42 / 59
第四十二話 お好きなように
しおりを挟む
「あの、お姉様」
二曲踊った後で、シャンパングラスを手にしたジュリアマリアが近づいてきた。
「何かしら、ジュリアマリア」
「異形って、何?」
ジュリアマリアは困惑したような声と裏腹にどこまでもまっすぐフェデリカを見つめている。聡い子だ。己の無邪気を盾とし、先代王の発言を取り消させようとしている。フェデリカはわざとらしく困った表情を浮かべた。
「さぁ......先王陛下は何を仰りたかったのかしら。レナートはどこから見ても素晴らしい方なのに」
「そ、そうだよね」
「眉目秀麗で政も精力的にこなしておられて......わたくし、あの方以上に素敵な方を存じ上げないのだけれど」
「いや、ブルーノの方が私の中ではかっこいいから!」
ブルーノはね、とジュリアマリアがイゾラ公爵のいいところについて熱弁を振るう。少し離れたところでイゾラ公は真っ赤になっていた。
「ふふ、相変わらず相思相愛ねえ。ああ、そうだジュリアマリア、くれぐれも気を付けるのよ?」
「へ?」
「イゾラ公はレナートの......陛下の甥。陛下に似ていらしたら、暫く夜は眠れないものと思っていた方がいいわ」
「はえ!?」「「ぶーっ」」
ジュリアマリアは真っ赤になり、シャンパンを飲んでいた叔父と甥は見事に中身を噴き出した。周囲の者たちも噎せている。
「最近は兎も角、初めはほんとうに寝かせてくださらなかったの。朝起きるのがあれほど大変だったことはないわ......」
「お、おおおお姉様」
「ジュリアマリア、つらいかもしれないけれど、これも夫の愛なのよ。あなたの健闘を祈っているわ」
「お姉様!?」
「ジュリア!」
「わひゃあ、ブルーノ!」
ジュリアマリアは飛び上がった。夫婦揃って赤くなっている。
「あ、あの......私、寝れないの?」
「僕はそんなに絶倫じゃないから! お願い怯えないでジュリア! 妃殿下! なんてこと言うんですか!」
「あらごめんなさい、つい心配になってしまって」
扇を翳して微笑むと、イゾラ公爵はぐぬぬと唸ってレナートの方を振り返った。
「叔父上もですよ! 義姉上を寝かせてください!」
「私のせいなのか!?」
「ええそうです! 叔父上が義姉上にぞっこんなのは知ってますけど、少し穏やかにしないと嫌われますよ!」
「は!?」
フェデリカは妹夫婦と夫の言い争いを見てころころと笑った。それを見ていた参列者によって王より強い王妃とあだ名されるのは少し先のお話である。
***
「――あぁ、面白かった」
「君のせいでひどい目にあったぞ......」
所変わって夫婦の寝室である。宴が長引いたので、既に日付が変わっていた。
「ふふふ。明日から噂になりますね。絶倫王と」
「そんな称号は嫌だ」
「ですが実際どうなのですか?」
レナートは言葉に詰まった。精巣を片方切り落とされた時、レナートは20歳。当然経験はあるだろう。
「比較したことがないから何とも言えないが......その、体力は、ある方だと思う」
「よかったです。あ、けれどお手柔らかにお願いします。私は貧弱ですので」
「......何を?」
レナートは目を瞬いた。あら、とフェデリカは首を傾げる。
「抱いていただこうと思っていたのですけれど」
「......は!?」
「膣外に射精していただければ妊娠の確率は低く」
「待て待て待て」
レナートは片手で顔を覆っている。頭痛だろうか、とフェデリカは首を傾げた。
「なんでしょうかレナート。あ、もしかして私では行為に至るほどの興奮を得られませんか?」
「そんなわけ、いや、そうではなくてだな」
「はあ」
レナートは顔を上げてフェデリカを見据えた。
「......抱けと?」
「はい。どうぞ抱き潰してください」
「げほっ」
レナートは激しく咳込んだ。大丈夫だろうか。
「そうすれば、あなたが不能という噂は確実に消えます。婚姻無効の件に関しては、白い結婚だと言い張るか、ジュリアマリアの母が私の母であり、貴賤結婚の末に生まれた子だと表明すれば成立しますので心配は要りません」
言葉や態度で夫婦円満であるということは示してきたが、部屋の清掃やふたりの身の周りの世話をする侍女たちが懐疑的であることは知っていた。当然だろう。契りを交わした痕跡が、結婚から半年経った今もないのだから。不穏な噂は、今日の先王の発言と相まってレナートに牙を剝くだろう。
「白い結婚だという噂も残っています。この機に一掃するのは悪い案ではないと思うのですが」
「私の噂を鎮めるために、君の貞節を奪えと?」
「減るものでもありませんし、今後使う予定もありませんし」
視界が反転した。天蓋が目に入り、押し倒されたと理解する。レナートの解けた髪がフェデリカの頬を擽った。
「レナート?」
「噂のためだけに君の貞節を奪いたくない」
「お心遣いは嬉しいですが、あってもなくても困りませんので」
「それだけの為だけに、恋うてもいない男に抱かれると」
「流石に30以上歳の離れたご老体や樽のような巨体は嫌ですが」
「そうか。でも私は嫌だ」
「ではやめましょうか」
「君と体を重ねるなら、君の心を手に入れてからがいい」
レナートの手がフェデリカの頬をなぞる。唇に触れた指先は仄かに熱を持っていた。
「好きだ、フェデリカ。君が好きだ」
***
幼い頃から、当たり前のことが分からなかった。庭師が水を撒くと虹が出来るのも、空が青いのもフェデリカには不思議だった。
——フェデリカ、あまり父さまを困らせないでくれ。
——メイドなんで難しいことは分からないです。
——そんなことを考えている暇があれば貴族名鑑を覚えてください。
人は何も教えてくれない。数字は書いた分だけ答えをくれる。物理式は当たり前だと認識していることの原因を導ける。
甘酸っぱい恋や友人との情を育む時間をすべて研究に捧げた。他人に期待をしなくなった日から人との関わりを減らし、出来るだけ他人に対して何も思わないようにした。その方が楽だった。期待をしなければ、失望することもないのだから。
「好きだ、フェデリカ。君が好きだ」
海のような青い瞳は、獣じみた熱を宿していた。
「ご冗談を」
「冗談ではない。俺は君を愛している」
フェデリカはまじまじとレナートを見つめた。
――やはり、そうだったのか。
幾ら機微に疎くても、察するところはあった。起きた時に腕に閉じ込められているのは抱きしめられているからで、よく視線が合うのは、レナートがフェデリカを見ているからだ。
面倒くさいから、見て見ぬふりをしていたけれど。
「――申し訳ありませんが、私はあなたを愛していません。人としては尊敬しておりますが、それだけです。どうかその感情は別の方にお渡しください」
「生憎と、恋情はすぐに消えてくれるものではない」
「では消えるまでお待ちください」
「果たして消えるかな」
「私はあなたではないので判じかねます」
レナートは小さく笑った。
「この感情は暫し手放せないようだから、君を落とせるように努力する」
「はあ」
フェデリカは間の抜けた声を上げた。研究にしか目がない自分が他者を愛するなんて、想像することもできなかった。
「お好きなように」
——それから5年が過ぎる。
二曲踊った後で、シャンパングラスを手にしたジュリアマリアが近づいてきた。
「何かしら、ジュリアマリア」
「異形って、何?」
ジュリアマリアは困惑したような声と裏腹にどこまでもまっすぐフェデリカを見つめている。聡い子だ。己の無邪気を盾とし、先代王の発言を取り消させようとしている。フェデリカはわざとらしく困った表情を浮かべた。
「さぁ......先王陛下は何を仰りたかったのかしら。レナートはどこから見ても素晴らしい方なのに」
「そ、そうだよね」
「眉目秀麗で政も精力的にこなしておられて......わたくし、あの方以上に素敵な方を存じ上げないのだけれど」
「いや、ブルーノの方が私の中ではかっこいいから!」
ブルーノはね、とジュリアマリアがイゾラ公爵のいいところについて熱弁を振るう。少し離れたところでイゾラ公は真っ赤になっていた。
「ふふ、相変わらず相思相愛ねえ。ああ、そうだジュリアマリア、くれぐれも気を付けるのよ?」
「へ?」
「イゾラ公はレナートの......陛下の甥。陛下に似ていらしたら、暫く夜は眠れないものと思っていた方がいいわ」
「はえ!?」「「ぶーっ」」
ジュリアマリアは真っ赤になり、シャンパンを飲んでいた叔父と甥は見事に中身を噴き出した。周囲の者たちも噎せている。
「最近は兎も角、初めはほんとうに寝かせてくださらなかったの。朝起きるのがあれほど大変だったことはないわ......」
「お、おおおお姉様」
「ジュリアマリア、つらいかもしれないけれど、これも夫の愛なのよ。あなたの健闘を祈っているわ」
「お姉様!?」
「ジュリア!」
「わひゃあ、ブルーノ!」
ジュリアマリアは飛び上がった。夫婦揃って赤くなっている。
「あ、あの......私、寝れないの?」
「僕はそんなに絶倫じゃないから! お願い怯えないでジュリア! 妃殿下! なんてこと言うんですか!」
「あらごめんなさい、つい心配になってしまって」
扇を翳して微笑むと、イゾラ公爵はぐぬぬと唸ってレナートの方を振り返った。
「叔父上もですよ! 義姉上を寝かせてください!」
「私のせいなのか!?」
「ええそうです! 叔父上が義姉上にぞっこんなのは知ってますけど、少し穏やかにしないと嫌われますよ!」
「は!?」
フェデリカは妹夫婦と夫の言い争いを見てころころと笑った。それを見ていた参列者によって王より強い王妃とあだ名されるのは少し先のお話である。
***
「――あぁ、面白かった」
「君のせいでひどい目にあったぞ......」
所変わって夫婦の寝室である。宴が長引いたので、既に日付が変わっていた。
「ふふふ。明日から噂になりますね。絶倫王と」
「そんな称号は嫌だ」
「ですが実際どうなのですか?」
レナートは言葉に詰まった。精巣を片方切り落とされた時、レナートは20歳。当然経験はあるだろう。
「比較したことがないから何とも言えないが......その、体力は、ある方だと思う」
「よかったです。あ、けれどお手柔らかにお願いします。私は貧弱ですので」
「......何を?」
レナートは目を瞬いた。あら、とフェデリカは首を傾げる。
「抱いていただこうと思っていたのですけれど」
「......は!?」
「膣外に射精していただければ妊娠の確率は低く」
「待て待て待て」
レナートは片手で顔を覆っている。頭痛だろうか、とフェデリカは首を傾げた。
「なんでしょうかレナート。あ、もしかして私では行為に至るほどの興奮を得られませんか?」
「そんなわけ、いや、そうではなくてだな」
「はあ」
レナートは顔を上げてフェデリカを見据えた。
「......抱けと?」
「はい。どうぞ抱き潰してください」
「げほっ」
レナートは激しく咳込んだ。大丈夫だろうか。
「そうすれば、あなたが不能という噂は確実に消えます。婚姻無効の件に関しては、白い結婚だと言い張るか、ジュリアマリアの母が私の母であり、貴賤結婚の末に生まれた子だと表明すれば成立しますので心配は要りません」
言葉や態度で夫婦円満であるということは示してきたが、部屋の清掃やふたりの身の周りの世話をする侍女たちが懐疑的であることは知っていた。当然だろう。契りを交わした痕跡が、結婚から半年経った今もないのだから。不穏な噂は、今日の先王の発言と相まってレナートに牙を剝くだろう。
「白い結婚だという噂も残っています。この機に一掃するのは悪い案ではないと思うのですが」
「私の噂を鎮めるために、君の貞節を奪えと?」
「減るものでもありませんし、今後使う予定もありませんし」
視界が反転した。天蓋が目に入り、押し倒されたと理解する。レナートの解けた髪がフェデリカの頬を擽った。
「レナート?」
「噂のためだけに君の貞節を奪いたくない」
「お心遣いは嬉しいですが、あってもなくても困りませんので」
「それだけの為だけに、恋うてもいない男に抱かれると」
「流石に30以上歳の離れたご老体や樽のような巨体は嫌ですが」
「そうか。でも私は嫌だ」
「ではやめましょうか」
「君と体を重ねるなら、君の心を手に入れてからがいい」
レナートの手がフェデリカの頬をなぞる。唇に触れた指先は仄かに熱を持っていた。
「好きだ、フェデリカ。君が好きだ」
***
幼い頃から、当たり前のことが分からなかった。庭師が水を撒くと虹が出来るのも、空が青いのもフェデリカには不思議だった。
——フェデリカ、あまり父さまを困らせないでくれ。
——メイドなんで難しいことは分からないです。
——そんなことを考えている暇があれば貴族名鑑を覚えてください。
人は何も教えてくれない。数字は書いた分だけ答えをくれる。物理式は当たり前だと認識していることの原因を導ける。
甘酸っぱい恋や友人との情を育む時間をすべて研究に捧げた。他人に期待をしなくなった日から人との関わりを減らし、出来るだけ他人に対して何も思わないようにした。その方が楽だった。期待をしなければ、失望することもないのだから。
「好きだ、フェデリカ。君が好きだ」
海のような青い瞳は、獣じみた熱を宿していた。
「ご冗談を」
「冗談ではない。俺は君を愛している」
フェデリカはまじまじとレナートを見つめた。
――やはり、そうだったのか。
幾ら機微に疎くても、察するところはあった。起きた時に腕に閉じ込められているのは抱きしめられているからで、よく視線が合うのは、レナートがフェデリカを見ているからだ。
面倒くさいから、見て見ぬふりをしていたけれど。
「――申し訳ありませんが、私はあなたを愛していません。人としては尊敬しておりますが、それだけです。どうかその感情は別の方にお渡しください」
「生憎と、恋情はすぐに消えてくれるものではない」
「では消えるまでお待ちください」
「果たして消えるかな」
「私はあなたではないので判じかねます」
レナートは小さく笑った。
「この感情は暫し手放せないようだから、君を落とせるように努力する」
「はあ」
フェデリカは間の抜けた声を上げた。研究にしか目がない自分が他者を愛するなんて、想像することもできなかった。
「お好きなように」
——それから5年が過ぎる。
1
あなたにおすすめの小説
ベルガー子爵領結婚騒動記
文月黒
恋愛
その日、王都より遠く離れたベルガー子爵領は、俄かに浮き足立っていた。
何せ、ついに領民一同が待ち望んでいたベルガー子爵の結婚相手がやって来るのだ。
ちょっとだけ(当領比)特殊な領地の強面領主に嫁いで来たのは、王都の男爵家の末娘・マリア。
だが、花嫁は領主であるベルンハルトの顔を見るなり泣き出してしまった。
最悪な顔合わせをしてしまったベルンハルトとマリア。
慌てるベルンハルトの腹心の部下ヴォルフとマリアの侍女ローザ。
果たしてベルガー子爵領で彼らは幸せを掴めるのか。
ハピエン確定のサクッと読めるギャグ寄り恋愛ものです。
旦那様、彼は仕事において必要不可欠なパートナーなのです
ましゅぺちーの
恋愛
伯爵夫人フルールは、夫である伯爵と愛人の秘書に長年頭を悩ませていた。
何度夫に苦言を呈しても「彼女は仕事において必要不可欠なパートナーだから」と一切聞く耳を持たない。
困り果てていたそのとき、彼女は突然前世の記憶を取り戻した。
このままだと夫と愛人の真実の愛の犠牲になってしまう。
それだけは御免だ。
結婚五年目にして、彼女はようやく夫を見限り、新たな事業を立ち上げた。
そして事業を成功させたフルールの隣には、いつも同じ男が立っていた。
その男は誰なのかと問い詰める夫に、フルールはニッコリ笑って言った。
「彼は仕事において必要不可欠なパートナーなのです」と。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、すれ違いの末に離れ離れになった夫婦の物語。
再会したとき、二人が選ぶのは「離婚」か、それとも「再構築」か。
妻を一途に想い続ける夫と、
その想いを一ミリも知らない妻。
――攻防戦の幕が、いま上がる。
破滅フラグを回避する為に完璧な淑女になったはずが、何故私は婚約者の兄にライバル視されてるんですか!?
弥生 真由
恋愛
6歳の誕生日に王国きっての神童と名高い王子様から求婚されたカナリアは、自分が転生して乙女ゲームの悪役令嬢になったことを自覚した。このまま行けば未来に待つのはテンプレートな婚約破棄と国外追放!そんなの困る!
そこでカナリアは考えた。
『だったら今から頑張って、ヒロインはもちろん誰も代わりが勤められないくらいの完璧な淑女になればいいんだわ!』
そうして月日は流れて15歳。ゲーム開始の直前となり、誰もが憧れる高嶺の華にまで上り詰め『さぁヒロインさん、いつでもかかってらっしゃいな!』と迎え撃つ気満々でいたカナリアに『お前は完璧な王子の婚約者にふさわしくない!』と勝負を挑んできたのはなんと……!?
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる