4 / 30
4
しおりを挟む
女はかつて、レオノーラ・カージリアンという名だった。
大陸一の大国と言われたヤルシュ王国の王女を母に持ち、資源豊富なザダ王国の王弟を父に持つ、完璧な血筋の完璧な貴族令嬢、それがレオノーラだった。
生まれてすぐに王命により王太子と婚約を結び、将来は王妃となることが約束されていた。
それが綻んだのは母の死から。
母の死から3ヶ月もしないうちに父は後妻を迎えた。
レオノーラは当時十三歳、自分でも聡い方だと理解していたが、まさかこんなに早く?と辟易したものだ。
しかも後妻との間には一つしか年齢の変わらない異母妹まで存在していた。
貴族とはそういうもの、と割り切れるほどレオノーラはまだ達観していなかった。
しかしレオノーラの心を慮る者は誰もいなかった。
後妻の名はハヴァナ、彼女はザダ王国の男爵家の娘で家柄に大きなコンプレックスがあったらしく、レオノーラをあからさまに蔑ろにした。
『食べるだけで精一杯の民がいるというのに、あなたはこんなにも贅沢をして!』
『まったく、使わないならよこしなさい!私が有意義に使ってあげるわ!』
そう言って生母の形見をことごとく奪っていった。
父に言っても無駄だった、むしろ父はハヴァナの味方。
どうやら父とハヴァナは昔から恋人同士だったそうで、政略結婚とはいえ母が邪魔だったのだ。
貴族なのだから政略結婚は当たり前だろう、しかし残されたレオノーラはたまったものではなかった。
母が存命のときから付いてくれていた侍女は全員解雇され、部屋は離れへと追い出された。
しかも出される食事は固いパンに塩味のみのスープ。
継子が可愛くないのは分かる、それでもあの扱いは酷かった。
さらにどこからともなく流れた『レオノーラが異母妹をいじめている』という信憑性のない噂。どう考えてもいじめられているのはレオノーラなのだが、この頃には必要最低限の社交しか行っておらず、気づくのが遅くなってしまったのだ。
姿を現せば小声で囁かれるレオノーラの話題、貴族令嬢として表情を出さないことだけで精一杯だった。
救いがあったとすれば王太子の婚約者という立場。
王太子妃教育で勉強もマナーも身につけられ、食事も出た。
だから王太子妃になればあの家から抜け出せる、それがレオノーラの希望だった。
別に王太子のことは好きでも嫌いでもなかったが、レオノーラが嫁すには当然の地位。ただそれだけの感情しかなかった。
しかしそんな希望もあえなく散るときが訪れた。
大陸一の大国と言われたヤルシュ王国の王女を母に持ち、資源豊富なザダ王国の王弟を父に持つ、完璧な血筋の完璧な貴族令嬢、それがレオノーラだった。
生まれてすぐに王命により王太子と婚約を結び、将来は王妃となることが約束されていた。
それが綻んだのは母の死から。
母の死から3ヶ月もしないうちに父は後妻を迎えた。
レオノーラは当時十三歳、自分でも聡い方だと理解していたが、まさかこんなに早く?と辟易したものだ。
しかも後妻との間には一つしか年齢の変わらない異母妹まで存在していた。
貴族とはそういうもの、と割り切れるほどレオノーラはまだ達観していなかった。
しかしレオノーラの心を慮る者は誰もいなかった。
後妻の名はハヴァナ、彼女はザダ王国の男爵家の娘で家柄に大きなコンプレックスがあったらしく、レオノーラをあからさまに蔑ろにした。
『食べるだけで精一杯の民がいるというのに、あなたはこんなにも贅沢をして!』
『まったく、使わないならよこしなさい!私が有意義に使ってあげるわ!』
そう言って生母の形見をことごとく奪っていった。
父に言っても無駄だった、むしろ父はハヴァナの味方。
どうやら父とハヴァナは昔から恋人同士だったそうで、政略結婚とはいえ母が邪魔だったのだ。
貴族なのだから政略結婚は当たり前だろう、しかし残されたレオノーラはたまったものではなかった。
母が存命のときから付いてくれていた侍女は全員解雇され、部屋は離れへと追い出された。
しかも出される食事は固いパンに塩味のみのスープ。
継子が可愛くないのは分かる、それでもあの扱いは酷かった。
さらにどこからともなく流れた『レオノーラが異母妹をいじめている』という信憑性のない噂。どう考えてもいじめられているのはレオノーラなのだが、この頃には必要最低限の社交しか行っておらず、気づくのが遅くなってしまったのだ。
姿を現せば小声で囁かれるレオノーラの話題、貴族令嬢として表情を出さないことだけで精一杯だった。
救いがあったとすれば王太子の婚約者という立場。
王太子妃教育で勉強もマナーも身につけられ、食事も出た。
だから王太子妃になればあの家から抜け出せる、それがレオノーラの希望だった。
別に王太子のことは好きでも嫌いでもなかったが、レオノーラが嫁すには当然の地位。ただそれだけの感情しかなかった。
しかしそんな希望もあえなく散るときが訪れた。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる