13 / 30
13
しおりを挟む
それは楽観視しているわけではなく、娘には強くなって欲しい。
それこそレオノーラのように。
新しい価値観が認められつつあるザダ王国で、娘の新しい生き方を模索出来るのではないか。
新たな相手を見つけてもいい。
何か仕事を見つけてその道に進んでもいい。
帰ったらまずは娘と今後について話し合う必要があるだろう。
前に進むために、過去と決別するためにも。
「さあ、どこに行こうか…」
まだ早いが夕食を摂ろうとカイルは身なりを整えた、どんな食事でも身なりを整える、こういう習慣はなかなか抜けない。
部屋を出て階段を降り、フロントに外へ出ることを伝えようと向かうと、こちらから声をかけられるまでもなく、
「アルキス卿、手紙が届いております」
あちらから声をかけてきた。「こちらです」と渡された手紙は丁寧に封蝋がされていた。
この国でここまで仰々しくするのは誰なのかと差出人を確認すると、
「…え?」
思わず声が出てしまう、それもしかたのないことだろう。なんせ差出人はレオノーラなのだ。
カイルは部屋に戻り、逸る気持ちを抑えながら封を切る。
内容は急な手紙に対する詫びと、明日の午前中に会えないかというものだった。
妙だな?カイルの率直な感想だった。
レオノーラはこんな不躾な手紙など寄越さないだろうから。
何かあるのか?そう思うのも当然だろう。
一抹の不安を抱えながらも『諾』の返事を書くことにする、昔とった杵柄で、きちんと貴族らしく気の利いた言葉を書き連ねていく。
念のため持ってきていてよかったと思いながら封蝋を押し、それを持って再びフロントへと向かう。
「すまないがこれを今日中に届け出もらえないだろうか?」
「承知いたしました、アルキス卿」
「頼んだよ」
ドルトミルアン国では料金を上乗せすれば急ぎの手紙を優先的に配達してくれる商会が存在していた。それらの仕組みはとても興味深いもので、どうにかザダ王国でも取り入れられないか思案していた。
それにはまず識字率を向上させなければならず、戦後の混乱が落ち着いてきた今だからこそ出来るだろう。
来てよかったとカイルは思った。新しい考え方、新しい仕組み、全てが目新しく刺激を受けた。
レオノーラとも少しの不安はあるが、最後の挨拶が出来るのだから、心残りなくドルトミルアン国を去ろう。
ホテルを出て空を見上げるちょうど日が陰ってきた頃合いだった。
ドルトミルアン国の夕日を見るのもこれで最後になるかもしれない、と思いながらカイルはレストランを探しに歩き出した。
それこそレオノーラのように。
新しい価値観が認められつつあるザダ王国で、娘の新しい生き方を模索出来るのではないか。
新たな相手を見つけてもいい。
何か仕事を見つけてその道に進んでもいい。
帰ったらまずは娘と今後について話し合う必要があるだろう。
前に進むために、過去と決別するためにも。
「さあ、どこに行こうか…」
まだ早いが夕食を摂ろうとカイルは身なりを整えた、どんな食事でも身なりを整える、こういう習慣はなかなか抜けない。
部屋を出て階段を降り、フロントに外へ出ることを伝えようと向かうと、こちらから声をかけられるまでもなく、
「アルキス卿、手紙が届いております」
あちらから声をかけてきた。「こちらです」と渡された手紙は丁寧に封蝋がされていた。
この国でここまで仰々しくするのは誰なのかと差出人を確認すると、
「…え?」
思わず声が出てしまう、それもしかたのないことだろう。なんせ差出人はレオノーラなのだ。
カイルは部屋に戻り、逸る気持ちを抑えながら封を切る。
内容は急な手紙に対する詫びと、明日の午前中に会えないかというものだった。
妙だな?カイルの率直な感想だった。
レオノーラはこんな不躾な手紙など寄越さないだろうから。
何かあるのか?そう思うのも当然だろう。
一抹の不安を抱えながらも『諾』の返事を書くことにする、昔とった杵柄で、きちんと貴族らしく気の利いた言葉を書き連ねていく。
念のため持ってきていてよかったと思いながら封蝋を押し、それを持って再びフロントへと向かう。
「すまないがこれを今日中に届け出もらえないだろうか?」
「承知いたしました、アルキス卿」
「頼んだよ」
ドルトミルアン国では料金を上乗せすれば急ぎの手紙を優先的に配達してくれる商会が存在していた。それらの仕組みはとても興味深いもので、どうにかザダ王国でも取り入れられないか思案していた。
それにはまず識字率を向上させなければならず、戦後の混乱が落ち着いてきた今だからこそ出来るだろう。
来てよかったとカイルは思った。新しい考え方、新しい仕組み、全てが目新しく刺激を受けた。
レオノーラとも少しの不安はあるが、最後の挨拶が出来るのだから、心残りなくドルトミルアン国を去ろう。
ホテルを出て空を見上げるちょうど日が陰ってきた頃合いだった。
ドルトミルアン国の夕日を見るのもこれで最後になるかもしれない、と思いながらカイルはレストランを探しに歩き出した。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる