魔力持ちがほとんどいなくなった世界で魔力持ちはどんな仕事をするのか

たまつくり

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「ほんとにあった!」

ピンク色の髪にピンク色の瞳をした小柄な少女が、甘ったるい声を上げて鏡の前に立っていた。

「これよこれ!『どきハラ』でこれに行き着くのに本当に苦労したんだから。チートアイテムだっていう情報が出て必死に探したんだから!この鏡が何でも願い事を叶えてくれるんでしょう?サイコーだよね」

聞いたことのない単語を並べ、なぜか鏡がどんな物なのか確信していた。

「これで王子様はあたしのものよ!」

少女が望んだことは、女の子なら誰もが夢見ることだった。

『鏡よ鏡、王子様と結婚してお姫様になりたいの』

それを言ったときの少女の目はキラキラしていて、そうなれば幸せになれると信じて疑っていなかった。

実際、鏡は少女の願いに応えた。

それがとんでもない悲劇を引き起こすことになろうとも。

王子様と結婚するためには少女の異母姉を蹴落とすことになる、少女は躊躇いもなくありもしない罪をでっち上げ異母姉を断罪した。

鏡は少女の望みに応えお姫様にしたのだ。

ただし、しただけ・・・・

少女には王子様に相応しい知識も品格もなかった、しかも国王夫妻に子どもは王子様だけ、王子様は王太子になり、少女は王太子妃にならなければいけなくなった。

それに求められるものは膨大で、全てを熟すことなど不可能だった。

しかも教育係は口を揃えてこう言うのだ。

『お異母姉様は出来ましたよ』
『お異母姉様はもっと優雅でした』
『この程度のことお異母姉様ならすぐに覚えました』

それならば王太子妃に相応しくなるよう精進すればよかったのだが、少女は楽をすることを選んだ。

「鏡よ鏡、聞いたことを全て覚えられるようにして」

少女はその能力を手に入れ、周囲からもようやく認められるようになった。

それでも口さがない者はいる、優秀だった異母姉を蹴落として王太子妃となった行為が受け入れられない者もいたのだ。

だから少女は願った。

「鏡よ鏡、あたしのことを悪く言う奴はみんな殺して」

それを言ったときの少女の目はかつての夢見るキラキラしたものではなくなっていた。

充血した目はギラギラと血走り、本来なら手入れされる髪はボサボサ、肌はカサカサ。

少女は誰も近づけなくなっていた、なんせ聞いたことを全て覚えてしまうのだ。

あり得ない量の情報が少女の頭の中に残ってしまっい、もう自身に耳障りの良い声しか聞きたくなかった。

そして奇妙なことが起こり始めた。

はじめはただの突然死だと思われた、しかしバタバタと人がどんどん死んでいくのだ。しかもほとんどが貴族で年齢性別がバラバラ。

病気が流行っているのか?はたまた毒を飲まされたか?

憶測はどんどん広がり平民も噂するようになった。

「お貴族様がどんどん死んでんだってよ」
「はっ!どうせうまいもんでも食いすぎたんだろうよ」
「それが違うみたいなんだ、話してたらいきなり倒れてそのままみたいだぜ」
「じゃあ、毒でも飲まされたんだろうよ」
「だと思うだろ?それも違うみたいなんだ、その場にいた全員の持ち物をチェックしたんだけど、何も出てこなかったらしい」
「へぇ、だとしたら流行り病か?ったく、こっちにまで感染ったらどうしてくれんだよ」
「ほんとだよなぁ、国王はしっかり対策とかしてくれんのかよ?」
「無理じゃねえ?なんせ前にあった王太子妃の交代の時だってのらりくらりと抗議を躱したんだろ?事なかれ主義なんだよ」
「そうそう、前の婚約者の評判がかなり良くて、あちこちから抗議の声が上がってたのに全部聞かなかったことにしたんだよ。しかも王太子妃を交換する理由ってのが異母妹をいじめてたって、王太子妃に相応しくないって。そんなバカみてーな理由で納得するか?どうせ異母妹が罠にはめたとかそんなとこだろ?」

そんな会話をしていた2人は酔いつぶれていると勘違いされ、店の閉店まで気づかれることなく亡くなっていた。

「聞いた?例の話」
「例の話って?」
「飲み屋でいきなり死んでた2人のことよ」
「ああ、飲み過ぎでしょ?」
「それが同じようなことが次々と起こってるんだって」
「ええ!飲み過ぎで死んじゃうってこと?」
「違う違う、普通に話してたのに、いきなり倒れてそのまま死んじゃうんだって」
「なにそれ?怖くない?」
「元々はお貴族様の間で流行ってたらしいんだけど、とうとう平民にまで広がってきたみたい」
「うわぁ、怖い!」
「でしょ?だけど国王はなんにもしてくれないんだって」
「なにそれ?!」
「分かりそうなもんじゃない?だって王太子妃の事件、覚えてるでしょ?」
「あ~、あれはないわ~」
「侯爵家との繋がりがあればどっちでもよかったんだろうけどさぁ、みんな知ってるっての、異母妹いもうとの方が可愛かったんでしょ?」
「そう、可愛い方と結婚したいだけだったのよ」
「頭が空っぽの可愛いだけの王太子妃なんて、役に立たないのにねぇ」

道端でおしゃべりを楽しんでいた若い女性はそのままパッタリと倒れ、事切れた。
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