も認めてもらえたのに、これ以上を望むわけにはいかなかった。
契約書を作成し署名すると、沈黙が落ちた。供された紅茶はすっかり冷めきっている。
「――非礼を承知で尋ねる。令嬢に、想い人はいないのか」
おもいびと、という単語を理解するのに一拍の間があった。
「おりません。愛や恋は、私の理解の範疇の外にあります」
母のことは覚えていない。父は家を空けることが多く、どこか距離があった。貴族学園の友人とは親しくしているが、愛かと言われると戸惑う。大学の知り合いは、いい意味で頭がおかしい。
「そうか......私もだ」
フェデリカは目を瞬いた。確か王弟は、既に亡くなった人に心を捧げているのではなかっただろうか。フェデリカの困惑が伝わったのか、ああ、と王弟は苦笑する。
「好いた人が死んだというのはでまかせだ。縁談が鬱陶しくてね。誰かを好きになったことはないよ」
「左様でございますか」
なら良かった。少しそれが気にかかっていたから。
「――3年と少しの間、よろしく頼む」
差し出された手を、フェデリカは握り返した。
***
フェデリカは婚約手続きの為、王宮に参内していた。辺境伯家当主の署名がある書類を提出し終わったので、あとは神殿に行けばおしまいだ。
足取りも軽く正門に向かっていると、不意に前方から喧騒が聞こえた。大陸共通語ではなく、海上諸国の言葉だ。
——紫の瞳の、海の王国の男。
避けよう、と判断を下したのは一瞬のことだ。曲がり角で右に曲がり、庭園に降りる。奇しくもかつて訪れた迷宮庭園だった。あの時からもう2か月経っている。咲き誇る花々は随分様子を変えていた。
適当にやり過ごそう、と花の迷路に足を踏み入れた途端、視界が暗くなった。衝撃があって、誰かとぶつかったのだと理解する。
「わぶっ」
「申し訳ない。大丈夫だろうか」
「いえ、私も前方不注意でした——」
謝罪しかけて、フェデリカは絶句した。
褐色の肌。光沢のある白い髪。筋骨隆々な体つき。こちらを見下ろす瞳の色は——紫。
「もしや、デアンジェリス令嬢だろうか。物理学の」
「え......あ、はい。アンヌンツィアータ家の養子となり、大学以外ではアンヌンツィアータを名乗っておりますが」
大学で初めて共著者になった時はまだデアンジェリスを名乗っていたので、大学では未だにデアンジェリスで通っている。
「ああ、そうであったか。失礼した。プロヴェンツァーレ令嬢から話は伺っている」
あぁ、と呟いて男は一礼する。学者らしからぬ、騎士のような振る舞いだった。
「名乗りもせず失礼した。私は海の王国エスピノサ領主が息子、ベルトラン・ラミロ・デ・エスピノサ。以後よしなに」
——あなたに似ているの。
ペネロペの言葉が頭に浮かんで消えた。
***
『こちらにおいででしたか、エスピノサ様!』
侍従の安堵した声が背中に掛けられる。早く国王陛下の元へ、と急かされながら、ベルトランは先程までこの場にいた令嬢を思い起こしていた。
——フェデリカ・ヴェルディアナ・ディ・デアンジェリス。いや、アンヌンツィアータか。
大学合同研究会の後、ついでに王宮に行ってくれ、と言われて引き受けたのは、彼女が大学か王宮のどちらかにいるからというところが大きい。一度、見てみたかった。父から、物理学専攻の友人から聞いた彼女を。
——随分と、絶望的な顔をしていたが。
同じ紫色の瞳。国外に出た経験が少ないせいもあろうが、ベルトランは己以外でその色を見たことがなかった。しかし黒い髪と白い肌、それだけで随分と印象が変わるものだ。
双子の妹だというのに。
ベルトランは前方から早足でやってくる男を認めて目を細めた。
「この度は突然の訪問にも関わらず歓待していただき、誠にありがたく存ずる——王弟殿下」
1
あなたにおすすめの小説
毒姫ライラは今日も生きている
木崎優
恋愛
エイシュケル王国第二王女ライラ。
だけど私をそう呼ぶ人はいない。毒姫ライラ、それは私を示す名だ。
ひっそりと森で暮らす私はこの国において毒にも等しく、王女として扱われることはなかった。
そんな私に、十六歳にして初めて、王女としての役割が与えられた。
それは、王様が愛するお姫様の代わりに、暴君と呼ばれる皇帝に嫁ぐこと。
「これは王命だ。王女としての責務を果たせ」
暴君のもとに愛しいお姫様を嫁がせたくない王様。
「どうしてもいやだったら、代わってあげるわ」
暴君のもとに嫁ぎたいお姫様。
「お前を妃に迎える気はない」
そして私を認めない暴君。
三者三様の彼らのもとで私がするべきことは一つだけ。
「頑張って死んでまいります!」
――そのはずが、何故だか死ぬ気配がありません。
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
ベルガー子爵領結婚騒動記
文月黒
恋愛
その日、王都より遠く離れたベルガー子爵領は、俄かに浮き足立っていた。
何せ、ついに領民一同が待ち望んでいたベルガー子爵の結婚相手がやって来るのだ。
ちょっとだけ(当領比)特殊な領地の強面領主に嫁いで来たのは、王都の男爵家の末娘・マリア。
だが、花嫁は領主であるベルンハルトの顔を見るなり泣き出してしまった。
最悪な顔合わせをしてしまったベルンハルトとマリア。
慌てるベルンハルトの腹心の部下ヴォルフとマリアの侍女ローザ。
果たしてベルガー子爵領で彼らは幸せを掴めるのか。
ハピエン確定のサクッと読めるギャグ寄り恋愛ものです。
【完結】婚約を解消されたら、自由と笑い声と隣国王子がついてきました
ふじの
恋愛
「君を傷つけたくはない。だから、これは“円満な婚約解消”とする。」
公爵家に居場所のないリシェルはどうにか婚約者の王太子レオナルトとの関係を築こうと心を砕いてきた。しかし義母や義妹によって、その婚約者の立場さえを奪われたリシェル。居場所をなくしたはずの彼女に手を差し伸べたのは、隣国の第二王子アレクだった。
留学先のアレクの国で自分らしさを取り戻したリシェルは、アレクへの想いを自覚し、二人の距離が縮まってきた。しかしその矢先、ユリウスやレティシアというライバルの登場や政治的思惑に振り回されてすれ違ってしまう。結ばれる未来のために、リシェルとアレクは奔走する。
※ヒロインが危機的状況に陥りますが、ハッピーエンドです。
【完結】
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
裏で国を支えていた令嬢「不純物だ」と追放されるも、強面辺境伯と共に辺境を改革する ~戻ってきてと嘆願されましたが、それに対する答えは……~、
水上
恋愛
「君のような地味な不純物は不要だ」と婚約破棄され追放されたルチア。失意の彼女を拾ったのは、皆から恐れられる辺境伯レオンハルトだった。だが彼には意外な一面があって!?
ルチアはレオンハルトと共に、自らの知識や技術で領地を改革し始める。
一方、ルチアを追放した王国は、彼女の不在によって崩壊の危機に陥る。
今更戻ってきてほしいと嘆願されましたが、それに対する答えは……。
『めでたしめでたし』の、その後で
ゆきな
恋愛
シャロン・ブーケ伯爵令嬢は社交界デビューの際、ブレント王子に見初められた。
手にキスをされ、一晩中彼とダンスを楽しんだシャロンは、すっかり有頂天だった。
まるで、おとぎ話のお姫様になったような気分だったのである。
しかし、踊り疲れた彼女がブレント王子に導かれるままにやって来たのは、彼の寝室だった。
ブレント王子はお気に入りの娘を見つけるとベッドに誘い込み、飽きたら多額の持参金をもたせて、適当な男の元へと嫁がせることを繰り返していたのだ。
そんなこととは知らなかったシャロンは恐怖のあまり固まってしまったものの、なんとか彼の手を振り切って逃げ帰ってくる。
しかし彼女を迎えた継母と異母妹の態度は冷たかった。
継母はブレント王子の悪癖を知りつつ、持参金目当てにシャロンを王子の元へと送り出していたのである。
それなのに何故逃げ帰ってきたのかと、継母はシャロンを責めた上、役立たずと罵って、その日から彼女を使用人同然にこき使うようになった。
シャロンはそんな苦境の中でも挫けることなく、耐えていた。
そんなある日、ようやくシャロンを愛してくれる青年、スタンリー・クーパー伯爵と出会う。
彼女はスタンリーを心の支えに、辛い毎日を懸命に生きたが、異母妹はシャロンの幸せを許さなかった。
彼女は、どうにかして2人の仲を引き裂こうと企んでいた。
2人の間の障害はそればかりではなかった。
なんとブレント王子は、いまだにシャロンを諦めていなかったのだ。
彼女の身も心も手に入れたい欲求にかられたブレント王子は、彼女を力づくで自分のものにしようと企んでいたのである。
『やりたくないからやらないだけ 〜自分のために働かない選択をした元貴族令嬢の静かな失踪〜』
鷹 綾
恋愛
「やりたくないから、やらないだけですわ」
婚約破棄をきっかけに、
貴族としての役割も、評価も、期待も、すべてが“面倒”になった令嬢ファーファ・ノクティス。
彼女が選んだのは、復讐でも、成り上がりでもなく――
働かないという選択。
爵位と領地、屋敷を手放し、
領民の未来だけは守る形で名領主と契約を結んだのち、
彼女はひっそりと姿を消す。
山の奥で始まるのは、
誰にも評価されず、誰にも感謝せず、
それでも不自由のない、静かな日々。
陰謀も、追手も、劇的な再会もない。
あるのは、契約に基づいて淡々と届く物資と、
「何者にもならなくていい」という確かな安心だけ。
働かない。
争わない。
名を残さない。
それでも――
自分の人生を、自分のために選び切る。
これは、
頑張らないことを肯定する物語。
静かに失踪した元貴族令嬢が、
誰にも縛られず生きるまでを描いた、
“何もしない”ことを貫いた、静かな完結譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる