8 / 30
8
しおりを挟む
どんな国でも上流階級というのは存在し、そういう集いも存在する。
ドルトミルアン国に赴いた表向きの用事をすませるため、カイルはとある夜会に出席していた。
主催者はとある洋服屋の女性店主マイナ・クールド、彼女は大量生産を実現させたかなりのやり手だ。
彼女はそれだけではなく、食物に嗜好品まで様々な品物を取り揃えた大型店舗の出店を考えているらしい。
「ザダ王国のシガーは主人が大好きで、ぜひとも繋がりを持ちたいと言ってますの」
枯渇しそうな資源から脱却するため、戦後ザダ王国はシガーの製造を始めた。
それはコーウェル侯爵家が中心となってすすめられた事業で、少しずつだが周辺諸国に知られる特産品となっている。
「もともと採られていた岩塩はどうなりましたの?うちの主人は大変なグルメで…、ザダ王国の塩を使った料理は一味違う!と」
実は細々とだが岩塩の採掘は行われていて、愛好家も少なからずいる。希少性を全面に打ち出したことが功を奏したのだ。
「ですからぜひ!新しいお店にシガーと塩を卸していただけないかしら?いえ、量はそこまで多くなくていいのですわ」
希少性を強調させるのか、とカイルは頭の中で計算を始める。どれだけ売れば元が取れるか?品質はどれくらいのものを?それにしてもマイナは一方的に話し続けて、カイルは相槌を打つだけになってしまう。
「そうだわ、紹介したい方がいるの。こちらへいらして?」
マイナの突然の提案に少々面食らいながらも、培った貴族のあしらいでカイルは促されるまま着いていく。
「これから紹介する方はね、とある王国の高貴な血筋の方なのよ」
ピクリ、とカイルの指が反応する。
「足がお悪いので杖をお使いなんですが、そんなことは微塵も感じさせない所作の美しい方ですの」
まさか、とカイルは視線を彷徨わせる。
「だから礼儀作法を娘に教えてもらえないかとお願いしましたの」
ドクドクと心臓が脈打っているのをしっかりと自覚できる。
「はじめは断られたのですが、何度もお願いしてなんとか引き受けてくださいましたの」
そして、まさかが確実となり目の前に現れた。
「ご紹介しますね、サイナリィ・マグドロス様です」
つい先日会ったばかりのレオノーラがそこにいた。
ドルトミルアン国に赴いた表向きの用事をすませるため、カイルはとある夜会に出席していた。
主催者はとある洋服屋の女性店主マイナ・クールド、彼女は大量生産を実現させたかなりのやり手だ。
彼女はそれだけではなく、食物に嗜好品まで様々な品物を取り揃えた大型店舗の出店を考えているらしい。
「ザダ王国のシガーは主人が大好きで、ぜひとも繋がりを持ちたいと言ってますの」
枯渇しそうな資源から脱却するため、戦後ザダ王国はシガーの製造を始めた。
それはコーウェル侯爵家が中心となってすすめられた事業で、少しずつだが周辺諸国に知られる特産品となっている。
「もともと採られていた岩塩はどうなりましたの?うちの主人は大変なグルメで…、ザダ王国の塩を使った料理は一味違う!と」
実は細々とだが岩塩の採掘は行われていて、愛好家も少なからずいる。希少性を全面に打ち出したことが功を奏したのだ。
「ですからぜひ!新しいお店にシガーと塩を卸していただけないかしら?いえ、量はそこまで多くなくていいのですわ」
希少性を強調させるのか、とカイルは頭の中で計算を始める。どれだけ売れば元が取れるか?品質はどれくらいのものを?それにしてもマイナは一方的に話し続けて、カイルは相槌を打つだけになってしまう。
「そうだわ、紹介したい方がいるの。こちらへいらして?」
マイナの突然の提案に少々面食らいながらも、培った貴族のあしらいでカイルは促されるまま着いていく。
「これから紹介する方はね、とある王国の高貴な血筋の方なのよ」
ピクリ、とカイルの指が反応する。
「足がお悪いので杖をお使いなんですが、そんなことは微塵も感じさせない所作の美しい方ですの」
まさか、とカイルは視線を彷徨わせる。
「だから礼儀作法を娘に教えてもらえないかとお願いしましたの」
ドクドクと心臓が脈打っているのをしっかりと自覚できる。
「はじめは断られたのですが、何度もお願いしてなんとか引き受けてくださいましたの」
そして、まさかが確実となり目の前に現れた。
「ご紹介しますね、サイナリィ・マグドロス様です」
つい先日会ったばかりのレオノーラがそこにいた。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~
青空顎門
SF
病で余命宣告を受けた主人公。彼は介護用に購入した最愛のガイノイド(女性型アンドロイド)の腕の中で息絶えた……はずだったが、気づくと彼女と共に見知らぬ場所にいた。そこは遥か未来――時空間転移技術が暴走して崩壊した後の時代、宇宙の遥か彼方の辺境惑星だった。男はファンタジーの如く高度な技術の名残が散見される世界で、今度こそ彼女と添い遂げるために未来の超文明の遺跡を巡っていく。
※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。
トガビト_ワールドクリエイション
ウツロうつつ
ファンタジー
主人公レイ・アカシャは目が覚めると謎の異空間にいた。そこには何もなく、ただ真っ白な光景が広がるのみ。
そこに突然謎の美女が現れる。
美女は自身のことをリンネと名乗り、君にお願いがあると言う。
今から宇宙を創り、管理者として宇宙の管理運営を行って欲しいと。
そして最後には自分に会いにきて欲しいと。
それが出来たなら君の正体と、願いを何でも一つ叶えて上げようと。
意味のわからない突然のお願いに、レイはろくな質問もできないまま、強制的にお願いを了承させられてしまう。
はたしてレイは見事目的を達成し、自身の正体を知り、願いを叶えることが出来るのか。
今ここに謎に満ちた風変りな創世記が始まる。
慈愛と復讐の間
レクフル
ファンタジー
とある国に二人の赤子が生まれた。
一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。
慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
奥さまは魔王女
奏 隼人
ファンタジー
仙石優也はひょんなことからプラティナという美女と恋に落ちた…
二人は普通の恋、普通の結婚、普通に子育てをして幸せに暮らすのだが一つだけ普通じゃないことが…
そう…奥さまは魔王女だったのです⁉︎
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる