29 / 30
29
しおりを挟む
あれが最後に見たミリアーヌの姿だった。
ミリアーヌは本当に知らなかったのだ。
母親から贈られたアクセサリーがレオノーラから奪った物だということも、レオノーラが返して欲しいと訴えていたことも。
母親が物置だと言うからそこにレオノーラが住んでいるなど思いもしなかったのだろう。
だから憎かった、醜悪な義母よりも、こんな身体にした王太子妃よりも、誰よりもミリアーヌが憎かった。
許せなかった、こんな歪んだ感情を植え付けたミリアーヌが憎かった。
どうして疑わないの?!
どうして笑っていられるの?!
レオノーラの心の叫びは誰にも届かなかった。
牢内での蛮行はせめてもの復讐、最後はレオノーラが受けた痛みを少しでも味わえばいいと。
そうなればあの醜悪な義母への復讐も果たすことになるから。
あの女はミリアーヌが処刑されることを知って絶望し、必死に「娘だけは!」と命乞いをした。
処刑が決して覆ることがないと理解すると、考えることを拒否したかのように動かなくなった。なんせ自分は修道院に幽閉されることになっているのだ、自分のせいで娘が処刑される、その現実から逃避したのだろう。
そしてあの王太子妃、彼女は父親が助けに来てくれると信じて疑わなかった。
しかし、目の前にその首が晒されて発狂した。
復讐するまでもなかった。
呆気ない幕切れ。
自身のどす黒い感情は全てザダ王国に置いてきたと思っていたのに、カイルを目の前にしたら忘れ物をした感覚に陥った。
まだあったじゃないか、と。
ミリアーヌ、あなたの残像も汚してあげるわ。
カイルは何を信じただろうか、あの幼馴染みのことだ、聞いたことを信じただろう。
レオノーラが住んでいた離れを物置と呼んでいた、お気に入りの黒い宝石はレオノーラから盗んだ物、全て知らなかったというのに。
これで復讐は完結した。
レオノーラ・カージリアンはいなくなった。サイナリィ・マグドロスにやっとなれた。
「思っていたよりも 引き摺っていたのは私だったのかもね」
それきり切って捨てるかのように新聞を畳み立ち上がる。
「今日も忙しくなるわね」
まだまだやることはたくさんある、過去に浸るのはもう二度とないだろう。
ミリアーヌは本当に知らなかったのだ。
母親から贈られたアクセサリーがレオノーラから奪った物だということも、レオノーラが返して欲しいと訴えていたことも。
母親が物置だと言うからそこにレオノーラが住んでいるなど思いもしなかったのだろう。
だから憎かった、醜悪な義母よりも、こんな身体にした王太子妃よりも、誰よりもミリアーヌが憎かった。
許せなかった、こんな歪んだ感情を植え付けたミリアーヌが憎かった。
どうして疑わないの?!
どうして笑っていられるの?!
レオノーラの心の叫びは誰にも届かなかった。
牢内での蛮行はせめてもの復讐、最後はレオノーラが受けた痛みを少しでも味わえばいいと。
そうなればあの醜悪な義母への復讐も果たすことになるから。
あの女はミリアーヌが処刑されることを知って絶望し、必死に「娘だけは!」と命乞いをした。
処刑が決して覆ることがないと理解すると、考えることを拒否したかのように動かなくなった。なんせ自分は修道院に幽閉されることになっているのだ、自分のせいで娘が処刑される、その現実から逃避したのだろう。
そしてあの王太子妃、彼女は父親が助けに来てくれると信じて疑わなかった。
しかし、目の前にその首が晒されて発狂した。
復讐するまでもなかった。
呆気ない幕切れ。
自身のどす黒い感情は全てザダ王国に置いてきたと思っていたのに、カイルを目の前にしたら忘れ物をした感覚に陥った。
まだあったじゃないか、と。
ミリアーヌ、あなたの残像も汚してあげるわ。
カイルは何を信じただろうか、あの幼馴染みのことだ、聞いたことを信じただろう。
レオノーラが住んでいた離れを物置と呼んでいた、お気に入りの黒い宝石はレオノーラから盗んだ物、全て知らなかったというのに。
これで復讐は完結した。
レオノーラ・カージリアンはいなくなった。サイナリィ・マグドロスにやっとなれた。
「思っていたよりも 引き摺っていたのは私だったのかもね」
それきり切って捨てるかのように新聞を畳み立ち上がる。
「今日も忙しくなるわね」
まだまだやることはたくさんある、過去に浸るのはもう二度とないだろう。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる